マスターと貴銃士、その在り方。銃と共に生きる限り、安寧の運命はきっとない。
けれど、前を向いて歩み続けよう。
暗い夜を裂いて、空に輝く陽が昇るように──終わらぬ絶望はないのだから。
どんな未来が待っていても、君となら立ち向かえる。絶対に。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
1年間世話になったな。
まぁこれからも、なんとなく頑張ろうぜ。
貴銃士の勇敢さを称える記念行事、
ブレイブ・マスケッターズ・デー。
その一環として開催された食事会に、
〇〇は貴銃士たちとともに参加していた。
八九 | …………。 |
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〇〇は、会場の端で居心地悪そうにしている
八九を見つけて近寄る。
主人公 | 【八九?】 【元気?】 |
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八九 | うおっ!? |
八九 | な、なんだ、〇〇か。 〇〇ね、はいはい……。 |
主人公 | 【どうかした……?】 【大丈夫……?】 |
八九 | いや……別に平気だ。 交流面談だって、へ、平気だもんね……へへっ! |
──説明しよう!!
俺ら貴銃士とマスターに課せられた、
たぶん大多数の貴銃士にとっちゃあご褒美イベントな「交流面談」
しかし!!
突然、誰かと2人きりで長時間過ごせというイベントは、
陰キャにはだいぶ酷なのである!!
仕事や任務、授業とかならいい!
それか誰かに頼まれてついていくのも、まだ許容範囲!
だが、しかし!
急に2人きりで『君の好きなことしていいよ♪』とか
言われても逆に困るのである!!
──数日後。
八九 | はぁぁぁぁっ!? |
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八九 | (何!? なんでみんな〇〇との 交流面談の予定決まってんだ!?) |
八九 | (んな、「2人でやりたいこと♥」なんて、 すぐに思いつくわけねーだろ……) |
八九 | (気になって話ちらっと聞いてみたけどよ…… 店の予約とかばっちり終わらせて、 デートプランみてぇに細かく予定立ててるヤツもいるし……) |
八九 | マジかよ……。 |
八九 | うわぁ、陽キャの集団こえぇ……。 同じ貴銃士でも、俺には無理、絶対に無理……! 誰か決めてくれぇぇぇぇ!! |
──ジリリリリリ!
八九 | あ……もうこんな時間か……。 |
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八九 | おう、もしもし。 |
八九のゲーム仲間 | 『豊田(ほうだ)氏~おはようございます。 定期連絡の時間ですぞ~。 今日は何やります? RTAとかどうです~?』 |
八九 | あー……悪ィ、今日ゲームやってる時間ねぇかも。 |
八九のゲーム仲間 | 『……は? バカ高い国際電話代を払ってでも 豊田氏と遊びたいという小生の気持ちを無下にすると??』 |
八九のゲーム仲間 | 『ふ~~ん……、傷ついちゃいますなぁ~』 |
八九 | いや、マジでほんと悪ィ!! ただ、ちょっと緊急事態で……! |
八九のゲーム仲間 | 『ほう? どうされたのですかな? 小生でよければ相談に乗りますぞ~』 |
八九 | おお、マジか! 心の友よ……! |
八九 | 実は……えーっと、友達、じゃねぇ。 知り合い、よりもっと上か……? あー、もうめんどくせぇ、上官でいいや。 |
八九 | とにかく、結構重要な相手と、 プライベートで出かけることになったんだけどよ…… どこに行くか何するか、好きにしていいって言われて困ってる。 |
八九のゲーム仲間 | 『……はいぃ? なんですそのラノベ展開!! 豊田氏の裏切り者!! デートプランに悩むとか、リア充の仲間入りでは!?』 |
八九 | いやいやいや、デートじゃねぇし! あくまで交流を深めるっつー名目でだな……! |
八九のゲーム仲間 | 『はー……まあ、そういうことにしておきますかな~。 豊田氏が自分で決められないなら、 安価でもやってみればどうです?』 |
八九 | あんか……? |
八九のゲーム仲間 | 『いい案が思いつかない時や、自分で決めきれない時に、 掲示板にスレ立てをするのです~』 |
八九のゲーム仲間 | 『そして、アイディアを募るんですな。 たとえば“デートで着る服”“安価100”と豊田氏が指定する。 スレ民がダーッと書き込んで、100だった案を採用する!』 |
八九のゲーム仲間 | 『……とまあ、こんな感じですな。 ただし、どんな無茶振りが来ても絶対実行! これが安価の鉄のルールですぞ』 |
八九 | うお……マジか。 ふざけて変な案ばっか来そうだな。 |
八九のゲーム仲間 | 『いやいや! それが案外、スレ民のファインプレーがあったりして。 安価のミラクルを甘く見てはいけませぬ……』 |
八九 | へぇ……。 このまま考えてても埒あかねぇし、集合知に頼るしか……! |
八九のゲーム仲間 | 『おおっ、でしたら小生が代理スレ立てしましょうか? そちらではまだそこまで個人で回線が引けないとか。 日本のガラパゴス回線でよければですが、やりますぞ~』 |
八九 | よし……頼む! 最高のプランを教えてくれ……!! |
──こうして俺は、交流面談についての安価を始めたのだった。
八九 | マジ? これ本気でやんの……? いやまあ、だいぶマシなのか……? |
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八九 | けど……マジ? |
──交流面談当日。
【上官に最初にする挨拶 >>9】
【9 敬礼しながら自分の名前を連呼】
主人公 | 【お待たせ】 【八九、おはよう】 |
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八九 | 本日、〇〇殿をエスコートさせていただきます! 八九であります! 八九、八九です。よろしくお願いします! |
主人公 | 【……?】 →八九「(うわ……これ、ドン引きしてねぇか? いや、安価は絶対だ! やり切るしかねぇ!)」 【うん、よろしく】 →八九「(物怖じしてねぇ……!? さ、さすがは数多の修羅場をくぐり抜けてきた 〇〇だぜ……)」 |
八九 | (ええと、次の安価は確か……公園で……) |
八九 | 〇〇、スワンボードに乗るぞ。 ……っく、『俺の脚力のすごさを披露してやんよ!!』 |
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八九 | つ、次は……このカフェだな……。 『ヘイ、マスター! 華麗な俺のツレに世界で1番美味いコーヒーを頼む』 |
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──その後も、八九は安価による指示を実践し、
いつの間にか交流面談の終了時間となっていた。
八九 | ……はぁ……。 |
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八九 | (〇〇、なんか微妙な顔してるよな……。 あー、思い当たりがありすぎる。 くそっ、安価なんて安易にするんじゃなかったぜ……) |
主人公 | 【今日はありがとう】 【すごく楽しかった】 |
八九 | お……。 |
主人公 | 【いろいろ驚いたけれど楽しかった】 【八九の新しい側面が見れてよかった】 |
八九 | そ、そうか……? そう言われると無理したかいがあるっつーか……。 |
主人公 | 【無理しなくていいのに】 |
八九 | け、けど……無理しねープランだと、 1日中ゲームとかしか思いつかねーし、 〇〇を付き合わせるわけにも……。 |
主人公 | 【それもいい】 【今度はそうしよう】 |
八九 | ……え? |
主人公 | 【八九が本当に楽しいことをしたい】 【八九と気楽に過ごしたい】 |
八九 | あー……。 じゃ、じゃあ……今度、俺の部屋にゲームでもやりにくるか? |
八九 | 大したもてなしはできねぇけど…… 茶と味噌ラーメンくらいなら準備してやるぜ。 |
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