解説

カード解説

貴銃士たるもの、大切なマスターの死の危機には、出来得る限りの最善を尽くすべきである!
彼の強い思いに感銘を受けた「何者か」が、なんだかすごい退魔の力を彼に授けたのだ。

心銃解説:浄霊せよ、邪なる者よ

ええ、この聖なる僕にお任せを!
大切なマスターが口にするもの、触れるもの、纏うもの、全部全部聖別・浄化していきますよ!
ええ、ええ。お喜びください!

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. ドーリィの受難

──ある日、ドーリィという人形を拾った〇〇は、
怪奇現象に悩まされ始める。
心配したエンフィールドは、ドーリィを預かることにした。

エンフィールド〇〇さんに任せていただいたからには、
ドーリィさんを完璧に保存・管理しなくては……!
エンフィールドいずれ〇〇さんか持ち主に返すことを考えると、
宿っていると思われる悪い魂を排除するか、
改心させる必要があるから……。
エンフィールドそうだ!
健全な精神は、健全なものに宿ると言うし、
まずは見た目を綺麗にしよう!

エンフィールドは、洗濯洗剤を溶いた水の中にドーリィを入れ、
じゃぶじゃぶと洗い始める。

エンフィールドわっ、水が黒くなっていく……!
かなり汚れてたんだなぁ。
一度すすいで、次はフローラルな香りの洗剤を使おう。

二度洗いをしたドーリィを干して乾かしたあと、
エンフィールドはほつれていた服やボタンを直した。

エンフィールドうん、綺麗になった!
でも、まだまだだ!
エンフィールド次は……魔除けのセージの葉を焚いて清めてみよう。
ドーリィ…………!

エンフィールドがセージの葉に火をつけると、
瞬く間に部屋に煙が充満した。
強烈な香りとともに、ドーリィは燻されてしまう。

スナイダーおい、エンフィールド……!
火事……ではなさそうだが、なんだ、この匂いは。
エンフィールドおかえり、スナイダー。
今、浄化のためにセージを焚いているんだ。
スナイダー浄化だと?
臭い。窓を開けろ。
エンフィールドああっ、ちょっと!
スナイダーなんだ。換気をしてやったのに、文句があるのか?
エンフィールドこれは、〇〇さんのためなんだよ!?
この人形が悪さをやめて、〇〇さんが安心して──
エンフィールドあっ! いいことを思いついた!
薬草園に行かないと……!

エンフィールドは部屋を飛び出し、
あっという間に走り去ってしまった。

スナイダー騒がしいやつだな……。
スナイダーん……? なんだ、この人形は……。
スナイダーちょうどいい。
これを的にしてやろう。
ドーリィ……!!

スナイダーに持ち出されたドーリィは、
人気のない森の中で試し撃ちの的にされていた。

スナイダーさて、始めるか。
スナイダー……ん? 今のは当たるはずの軌道だが……。

狙いを正確に定めたはずが当たらず、
スナイダーは首を傾げながら次弾を装填する。
銃を構えて再び狙いを定め、引き金を引く直前──……

葉っぱが一気に舞い落ちてきて、
スナイダーの視界を遮る。

スナイダーなんだ……?
まあいい。次こそ当ててやる。

──パァンッ!!

ドーリィ……!!

銃弾は、ドーリィを貫いたはずだった。
しかし……ドーリィは無事なまま、静かに切り株に座っている。
ただし、その位置は一瞬のうちに20cmほど移動していた。

スナイダーこいつ──……動いたか?
スナイダーおい、動くな。
大人しくしていろ。

スナイダーは、木に巻き付いていたツル性の植物を剥がし、
それをロープ代わりにして、ドーリィを木の幹に縛り付ける。

スナイダーよし、これでいい。
エンフィールドちょっ……スナイダー!?
何をやっているんだ!!
スナイダーこいつを的に、試し撃ちをしていた。
エンフィールドな、なんだって……!?
この人形は、〇〇さんから預かった大切な物なのに!
スナイダーこんなものが大事なのか?
あいつの考えは、時々よくわからんな。
エンフィールドああもう、せっかく綺麗にしたのに、こんなに汚れて……!
いいかい? 人の物を勝手に持ち出してはいけないよ。

エンフィールドはドーリィを解放して奪い返すと、
大急ぎで寮に戻ったのだった。


寮に戻ったエンフィールドは、
もう一度ドーリィを洗濯・乾燥した。

エンフィールドよぉーし、最後の仕上げだ!

エンフィールドは鼻歌を歌いながら、裁ちばさみと裁縫道具、
ドライラベンダーや布などを机の上に並べた。

エンフィールドこれでサシェを作って、ドーリィの中に入れれば……
ふふつ、〇〇さんもきっと、
穏やかに眠ることができるはず!
エンフィールドえーっと、まずはどこを切ろうかな。
背中……いや、おなか側がいいかな。
中の綿はちょっと取る方がすっきり──……
エンフィールドうぐっ!?

本棚から辞書が飛んできて、エンフィールドの頭に衝突する。

エンフィールドが昏倒すると……
ドーリィは密かに、〇〇の部屋へと戻ったのだった。

Ep2. 地獄の修行

ドーリィを拾ったことで悪魔に魂を狙われる羽目になった
〇〇を救うため、
エンフィールドはエクソシストのいる教会へと走った。

エンフィールド──……というわけなんです。
どうか、お力を貸していただけないでしょうか……!
神父1……なるほど。
そういった話は以前にも聞いたことがある。
神父2人の生魂を奪っては、新たな獲物を求めて彷徨う邪悪な悪魔……
あなたのマスターを狙っているのも、
おそらくその類のものでしょう。
エンフィールドでは、すぐに悪魔祓いを──
神父1ううむ……申し訳ない。
この時期は依頼が多く、重要度が高い案件も多い。
人手不足で、エクソシストがすぐには派遣できない状況なんだ。
エンフィールドですが、一刻の猶予もないんです……!
そうだ! 僕にここで修行をさせてください!
僕が代理で悪魔祓いの術を習得しますので!!
神父1君が、悪魔祓いを……?
やめておきなさい。半端に手を出しては危険だ。
エンフィールドいえ、絶対にやらなくてはなりません。
マスターのために……!
神父2…………。
その曇りなき瞳……悪魔と戦う覚悟がおありのようですね。
神父2ならば、エクソシスト養成講座7日間コースを──……
エンフィールド7日もかけていられません……!
不眠不休でいいので、なんとか最短でお願いします!!
神父1えっ……?
……でも不眠不休だと、講師も……。
エンフィールドマスターの命がかかっているんです……!
なんとか! 無理は承知の上ですが、どうかお願いします!!
神父1わ、わかった。
そこまで言うなら、戦い方を重点的にレクチャーしよう。
神父2ここから先は、地獄のような修行になりますよ。
本当によろしいのですね?
エンフィールドええ、もちろん構いません!
よろしくお願いします!

そうして、不眠不休のエクソシスト養成講座が始まった。


──3日後。

神父1ぜぇ、はぁ……。
この修業に君が耐えられるとは、予想外だった……。
エンフィールド確かに、悪魔の精神操作に対する防衛術は
習得するのが大変でした……。
エンフィールド(でも、スナイダーに改造される恐怖や、
〇〇さんを失う絶望に比べれば
これしきのこと、大した苦痛じゃない……!)
神父2エンフィールドさん。
厳しい修行によく耐え、頑張りましたね。
あなたが無事、悪しき魔との戦いを終えることを祈ります。
神父1我々が教えられることは以上だ。
旅立つ前に、エクソシストとしての装束を渡そう。
エンフィールド素敵ですね!
布地や装飾からも特別な力を感じます……!
エンフィールドしかし……。
なぜでしょうか。何かが足りない気がして……。
エンフィールドん……? 何か、ビジョンが……。
神父1ビジョン……? なんだね。
エンフィールド大きな十字架です……。
日輪のような飾りがついていて、とても大きい……
あしらわれているのは……緑色の宝石……?
神父たち……!!
神父1な、なぜそれを……!?
それは、こが教会に伝わる最強の聖具……!
神父2神の導きでしょうか……。
エンフィールド君、君に聖具を授けます。
持ってお行きなさい。
エンフィールドええ……! ありがとうございます!
必ず修行の成果を出してみせます!

エンフィールド待っていてください、〇〇さん……!
今、僕が助けに行きます……!

こうして、エンフィールドは士官学校へ向けて
出立したのだった──……。

Ep3. エンフィールドの祈り

悪魔祓いが行われ、ドーリィ事件が無事解決してから数日──。

エンフィールドあ、〇〇さん。
僕はこれから少し出かけてきますね。
主人公【どこに行くの?】
【買い物か何か?】
エンフィールド教会へ、お借りした衣装と十字架を返しに行くんです。
数時間で戻ります。
ライク・ツー……お前、最近なんか静かだよな。
悪魔騒動は解決したのに……引っかかってることでもあんのか?
エンフィールドいえ、そういうわけでは……。
ただ……僕は、あの悪魔に勝てませんでした。
〇〇さんの力になれず、悔しくて……。
主人公【そんなことない】
【力になってくれた】
エンフィールド〇〇さん……ありがとうございます。
あなたは本当に優しいお方ですね。
だからこそ、もっと役に立てたらと思ってしまい……。
ライク・ツーつーか、お前がたった数日修行しただけで
本職のエクソシストと同じことができるわけ──
エンフィールド──ですが! くよくよしてはいられませんね。
〇〇さんに加護があるよう、
祈りを捧げさせてください!
エンフィールド汝、灰の沼を渡るとも、死の谷を歩むとも恐るることなかれ……。
いついかなる時も、汝の魂は神の御心のもとにあらん。
神よ、どうかこの者──〇〇を守り給え……!
主人公【ありがとう!】
【とても清らかな気持ちになった】
エンフィールド本当ですか!?
エンフィールドふふっ! 修行した甲斐がありました……!
これからは毎日、あなたのために祈りを捧げますね!
ですのでどうか、ご安心ください。ええ!
ライク・ツーはぁ……変な方向に張り切りだしたな。

──数日後。

マークスマスター、ハーブティーを持ってきたぞ!
今日は特にブレンドが上手くいったんだ!
エンフィールドハーブティーですか。
僕が聖別してから、〇〇さんにお渡ししますね!
マークスなんだ?
エンフィールド祈りを捧げるんです。
〇〇さんが口にするものですから、
聖なる力を高めた方が──……。
マークスおい、ハーブティーが冷めるだろ。
温かいものをマスターに……おいっ! 聞け!!

──翌日。

ケンタッキーマスター!
ブレスレット作ったんで、オソロで使いましょ!
エンフィールドお待ちください。
マスターが身につける前に、僕が聖別しますね。
ケンタッキーあぁ?
エンフィールドこうすることで、マスターへのご加護が増しますから。
ケンタッキーそんな効果あんのか……?
ならまあ、頼んどくか。

その後も、エンフィールドによる聖別の習慣が続いた。

ジーグブルート……なんだありゃ?
〇〇の食うもん触るもんにいちいち祈って……。
エルメこの間の騒動がよほど堪えたのかな。
でも、ちょっと……度を越してる感じがするね。
ジーグブルートあれが“ちょっと”かぁ……?
タバティエール、てめぇもなんか文句言えよ。
作った料理が冷めるまで祈祷されてただろ。
タバティエールはは……
えも、エンフィールドくんが善意でやってることだからなぁ。

そんなある日──。

在坂マスター。
在坂はアイスクリームを持ってきた。
一緒に食べるといいだろう。
エンフィールドちょっと待ってください!
聖別がまだですよね?
エンフィールド汝、神の御心のもとに……!
在坂あ……。
在坂アイスが溶けて……ぐにゃっとしてしまった……。
八九うおおおおっ……やべぇぞ、お前……!
邑田にバレたらべっこべこのボッコボコにされんぞ……!
主人公【聖別はほどほどにしよう……!】
【聖別はもう大丈夫だよ!】
エンフィールドえ……それは、どういうことですか?
八九あ~……ほ、ほら!
八九何かあっても、エンフィールドとかマークスとか、
モンペェ……門兵みたいに頼もしい貴銃士が守るから
大丈夫ってことだ。だから、聖別は──……
エンフィールドなるほど。
やつくらいなら聖別は不要というわけですね。
今後は、朝昼晩の食事だけにしましょう!
在坂……在坂は、エンフィールドはよくわかっていないと思う。
八九ああ……俺もだぜ……。

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