【黒獣の矜持】ドライゼ

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解説

カード解説

連合軍ドイツ支部特別司令官と、その補佐。
共に世界に喚ばれた時から無二の関係で、その心を疑ったこともなかった。
それを初めて疑った。……きっと必要な事だった。
獣と銃が、真に戦場で並び立つために。

心銃解説:鉄環の轍、黒獣咆哮

まだ、血も、人の体温も苦手だ。けれど、少しずつでも進んでいきたい。
恐怖や義務感故ではなく、共に歩もうと選んでくれた者達に胸を張れる自分であるために。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. 獣はどちらか

〇〇がドライゼとエルメのマスターになる以前──
ある内紛地帯の前線で、3人の貴銃士たちが軍務についていた。

ジーグブルート絶対非道──心銃!
親世界帝派武装兵1ぐぅっ……!
親世界帝派武装兵2と、投降だ! 投降する!!

武装兵数人が手を挙げて、ゆっくりと物陰から出てくる。

ドライゼ攻撃やめ! 投降者を受け入れろ!
ジーグブルートああ? こっちを油断させて自爆でもする気かもしれねぇぞ。
この前あったろ。
こいつらもさっさとやっちまえ。
ドライゼおい! やめろ!
正規兵ではないとはいえ──
ジーグブルート絶対非道ォ!!
ドライゼジーグブルート!!

ドライゼの静止を無視して、
ジーグブルートは親世界帝派組織の武装兵を無力化していく。

ジーグブルートははっ、全員ぶっ倒してやったぜ! 完全制覇だ!
ドライゼ貴様……ッ!
ジーグブルートてめぇ……何しやがるっ!
ドライゼ投降の意思を示していた者たちを一方的に攻撃するなど、
あってはならないことだ!
貴様は殺戮を楽しんでいる……獣と同じだ!
ジーグブルート……ハッ!
てめぇにだけは言われたくねぇな。ご立派な獣サマがよ。
ドライゼ……なんだと?
ジーグブルート自覚がねぇのか?
……俺を殴ってる時のてめぇは、野獣そのものだろうが。
ドライゼ……!

再び拳を振り上げようとしたドライゼだが、
ハッとして、強く握りしめた拳をゆっくりと下ろした。

ジーグブルートほら、その目だ!
今も殺る気満々だったろ!
ジーグブルートついでにもう1つ、いいこと教えてやるよ。
……てめぇ、俺を殴りながら笑ってるぜ。
ドライゼ……!!!
エルメこら、ジグ。いい加減にしなさい。
ジーグブルートああ? なんだよ。
エルメドライゼ、来てくれるかな。
兵からの報告があるみたいだよ。
ドライゼ……ああ。
エルメ……ジグ。上官の命令無視は重大な軍規違反だよ。
あとでお仕置きだからね。

Ep2. 深夜の空腹

ドイツ料理店で一騒動があったあと、
ドライゼは寮の部屋で物思いにふけっていた。

──ぐぅぅぅ……。

ドライゼ(……! そういえば、今日はろくに食事を口にしていいないな)
ドライゼ(まあいい……寝るか)

…………ぐぅぅ。

ドライゼ(くっ……腹が減って眠れん……!)
ドライゼ(どういえば……
エルメは、鉄の日にはほとんど食事をとらないな)
ドライゼ(あいつはよく飲まず食わずでいられるものだ。
俺にはこんな生活は無理だ……)
ドライゼはぁ……何か食べるものは……。

部屋の中を探してみるが何も見つからず、
ドライゼは重い足を引きずるようにして部屋を出た。


ドライゼ(む……? 中からいい匂いがする)
ドライゼ誰か、いるのか……?
タバティエールお、ドライゼか。
ちょうどよかったぜ。
ドライゼタバティエール……こんな時間に何を?
タバティエール見ての通り……ほら、ジャーマンポテトだ。
ちょうどこれから差し入れしようと思ってたんだが、
来てくれたおかげで手間が省けたよ。
ドライゼ……! ということは、俺に……?
タバティエールああ。腹を空かせてるんじゃないかと思ってな。
ほらよ、Bon Appetit!
ドライゼ礼を言う……!

美味しそうな匂いを前に我慢ができず、
ドライゼはジャーマンポテトを勢いよく食べ始めた。

ドライゼうまい……! 生き返る……!!
タバティエールもうなくなっちまったのか!?

──ぐぅぅ……。

ドライゼくっ! 沈まれ俺の腹!
食べたばかりだというのに……!
タバティエールははっ、これだけじゃ足りなかったみたいだな。
カレーも食べるか?
ドライゼいいのか……!?

ドライゼはカレーもぺろりと平らげた。

ドライゼ……うまい! その……おかわりをもらえるだろうか……!
タバティエールおう、まだまだあるからいっぱい食べな。

ドライゼタバティエール……恩に着る。
タバティエールははっ、そんなにかしこまらなくても。
それに、俺としてもいろいろ気になってたもんで、
こうやって話せてよかったよ。
ドライゼ…………。
エルメは、君に何か言っていたか?
タバティエールいや……。
タバティエール子羊のハートフランベ作戦で
またどうにかならないかと思ったんだが……
いくら呼んでも返事すらなかった。
ドライゼ……そうか……。
タバティエールドライゼが呼びかけてみたらどうなんだ?
俺よりずっと望みがあると思うんだが。
ドライゼ……俺は、まだあいつを呼べない。
俺自身も、まだ整理がついていないのだ……。
ドライゼ悪いが……もう少し頭を冷やしてみる。
タバティエールそうか……わかった。

タバティエールはそれ以上何も言わず、
去っていくドライゼの背中を見送ったのだった。

Ep3. 鍛錬の証

ドライゼとエルメが復活してしばらく経ったある日。
2人はグラウンドで自主トレーニングを行っていた。

ドライゼスペシャルマッスルメニュー、その79!
エルメ、まだいけるな?
エルメKeine Kompromiss……もちろんだよ。
妥協せずにいこう。
ミカエルおや、あれは……。
カトラリーミカエル?
ちょっと……どこ行くの?
エルメ……?
君たちは、確か……。
ミカエル…………。

ミカエルは無言で2人に近づき──
突然、ドライゼの手を掴んだ。

ミカエルねぇ、きみ──
ドライゼ……や、やめろっ……!
ミカエルわっ……。

驚いたドライゼに突き放され、
ミカエルはよろめき、倒れそうになった。

カトラリーうわあっ!? ミカエル、大丈夫!?
ミカエル…………。
ああ……大丈夫だよ。
カトラリーちょっと! ミカエルになんてことするの!?
天使に乱暴するなんて信じられないよ!!
ドライゼも、申し訳ない!!
カトラリーこんな野蛮な奴は放っといて、もう行こう!
ミカエルノン……彼の手が気になるんだ。
ドライゼ手……?
カトラリーああっ、もう!
ミカエルは、あんたの手が気になるって言ってるんだよ!
カトラリー早く見せなよ、ほら!
エルメ忙しないね、君。
カトラリーうるさいな……! いいから見せて!
ドライゼあ、ああ……。

カトラリーの催促を受けて、
ドライゼはミカエルの前で両手を広げてみせた。

ミカエル血豆と傷痕がたくさん……思った通りだ。
ミカエルきみ、それでは美しいピアノ演奏ができないよ。
ドライゼ……ピアノ……?
ドライゼ(なぜ今、ピアノなのだ?)
ミカエル手を大事におし。
カトラリーちょっ、ミカエル!? もういいの……!?
カトラリーえ、えーっと、わかった? 手を大事にしろって。
ミカエルが心配してくれたんだからね!
ドライゼ…………。

ドライゼは、固くゴツゴツとした自分の手を眺める。

ドライゼ……俺の手では、綺麗な音を奏でるに値しないか。
エルメドライゼの手、俺はいいと思うけどね。
鍛錬を重ねた者の証が刻まれてて。
ドライゼ……そうか。
エルメそうだよ。
ドライゼエルメ……改めて言っておく。
お前に感謝している。
エルメ……ふふっ。さ、トレーニングを続けようか。

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