解説

カード解説

胸の奥に、血に飢えた獣がいる。その影を、恐れ怯える自分がいる。
哀れな恥ずべき本心を、鉄の意志で、ただ無心に塗りつぶした。
それだけのこと──と男は言った。けれど、確かにこれは、彼だけが至った領域だ。

心銃解説:自戒と衝動の咆哮

殺せ。獣が私に囁く。──違う、私だ。
肉を裂き血を啜り、殺戮の衝動に溺れたいのは、私だ。
……血の衝動を鉄の意志で封じ、獣は独り、金色の月に吠える。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 予期せぬ援護

ある日の授業中──。

教官次、10m後進。
準備ができた者から射撃を開始しよう!
ドライゼ……なんとか当たったか。
シャスポーフン、これくらい当たって当然さ。
それはそうと……
なんで君と隣り合わせで、演習なんてしなきゃいけないんだ?
シャスポー銃を構えるたびに視界に入ってきて、
実に目ざわりだよ。
ドライゼおい。演習中に無駄口を叩くな。
次も10m後進だ。
シャスポー言われなくてもわかってる。

10m後ろに下がり、ドライゼは再び銃を構える。
しかし──

ドライゼ………っ!
シャスポーははっ! なんだい、今のは?
的にかすりもしなかったじゃないか。

弾は的を外し、背後のバックストップにめり込んだ。

シャスポー仕方ないな。僕がお手本を見せてあげよう。
ドライゼ……命中だな。
シャスポー言っただろ、これくらい当然だって。
ほら、また10m下がれだとさ。
ドライゼ……くっ!
シャスポーこの距離でも的まで届かないなんてね。
ま、旧式のドライゼ銃の射程距離はそんなものか。
ドライゼ…………。

ジーグブルート……お。
ドライゼ貴様……また授業をサボっただろう。
時間を浪費するな。
俺たちは常に研鑽を重ねるべきだ。
ドライゼ今回の訓練は、
自身の射程距離を再確認する重要なもので──。
ジーグブルート俺がその訓練とやらに出ようと出まいと、
てめぇに関係あるか? ねぇよな。
ドライゼいや。お前の自堕落さは、
全体の士気の低下につながる可能性がある。
それに──。
シャスポーおや、まだここにいたのかい?
もしかして……居残り練習でもするつもり?
僕に負けて、相当悔しかったのかな。
ジーグブルートは……?
シャスポーああ、ジーグブルート。君もいたのか。
さっきの訓練でね、
僕とドライゼの性能の差を改めて実感したのさ。
シャスポードライゼ銃の射程距離といったら、
僕の半分もないんだ。
ドライゼ確かにそうだな。
知ってはいたが、今日改めて目の当たりにした。
シャスポーああ、実に愉快だったよ。
これで身の程をわきまえられたなら、何よりだね。
シャスポー君と僕とじゃ性能が違いすぎるんだから、
肩を並べて授業だなんて、土台無理な話だよね。
シャスポーそもそも、野蛮で無骨……優雅さのかけらもない輩と
同じ空間に長時間いること自体、我慢ならない。
クラスを別にしてもらおうかな。
ドライゼ黙って聞いていれば、貴様──
ジーグブルートおい、フランス銃。
優雅さっつーのは、戦場で必要なのか? あ?
ドライゼ……っ、ジーグブルート?
ジーグブルートドライゼ銃は、銃身後端の閉鎖が堅牢にできてない。
だから、高い腔圧には耐えられない。
ジーグブルートそれで使用できる黒色火薬の量が
少なく設定されてっから、
射程距離も短くなっちまうんだよ。
ジーグブルートだがな、雷管の固定がしっかりしてる。
てめえのほうが不発は多いって話だぜ。
ドライゼのパクリ銃さん。
シャスポーッ! なんだと!?
ドライゼおい、ジーグブルート。
なぜお前が反論する?
ジーグブルートフン。てめぇのザコ射程が原因で、
俺みたいな優秀なドイツ銃までまとめてこき下ろされるのは
我慢ならねーからな。
シャスポー貴様! もう一回言ってみろ!
誰が誰のパクリだって!?
ジーグブルートチッ。めんどくせぇ……。
シャスポーおい待てこの野郎!!
ドライゼ……?
俺の性能について、ああも詳細に把握しているとは……。
わからん奴だ。

Ep2. マッチ消しのドライゼ

ジョージHey、マークス!
マークス…………。
ジョージん? 勉強してんのか。
おまえってマジメだよなぁ。
マークス本を読んでるだけだけどな。
ジョージそれでもマジメだって!
オレも、たまにはキョーカショでも見よっかな~。
ジョージそれより、ここ寒くねーか?
なぁ、なんか燃やせるものない?
マークス薪でも取りに行けばいいだろ。
ジョージお、そうしよ!
適当にどっかから薪もらってきて、
でっかいキャンプファイヤーみたいなのしようぜ!
マークスキャンプファイヤーか。
それならすぐに暖まりそうだな。
ドライゼ何をバカなことを……。
部屋でキャンプファイヤーなんぞしたら火事になる。
暖炉を使え、暖炉を。
ジョージあっ、確かに!
すぐそこにあるし!
ドライゼどいていろ。今、火をつけてやる。

ドライゼは胸ポケットからマッチを取り出すと、
手慣れた様子で暖炉の火をつけた。

マークスお、火が付いた。
ジョージおおー!
Thanks!
ドライゼいや、大したことはしていない。
ジョージ&マークス……!?
ジョージマ、マッチの火を……えええっ!?
マークス今……あんた、火を指で消したのか!?
ドライゼ……? だからなんだ?
ジョージすっげーよ!
簡単にできるもんなのか!?
マークスそんなにあっさりできるってことは……
マッチの火って、そこまで熱くないのか?
ドライゼいや、それは……。
ジョージマークス、オレたちもやってみよう!
マッチ借りるぜ!
いくぞー……。
ジョージあっちいいいいいいいっ!
マークスおい、何やってんだ……。
たぶんもうちょっと素早くすれば──って、
あっっっっっつ!
ドライゼだからお前たちは、なぜそんな無鉄砲に……。
ほら、すぐに冷やせ。
やけどは素早い対処が重要だ。

ドライゼ──よし、これでいいだろう。
念のため2、3日後にも経過を見せろ。
ジョージおお、痛みがちょっと引いた……。
Thank you!
マークスやけどの処置、慣れてるんだな。
ドライゼああ。ドライゼ銃にはやけどが付き物だからな。
構造的に、ガス漏れが発生しやすいんだ。
ドライゼ紙製薬莢に使用されていた黒色火薬と
雷管に使われる起爆剤の燃焼ガスは、
共に腐食性が高い。
ドライゼそれゆえに手入れを怠れば、
銃身とボルトの嵌合(かんごう)部がすぐに腐食してしまい、
ガスが漏れてやけどの原因になる。
マークスふーん。
それで、やけどの処置も火の扱いも
お手の物ってわけか。
ジョージなるほどな~。
指で火を消すの、かっこいいから
オレもできるようになりたい!
ドライゼふむ……ならばコツを教えよう。
今まで意識していなかった分、
上手くできるかはわからないが。
ジョージReally!?
オレ、がんばってみるよ!
マークス俺はもうやめておく……。
第一、そんなことできたって、なんの役にも立たないし。
ジョージ役に立たなくたっていいんだよ!
とにかく、かっこいいんだから!
じゃ、指導頼んだぜ!

ジョージはぁ、はぁ……。
こ、これで何回目……?
ううっ……!
ドライゼ消す速度が重要だ! ……いや、遅い!
もっと素早く、躊躇せずにいけ!
もう一回やってみろ!
ジョージひぃぃっ! もうオレ、やだ!
助けて~! 〇〇~!
マークス……思い付きで行動すると、
ろくなことにならないな。

 

Ep3. 彼のトラウマ克服術

ジョージよーし、掃除おーわりっと!
グラースはぁ……お前が水をまき散らしたせいで、
無駄に時間が掛かっちまっただろうが。
僕の時間を無駄にするんじゃねぇよ。
ジョージでも楽しかっただろ~?
……ん?
ローレンツ──塵一つない廊下は陽光を受けて輝き、
まるで未来を照らしているかのようであった。
青年はその美しさに感嘆した。
ドライゼ実に素晴らしい出来だ。
窓拭き用洗剤の必要性について、エルメとの議論が
白熱したが、彼の言うことは正しかった。
ドライゼ一度拭きでも澄み渡るこの透明感。
専用洗剤だからこその出来栄えだろう……。
そして、廊下の方も完璧だ。ローレン──
ローレンツヒッ! と、当然であろうと青年は頷いた。
そして、名前を呼ばれては気が遠くなりそうなので、
やめるようにと切実に心の中で祈るのであった──。
ドライゼそ、そうか。すまない。
ローレンツや、やめてくれ!
グラース……あいつら、何やってんだ?
背中合わせに話してるぜ。演劇か?
ジョージ独り言なのか会話してんのかよくわかんねぇなぁ。
話すなら、ちゃんと相手の目を見ればいいのに!
カールはっはっは。
それは、ローレンツにはあまりにも酷だ。
カールしかし、なるほどねー。
彼はああいう打開策を見出したというわけか。
グラースん? どういうことだ?

~1週間前~

ドライゼ……ローレンツ。少しいいか。
ローレンツビョッ!
ドライゼビョ……?
先日の授業の件で、恭遠教官が──。
ローレンツ…………。
ドライゼおい、ローレンツ?
ローレンツ、しっかりしろ!
ローレンツん……、俺は、一体……?
ドライゼああ、よかった。気が付いた──
ローレンツギャヒッ!!
ドライゼローレンツ──!!!
ドライゼな、なんなんだ、今の鳴き声のようなものは。
何か重大な病か!?
だ、誰か! 助けてくれ!
カール……おや?
エルメドライゼ、ローレンツはどうしたんだい?
廊下の真ん中で寝るなんて、優等生の彼らしくもない。
ドライゼそ、それが……いきなり倒れて、
一瞬意識を取り戻したんだがまた気絶したんだ。
エルメどこか具合が悪いのかな?
とりあえず、ベッドに運ぼうか。
ドライゼああ……!

ローレンツん……あれ、ここは……?
俺は、何か恐ろしい夢を見ていたような……。
カールお、ようやくお目覚めだねー。
やれやれ、このまま夜まで眠る気かと思ったよ。
ローレンツカール様……一体何があったんでしょうか?
昼頃からの記憶がないのですが……。
カール君は廊下でいきなり倒れたんだ。
校医の見立てでは特に異常はないそうだが……
どこかに違和感や痛みは?
ローレンツい、いえ、特には……。
ドライゼ……失礼する。
ドライゼおお、ローレンツ、気が付いたのか。
ローレンツピギャッ!
エルメあれ。彼、また気絶したの?
カールなるほど……そういうことか。
彼はどうやら、かつての戦争で君に大敗したことが
よほどのトラウマになっているらしいねー。
ドライゼむ……? どういうことだ。
カール君を見ると恐怖のあまり気絶して、
ついでに記憶も飛ばしてしまうようだ。
エルメへぇ。彼、器用だね。
ドライゼでは、俺の見舞いは逆効果だな。
すまなかった。俺たちはこれで失礼する。

──10分後。
目覚めたローレンツは、
事の次第をカールから聞くと、がっくりと肩を落とした。

ローレンツあの、カール様……
レジスタンスにいた民間工場製の俺も
こうだったのでしょうか……?
カールいや、彼もドライゼやシャスポーに対しての
苦手意識はあったようだが、
気絶するほどの恐怖心は抱いていなかったよ。
ローレンツくっ、俺は官営工場製なのに、情けない……!

項垂れるローレンツの耳に、穏やかな旋律が届く。
顔を上げると、カールが蓄音機の前に立っていた。

ローレンツこの曲は……。
カール美しく青きドナウ。敗戦で失意の底にあった
ウィーンの市民を慰めるために作られた曲だ。
君の支えにもなるかもしれないねー。
ローレンツカール様……!
俺は必ず、Mr.ドライゼに対する恐怖を克服してみせます!!

カール……ということがあってねー。
カール普墺戦争では、前装式のローレンツライフルを装備した
オーストリア軍を、後装式ボルトアクション銃の
ドライゼを装備したプロイセン軍が圧倒しただろう?
カール戦場は酷い有様だったようだし、
ローレンツにもその時の恐怖が
色濃く残っているようでね。
ジョージそれで、ああやって背中を向けて、
独り言みたいな感じでうっすら会話してんのか!
グラースんなことするくらいなら、
話さねぇ、近づかねぇ方が楽だろ。
カールはっはっは。確かにそうかもしれない。
だが、恐怖から逃げず、諦めずに粘るというのは、
ローレンツ・ライフルに共通する美点なのかもしれないねー。
カールそして、それに付き合ってやるドライゼも、
“彼”とは違えど、似通った部分があるものだ。
はっはっは!

Ep4. 煙突掃除屋の正体!?

???ふむ……。
そろそろだな。
???ああ、そうだね。
じゃあ、今夜あたりどう?
???問題ない。では、また後ほど。

ライク・ツーん? 暖炉が綺麗になってるな。
誰か掃除したのか……?
ジョージああ!
煙突掃除屋の仕業だぞ!
ライク・ツー……は?
なんだそれ。
ジョージふふん、オレが教えてやるよ。
ここの暖炉は、誰も掃除してないはずなんだけど……。
ジョージなぜか、汚れてきた頃になると、
いつの間にかぴっかぴかになってるんだ!
ジョージ誰が掃除をしてるかはわかんねーけど、
イケメン2人組の掃除屋がやってるらしいって噂になってるぜ!
ライク・ツーなんでイケメン2人ってわかってんだよ……。
しょーもない噂だな。
ジョージいやいや、それだけじゃないんだ。
その掃除屋を捕まえると、
幸運が舞い込むって話もあって!
ライク・ツーやっぱ、くだらねー噂じゃねぇか……。
ジョージでもほんとだったら、夢があっていいよな!
今度、張り込みでもしてみよっかな~。
ライク・ツーはぁ? そこまでするか?
お前、物好きだな。
ライク・ツーどうだっていいだろ、そんなもの。
俺は興味ねぇな。

1ヶ月後──。

ライク・ツーふぁ~……。
変な時間に起きちまったな。
水飲んだら、もうひと眠りするか……。
ライク・ツー……っ!? 敵かっ!?
ジョージ……ぐぅ。
ライク・ツーはぁ!? おい、なんでそんなとこで寝てんだ!
起きろ!
ジョージんー……?
あ、ライク・ツー……何やってるんだー?
ライク・ツーいや、こっちが聞きてぇよ。
お前が廊下に倒れてきたんだけど。
ジョージえ……はっ! 寝てた!
ジョージいやー、眠気の限界だったみたいだ。
ここ数日、夜はずっと張り込みだったからさ。
ライク・ツーは? なんでそんなこと……?
って、まさかお前……。
ジョージもちろん、掃除屋を探しにきたんだよ!
あれからずっと気になっててさー!
ライク・ツーアホか……。
ライク・ツーま、俺には関係ねぇ。
じゃあ──
ジョージ……しっ! 動くな!
ライク・ツーなっ!? おい……!?
ジョージ誰か来る……!
こっちに隠れるぞ!
ライク・ツー……!
???さて、始めるか。
???うん。
今回は、このブラシを使おうと思うんだよね。
???なるほど、新作か。
興味深い。
ライク・ツーあ? この声って……。
ジョージや、やっぱり2人組の掃除屋はいたんだ!
よしっ……! 絶対に正体を暴いてやるっ!
ライク・ツー待て、そいつらは……。
ジョージ覚悟──っ! 逃げても無駄だぞ!
……あ、あれ?
エルメおやおや。どうしたんだい?
ドライゼ一体なんだ。騒がしい。
ライク・ツーあー、やっぱな。
ジョージえ、ええ~っ!?
掃除屋は、ドライゼとエルメ!?
エルメ掃除屋? よくわからないけど、
暖炉の掃除をしていたのは、確かに俺たちだよ。
ススがどうしても気になってね。
ドライゼ銃のスス掃除も、
こまめにしなければあとが大変だろう。
それと同じように、ここも掃除しておきたくてな。
ドライゼ昼間は多くの人が談話室を使用している。
だから、こうして誰もいない夜中にやっていた。
ジョージHAHA、そうだったんだ!
でも、そんなに気を使わなくてもいいんじゃないかー?
次は昼間にみんなでやろうぜ!
ドライゼそれもそうだな。
俺たちの掃除テクニックを披露するとしよう。
ライク・ツーはぁ……。
さっさと寝よ。

Ep5. 英雄の背中

ドライゼ99……100……っ!
キセルおっ、はかどってるねェ。
ははっ、汗がまぶしいぜ。
ドライゼ……この程度の鍛錬ならば、造作もない。
キセルこの程度、か。
けどさっきまで、射撃の自主練習もしてたよな?
キセル前の休日も、図書館で一日中技術書を
読んでたって聞いたぜ?
ここ最近、ちゃんと休んでねェんじゃないか?
ドライゼ何もしない方が落ち着かないのでな。
自分を鍛えるのは、いくらやっても足りないくらいだ。
備えはあるに越したことはない。
キセル息抜きも、たまには必要だと思うがねェ。
俺みてぇに、煙管でもふかしてさ……ん?
ドライゼマッチを切らしているのか?
使いかけでよければ、これをやる。
キセル有難ェ──けど、
それじゃああんたがマッチを使うとき困るだろ。
ドライゼいや、予備にもう2箱保持している。
問題ない。
キセルへぇ、それじゃもらうぜ。
ふぅー……。
キセル……そういうタチは、
「ドライゼ」に共通してるモンなのかねェ。
ドライゼ……と言うと?
キセルいや。レジスタンスにいたドライゼも、
そりゃあもう準備が良くてな。撃針がなんとかで、
予備をいくつも持つのが当然って言ってたっけなァ。
ドライゼああ……ドライゼ銃は構造上、
細くて長い撃針が、発射時に高温・高圧に晒される。
ドライゼ200発も撃つと撃針が脆く折れやすくなるから、
ボルトを分解して撃針を交換しなければならない。
ドライゼゆえに、ドライゼ銃を扱う兵士には
予備の撃針が2本支給されていた……。
予備を持つのは、俺たちにとって必須なんだ。
キセルなるほどなァ。
備えのよさは銃の構造由来ってワケか。
ドライゼそれもあるが……。
徹底して備えを怠らない姿勢は、
レジスタンスのドライゼを見習ったものだ。
キセル……! そうなのか?
ドライゼああ。俺は絶対高貴になろうと、
革命戦争の英雄について数多く調べてきた。
ドライゼその中で彼のモットーを知り……感銘を受けたんだ。
ドライゼ以降はそれを見習い、常時携帯するようなものには
予備と、予備の予備も用意することにしている。
キセルヘェ、そうかい……。
お前さんはあいつの考えを、
しっかり引き継いでくれてたんだなァ……。
ドライゼそこまで大仰なことではない。
ドイツ軍の銃として、手間の短縮と安全の確保を考えた上で、
効率的だと判断したまでだ。
ドライゼ俺は、英雄である彼そのものにはなれない。
だが……少しでも、彼のような存在に近づきたいと思っている。
ドライゼそのためならば、猿真似だと言われようとも、
有効な手段を選び続ける。
キセルそうかい……ははっ!
キセル“ドライゼ”にも、会わせてやりてぇもんだなァ。
このマジメな男を、さ……。

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