追悼式典に向かう途中で貴銃士たちが迷い込んだのは、1885年のとある戦場。
潰えた野望、悲痛な郷愁、刻まれた文字。
起きた事象は変わらないはずなのに……想いを知った今、忌まわしい傷は愛の証に変わる。
強欲に愛を求めた。傷を否定し、こんなものと忌々しい思いで舌打ちをした。
けれどこれは愛の証。
勇気をもって一歩踏み出せば、世界は意外と温かいものだった。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
何か、変わってきてるみたいだ。
この僕も、あのフランスまで!
お前のおかげ……だよ。
──〇〇とグラースたちはフランスに到着し、
戦没者追悼式の会場にやって来た。
テオドール | グラース、久しいな。 |
---|---|
グラース | テオ……! へぇ、2人揃って来てたんだな。 |
カトリーヌ | こんにちは、みなさん。 またお会いできてとても嬉しいわ。 |
シャルルヴィル | ふふっ、僕たちもだよ! ねっ、〇〇! |
主人公 | 【お久しぶりです!】 【お元気そうでよかった!】 |
テオドール | そうだ、よかったら式典後に我が家に── |
女性 | ねぇ、見て……! あれがフィルクレヴァートの……。 |
女性2 | 貴銃士様があんなに……! 素敵ね~。 |
男性 | なあ、でもあれ現代銃の……。 |
グラース | …………。 |
主人公 | 【気にしないで】 【堂々としていよう】 |
グラース | …………。 |
シャルルヴィル | ちょっ……グラース!? どこに行くの……! |
グラースは噂話をしていた一団に近づいていく。
グラース | やあ。僕と話したかったのはあなたたちかな? |
---|---|
女性 | ひっ! わ、私たちは別に……ねぇ? |
男性 | も、申し訳ありません……! 失礼いたします……! |
グラース | フンッ! ……まさか話しかけてくるとは、って顔しやがって。 逃げるくらいなら、陰口叩くなっての。 |
老紳士 | あのぅ……グラース様、ですよね。 ご挨拶をさせていただければと思い……。 今、よろしいでしょうか……? |
グラース | 今の陰口を聞いていただろ? 別に、無理して挨拶なんてしなくていいぜ。 |
老貴婦人 | あ……ご気分を害されたなら申し訳ありません。 フランスは長らくグラース様にとって 故郷とは言いづらい場所だったでしょう……。 |
老貴婦人 | 私たちも、現代銃の貴銃士様は恐ろしいものだと、 実際に目にしたことがないのに、強く信じていました。 |
グラース | (ん……?) |
老紳士 | ですが……今回、こうしてグラース様がおいでくださり、 お会いする機会ができて幸いでした。 これからのご活躍、陰ながら応援しています。 |
グラース | そ、そうか……。 ええと、丁寧にありがとうな……? |
老紳士 | それでは、私どもはこれで……。失礼いたします。 |
??? | あ、あの……っ! |
グラース | 今度はなんだ? |
市民1 | わぁ、本当にあの時の貴銃士様だ! 私、あなたが皆を守ろうとして戦っているところ 見てたんです! |
市民2 | 俺も一緒に見てたんだけどさ、 ドカーンとしてて、あなた格好よかったぜ! |
グラース | え……? |
主人公 | 【褒められてよかったね】 【ヒーローだ】 |
グラース | ……まさか。 偶然だろ……僕のことをあんな風に思う、 珍しいやつらがたまたま紛れてただけだ。 |
テオドール | ふ……謙遜じゃないか。 |
グラース | テオ……。 お前、僕のことを何か言いふらしたか? |
テオドール | ん? いや、大したことは。 君のしたことを、当事者として正しく伝えただけだ。 |
カトリーヌ | 以前のフランスでは……現代銃の貴銃士といえば 世界帝軍の特別幹部というイメージで忌避感が強くて、 無関係な現代銃へも差別的な眼差しがあったわ……。 |
カトリーヌ | けれど……諸外国やフィルクレヴァートの貴銃士の皆さんの 古銃・現代銃を問わない活躍の情報が、 このフランスにも日々入ってきているもの。 |
テオドール | それに、実際にお前の活躍を目にした者たちもいる。 |
テオドール | グラースは現代銃でも、フランスを守ってくれた いい貴銃士だ──と。 そういう声も、少しずつだが広がっている。 |
カトリーヌ | わたくしたちは、あなたが安心して、 気軽にフランスに帰ってこられるようにしたいの。 |
テオドール | 祖国を居心地の悪い場所だと思われたくないしな。 |
グラース | ……そうかよ。 |
グラース | まったく! ……そこまでして僕に会いたいなら、 仕方がねぇからたまには来てやるよ。 |
グラース | ただし、次に来るまでに── 僕がフランス銃の中で一番性能が良くて、 とびっきり優秀な貴銃士だってちゃんと広めておけよ。 |
グラース | 情報ってのは、正確じゃないと。だろ? |
シャルルヴィル | もー、素直じゃないんだからさ。 |
グラース | ……う、うるせぇ! |
主人公 | 【来てみてよかった?】 |
グラース | ……まあ……途中までは嫌々だったけど。 来たことに意味はあったって思うぜ。 |
グラース | 〇〇……お前の言った通りだった。 |
グラース | 変わらないって決めつけて諦めてたら、 この今はなかった。 |
グラース | だから……その、ありがとな。 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。