追悼式典に向かう途中で貴銃士たちが迷い込んだのは、1885年のとある戦場。
小さな皇帝はいついかなる時も揺らがないが、何も感じないわけではない。
追悼を胸に、翼を広げ『今』を羽ばたくのだ。
皇帝の名を冠した貴銃士は涙を流さない。
無情、非情、大いに結構。なんとでも言えばいい。
小さな黒鷲皇帝が狙うのはただ一点、真の敵の心臓だけなのだから。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
黒鷲皇帝となった僕に
ついてきたまえ。
プルス・ウルトラだ!
追悼式典終了後──
〇〇は献花スペースにいるカールを見かけ、
近寄った。
カール | …………。 |
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主人公 | 【何を見ているの?】 【どうしたの?】 |
カール | うん。花だけでなく、手紙や飲み物、お菓子に 可愛らしいぬいぐるみ── なんとも賑やかな献花台だと思ってねー。 |
カール | お気に入りの品や、好きだったもの……天国への手紙……。 故人の数ほど思い出もいっぱいだ。 |
カール | おや、〇〇が寂しそうな顔になってしまった。 |
主人公 | 【なんだか切なくなって】 →カール「他人の気持ちを想像して同調するか。 君は思いやりがあるのだね。」 【皆、大事な人を亡くしたんだと思うと……】 →カール「……泣いているのかい?」 |
カール | そうか。君は同じ境遇を経験しているから…… 余計に感情が強く揺れ動かされてしまう。そうだね。 |
主人公 | 【泣いてもなにも解決しないのに】 【建設的ではないよね】 |
カール | いやぁ、そんなことはない。 人間という社会性を持った生き物にとって涙はあらゆる意味で 重要な機能なのさ。 |
カール | 涙には精神をリラックスさせる作用があるとか ローレンツが言っていたっけ。 だから、泣けるだけ泣いたらいい。 |
カール | ……僕は、涙を流せない。 |
カール | 僕は人ではない、貴銃士だ。 それも、皇帝の名を冠する貴銃士だからかな。 |
カール | 昔、僕をかばったマルガリータが敵の一斉射撃を浴びた ことがあった。一命をとりとめたが……その時も 僕は泣かなかった。……泣けなかった。 |
カール | そんな風だから、心がないのだと言われることもよくあるよ。 |
主人公 | 【心がないなんてことはない】 【人のために頑張っているのに】 |
カール | まあ、どっちでもいいのさ。 なぜなら……。 |
カールは〇〇の頭を撫でる。
カール | 僕のマスターである君が、 これほどまでに感性豊かでいてくれるのだから。 もういない人のために涙を流すほどにね。 |
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〇〇はカールの言葉に頷く。
カール | ただ……他人の死に涙を流す君に、これだけは言っておこう。 |
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カール | 世界帝──彼は死に瀕していたところを、 メディックであったレジスタンスのマスターに癒された。 罪を償うチャンスを、彼は得たわけだ。 |
カール | だが……愚かにも逃げ、また再興しようとしている。 彼の罪は止まらない。 |
カール | 僕は……今度こそ、アシュレー・サガンの 息の根を……命を奪うつもりだよ。 |
カール | ──我々が再び世界帝を射程にとらえたその時に、 君は、僕を止めないね? 共にその心臓を……撃ち抜いてくれるね? |
主人公 | 【もちろん】 【最善策がそれならば】 |
カール | よろしい。 それでこそ我が共犯者殿だ。 |
カール | 『死神皇帝』……城に閉じ込められていた僕には ぴったりな形容だったわけだが、もうそぐわないねー。 今度は黒鷲皇帝とでも名乗ろうか。 |
主人公 | 【それがいい】 【死神皇帝はもういないしね】 |
カール | はっはっは。では、改名の前祝いといこうじゃないか。 ステーキでも食べに行こう! さぁ……『プルス・ウルトラ』だ! |
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