【白百合の秘密の庭】シャルルヴィル

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解説

カード解説

これは遠い記憶の欠片。フランスでの、彼らの物語の前日譚。
シャルルヴィルは、秘密の庭で、『彼』との旅を夢想する。
「辛い思い出の方が多くなっちゃったけど…あの頃にできた大事な思い出もあったんだ」

心銃解説:白昼夢を誘う徒花

ね。ベスくん。
ボク、あれからいろんな国を調べたよ。地図と本で、いっぱい。
君と旅に出るために。だから……どうか、諦めさせないで。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

Ep1. 初対面の夜

シャルルヴィルがリリエンフェルト家に召銃されて、
しばらく経ったある日のこと──。

シャルルヴィル(今日も夜会かぁ……。
パーティーは嫌いじゃないけど、
また“あのこと”を聞かれると思ったら……)
シャルルヴィルはぁ……。
ブラウン・ベス──ああ、そうだな。
公務の一環で女王陛下と行った時は……。
シャルルヴィル(……あ、あいつ……!)
シャルルヴィル(なんだよ。普通に話せるんじゃない。
ボクに対しては、あんな態度だったのに……!)

ブラウン・ベス……俺は大英帝国が誇る銃だ。
フランス銃のおまえと戦友であった時間などない。

シャルルヴィル(今思い出しても、ムカつく……!)
女性1まぁ、シャルルヴィル様!
シャルルヴィルあ……。
やあ、こんばんは。いい夜だね、レディたち。
女性1お会いできて光栄ですわ。
今、フランスはあなた様が絶対高貴に目覚められた話題で
持ち切りなんですよ。
女性2ねぇ、シャルルヴィル様。
わたくしたちにもっと、高貴なる力について
教えてくださいませんか?
シャルルヴィル…………。
シャルルヴィル……もちろん♪
僕の場合はね──

女性1──ああ、本当に素晴らしいですわ……!
わたくしもいつか体験してみたいものですが、
真に癒しの力を必要としている方が優先ですものね。
女性2またこうしてお話できる日を、
楽しみにしておりますわ。
シャルルヴィル僕もだよ。
……それじゃ、夜会を最後まで楽しんでいってね。
シャルルヴィル……ふぅ……。
???……おい。
シャルルヴィルえっ?
ブラウン・ベス…………。
シャルルヴィルブ、ブラウン・ベス……!
……こほん、ボクになんの用?
ブラウン・ベス……女王陛下に、貴銃士同士仲良くしろと言われてな。
シャルルヴィル(謝りに来たなら許してやってもいいって思ったけど、
女王様に言われて渋々来ただけかよ……!)
シャルルヴィルふぅん……そうなんだ。
せっかくの機会だし、仲良くしないとね♪
ブラウン・ベスそうか。
ブラウン・ベス……おまえのことを戦友などと思ったことはないが、
思い返してみれば、確かに俺たちの付き合いは長い。
ブラウン・ベスオーストリア継承戦争、フレンチ・インディアン戦争、
7年戦争……。
ブラウン・ベスだが、どれも敵として戦場にあっただけだ。
友情など生まれるはずもない。
強いて言うなら、戦場限定の腐れ縁か。
シャルルヴィル君さぁ……。こんな華やかなパーティで、
大昔の戦争の話をするのは野暮だと思わない?
それに、腐れ縁って……。
シャルルヴィルもっとこの場にふさわしい話をしようよ。
ほら、たとえば……美味しいフランス料理のこととか。
シャルルヴィル君の好きな料理は見つかった?
ボクはスイーツが好きだから、このマカロンとか──
ブラウン・ベス……ふん。試しに口にはしたが、
フランス料理はバターを使いすぎだ。
こんなのを毎日食ってたら、見る間にブクブク太るぞ。
シャルルヴィルなっ……!?
シャルルヴィルちょっと、その言い方はないんじゃない?
それを言うならイギリス料理なんて、
馬のエサみたいじゃないか!
シャルルヴィル大味なものばっかり食べてるから、
繊細で美味しいフランス料理の良さがわからないんだよ!
ブラウン・ベス……は?
シャルルヴィル残念な味覚をしてるんだね。
あーあ、かわいそうに。
ブラウン・ベス大英帝国を侮辱するな。
それに、粗食でも高い士気を失わないからこそ、
大英帝国の兵士は強く、優れていたんだ。
ブラウン・ベスフランスの奴らなんかどうせ、
兵糧がまずいだのなんだの泣き言を言って、
さっさと国に帰りたがってたに違いない。
シャルルヴィルそ、そんなことはないさ!
……たぶん!
シャルルヴィル&ブラウン・ベス…………。
シャルルヴィル&ブラウン・ベス……ふん!
ロジェシャルルヴィル、君にお客様だ。
こちらへ。
女王ブラウン・ベス、いらっしゃいな。
シャルルヴィル&ブラウン・ベスはい、ただいま!
ブラウン・ベス……まったく、女王陛下の命令で歩み寄ってやったが、
とんだ時間の無駄だった。
シャルルヴィル……ふん、こっちこそ! さようなら!
もう二度と会うことがありませんように!
シャルルヴィル(く~っ! やっぱりボク、あいつ嫌いっ!)

Ep2. 貴銃士健康診断

最悪な出会いからしばらく──。
秘密を共有したことによってわだかまりがなくなり、
シャルルヴィルとブラウン・ベスは打ち解けていた。

シャルルヴィルベスくん!
もう健診終わったの?
ブラウン・ベスああ。
……それより、その呼び方はやめろって言っただろ。
シャルルヴィルええ~、結構いいと思うんだけどなぁ。
ブラウン・ベスどこがだ……。
シャルルヴィルところで、ベスくん!
健康診断って、どんなことするの?
シャルルヴィル検査なんて初めてだし、なんだかソワソワしちゃって!
痛いことされるのは嫌だな~。
ブラウン・ベス……縛られたあと、針を刺して血を抜かれたぞ。
シャルルヴィルひぇっ!?
ブラウン・ベス太い針で、中に穴が開いているのもはっきり見えたな。
ほら、ここに針の跡が──
シャルルヴィル…………!
やだやだ! そんなの絶対やだ~!
ブラウン・ベスおまえは騒がしいから、
少し血を抜かれて大人しくなったくらいで
ちょうどいいかもな。
ブラウン・ベスしかし……俺はあれくらいなんてことないが、
おまえは気絶するんじゃないか?
シャルルヴィルえっ、そんなに痛いの……?
やだよ~! 今から頑張って気絶するから、
眠ってるうちに済ませてもらえないかな……。
ブラウン・ベスぷっ……ははっ!
シャルルヴィルあーっ! ちょっとベスくん、話盛ったでしょ!?
実はそんなことされないんだよねっ!
うんうん、そうに決まって──
研究者シャルルヴィル様、こちらにいらっしゃいましたか。
検診のお時間です。お部屋にご案内します。
シャルルヴィル……!
シャルルヴィル……それじゃあ、ブラウン・ベス。
僕はここで失礼するよ。
ブラウン・ベスああ。
研究者……お2人で何を話されていたのですか?
シャルルヴィルたまたま会ったから、挨拶をしてただけだよ。
シャルルヴィルさ、行こう。
シャルルヴィル(……針刺されるとか、
きっとベスくんの冗談、だよね……?)

 

Ep3. 約束の旅立ちのために

シャルルヴィルこの部屋の北側は……こっち!
ふふ、羅針盤って面白いなぁ。
本当に、どこにいても北を指すんだ。
シャルルヴィル(気に入ってたみたいなのに、
ボクにこの羅針盤を譲ってくれたベスくんって……
結構優しいところあるよね)
シャルルヴィル(いつかこの羅針盤を持って、
自由になる旅へ出られたらいいな……)
ロジェ──入るぞ。
シャルルヴィル……っ! ロジェ様……!?

シャルルヴィルは咄嗟に、
羅針盤を枕の下へと隠していた。

シャルルヴィルど、どうしてんですか?
ロジェ今度の夜会について知らせるついでに来ただけだが……
何を慌てている?
シャルルヴィルいえ、あの……すみません。
ロジェ…………。
ところで、最近の様子はどうなんだ?
シャルルヴィルえっと……特に変わりはありません。
ロジェ絶対高貴には、まだなれそうにないのか。
シャルルヴィルそ、それは、まだ……。
でも、きっと目覚めてみせるので……!
ロジェああ、そうしてくれ。
話は以上だ。
夜会については、この封書の中に書いてある。
シャルルヴィルわかりました。
……あの、ロジェ様!
ロジェなんだ?
シャルルヴィルその……地図が見たいんですが、
どこで見られますか?
ロジェ地図? 何の地図だ。
シャルルヴィル世界地図です。あらゆる国の地形や山、川、
首都、街……色々な情報が載っているものです。
ロジェ…………。
それは、必要なことなのか?
シャルルヴィル……はい!
えっと……貴銃士として活躍するために、
もっといろんなことを知りたいんです。
シャルルヴィルそれで……まずは地理を理解して、
文化の繋がりや歴史について、改めて学ぼうと……。
シャルルヴィルそうすれば、社交の場での立ち回りにも、
役に立つと思いますし……。
ロジェふむ……。
確かに、パーティーには各地の有力者が集まる。
その土地の知識があれば相手も喜ぶだろう。
ロジェ……3階の書庫に行くといい。
地理や歴史の本、貴族名鑑など、
役立つ本が一通り揃っているはずだ。
シャルルヴィル……!
はい、ありがとうございます……!
ロジェ…………。

シャルルヴィル……ふぅ。
羅針盤が見つからなくてよかった。
それに……。
シャルルヴィル地図が、見れるんだ……!
やった……!
シャルルヴィル(毎日が辛くても、いつか旅に出る日のことを思えば、
ボクはきっと頑張れる……。
広い世界のことを、今のうちに調べておくんだ……!)

Ep4. 秘密の旅行計画

シャルルヴィルふんふん、ふ~ん♪
使用人シャルルヴィル様、今日はずいぶんご機嫌ですね。
何か良いことがあったのですか?
シャルルヴィル……そうかな?
今からこの地図で、地理を学ぼうと思ってね。
シャルルヴィルロジェ様に持ち出しの許可をもらえたから、
つい、少し浮かれちゃったみたいだ。
使用人左様でございましたか。
シャルルヴィル様は勉強熱心で、素晴らしいですね。
シャルルヴィルありがとう。
シャルルヴィル……そういうわけだから、
しばらく勉強に集中したくてさ。
夜まで、部屋には誰も近づけないでくれるかな?
使用人かしこまりました。
他の者にも、そう伝えておきましょう。
シャルルヴィルありがとう。よろしくね。
シャルルヴィル(よし……。
これで、ボクだけの秘密の庭へ行けるぞ……!)

シャルルヴィル──ふぅ、着いたー!
シャルルヴィル(誰にも見つからずに、
屋敷を抜け出せてよかった……)
シャルルヴィル今日はどこの地図を見ようかな~。
まずは……ヨーロッパ!
シャルルヴィルへぇ……あっちに見える山って、
国境を越えて続いてるんだ。
すごく大きいんだなぁ……。
シャルルヴィルでも、ボクに山歩きは厳しいし、
綺麗なビーチとか散歩してみたいなぁ。
シャルルヴィル……あ、イギリス発見!
ロンドン……ここにベスくんがいるんだよね。
今、何してるのかな?
シャルルヴィルいつか突然会いに行って、
ベスくんを驚かせてみるのもいいかも。ふふっ♪

シャルルヴィル……わっ! もうこんな時間!?
シャルルヴィル屋敷にいないことがバレたら、
ロジェ様に怒られちゃう!
シャルルヴィル続きはまた今度……!
この時間を奪われないようにしないと、ね。

Ep5. 自由で幸せな場所

──シャルルヴィルが
〇〇の貴銃士になってしばらく経った、
ある日の士官学校にて。

シャルルヴィルあっ、〇〇!
今からどこに行くの?
シャルルヴィルもし暇だったら、一緒にお茶しない?
ボク、君と一緒に食べたいスイーツがあるんだ!
主人公【いいね】
【そうしよう】
シャルルヴィルやったー!
今日のスイーツはね、ボク一押しの──
教官お前たち!
自分が何をしたかわかっているのか!!!
シャルルヴィル……っ!?
生徒たちす、すみませんでした……!
シャルルヴィルあ……。
ボクのことじゃ……ない……。そうだよね。
シャルルヴィルそっか……よかった……。
主人公【大丈夫?】
【顔色が悪い】
シャルルヴィルああ、うん……大丈夫だよ。
心配かけてごめんね。
シャルルヴィルその……今の怒鳴り声、ロジェさんに似てたから。
ちょっと、リリエンフェルト家にいた頃を思い出して、
ビックリしちゃって……。
シャルルヴィル……初めて会ったころ、
ロジェさんってすごく優しい人だったんだ。
シャルルヴィルつらい思い出の方が多くなっちゃったけど……
それでも、あの頃にできた大事な思い出もあったんだ。
シャルルヴィル全部が全部忘れたい記憶じゃないし、
大事な友達にも会えたしね。
だから……ボクは、ちゃんと前に進めるはず。
主人公【シャルルヴィルなら大丈夫】
【ゆっくり前に進もう】
シャルルヴィルうん。
……ありがとう、〇〇。
シャルルヴィル……あの頃に思い描いていた形とは違うけど、
ボクの世界は、君たちのおかげですごく変わったよ。
シャルルヴィルいつかまた、あの友達に会える日が来たら……
ボクは自由で幸せだよって、思いっきり自慢してやるんだ!
主人公【きっと、彼も喜ぶ】
【早く伝えられるといいね】
シャルルヴィル【きっと、彼も喜ぶ】
→あははっ、そうかな?
憎まれ口を叩きそうだけどね。

【早く伝えられるといいね】
→ふふ……うん、そうだね。
シャルルヴィル未来のことをこんなに楽しく考えられる日が来るなんて
自分でもなんだか信じられない気分だよ。
シャルルヴィル本当に……ありがとね、〇〇!

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