【聖夜の貴公子】グラース

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解説

カード解説

メリークリスマス!
クリスマスの苦い思い出を塗り替えるべく、まさかの陽キャと陰キャが手を組んだ。
彼の視線と美声は舞台上から降り注ぎ、歓声とともに、老若男女が酔いしれる。

心銃解説:Chants de Noël♪

役を被って愛を撒くお仕事? 慣れたものさ、余裕余裕!
僕ってば、アイドル天職じゃね?
……え? スキャンダル禁止?
じゃあ無理だわ。解散解散。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. 去年のクリスマス

ーー昨年のクリスマス。
グラースはフランスでのクリスマスパーティーに参加していた。

シャスポー?やぁ、マドモアゼル。久しぶりだね。
貴族の女性1きゃあ! シャスポー様よ!
貴族の女性2シャスポー様がいらっしゃったわ!
相変わらずハンサムですてき……!
シャスポー?さぁ、今日は楽しい宴を……って、あいつ!

シャスポーに扮したグラースは女性たちから離れて、
会場の隅にいたタバティエールに駆け寄る。

グラースお前、なんでここにいるんだよ!
タバティエール今日はお目付け役さ。
その格好で好き勝手されちゃ困るからな。
タバティエールレザール家に帰ると伝えてある。
門限は22時までだぞ。いいな。
グラースふざけるな!
僕は朝まで帰らないぞ!
タバティエール……まっ、そうなるよな。
何も起きないといいんだが。

──その後。
再び会場に舞い戻ったグラースは、
ワインを片手に女性たちと談笑していた。

グラースああ……いい香りだ。
ブルゴーニュワインの中でも、
やっぱりコート・ド・ボーヌ産は特別さ。
貴族の女性1さすがはシャスポー様!
違いがよくわかっていらっしゃるのね。
貴族の女性2知的でいて、気品もあって……!
グラースははっ。
フランスの貴銃士ならこのくらい、当然の知識じゃないか。
貴族の女性3いえ、その気品はシャスポー様だからこそですわ!
現代銃とは、やはり格が違いますもの。
グラース……うん、その通りさ。
貴族の女性1そういえば、風の噂でお聞きしたんですけれど。
貴族の女性2現代銃のグラース……様が、
シャスポー様に成り代わっていたんですって。
貴族の女性3まぁ、怖いですわ!
貴族の女性1現代銃は古銃にはなれないのに、
何を考えていらっしゃるのかしら?
グラースはっ、はは……わからないなぁ。
グラース…………。
貴族の女性2シャスポー様?
どうかされましたか?
グラースああ……ごめんね。急用を思い出してね。
君たちは、最後までパーティーを楽しんで。
貴族の女性3ええっ?
もうお帰りになってしまうの?
貴族の女性1名残惜しいですわ……。

別れを惜しむ参加者たちに笑顔で手を振りながら、
グラースはタバティエールの元へと戻っていった。

グラースおい、帰るぞ。
タバティエールえっ……?
まだ20時だぞ?
グラースもういいんだ!
行くぞ!

タバティエールグラース、パーティーで何かあったのか……?
グラース…………。
グラース(こんなことなら、来なければよかった……)

タバティエールの問いには答えず、
グラースは賑やかな街頭を無言で通り過ぎて行った。

Ep2. 愛しの恋人?

──時は流れ、今年のクリスマスの少し前。

グラース去年は散々だったからな……。
今年はイギリスでクリスマスを満喫してやる!
グラース当日は2時間毎にデートの約束を入れれば……
1日で6人はいけるな。
グラースよし、そうと決まれば手紙を出そう♪

グラース「愛しのマルグリット。クリスマスイブを君と過ごしたい」
グラース「砂糖菓子のような甘いときめきを共に……
12時に中央広場で待っているよ」
グラース「愛しのジュリエッタ。クリスマスイブを君と過ごしたい」
グラース「砂糖菓子のような甘いときめきを共に……
14時に時計台で待っているよ」
グラース「愛しのエルザ。クリスマスイブを君と過ごしたい」
グラース「砂糖菓子のような甘いときめきを共に……
16時に百貨店前で待っているよ」
グラース……これでよし、と。
後は当日の準備をするだけだ。

時間と場所を変えた同じ内容の手紙を6通書き終え、
グラースは意気揚々とそれらをポストに投函したのだった。


──翌日。

タバティエールそういや、グラース。
今年のクリスマスはどうするんだ?
グラースデート三昧だ。
シャスポーまさか……また僕に変装するつもりじゃないだろうな?
グラースここはイギリスだぞ? そんな必要ないだろ。
もちろん僕のままさ。
シャスポーそれならいいが。
僕の弟として、変なことするなよ。
グラースはい、お兄様♥
タバティエールえ……?
お前、今日は素直すぎないか?
シャスポーまあいい。
タバティエール、クリスマスマーケットの準備を始めるぞ。
タバティエールあ、ああ……。
グラース(ふっ……シャスポーも、まさか1日で6人と
デートするとは思ってないようだな)
グラース(ていうか、1日に6人もデートできるなんて、
世界で僕だけじゃないか?)
グラース(ますます楽しみになってきたな!)
グラースさて、プレゼントでも買いに行くとするか。
愛しの小鳥ちゃんたちのために。

グラースの足取りは軽く、プレゼントを買いに街へと姿を消した。

Ep3. アイドルと風紀委員

──貴銃士たちによるクリスマスライブが大成功に終わった、
その数日後。

八九ん……? 今日、なんか騒がしいな……。
八九……あれ、なんだ?
校門の前に、女子が何人も集まって……。
ローレンツその問いに答えよう。Mr.八九。
八九うぉっ!?
いきなり出てくるからビビったぜ……。
ローレンツ著名人が活動を終え出てくる瞬間を、ファンたちが狙う。
あれはまさしく「出待ち」だ。
八九出待ちィ? 士官学校で?
グラース君たち、道を開けてくれるかい?
グラース愛しの小鳥ちゃんたちが、校門で待ってくれているからね。
街の女性たちきゃああああああ!
グラース様~~~~!!
八九は……?

校門の前で大勢の女性に囲まれるグラースを、
八九が呆然と見つめる。

グラースやぁ、僕のかわいい小鳥ちゃんたち!
女性1さ、サインしてください!
女性2握手だけでいいので……お願いします!
グラースもちろん大歓迎さ。
サインも握手もしてあげるから、押さないで。
グラース君たち1人1人と出会えたことが、聖夜に起きた奇跡だね。
女性3と、尊すぎる……!
八九って、おい!
あいつがウインクした瞬間、何人かの女が倒れたぞ!
ローレンツ実に興味深い現象だ。
Mr.グラースのファンサービスと女性たちの化学反応は──
八九早く保健室の先生呼べって!
女性4こ、今度私とデートしていただけませんか!?
グラースOui!
じゃあ、君とは明日の15時から展望台のカフェテラスで
お茶をしよう。
女性5わ、私もお願いします!
グラースそんなに慌てなくても大丈夫だよ。
じゃあ君は、明後日の12時から橋の上のカフェで──
八九うわ、寄って来るファン全員とデートの約束してる……。
あいつ、全然反省してねーな。怖ェ……。
ローレンツこれは驚いたな……。
彼はモルモット1号を超える危険人物のようだ……!
グラースさぁ、次はどんな可愛い小鳥ちゃんかな?
ドライゼそこまでだ!
シャスポー……こんなことだろうと思ったよ。
グラースうわっ……!?
ドライゼと……シャスポー!?
ドライゼグラース。
貴様の士官学校における不純異性交遊の度合いは目に余る。
シャスポー君、何人とデートする気だい!?
士官学校の黒歴史を作るつもりか?
グラース誤解だ!
これはファンサービスの一環で……!
八九いや、本物のアイドルはファン全員とデートしねーだろ。
ドライゼ士官学校の風紀委員及び美化委員として命ずる。
今後3ヶ月は異性との交遊禁止だ!
シャスポー名づけて、デート禁止令だ。
破ったら、ただじゃおかないからな。
グラースで、デート禁止だと……!?
グラースくっ、なんて日なんだ……!!
くそーっ!!

校門の前で、グラースの悲鳴が響き渡ったのだった。

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