解説

カード解説

楽しみのはずの食事が苦痛なものになっていく──。そんな彼の舌に「幸せの味」を教えてくれたのは、異国の貴銃士たちだった。
弾む心に任せて、足取りは軽く。こんな世界が、あったなんて!

心銃解説:海賊は進む 追い風をとらえて

虚妄を着飾る孤独な人形。物陰で囁く名もなき影が君を追う。
甘美な幻影の日々に別れを告げて、夢見た未来へ旅立とう。君を導く仲間と共に、新たな世界へ。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 職人魂

──ある日の士官学校にて。

ケンタッキーっし! 今回の任務も無事終了!
早速マスターに報告しに行かねーと!!
ケンタッキー……ん?
あれって……。
カトラリー……?
なんか、視線を感じる……。
ケンタッキー…………。
カトラリーな、何? ジロジロ見て……。
ケンタッキー……おぉっ……おおお……?
カトラリーえ?
カトラリー……わっ、ちょっ……何するんだよ!

ケンタッキーは、カトラリーの手ごと掴んで、
食器型の銃をまじまじと見つめる。

ケンタッキー細けぇ……これが引き金で……わ、マジで銃口がある。
柄の部分が銃身ってことだよな。
この繊細さで銃としての使用にも耐えるって……ほおおお……。
カトラリーちょ……離して!
カトラリー……い、いきなり来てなんなの?
べらべら勝手に喋って、手まで掴んで……うるさいし失礼だよ!
ケンタッキーあ? 褒めてんだろうが。
手を掴んだのは悪かったけど……お前も失礼だろ!
十手2人とも、どうしたんだい?
ただごとではない様子だったが……。
カトラリーこいつがいきなり来て、僕の銃をジロジロ見てきて……。
ケンタッキー俺は、こいつの銃がすげぇなって思って見てたんだよ。
褒めてたのに、こいつがキレ始めて……。
十手ふむふむ。なるほどなぁ。
十手まず……カトラリー君。
ケンタッキー君は本当に真っ直ぐに、
君の銃が素敵だと思って褒めたんだよ。
カトラリー……本当に?
十手ああ、間違いない!
俺が保証するよ。
十手ケンタッキー君は、銃職人が注文主一人一人に合わせて作った
こだわりのある銃なんだ。そして彼自身も、銃の機構や装飾……
職人のこだわりを見る目が一段とある。
十手そのケンタッキー君が褒めてるんだから、
カトラリー君の銃はやっぱり見事だってことなんだね。
カトラリーふ、ふーん……?
十手しかし……ケンタッキー君の勢いが、
少しばかりよすぎたのかもしれないね。
それで、カトラリー君がびっくりして身構えてしまったのかなぁ。
十手俺も、見事な盆栽を見つけると、つい吸い寄せられてしまう。
そんな感じだったんじゃないかと思うんだが、どうだい?
ケンタッキーああ……。
確かに、銃ばっか見てて、ぐいぐい行っちまったかも。
十手ふむふむ。
しかしこれで、2人とも悪気はなかったってわかったね。
ケンタッキーおう。
カトラリーうん……。
十手それじゃあ改めて……。
ケンタッキー君、彼がカトラリー君。
俺と同じで仕込み銃なんだ。
カトラリーそうだよ。……だから使い方には要注意。
柄の先端が銃口だから、ディナーの最中にそれを忘れると
自分の腕を撃ち抜く羽目になっちゃうよ。
ケンタッキーふーん。
つーか、機構もすげぇけど装飾もイカしてんな!
もうちょい見せてみろよ。
カトラリーえっ!?
カトラリー(下手に扱うと危ないってわかったら、
ちょっとは引くかと思ったのに……
装飾までもっと見たいって言い出すのは予想外なんだけど!?)
カトラリー……ヤダ。
ケンタッキーはぁ? なんでだよ!
ちょっとくらい見せてくれたっていいだろ、ケチケチすんなって!
カトラリーヤダっつってんの!
しつこい奴は嫌いなんだけど!?
ケンタッキーんでだよ!?
十手ははは……仲がいいなぁ。
カトラリー(装飾部分にあるセイレーンの彫刻、
見られるの嫌だけど……)
カトラリーでも……そこまで言うなら、
ちょ、ちょっとだけなら……。
ケンタッキーあ? なんか言ったか?
カトラリーな、なんでもないっ!
ケンタッキーはぁ? なんだよ、気になるだろ!
カトラリーなんでもないったら!
一回で聞き取れなかったのが悪いんだよ!
ケンタッキーだからもう1回言えって!
カトラリーヤダ。しつこい!
十手うーん……これは、喧嘩するほど仲が良い、の方でいいのかなぁ。
ははは……。

Ep2. すれ違いのアイロニー

シャスポーはぁ……いつまで降れば気が済むんだ……!
タバティエールはは……イギリスだから、ある程度は仕方ないよな。
ミントティーでも飲むか? 少しはすっきりすると思うぜ。
シャスポー……いる。
わかってるならさっさと淹れて持ってくればいいだろう。
タバティエールへいへい。
ちょいと待っててくれよ。
シャスポー…………。
シャスポー(ああ……頭が痛い。
タバティエールはまだなのか?
窓に当たる雨の音が鬱陶しくて余計に苛々する……!)
タバティエールシャスポー、待たせた──

戻って来たタバティエールたちの存在に気づかず、
シャスポーは耐えかねたように窓を開け、
空に向かって叫ぶ。

シャスポーいい加減にしろ!
いつまでもじめじめじめじめして!!
タバティエールおいおい、そんなことしたら
余計に湿気が入ってくるぞ……。
シャスポーうっ……。

自分の大声も響いて余計に痛む頭を押さえながら、
シャスポーはソファにぐったりと座り込んだ。

タバティエールほら、ミントティーだ。
シャスポーそれより、この湿気をどうにかしてくれ。
ああ……からっとして気持ちがいいフランスが恋しい……。
ミカエルおや……彼は故郷が恋しくて参っているんだね。
僕がフランスの曲を弾いてあげようか。
シャスポーフランスの曲は普段なら歓迎するけど……
今はピアノの音が頭に響きそうだから断る。
カトラリーミカエルのピアノを聴かないなんてね。
雨くらいでみっともないやつ。
カトラリー……ふふ。次に長旅をする時は、故郷の土でも持ってきたら?
僕がかけてやるから。
シャスポーは……? 僕を埋めようってのか?
僕は壊れてもないのに、土葬するなんて失礼にもほどがあるぞ。
カトラリーち、違う!
あんたが頭痛がするって言うから──
シャスポー……まさか土に埋めれば頭痛が治るとでも?
大昔のベルギーかどこかの迷信かい?
カトラリーいや、そうじゃなくて……だから──
ローレンツふむ、興味深いな。
カトラリーうわっ!? いつからいたの!?
ローレンツ廊下を歩いていたら、興味深い会話が聞こえたものでね。
ローレンツMr.カトラリーが、土を持ってきてはどうかと言ったのは……
俺の推測が正しければ、昔の船乗りたちの習わしをふまえた、
なかなか高度な皮肉交じりの冗談だろう。
タバティエールん……? どういうことだ?
ローレンツ諸君ももちろん、壊血病は知っているだろう。
『大航海の病』とも呼ばれ、
当時多くの船乗りたちの命を奪った、実に恐ろしい病だ。
ローレンツ今でこそ、ビタミンCが長期間欠乏することが原因だとわかり、
対策も容易になっている病だが、当時は原因も治療法も不明。
しかし、長期間陸地から離れるのが駄目なのだとは気づいていた。
ローレンツそこで、18世紀の船乗りたちは、病人に故郷の土をかけたのだ!
陸地から離れることが原因なら、
土の匂いを嗅ぐことで治るだろうと信じ……。
ローレンツ体調不良のMr.シャスポーが、フランスが恋しいと言ったので、
Mr.カトラリーは、伝承に基づいたジョークを言った。
ふっ……Q.E.D.
カトラリーそ、そうだよ!
話がわかる奴もいたみたいだね。
シャスポー悪いけど、今は冗談を聞いている気分じゃない。
頭痛をからかわれたって不愉快だし、僕は部屋で休むよ。
タバティエールおい、シャスポー!
やれやれ……ごめんな、カトラリーくん。
カトラリー…………。
ミカエルカトラリー……?
カトラリー……っ。

カトラリーは無言のまま、
談話室から飛び出して行ってしまった。


カトラリーな、なんなの……!?
頭が痛い痛いってうるさいから、
ちょっと茶化してやっただけなのに!
カトラリーなんであんな……っ! うっ……ぐすっ……。
ミカエル……悲しい音だね。
僕がピアノを弾いてあげるから、おいで。
カトラリー……うん。

 

Ep3. ファントムの魅力

恭遠おはよう。みんな、席についてくれ。
今日は、みんなに嬉しいお知らせがあるんだ。
恭遠ロイヤル・ミュージカル・カンパニーが、
近々フィルクレヴァートへ興行に来ることになっていてね。
劇団側から、君たち貴銃士クラスを招待したいと連絡があった。
シャルルヴィルわぁ、すごい……!
世界でも有数の劇団の公園を見られるなんて、ラッキーだね♪
恭遠ああ。とてもありがたいオファーだから、
貴銃士クラスの文化授業の一環として、
〇〇君と君たちとで観劇に行くことが決まったよ。
恭遠演目は、『オズの魔法使い』だろうだ。
楽しみだな!
マークスマスターと俺とで、カンゲキをしに出かけられるのか……!
楽しみだな、マスター……!
主人公【そうだね】
【楽しみだね!】
ライク・ツーつーか、お前だけじゃなくて、貴銃士クラスとだろ。
マークスで、カンゲキってのは何をするんだ?
ライク・ツー知らなかったのかよ……。
そのまんま、演劇を見ることだっての。
スプリングフィールドあの……『オズの魔法使い』って、どんなお話なんですか?
シャルルヴィル主人公の女の子ドロシーと、愛犬のトトが、
魔法がある不思議な国「オズ」を冒険するお話なんだ。
シャルルヴィル何が起こるかわからない方が、見てて面白いと思うから、
これ以上は内緒!
シャルルヴィルドキドキ、ワクワク、ハラハラがあって、
大切なものにも気づかせてくれる素敵なお話だから、
きっとスフィーも気に入ると思うよ。
スプリングフィールドふふ……楽しみです。
カトラリー…………。
主人公【どうかした?】
【オズの魔法使いは好きじゃない?】
カトラリー別に……。
ただ、オズの魔法使いは前に観たことがあるから退屈だなって。
カトラリーほら、シャルロットはあんな感じだから、
ミュージカルとかバレエを見に行くことも多かったんだ。
カトラリーだから、有名な作品はだいたい見たことがあるんだよね。
カトラリーまあ、好きな作品だったら、何回見てもそんなに飽きないけど。
たとえば……『オペラ座の怪人』とか。
カトラリーねぇ、〇〇も知ってるでしょ?
オペラ座の怪人。
主人公【もちろん】
→カトラリー「ふふ。まあ当然だよね。」

【タイトルは知ってる】

→カトラリー「タイトルは……ってことは、まさか。
ちゃんと見たことないの?」

カトラリー「それなら今度、僕とちゃんと見に行こうよ。
傑作なんだから。
未来の士官として、それくらいの教養がないとね。」
カトラリー19世紀末のパリ──
華やかなオペラ座で暗躍する、仮面をつけた怪人……。
もう始まりの段階でかっこいいんだけど……。
カトラリーストーリーもいいんだよ。
オペラ座で起きることはすべて、
劇場の地下に潜むファントムが支配してるんだ。
カトラリー誰にも、そうとは知られないまま……。
Pitiful creature of darkness──
闇に住む哀れな生き物ってね……! ふふ……。
八九ウ……ッ!!
八九(うおおおお……すっげぇむず痒いが……
どうする? 一応言っといてやるか……?
いや、でも……うーん、言うのが情けってやつか……!?)
八九あ、あのよ……。
カトラリー何?
もしかして、あんたもファントムの良さを語りたいの?
八九いや、そうじゃなくて……。
八九……なぁ、今は意味がわからねぇかもしれねぇけど、
真面目に聞いてくれ。
カトラリー……は?
八九未来のお前のために、そういうことは言わない方がいいぜ。
タイムマシンを作って、
過去の自分を消しに行きたくなるからよ……。
カトラリー……は? 何言ってんの?
八九いや……なんつーか、
目の前で今まさに黒歴史が作られてるのに耐えられなくてよ……。
カトラリーはぁ……? 耐えられないってまさか、
シャニュイ子爵の方がいいとか言うわけ?
カトラリー信じらんない……。見たのに理解できてないなら、
僕がちゃんとファントムの良さを解説してあげるから──
八九(はぁ……。後悔する日が来ても知らねぇぞ……)

Ep4. 蘇る記憶と交差する今

キセルはは、相変わらずここは賑やかだな。
キセルおっと、向こうのあいつらは……。
キセルよう、十手にカト坊!
メシも食わねぇで何やってんだ?
十手おお、キセル君。こっちに来ていたんだね。
日本から取り寄せた魚の缶詰が届いたもんで、
早速食べようとしてたんだ。
十手そしたら、カトラリー君が缶詰には馴染みがないみたいでね。
長い任務の時には食べることもあるだろうし、
せっかくだから開ける練習もしようって話になったのさ。
カトラリーねぇ、十手。本当にこのやり方でいいの?
全然開かないんだけど……。
キセルヘェ…………。
魚の缶詰……。

カトラリー……あ、この缶詰……美味しいやつだ。
軽く焼いて食べるのもおすすめだよ、はい。
ケインほう……。
カトラリーさんは食に通じてらっしゃるのですね。
カトラリーそう? よくあるオイルサーディンだし、
別にこれくらい普通でしょ。

キセル…………。
カトラリーねぇ、何ぼーっとしてるの。
缶詰開いたんだけど。
キセルおおっ、やればできるじゃねェか!
やったな、カト坊。
カトラリーちょっと、子供扱いしないでくれる?
やり方とコツがわかれば、別に難しくともなんともないし。
カトラリーそれで、これどうするの? このまま食べる?
キセル……そのまま食べてもいいが、温めたほうが美味いぜ。
カトラリーへぇ、そうなんだ。
鍋に移して火にかければいいの? それとも湯煎?
キセルなーんにもない時は、缶ごと炙ったモンだが……
そうだな、鍋を借りてきて湯煎にかけるかねェ!

小鍋で缶詰を湯煎にかけて温める間、
カトラリーはいくつかの食材を持ってきて調理台に並べる。

十手カトラリー君、何をするんだい?
カトラリー缶詰だけじゃ食事にならないでしょ。
だから、バゲットを切って軽く炙るんだよ。
水煮の缶だから、香りづけにハーブも準備するの。
カトラリー十手、缶詰は温まった?
十手うん、いい感じみたいだ!
カトラリーそれじゃあ、魚と相性がいいディルをベースにした
ミックスハーブと、黒コショウも少しかけて、
オリーブオイルも……よし。
カトラリーあとは、これをバゲットに乗せて食べてみて。
キセルどれどれ……。
んん、こいつはうめェ!
十手ほろっと崩れる水煮に爽やかな香りが加わって、
サクサクで香ばしいパンとの相性も抜群だなぁ……!
キセルカト坊にかかると、缶詰が洒落た料理になるんだなァ!
シェフみたいじゃねェか!
カトラリーは、はぁ!? 別に……これくらい誰だってできるでしょ。
十手いやいや、俺には無理だよ。
なぁ、キセル君!
キセルおうよっ!
誇っていいんだぜ、カト坊。
カトラリーだから、カト坊って言うなっての……!

Ep5. 人間観察同好会

──ある日の食堂にて、
カトラリーは生徒たちの様子を観察していた。

カトラリー…………。
カトラリー(士官学校って、いろんな国から生徒が集まってるから、
見る分には結構面白いとこだよね)
カトラリー(〇〇は、普段あいつらと一緒に勉強してるんだ。
マスターっていう特殊な立場だけど、ちゃんとやれてるのかな)
カトラリー……ん?
在坂…………。
カトラリー(ぼーっとしてる……?
でも、目は動いてるから……もしかして、僕と同じことしてる?)
カトラリー……あのさ。
あんたも、人間観察してたりする……?
在坂……そうだ。在坂はよく人を見ている。
カトラリーへぇ……。
じゃあさ、一緒にしてみる?
在坂……一緒にやりたいというなら、在坂は構わない。
カトラリーそれなら、今食堂に来た2人の観察からね。
男子生徒1腹減った~!
何食べようかなー。
男子生徒2うーん……よし、俺はハンバーグ定食にしよっと!
おばちゃーん、ハンバーグ定食1つ!!
男子生徒1おっ、いいな!
おばちゃん、俺もハンバーグ定食!!
食堂のおばちゃんごめんねぇ、今のでハンバーグ定食は最後だったのよ。
男子生徒1そ、そんなぁ……。
じゃあ、コテージパイのセットで……。
カトラリーははっ、運がないやつ。
ああいう奴ってたぶん、同じようなことが何回もあるタイプだよ。
在坂在坂は……
食べたいものが食べられない苦しみを知っている。
カトラリー……!
男子生徒2なぁ、俺もコテージパイと悩んだんだ。
ハンバーグ半分やるから、そっちも半分くれないか?
男子生徒1いいのか!?
へへっ、なんか得した気分だ。ありがとうな!
カトラリーふぅん……。
運がない奴が可哀想だから、同情してるのかな。
カトラリーマナーは悪いけど……
士官学校の奴らに洗練されたマナーはまだ期待できないか。
在坂一緒に食べている2人が不快でなくて、
どちらも嬉しそうだから……在坂は、マナー違反ではないと思う。
それに、結果を見ると、品切れは不運でもなかった。
カトラリーえ、なんで?
在坂分け合えば一度に2種類食べられて、2人とももっと嬉しい。
……在坂は、品切れでなくても、あの2人は違うものを頼んで、
分け合っていたのではないかと思う。
カトラリーそんなものかなぁ……。
カトラリー……あ、次の生徒がきたよ。
なんか、腹の探り合いしてる感じじゃない?
女子生徒1……あ!
限定のスイーツが出てるみたいだよ。
別腹ってことで……食べちゃう?
女子生徒2うわ、美味しそうっ!
だけど……お昼食べ過ぎたから、どうしよう。
最近ちょっと顔が丸くなった気がするし……。
女子生徒1えー? そう?
どうせ授業で動きまくるんだし大丈夫だって!
あれだったら半分こしようよ。
女子生徒2うーん、それなら食べちゃおうかな……!
カトラリーうわ……太ったかもって友達が気にしてるのに勧めるなんて、
もっと太っちゃえって思ってるのかな。
性格悪いね。
在坂そうだろうか?
在坂は、友達思いの優しい人だと思った。
カトラリーえっ……!?
在坂本当は1人で丸々1つ食べたいのに、
我慢している友達が一緒に気兼ねなく楽しめるよう、
半分にすることを提案したのではないだろうか。
カトラリー…………。
カトラリー……あんたって意外に、深い物の見方をするんだね。
在坂そうだろうか?
在坂は……カトラリーは意地が悪いと思った。
カトラリーちょっ、僕は褒めたのに……!
そこは褒めるところじゃないの!?

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