水辺を通る度、マークスはふと思い出す。
貴銃士の体を得る前のあの日々。物言わぬ銃だった自分を大事にしてくれた、大切な人。
……ありがとう。無二の相棒として、これからもよろしく。
かつて、身を挺して俺を守ったあなた。その姿を、俺は決して忘れない。
……だから今度こそ、俺があなたを守りたいと思った。
少しは、恩返しできただろうか?
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
──〇〇が士官学校の2年生だった頃。
ラッセル | 来週は君たちにサバイバル訓練をしてもらう。 座学で得た知識を実際に使えるかどうか、存分に試してくれ。 |
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生徒1 | ええ……! サバイバル訓練って、通称「地獄の3日間」だよね。 |
生徒2 | 先輩がすっげーキツいって言ってたやつか……。 |
ヴィヴィアン | 地獄のサバイバル訓練かぁ……! どんなことするんだろうね? こう、ナイフ1本で藪の中を突き進んで行ったりとか……!? |
主人公 | 【よくわからないけど頑張ろう!】 【とにかく乗り切ってみせよう】 |
ヴィヴィアン | もっちろん! 頑張ろうね、〇〇! |
──サバイバル訓練初日。
〇〇たちは野営地を目指し、
山林の訓練地の中を移動していた。
その道中、丸太2本と補助のロープだけがかけられている
簡易的な橋のようなものがいくつかあり、
生徒たち一行は1人ずつ慎重に渡っていく。
ヴィヴィアン | うわ……木がたわんでる……。 これ、本当に大丈夫なのかな。 途中でボッキリ折れたりしない……? |
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ヴィヴィアン | 下の涸れ沢まで3メートルくらいありそうだし、 落ちたら無傷じゃ済まないよね……。 |
ヴィヴィアン | って、だめだめ! こんなとこでリタイアなんてできないし、い、行くぞー! |
主人公 | 【大丈夫、下を見ないで進もう】 →ヴィヴィアン「了解……下を見ない、下を見ない、下を……。 って、余計に見ちゃった……!」 【とにかく前を見て】 →ヴィヴィアン「ま、前……。 上のロープは見てもいいよね……!?」 |
ヴィヴィアンが慎重に橋を渡っていく。
あと少しで向こう側に到着するという時だった。
ヴィヴィアン | ……うわっ! |
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主人公 | 【ヴィヴィアン!】 |
足を滑らせたヴィヴィアンは、
ロープをしっかり掴んでいたため落下を免れ、
なんとか体勢を立て直した。
ヴィヴィアン | あ、危なかったぁ~! 握力もちゃんと鍛えといてよかったよ。 |
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ほっとした〇〇は、
ヴィヴィアンに次いで橋を渡る。
その時だった。
生徒1 | う、うわぁあっ! |
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横の橋を渡っていた生徒がバランスを崩し、
ロープを掴むも、自重と荷物の重さに耐えきれず落下してしまう。
彼はとっさに高所落下時の着地体勢を取ったが、
立ち上がってすぐに、よろよろと倒れ込んでしまった。
生徒2 | おい、大丈夫か! |
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生徒2 | ……ダメだ、反応がない。教官を呼ぶぞ! |
教官と救護班が涸れ沢に下りて、負傷した生徒を運んでいく。
その様子を、残る生徒たちは固唾を呑んで見守った。
ヴィヴィアン | はぁ、はぁ……! この川を越えれば、野営地……! |
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〇〇たちは、目の前の川を見る。
流れは緩やかだが、川幅がかなりあり、
ここまでの行程で疲れ切った身体にはこたえそうだ。
教官 | 渡河訓練だ! 全員、銃を頭の上に掲げて渡れ。 |
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教官 | 作戦遂行に銃は欠かせない。 身一つで渡りきったところで無意味だと心得よ! 命より大事だと思って、濡らさず渡りきれ!! |
ヴィヴィアン | ええーっ、命より大事って、極端だなぁ。 銃があっても、使い手が生きてなきゃ意味ないのに。 |
教官 | そこ! 私語は慎め! 渡りきったらスクワット1000回! |
ヴィヴィアン | うげっ! |
ヴィヴィアン | やっと休めると思ったのにぃ……。 |
ヴィヴィアン | 997、998、999……── |
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ヴィヴィアン | ……1000! |
ヴィヴィアン | はぁ、はぁ、終わったぁ~!! |
主人公 | 【お疲れ様】 【はい、水】 |
ヴィヴィアン | ありがとー、〇〇……! そういえば、携行食ほとんど渡されてないけど、 補給隊が別にいるのかな? |
ヴィヴィアン | 最近携行食がリニューアルされたらしいし、 何がもらえるのか楽しみ! |
教官 | これから諸君には、食材の確保および調理までを実施してもらう。 かまどを掘る者と食材を確保する者に分かれ、 各自取り掛かるように。 |
生徒1 | あの……食材というのは……? 自分たちは、レーションを受け取っていないのですが。 |
教官 | “確保”せよと言っただろう。 これは、過酷な状況を想定した訓練だ。 動植物なんでもいい。自分たちの力で食材を見つけてくるように。 |
教官 | ただし、発砲は禁ずる。 また、食材については担当教官に安全確認を取るように。 |
ヴィヴィアン | ふぅ……毒があるものは教官が弾いてくれるみたいだね。 でも、銃禁止でどうやって食材確保すればいいんだろう……。 |
ヴィヴィアン | あ、そうだ! さっきの川に魚とかいないかな? 〇〇、行ってみよう! |
〇〇たちは、近くを流れている川にやってきた。
魚を捕まえようと試みるが、
手づかみではまったく捕まえられない。
ヴィヴィアン | うう……寒くなってきた……。 どうしよう~! 今日の晩ごはんがぁ……! |
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主人公 | 【これなら捕まえられるかも】 【仕方ない……】 |
〇〇は、川辺にいたカエルを掴んだ。
ヴィヴィアン | ええっ……カエル!? |
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ヴィヴィアン | 一応、食べられるって授業で習ったけど……。 お、美味しいのかなぁ……? |
主人公 | 【不味くてもとりあえず何か食べないと】 →ヴィヴィアン「それはそうだね……。」 【鶏肉みたいな味って聞いたことがある】 →ヴィヴィアン「本当にぃ……? でも……何か食べないと、倒れちゃうよね。」 |
ヴィヴィアン | よしっ、私も捕まえる!! |
2人はつかまえたカエルをなんとか捌いて、
携帯鍋で煮込み始めた。
ヴィヴィアン | 〇〇ー! 見て見て! そこに臭み消しに使えそうなハーブが生えてたの。 これも入れてみようよ。 |
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主人公 | 【いいね!】 【ついでにカレー粉も入れよう】 |
ヴィヴィアンが摘んだハーブと
〇〇が持っていたカレー粉を入れて煮込んでいく。
ヴィヴィアン | うん、匂いは悪くないかも……? |
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主人公 | 【カエルカレースープ、完成!】 【食べてみようか】 |
ヴィヴィアン | ……い、いただきます。 |
ヴィヴィアン | …………あれ。 意外とおいしい、かも? |
ヴィヴィアン | ごちそうさま!! おいしかったー!! |
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ヴィヴィアン | 結局全部食べちゃった……! 香辛料って偉大だね。これでなんとか明日も頑張れそう! |
──翌日も、
渡河訓練や体力向上訓練などを経て、日没が近づいてくる。
ヴィヴィアン | はぁ……はぁ……。 〇〇の言うとおり、 昨日しっかり食べておいてよかった。 |
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ヴィヴィアン | このまま機動訓練とか、鬼すぎるでしょ……! |
教官 | 敵役の上級生は、成績上位者だ。 彼らから逃げつつ、ゴールを目指せ。 |
教官 | 刻限は明日の正午だ──はじめ! |
〇〇とヴィヴィアンは、
上級生から逃げ回りながら、必死にゴールを目指す。
上級生1 | いたぞ、こっちだ! |
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上級生2 | 痕跡隠しが粗いな。 こんなんで俺たちが誤魔化されるか。 |
ヴィヴィアン | まずいよ、追跡されてる……こっちに逃げよう! |
2人は、川にかかった細く古い吊り橋を渡り始める。
その時──〇〇の足元の板が抜けた。
主人公 | 【銃が──!】 【UL96A1!】 |
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ヴィヴィアン | ……っ、〇〇!? |
マークス | だめだ……! |
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マークス | ……スター……マスター! |
マークス | ──はっ! |
野営訓練中で、食料調達のために釣りをしていたマークスは、
居眠りからふっと目覚めた。
マークス | ……夢か。 あれは銃だった時の……懐かしいな。 |
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十手 | マークス君、竿! |
マークス | ん……? |
十手 | ほら、引いてるよ! 早く釣り上げないと……! |
マークス | ……っ、しまった。今日の食事が……! |
マークスは慌ててリールのハンドルを回すが、
引きは弱まり、やがてなんの手応えもなくなる。
ジョージ | Noooo……! やっとHitしたのにマジかよっ! 魚釣りって、もっとたくさん釣れると思ってたぜ……。 |
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ジョージ | おーい、魚ー! どこにいるんだ! ……昼寝でもしてんのかな? |
マークス | くっ…… マスターのために、大きい魚を釣りたいのに……! |
マークス | っつーか、釣らないとだめなのか? 魚が狙える位置に来れば、撃ってもいいと思うんだが。 |
ジョージ | ええーっ、それってアリなのか……!? それにさ、撃って仕留められても、 水に沈んじまったら意味ないよなぁ。 |
マークス | はっ……それもそうか。 仕方ねぇ。釣りを続ける。 |
十手 | うんうん。その調子だぞ。 さてと、俺は少し移動してみようかな。 釣りは場所が変わると釣れる魚も変わるそうだしね。 |
ジョージ | おっ、じゃあオレも気分転換にどっか行ってみよーっと。 |
──1人になったマークスが、当たりを待つことしばらく。
マークス | ……ん? 引いてる、か……? |
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かすかな手応えを感じた直後、
ぐぐっと強い力が竿に加わる。
マークス | ……うわっ! |
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急に引っ張られたためにマークスの手から竿がすっぽ抜け、
魚が引くままに、川の中へと流されていった。
マークス | おい、待て! 魚、釣り竿を返せ!! |
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十手 | マークス君!? どうしたんだい!? |
マークス | 魚に釣り竿を取られた……! くそっ、もうどこに行ったか見えねぇ。 |
十手 | な、なんだって……!? どうしよう、カトラリー君に貸してもらったものなのに……。 |
ジョージ | Oh……。 とにかく、正直に言って謝るしかないよな……。 |
十手 | うん……。 まずは事情を説明して、誠心誠意謝ろう……。 |
成果なしで釣りから戻った3人は、
狩りや採集をしていた面々と合流した。
カトラリー | 何さ。ヘンな顔して。 っていうか、魚と僕の釣り竿は? 焚き火の準備ならできてるんだけど……。 |
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十手 | そのことでちょっと話があるんだが……。 |
マークスと十手が経緯を話し終えた頃、
狩りなどを担当していた
ケンタッキーとライク・ツーが戻ってくる。
ジョージ | Hey! 肉はGETできたか!? |
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ケンタッキー | いや、だめだ。 このあたりは獲物がいた形跡も少なくてさ。 ああ、でも、木の実ときのこは確保してあるぜ。 |
マークス | ……肉も魚もなしか……。 マスターに何かうまいものを食べてもらいたかったのに……。 |
ライク・ツー | ……お、噂をすれば。 |
主人公 | 【訓練お疲れ様】 【訓練はどう?】 |
ラッセル | 急にすまないね。 この近くで急ぎの任務が入った。 君たちに協力を要請したい。 |
ライク・ツー | 上等。 この訓練より戦ってる方がいいぜ。 んで、何すればいいんだよ。 |
ラッセル | 森の奥に、元世界帝軍の上級士官が潜伏している可能性がある。 小規模な集団だが、武装しているとの情報もあり、 十分に注意が必要だ。 |
ラッセル | それに、周辺でアウトレイジャーらしき目撃情報も出ている。 貴銃士複数人で対応することが好ましいだろう。 |
ラッセル | 〇〇君とともに、討伐任務にあたってくれ。 |
アウトレイジャー討伐のために、
〇〇たちは川下の方へと進んでいった。
十手 | 地図でいうと、この先みたいだが……。 |
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ジョージ | もしかして、これ渡んなきゃダメ……!? Noo……オンボロの橋って怖すぎるぜ……! |
十手 | 高さもあるし、川の流れも速い……。 落ちては一大事だ。慎重に進もう。 |
川を見ていたカトラリーは、ふと、
何かがキラッと光るのを見る。
カトラリー | あっ……! あれ、僕の釣り竿! |
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マークス | こんなとこまで流されてたのか。 あの魚、どこまで逃げれば気が済むんだ……! |
カトラリー | ちょっと、怒るのはそこじゃないでしょ! 僕のなんだから、ちゃんと責任持って返してよね。 |
十手 | もちろんだよ、カトラリー君。 ちょうど岩に引っかかってくれているみたいだし、 任務が終わったら下に降りる方法を探して回収しよう。 |
カトラリー | ……うん。 |
〇〇たちは周囲を警戒しつつ、古い橋を渡る。
マークス | マスター、焦らなくていい。 安全に渡りきろう。 |
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ライク・ツー | おい、マークス、〇〇は心配いらねぇだろ。 もっと早く渡れ。後ろがつっかえてる。 |
マークス | おい! あんた、わざと揺らしてるだろ! |
一行が橋を渡っていると、向こう岸に人影が現れた。
ライク・ツー | ……っ、あれは! |
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カトラリー | あいつ、ラッセルが言ってた指名手配犯だよ! 世界帝軍の元上級士官……! |
〇〇たちに気がついた指名手配犯が逃げ出した。
護衛らしき男たちが、拳銃の銃口を一行に向ける。
マークス | ……っ、まずい。 橋を落とされねぇように、全力で渡るしかねぇか……。 |
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ライク・ツー | 同意。行くぞ、走れ!! |
ライク・ツーが制圧射撃をして護衛たちの動きを抑え、
〇〇たちは全力で走った。
拳銃のみの護衛は不利と見たのか、威嚇射撃をしつつ引いていく。
十手 | もう少しだ……! |
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あと少しというところで、敵弾が橋のロープに当たる。
ロープが切れた衝撃で橋は大きく揺れ、
〇〇の身体は投げ出されそうになった。
マークス | マスターッ!!! |
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背中を強く押され、〇〇は突き飛ばされるようにして
なんとか対岸についた。しかし……。
主人公 | 【マークス!】 |
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代わりにマークスが落下してしまい、
大きな水しぶきが上がったあと、姿が見えなくなった。
カトラリー | 嘘でしょ……! あいつ、泳げるよね……!? |
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ライク・ツー | ……そういや、水泳の補習も受けてたな。 |
ケンタッキー | やべぇじゃん!! |
十手 | すぐに助けないと……! |
カトラリー | あ……! 少し下流は浅瀬だったはずだよ。 そこでなんとか陸に上がれるかも。 |
主人公 | 【急ごう!】 |
??? | ……クス……マークス……! |
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マークス | (……俺は……) |
マークス | (俺はマスターのために貴銃士になった) |
マークス | (マスターを守りたくて……、 二度と目から水漏れしてほしくなくて……) |
マークス | (あの時、マスターは俺が濡れないようにしてくれて…… だから……今度は俺が……!) |
カトラリー | はぁ、はぁ……! 見て、あそこ! |
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浅瀬の岩に、気を失ったマークスが引っかかっていた。
主人公 | 【マークス……!】 |
---|---|
十手 | マークス君、しっかり! |
マークス | ……うっ……。 |
主人公 | 【マークス!】 【大丈夫!?】 |
マークス | ……マス、ター。 |
主人公 | 【よかった……!】 【怪我は!?】 |
ライク・ツー | 大きい外傷はなさそうだな。 |
マークス | マスター……言っただろう。 ……マスターは、俺が守るって……! |
十手 | 無理して喋らなくていいよ。立てそうかい? 俺の肩を貸そうか。 |
カトラリー | 銃も、水に濡れてるけど大丈夫みたい。 まったく、無茶しすぎだよ……! |
ジョージ | ふぅ……マジでひやっとしたぜ……。 |
ライク・ツー | ったく、忠犬にもほどがあんだろ。 それで溺れてたら世話ねぇけどな。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | んだよ、調子狂うな。 |
マークス | マスター、さっき……川には落ちなかったか? 濡れたり、怪我をしたりしていないか? |
主人公 | 【大丈夫だよ】 【マークスのおかげで助かった】 |
マークス | ……そうか、よかった。 |
十手 | マークス君、自分のことも心配した方がいいぞ。 顔色が悪い。 |
主人公 | 【休めるところを探そう】 【身体を乾かさないと】 |
ケンタッキー | だな。 もうすぐ日暮れだし、そのまま冷えると風邪ひくぞ。 |
ライク・ツー | さっき橋の上から見えたんだけどよ、 あっちになんか建物っぽいのがあったから行ってみるか。 |
ジョージ | おう! 風が防げるだけでもだいぶマシだもんな。 |
主人公 | 【行こう、マークス】 【手を貸すよ】 |
マークス | ありがとう、マスター。 |
十手 | ……あっ! 少し待っていてくれないか。 |
ライク・ツー | どうした? 十手のおっさん。 |
十手 | よ……っと! よかった、やっぱりカトラリー君の釣り竿だったよ! |
十手 | はい、これ。 なくしてしまって本当に悪かったね。 |
カトラリー | ……別に、壊れてないみたいだし、 なくしたのは十手じゃないし。 |
カトラリー | っていうか、十手まで足濡れちゃったじゃん。 早く行こう。2人とも風邪ひくよ。 |
〇〇たちがたどり着いた城壁は、
ところどころツタの這っている古いものだった。
十手 | よし、火がついた。 さぁ、マークス君。しっかり温まってくれ。 |
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ジョージ | はー、オレ、腹が減ってきたよ……。 何か食うものないかなー。 |
十手 | 薪の追加も必要だね。 手分けして行ってこようか。 |
貴銃士たちは、〇〇とマークスを残して、
食料や薪を探しに行った。
主人公 | 【マークス、銃を貸して】 【銃のメンテナンスをしようか】 |
---|---|
マークス | マスター……! |
主人公 | 【放っておいて故障したらいけない】 【ちゃんとケアしないとね】 |
マークス | ……ああ、ありがとう。 |
〇〇は銃を受け取り、メンテナンスを始める。
西日に目を細めながら作業をしていると、
不意に影がさした。
マークス | ……これで眩しくないか? |
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主人公 | 【ありがとう】 【助かるよ】 |
マークス | いいんだ。 ……マスター、その……。 |
主人公 | 【メンテナンスで気になることがある?】 →マークス「いや、そうじゃない。 マスターのメンテナンスの腕は、俺が一番知っている。 そこはまったく心配していない……ただ……。」 話を聞きながらメンテナンスを続ける〇〇の手元を、 マークスはじっと見つめる。 【どうかした?】 →マークス「こうしてゆっくり話ができるのも久しぶりだから……。 なんつーか、マスターに言うべき言葉が、 こう……胸のあたりでジャムってるんだ。」 |
マークス | その……貴銃士になってから、色々なことをしただろう。 マスターと色々な場所に行ったし、これからもそうだ。 |
マークス | 学校での毎日もそうだし、アウトレイジャー討伐任務もそうだ。 色々な国に行って、見たり聞いたりしたことがたくさんあった。 |
マークス | 危険なこともあったし、楽しいこともあった。 マスターのカレーの味を舌で感じたこともそうだし、 ハーブティーを作ってマスターに飲んでもらったこともあったな。 |
マークス | 貴銃士になってから、本当に、色んなことをした。 ……でも、思ったんだ。 |
マークス | やっぱり、マスターに銃をメンテナンスしてもらうのが、 俺にとっては、一番嬉しい。 |
主人公 | 【……自分にとっても大切な時間だ】 →マークス「……っ! 俺の銃の手入れが……!? そ、そうか……うん、そうか……。」 【じゃあ、頑張ってメンテナンスするよ】 →マークス「今だって、マスターのメンテナンスは完璧だ! いや、前よりも完璧になってる!」 |
〇〇はふと、
マークスが召銃されたばかりの頃にした会話を思い出した。
マークス | それでも、俺を整備する手はいつだって丁寧で、 なんつーか……大事に扱ってくれていた。 |
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マークス | あの時だってそうだ! |
マークス | 俺をかばってマスターが川に落ちたときは驚いたが、 それ以上に……俺は嬉しかったんだ。 |
マークス | 今は、こうして貴銃士になれたからな。 これからは、溺れたって俺が助けてやれる! だから──……。 |
主人公 | 【そういえば……】 |
---|---|
主人公 | 【あの時の約束、守ってくれたんだね】 |
マークス | ……ああ! |
マークス | 俺はマスターの銃だ。 貴銃士になって、こうしてマスターと一緒にいられる。 |
マークス | だから、敵や危険なことからマスターを守れるのが嬉しいんだ。 ……あの日、マスターが俺を守ってくれたみたいに。 |
マークス | なあ、マスター。 ずっとずっと、約束する。 |
マークス | ……これからも俺がマスターを守る! |
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