マスターと貴銃士、その在り方。銃と共に生きる限り、安寧の運命はきっとない。
けれど、前を向いて歩み続けよう。
暗い夜を裂いて、空に輝く陽が昇るように──終わらぬ絶望はないのだから。
どんな未来が待っていても、君となら立ち向かえる。絶対に。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
未だ己の未熟さを痛感することばかりだ。
あなたの日々の真摯な力添えに
深く感謝を申し上げる。
貴銃士の勇敢さを称える記念行事、
ブレイブ・マスケッターズ・デー。
その一環として開催された食事会に、
〇〇は貴銃士たちとともに参加していた。
ドライゼ | 今日は、俺たち貴銃士を称える記念行事らしいが…… その功績は、マスターであるあなたあってこそだ。 |
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ドライゼ | 改めて礼を言う。今回の事態の収束も、 あなたの強い意志がなければ成らなかっただろう。 |
主人公 | 【ありがとう】 【自分もみんなに支えられた】 |
ドライゼ | …………。 |
ドライゼ | 今度は交流面談だな。 あなたと時間を過ごせることを楽しみにしている。 |
──交流面談当日。
ドライゼと〇〇は、
寮の部屋で、互いに見つめ合っていた。
ドライゼ | ……いくぞ。 |
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主人公 | 【ど、どうぞ】 【お願いします】 |
ドライゼの手が、〇〇へと伸ばされる。
少しずつ距離が近づき、手と手が触れ合いそうになるが……。
ドライゼ | ……くっ。 |
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ドライゼ | …………。 |
ドライゼは手を引き、腿の上で固く拳を握りしめた。
ドライゼ | ……俺から言い出したのに、申し訳ない……。 やはり無理のようだ……。 |
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主人公 | 【少しずつ慣れればいい】 【大丈夫、無理しないで】 |
ドライゼ | ……あなたが俺のマスターになるまでの過程や、 それから過ごした時間の中で、俺は多少は変わっただろう。 今の俺ならば、握手も可能かと思ったのだが……。 |
ドライゼ | ……あと少し、というところで、身体が強張ってしまう……。 |
主人公 | 【何が原因か、心当たりは?】 【握手のどのあたりが苦手の要因なんだろう】 |
ドライゼ | そうだな……。 闇雲に触れようと試みるだけでは、進歩はなさそうだ。 |
ドライゼ | あなたの言う通り、なぜ握手ができないのか、 俺は何を恐れ、苦手に感じているのか、 一度冷静に分析してみるのは有意義かもしれない。 |
ドライゼ | よし……。 まずは、触れる前の感覚、心境についてだ。 |
ドライゼ | マスターにもうすぐ手が触れるという時…… 俺は、ぬくもりが指先に伝わることをイメージした。 |
ドライゼ | 俺の指先にあなたの温度が伝わって……。 …………。 |
ドライゼ | それを──この手で、滅茶苦茶に壊すイメージが浮かぶ。 |
主人公 | 【……!?】 【それは……】 |
ドライゼ | ……すまない。 怖がらせたいわけでも、脅したいわけでもないのだが…… 率直に分析して言語化すると、こうなってしまう。 |
ドライゼ | 俺が触れると……あたたかかったあなたが血を流し、 冷たくなっていく姿が浮かんで……。 |
ドライゼ | 本当にそうなってしまうのではないか、 俺の中にそんな願望があるのではないか── そんな恐怖が、この手を止める。 |
ドライゼ | 触れようとするたびに、あの笑い声が頭の中に響くんだ……。 |
青年 | ははっ、ひゃはははははは……! |
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ドライゼ | …………。 |
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ドライゼ | ……すまない。 分析が大事とはいえ、あなたの前で口にすべきことではなかった。 |
ドライゼ | 俺は……彼とは違う。 決して獣になったりはしない。 |
ドライゼ | そう心に決めているし、 獣になることへの恐れが、一度は俺を助けてもくれた。 |
ドライゼ | それでも、彼と同じような衝動が この身のどこかに潜んでいるのではないかと思うと……。 |
ドライゼ | …………。 だが、信じてほしい。 俺は決して、あなたを傷つけたりしない。 |
主人公 | 【わかってる】 【ドライゼを信じている】 |
ドライゼ | ……マスター。 |
ドライゼは、〇〇の前に恭しく片膝をつく。
ドライゼ | ……あなたの信頼に、心から感謝と敬意を。 |
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ドライゼ | 俺は……うっと、心に獣を飼っていると思っていた。 かつての持ち主だった男のように……。 |
ドライゼ | この恐れは根深く、この先も消えないだろう。 だが、これがある限り、俺は俺でいられる。 |
ドライゼ | 以前俺は、そう結論づけたな。 もちろん、今もこの考えは変わらない。 だが……それだけではないとも思っている。 |
ドライゼ | 恐怖以外に、俺を繋ぎ止めてくれる枷ができた。 |
ドライゼ | それは……「あなたの信頼を裏切りたくない」という思いだ。 これが枷となって、俺を貴銃士のままでいさせてくれる。 |
主人公 | 【ドライゼは絶対に大丈夫】 →ドライゼ「……ありがとう、マスター。 あなたに信頼されるごとに、枷もより強くなる。 ああ……もちろん、俺にとってはありがたいことだ。」 【そう思ってくれてありがとう】 →ドライゼ「伝えてしまうと重荷になるかと思ったが……。 あなたは受け止めてくれるのだな。」 |
ドライゼ | 俺は、完璧な貴銃士ではない。 あなたに触れるにも、まだ時間は長くかかるかもしれない。 心のどこかに獣が眠っているかもしれない。 |
ドライゼ | だが……あなたがマスターである限り、大丈夫だとも思える。 どうかこの先も、この俺を飼い慣らしてくれ、マスター。 |
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