マスターと貴銃士、その在り方。銃と共に生きる限り、安寧の運命はきっとない。
けれど、前を向いて歩み続けよう。
暗い夜を裂いて、空に輝く陽が昇るように──終わらぬ絶望はないのだから。
どんな未来が待っていても、君となら立ち向かえる。絶対に。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
ハクセーにしてやる
貴銃士の勇敢さを讃える記念行事、
ブレイブ・マスケッターズ・デー。
その一環として開催された食事会に、
〇〇は貴銃士たちとともに参加していた。
ベルガー | ウヒョー! めっちゃ飯ある!! これぜんぶ俺の~! |
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主人公 | 【今度の交流面談、どうする?】 【交流面談の日程、覚えてる?】 |
ベルガー | ああ? あー……なんかお前とオハナシするってやつだっけ? |
ベルガー | いつって決まってんの? いつでもよくね!? 俺、忙しいんだけどー! |
主人公 | 【プリントもう1回渡しとくよ】 【この日だから忘れないでね】 |
ベルガー | んんー…………。 |
そして迎えた、交流面談当日。
主人公 | 【ベルガー、忘れてるかな……】 【来ないかな……】 |
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〇〇が部屋でぼんやり座っていると──
ベルガー | よっ!!! |
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開けていた部屋の窓からベルガーがにょきっと顔を出し、
身体を滑り込ませてきた。
ベルガー | お前さぁ……ん、これ!! |
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ベルガーが勢いよく手を開いてみせた。
手のひらには、マジックで『こうりゅうめんだん×月×日』
と書かれていた。
ベルガー | なんかぁ、お前がマジメな顔すっから~。 ドーテーくんにメモさせといた!! |
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ベルガー | 俺、エラくね!? |
主人公 | 【覚えててえらい!!】 【さすがベルガー!!】 |
ベルガー | あひゃひゃひゃ! 俺ってば、チョー天才じゃ~ん!! |
ベルガー | んでさ~、何すんのぉ? オハナシのやり方って知らねーんだけど。 |
主人公 | 【ベルガーがやりたいことでいいよ】 【オハナシじゃなくてもいいよ】 |
ベルガー | あっそ! んじゃー、殺すやつと生かすやつ、どっちがいいー? |
主人公 | 【ころっ……!?】 【い、生かすやつ!!】 |
ベルガー | じゃ、今日は生かすやつなっ!! 早く来いよぉ~。置いてくぞ~。 |
ベルガーが〇〇を連れてやってきたのは、
士官学校の校舎の一角にある広い生物室だった。
そこにはうさぎからミーアキャットまで、
様々な動物がケージにいたり放し飼いにされていたりした。
ベルガー | おー、おめーら! 元気してたか~? |
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ベルガーの声に反応するように、小さなモモンガが
飛んできて彼の頭上にとまる。
ベルガー | あっ……こいつ、寝ちまった。 そんなに俺のフードがきもちいーのかぁ? |
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主人公 | 【懐かれてる!】 【かわいいなぁ】 |
ベルガーは部屋の中を歩き回りながら、楽しそうに説明を始める。
ベルガー | ここは~、ホニュールイ! |
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ベルガー | 魚と~、鳥と~、ハチュールイは別の部屋な。 後で行くから忘れんなよ~。 |
主人公 | 【寮にも蛇がいるよね】 【寮にも熱帯魚がいるよね】 |
ベルガー | あ? そうだけど? |
ベルガー | あいつらはぁ~、毎朝話してっからそこで飯やってんの。 |
主人公 | 【毎朝……?】 【それって、どういうこと?】 |
〇〇は机の上にある日誌に気づいて、
軽く読み始める。
そこにはベルガーが無断で生物部に侵入し、
その件をきっかけに週当番をするようになった経緯が
生物部の生徒と思われる手によって書かれていた。
その後──
ベルガーと共に〇〇は様々な動物のお世話をした。
主人公 | 【しっかりお世話できてて偉いね】 【ベルガー、動物に優しいんだね】 |
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ベルガー | あ? だって、こいつらはちゃんと世話しねーと死んじまうだろ。 |
主人公 | 【そうだよ】 【食べ物をあげないとね】 |
ベルガー | ところでさー……お前、死ぬの? |
主人公 | 【えっ……?】 【どういう意味……?】 |
ベルガー | 俺の、前の……あっ? 前の前の……あぁ? わっかんねー……えーっと── |
ベルガー | 俺のサイショのマスターも傷で死にかけてたんだよなー。 |
ベルガー | まだ死ねねえ、やりてーことがある! とか言ってよー、結局死にかけのまんまずるずるいって── |
ベルガー | ……最後は死んだんだとよ。 俺、銃に戻ってたからその瞬間は見てねーけど。 |
ベルガーはそこで言葉を切って、〇〇を見つめた。
ベルガー | この前、一瞬、あいつと同じ感じがした。 お前が消えて、クソメガネたちと街を探してるとき……。 |
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ベルガー | 動物が死んだときのニオイ。 死のニオイっつーか、そういうのがした。 あいつもしてたんだ。 |
ベルガー | だから…………お前、死ぬの? |
主人公 | 【……死なないよ】 |
ベルガー | へー。 |
ベルガー | ……そっか。ならいっか~~~~! |
ベルガー | お前が人じゃなかったら、こいつらみてーにさ。 死なないように世話してやってもよかったけどな! |
ベルガー | ん? でもお前は俺の持ち主だから撃たなくていーし……。 飼ってもいいってことかぁ? |
主人公 | 【ええっ……!】 【飼われるのはちょっと……!】 |
ベルガー | あっひゃっひゃっひゃ! 考えといてやるよ!! |
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