「強くなって役に立ちたい」それは貴銃士としての純粋な願い。
しかし強さを求めて突き進む中で浮かび上がってきたのは、遠い日の誰かの記憶。「高貴であれ」を胸に刻み込み、決意を新たにする。
“あの日”の冠を取り戻してやりたかった。そうやってもがいていたら、なんだか知らないうちに手の中にキレイな光が集まってたんだ。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
恭遠 | ふぅ……今日は乱闘も爆発もなく、平和な1日だった。 あとは、この間のテストの採点をして── |
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恭遠 | ん……? 教室の電気がついているな。誰か残っているのか? |
恭遠 | ……! |
恭遠 | (今、何かありえない光景が視界に入ったような……?) |
恭遠 | (も、もう一度覗いてみよう……) |
目頭を軽く揉んだあと、恭遠はそーっと教室を覗き込む。
そこには、1人静かに読書をするジョージの姿があった。
恭遠 | ……ッ!!? |
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恭遠 | どうしたんだ、ジョージ! 具合でも悪いのか……!? |
ジョージ | なぁ、恭遠。 |
ジョージ | オレ……強くなりたい。 |
恭遠 | ……? 強く、なりたい……? |
ジョージ | オレ、『みんなのこと助けたい!』『人の役に立ちたい!』って、 本気で思ってるんだ。 |
ジョージ | でも、今のオレじゃあまだ、 みんなに『ジョージが来たからもう安心だ!』とは、 あんまり思ってもらえない気がしててさ。 |
ジョージ | それで悩んでたら、 ラッセルから『戴冠式』のことを教えてもらったんだ。 |
恭遠 | 戴冠式か……! 確か、自分なりの信念を極めた貴銃士に、 その努力を讃えて、栄誉の象徴として『冠』が授与されるという ものだったな。 |
恭遠 | なるほど。それで読書をしているんだな。 その本は……『トレーニングの基本』? |
ジョージ | ライク・ツーの部屋の棚から持ってきたんだ。 やっぱり、強いってのはムキムキってことだろ? |
恭遠 | 強さ、か……。一口に強いと言っても、 何を持って『強い』とするのか、いろんな見方があるぞ。 |
恭遠 | 肉体的な強さ、精神的な強さ。知略も強さだ。 人々に希望を与えるのも、強さや才能の1つだと思う。 貴銃士なら、高貴さも大事な要素だな。 |
ジョージ | Oh……いろいろあって、なんかムズカシーな……! |
恭遠 | はは……そんなに難しく考える必要はないと思うぞ。 ジョージ、君の明るさも、1つの力じゃないか? |
恭遠 | 大変なときでも、君がいると場の空気が明るくなって、 みんなを前向きにできる。これは、すごい力だ! |
恭遠 | そういう、君なりの良さを伸ばしていくのはどうかな。 それが、信念を極めることに繋がっていくと思う。 よかったら、俺も手伝うよ。 |
ジョージ | Wow! Thank you、恭遠! 恭遠が教えてくれるなら安心だよ! |
恭遠 | どういう貴銃士になりたいかは、それぞれ違うからな。 訓練や任務、日々の授業で着実に力をつけつつ、 自分がなりたい姿を目指して努力を重ねていこう! |
ジョージ | よーし! オレ、戴冠式目指して頑張ってみる! |
ジョージ | そうと決まれば、今日からさっそく特訓だ! |
ジョージ | うおおおおおおおおおおおお!!! |
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ライク・ツー | ……なぁ、ジョージは何やってんだ? あんなバカでかい岩転がしてさ。 |
十手 | 戴冠式を目指して、猛特訓してるらしいよ。 まずは力を付けるんだって意気込んでいたなぁ。 |
マークス | さっきは、タイヤと自分をロープで繋いで グラウンドを走り回っていたな。 砂埃がすごかった。 |
ライク・ツー | へぇ……意外とやるな、あいつ。 ひょろい割に、フィジカルつえーじゃん。 |
ジョージ | 恭遠、始めてくれ!! よっしゃこーい!! |
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恭遠 | おうっ! それーっ! |
マークス | マスターに聞いたことがある。 あれは野球という競技だな。 でも、恭遠とジョージしかいない。人数が足りないぞ。 |
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マークス | それに、球を打った恭遠が走らないで、 ジョージがひたすら球拾いをして投げ返している。 なにか違う競技なのか……? |
十手 | あれは、野球の練習の一環だよ。 確か……1000本のっく?だったかな。 古くから伝わる訓練法だと聞いたことがあるね。 |
ライク・ツー | あいつ、戴冠式を目指してんだよな? 野球は関係なくねぇか……? |
──翌日、食堂にて。
ジョージ | いただきますっ!! |
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生徒1 | 頑張れー! |
生徒2 | いけいけーっ! |
マークス | あの人だかりはなんだ? |
十手 | 今日はジョージ君が、 激辛かれーを10分で完食する挑戦をするそうだよ。 |
ライク・ツー | はぁ……? |
ジョージ | ぜぇ、はぁ……! ごち、そうさまっ……でしたっ……!! |
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生徒1 | 9分57秒! 完食です!! |
十手 | おお……! ジョージ君、見事な戦いぶりだった……! |
ライク・ツー | いや、だから特訓の方向性間違ってんだろ……。 |
十手 | しかしなぁ、最近のジョージ君はめきめき強くなっているそうだ。 恭遠教官やラッセル教官が目をみはっていたよ。 〇〇君もきっと喜んでいるだろうね。 |
マークス | なんだと!? なら……俺も負けないぞ。 俺だって、激辛カレーを10分以内に完食してみせる……っ! |
ライク・ツー | お前、辛いカレー食えねぇだろ。 |
十手 | ジョージ君は本当に頑張ってるな。 今度、檸檬の塩漬けでも差し入れるか。 酸っぱいものは疲労回復にいいらしいからね。 |
ジョージ | うおおおおおお!! 次は水中お笑い訓練だぁぁぁ!! |
ライク・ツー | 誰か止めてやれよ……。 |
それから数か月後──。
紆余曲折がありながらも、ジョージは戴冠式の日を迎えた。
ジョージ | (いよいよだ……! あの扉の向こうで、〇〇が待ってる) |
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ジョージ | ……戴冠式、か。 |
??? | 貴銃士ブラウン・ベス。 私の騎士── |
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ジョージ | …………。 |
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マークス | おい、マスターを待たせるな。 |
ライク・ツー | メシのことでも考えてたのか? せっかくの晴れ舞台なんだから、今くらいシャキッとしとけ。 |
十手 | もしかして、腹痛かい? 薬を持ってこようか? 緊張しているなら、手のひらに「人」と書いて飲むといい。 |
ジョージ | ……みんな……。 へへ、ありがとな! |
ラッセル | ここまで本当によく頑張った。 君は私の誇りだよ、ジョージ……! |
恭遠 | 行ってきなさい、ジョージ。 胸を張ってな。 |
ジョージ | おう! |
仲間に見送られ、ジョージは笑顔で講堂の扉を開ける。
〇〇が待つ場所へ向かって、
一歩一歩、踏みしめるように歩き出した──。
──戴冠式の数日後、
ジョージと〇〇は、
遠地での任務を終えて士官学校への帰路についていた。
ジョージ | ……おおっ!? なぁ、〇〇。 あっちになんか建物っぽいのが見える! |
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主人公 | 【本当だ】 【なんだろう?】 |
ジョージ | 今日の任務早めに終わったし、ちょっと寄り道しようぜ☆ んで、あそこでちょっと休憩しよう! |
ジョージ | Wow……! 廃城だけど、なんかキレーなとこだな! |
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ジョージ | なんだろう……ここにいるとなんか、 背筋がシャキッとするような……。 |
──ガサッ
ジョージ | ……っ! この気配は……! |
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アウトレイジャーたち | 殺、ス……ウゥゥウウ……! |
ジョージ | アウトレイジャー……! 〇〇には、手出しさせないぜ! |
ジョージ | 絶対高貴! |
アウトレイジャー1 | グ、ゥ……! |
ジョージ | もういっちょ……心銃! |
アウトレイジャーたち | ガァァッ……! |
ジョージ | 〇〇! ケガとかないか!? |
主人公 | 【大丈夫!】 【ジョージのおかげで無傷だよ】 |
ジョージ | よかったー! オレ、やっぱ前より強くなってるよなーっ! |
主人公 | 【特訓の成果が出てる】 【戴冠式までたどり着いたから間違いない】 |
ジョージ | 【特訓の成果が出てる】 →やっぱり? 特訓、大変だったけど、楽しかったなー。 恭遠もすっげー協力してくれたし、 士官学校の生徒のみんなも応援してくれてさ。 【戴冠式までたどり着いたから間違いない】 →へへっ! 信念を極めるって、最初は何すればいいのか わかんなかったけど、がむしゃらに頑張って、 そんな俺を見てみんなが笑顔になって……。 声かけられたり、頼りにされることも増えて、 〇〇に冠までもらえてさ! オレ、前より自信MAX!って感じだぜ☆ |
ジョージ | 街で人助けするにも、前は「頼りない」って 断られたりしたけど……人助け100回チャレンジを乗り切ったら、 そんなこともなくなったよ! |
ジョージ | あっ、でも、激辛カレーはキツかったー。 マークスが「俺もやる」って言ったのに一口目でダウンして、 オレがセカンドチャレンジに突入してさ……HAHA……。 |
ジョージ | あの辛さもつらさも、逆境でめげない強さ…… 高貴さにつながったかもしれないなっ! |
ジョージ | …………。 |
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ジョージ | 高貴……。 Be Noble──高貴であれ。 |
主人公 | 【……?】 |
ジョージ | 7年前の革命戦争で、 古銃の貴銃士たちがモットーにしてた言葉なんだって。 |
ジョージ | ここに来たら……ふと、思い出してさ。 |
ジョージ | ……なんてなっ! はぁ~、オレお腹ペコペコ! 帰ったら食堂で、一緒にチーズバーガー食おうぜ☆ |
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