楽しみにしていた遊園地☆でもこのままだと補習で行けない大ピンチ!
窮地のジョージは眼鏡&暗示で冴えわたる頭脳を手に入れる。
再試験も謎めいた事件の解明もお任せあれ♪
名探偵ジョージに不可能はないのだ!
オレ、知らなかったんだ。教科書や本をよく読むと面白いこと☆
あれもこれも知りたくてウズウズしちまう!
あれ、でも……なんか頭がぼーっとしてきて……Zzz……
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
その日。
エンフィールドがかけた暗示によって、
ジョージは賢くなったのだった!
ジョージ | Hey! やっぱり授業中の暗澹たる睡魔に打ち勝つには、 吸収率20%以上のコーヒーを摂取するに限るな☆ |
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八九 | えっ?? ジョージ……さん? なんかいつもと違くないか……? |
ライク・ツー | なんか、前に見た探偵映画だか刑事映画だかで こういうキャラいた気がするな。 |
十手 | へぇ! 映画のきゃらくたーなのか。 名探偵ジョージ、ってところかい? |
ジョージ | 名探偵ジョージ……! Sounds good……いい感じだなっ☆ |
マークス | おいっ! 大変だっ! 俺のヘラクレスが誘拐された!! |
八九 | は……? |
十手 | へらくれす……? |
マークス | ヘラクレスは俺と共に楽園を守ると誓った相棒であり、 最終兵器……! |
マークス | くっ……こんなにも胸が締め付けられるとは……。 このままでは大量の水漏れを起こして、 俺の全機能が停止してしまう! |
ライク・ツー | なに……? お前もなんかの映画の影響? |
ジョージ | Hey! マークス、まずは情報の整理だ。 ヘラクレスは人間か? 貴銃士か? 動物か? |
マークス | ……っ。 ヘラクレスは、俺が作った人形だ。 こう……強そうな見た目をしている! |
八九 | え……人形なんか作るキャラだったか。 |
マークス | 今朝は部屋にあったのに、昼休みのあと戻ったら いなくなっていたんだ。ヘラクレスは自分では動けない。 誰かに誘拐されたんだ……! |
マークス | 一体、どうすれば……!! |
ジョージ | その事件、この名探偵ジョージがズバッと解決するぜ! |
マークス | 本当か!? |
名探偵ジョージ | YES! まずは時系列を洗い出していこう。 |
名探偵ジョージ | ふむふむ、マークスが食堂に行ったのは12時05分、 途中で寮室に戻ったのが12時32分、っと。 |
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名探偵ジョージ | つまり、犯行はこの間に行われた。 よーし、みんな! アリバイを教えてくれ! |
グラース | 僕は授業が終わってから……12時すぎ頃か? 食堂に行ったぜ。 |
ドライゼ | 俺は12時15分にトレーニングルームに行き、 エルメと日課の筋トレをしていた。 |
スプリングフィールド | 僕は12時20分にジグせんせいのところへ行って、 課題を見てもらっていました。 |
十手 | みんな、ありばいがあるようだね。 |
シャルルヴィル | あっ、そういえば……! ケンタッキーって昼から見てないね? |
マークス | まさか……! あいつが犯人か……? |
名探偵ジョージ | 論より証拠だ! ケンタッキーの部屋に踏み込むぞっ! |
ケンタッキー | ううっ……! |
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名探偵ジョージ | ケンタッキー!? |
ジョージたちが部屋に駆けつけると、
ケンタッキーが頭から布団をかぶってガタガタと震えていた。
ケンタッキー | お、俺……呪いの人形を見ちまった……! |
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ケンタッキー | 人形の首が、浮いてたんだ!! |
マークス | なんだと……? |
怯えるケンタッキーをなだめたあと、
一同は話を聞くため談話室に集まった。
ケンタッキー | 俺は──袖のボタンが緩んでたから、 留め直そうと思って…… 授業が終わってから寮の部屋に戻ろうとしたんだ。 |
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ケンタッキー | それで、寮の廊下を歩いていた時だった。 ふと、窓の外で何かが動くのに気が付いて、 何気なく見たら──……! |
ケンタッキー | 呪いの人形の首がっ! 浮いてたんだ! しかも、そのまま移動してたっ! |
名探偵ジョージ | ええー? 非科学的だなぁ。 ホントに首だけだったのか? |
ケンタッキー | ホントに見たんだって! 忘れられねーぐらい、怖い顔だった……! |
邑田 | おぉーい。 おぬしら、何を言い争っておるのじゃ? |
在坂 | 焼き芋ができたぞ。 ちょうど焚火が消えて、冷ましているところだ。 |
名探偵ジョージ | 焚火で、焼き芋……? |
名探偵ジョージ | 事件のヒントがありそうだ。Let’s go! |
ケンタッキー | いや、腹減っただけだろ! |
一同は、邑田と在坂に連れられて裏庭にやってきた。
少し前に鎮火したらしい焚火の跡がある。
邑田 | さて、そろそろ頃合いかの。 |
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邑田が火バサミを使って焼き芋を取り出す。
在坂 | ……む? 芋に妙なものがくっついてきた。 金属製のボタンと針金だろうか。 |
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マークス | こ、これは……!! ヘラクレスだ……! |
邑田 | なにっ!? |
マークス | 間違いない。 このボタンはあいつの目と鼻で、針金は手足だ。 |
マークス | ああっ……! ヘラクレス……! なぜ焚き火の中に!? |
燃え残ったヘラクレスの残骸をかき集め、
マークスは項垂れる。
邑田 | わ、わしらは何も知らんぞ! |
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在坂 | そうだ。 在坂たちは、用意してあった薪で芋を焼いただけだ。 |
名探偵ジョージ | 用意してあった……? |
名探偵ジョージ | 気になる証言だ! みんな、この近くに何か落ちてないか探してくれ! |
──数分後。
ケンタッキー | おーい、お前ら。 これ見てくれ! |
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ケンタッキーが低木の茂みをかき分けている。
そこには、未使用のマッチと水が入ったバケツ、
そして塩が隠されていた。
マークス | なんだこれは? 誰かの置き忘れか? |
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名探偵ジョージ | これは……! …………。 |
名探偵ジョージ | マークス、全員を集めてくれ。 |
名探偵ジョージ | 犯人は……この中にいる! |
マークス | なっ……! |
十手 | なんだって!? |
次回に続く!
その後、名探偵ジョージの要請で、
貴銃士たちが屋上に集められた。
マークス | 名探偵ジョージ。 この中に犯人がいるというのは本当か? |
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名探偵ジョージ | ああ。間違いないぜ。 |
名探偵ジョージ | 犯人は……。 |
全員 | …………。 |
全員 | …………! |
名探偵ジョージ | 犯人は──十手だ! |
十手 | えぇっ!? |
十手 | そ、そんな……。 どうして俺だと……! |
名探偵ジョージ | 証拠なら、ついさっき全部揃った。 |
名探偵ジョージ | 十手……おまえは今日の昼、 マークスの部屋に忍び込んで、ヘラクレスを奪った。 |
名探偵ジョージ | ケンタッキーが見た、浮かぶ人形の首は、 十手が人形を運んでいたところだったんだ。 |
ケンタッキー | なっ……! |
名探偵ジョージ | 十手はおそらく、身をかがめて人形を担いだ。 首だけ浮いてるように見えたのはそのせいだろうな。 |
マークス | 言われてみればそうかもしれないが、 なぜ担いでいるのが十手だとわかった? |
名探偵ジョージ | もちろん、そこもこれから説明するぜ☆ ヒントは、焚火だ。 |
邑田 | 焚火? |
名探偵ジョージ | 犯人はヘラクレスを燃やして、証拠を隠滅するつもりだったのさ。 そこで、裏庭に運んで、藪の中にヘラクレスを隠した。 |
名探偵ジョージ | だけど──思わぬアクシデントが起きた。 |
名探偵ジョージ | 邑田と在坂が焼き芋をしようと、勝手に薪を使ったんだ。 ヘラクレスは燃えたが、犯人がもみ消すより早く、 証拠が見つかってしまった。 |
在坂 | 確かにあの薪は、最初からあそこにあった。 だが、あのマッチとバケツと塩の意味はなんだ? |
名探偵ジョージ | マークス。あのマッチ、見覚えがないか? たとえば……戦場で。 |
マークス | ……あ。 そういえば、十手が銃を撃つのに使ってた! |
名探偵ジョージ | そう。差し火式鉄砲は火種がなくては撃てない。 あれは十手がいつも持ち歩いているものだ。 |
名探偵ジョージ | 水が入ったバケツが用意してあったのは、火事を防ぐため。 江戸時代に生きて、火消しの心得がある十手だからこそ 用意せずにはいられなかったんだな。 |
十手 | ……! |
八九 | じゃあ、あの塩も十手が……? |
名探偵ジョージ | That’s Right! さっき食堂のおばちゃんに聞いてみたら、 十手が今日のお昼に塩を分けてもらいに来たって言ってた。 |
名探偵ジョージ | さぁ……こんなところでどうだ? 十手! |
十手 | …………。 |
十手 | …………ははっ。 お見事だよ、名探偵ジョージ君。 |
十手 | へらくれす君を燃やそうとしたのは……俺だ。 |
マークス | 十手……! なぜヘラクレスをっ!! |
十手 | ……燃やさなきゃいけなかったんだ! あの人形は! |
十手 | マークス君が誰かを呪おうとしていたから、 絶対に止めなくてはいけないと思った。 |
十手 | だが、呪いに手を出すほど思いつめたマークス君を 説得できる気がしなくて……! |
十手 | 呪いに必須のあの人形を、 壊すしかなかったんだ! |
マークス | は……? 呪い……? なんのことだ、それ。 |
十手 | え……? の、呪いの藁人形を作っていたのだろう!? |
八九 | 呪いって……五寸釘打つやつ!? |
マークス | そんなものを作った覚えはない。 俺が作ったのは、カカシ人形だ。 |
マークス | 俺は最近、山から襲撃してくるカラスと抗争をしていてな。 マスターのための俺のハーブ園の近くに来ていたから、 やつらを追い払ったら……。 |
マークス | それ以来、あいつらは俺がいないスキを狙って、 俺のハーブ園を荒らすようになりやがった! |
シャルルヴィル | カラスって根に持つからね……。 |
マークス | だからカラスを撃退するために強そうな相棒……、 ヘラクレスカカシを作ったんだ! |
十手 | カ、カカシ……? |
邑田 | ふむ、つまり……わしら日本の貴銃士からすると、 呪いの藁人形しか見えない代物をそなたが作ったと。 |
ケンタッキー | 俺の目から見ても、あの人形の顔はやばかったぜ! 十手がパニックになって、燃やそうとしたのもわかる。 |
十手 | ケンタッキー君の言う通り……俺はあの人形を見た瞬間、 どうにかしなければと思って、 衝動的に人形を持ち出し、お焚き上げをしようとしたんだ。 |
十手 | だが、食堂で塩をもらって戻る途中で 教官に用事を頼まれてしまい…… お焚き上げに必要なものを隠して、一度教室に戻った。 |
十手 | あの塩は、清め塩として使うつもりだったのさ。 まさか……カカシだったなんて……! マークス君の愛を……努力を……俺は……! |
八九 | (マークスの壊滅的な芸術センスが招いた、 不幸な事故だったっつーわけか……) |
十手 | 俺はなんてことを! この身をもってけじめをつけるしか……っ! |
十手は屋上のフェンスに足をかける。
名探偵ジョージ | Stop! 十手! 早まるなっ! |
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十手 | ジョージ君……? |
八九 | (てか俺ら貴銃士だから、屋上から飛び降りたって 銃に戻るだけだけどな) |
名探偵ジョージ | 罪を憎んで人を憎まずって言うだろ? 今からでも、罪を償えばいい。 |
名探偵ジョージ | もっとCoolなカカシを、マークスと一緒に作るんだ! 名づけて改・ヘラクレス! |
十手 | 改・へらくれす……! |
マークス | その手があったか……! |
マークス | 十手、俺はお前を許す。 その代わり改・ヘラクレスの制作を手伝ってもらうぞ。 |
十手 | ああ、もちろんだとも! マークス君……! |
十手 | ううっ……こんな俺を許してくれて、本当にありがとう! |
名探偵ジョージの粋な計らいにより、
マークスと十手は固く抱擁を交わしたのだった。
ライク・ツー | なんだこの茶番……。 |
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