【支配の追憶:微笑み】ファル

コメント(0)

解説

カード解説

連続誘拐犯と拐われたミカエルを追う貴銃士たちとマスター。
犯人を捕らえ、ファルはお愉しみを前に残酷に微笑む。
花を愛する「彼」に向けていた優しい微笑みは──
今は幻。もう二度と戻ることはないのだ。

心銃解説:あの日の微笑み

私、今の生活にそれほど不満はないのですよ? チーズやワインの収集も進められていますし。
あとは尋問が許されれば……楽しみが増えるのに残念です。

カードストーリー

主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分

 

Ep1. 誘拐された天使

ベルギー国境付近の地方都市、
エノーロワでアウトレイジャーが目撃された。

ファル地理的に、我々が派遣されるのは効率的ですが……。
戦力を考えると、私だけでもよかったのでは?
カトラリー……そうかもしれないけど。
ファルだけってのも心配じゃん。
主人公【油断せずいこう】
【単独行動は危険だから】
カトラリーうん。
……あ、そうだ。
ミカエルこれ持ってなよ。
ミカエルなんだい?
カトラリー護身用に、僕の銃を1つ持っといて。
それなら小さくて隠しやすいから、
いざという時に役に立つと思うんだ。
カトラリーほら、恭遠さんが言ってたでしょ?
今回、敵はアウトレイジャーだけじゃないかもって。

恭遠──アウトレイジャーが目撃されたエノーロワ近辺では
最近、行方不明事件が頻発している。
恭遠アウトレイジャーとの関連は不明だが、
被害者は年齢も性別もバラバラで、
今のところ被害者同士の繋がりは見られない。
カトラリーまだ見えてない共通点がない限り、
無差別に手当たり次第……って感じかな。
恭遠ああ、そうなる。
君たちも、任務中に何か気になることがあれば、
ベルギー支部に連絡をしてくれ。

カトラリーミカエル、すぐどっか行っちゃうんだもん。心配だよ。
自分の銃にも頓着しないし……。
だから、何かあったらこれを使って。
ミカエル迷子の心配ならいらないよ。
きみたちがちゃんとついてきてくれるでしょう?
主人公【そのつもりだけど……】
【はぐれないように気をつけてほしい】
ファル皆さん、おしゃべりはもういいでしょう。
アウトレイジャーが出没した路地裏に
向かいますよ。
ファルこれまでの目撃情報から考えて、
アウトレイジャーが潜んでいそうな地域を絞り込みました。
順に見ていけば、すぐに発見できるでしょう。
カトラリーわ、すごい……。
よくこんなのわかったね。
ファルかつてのマスターと任務をこなしていた頃に、
このあたりには何度も訪れてよく知っていますからね。

ファルが書き込みをした地図を指針にして、
〇〇たちは路地裏を歩いていく。
──その時だった。

ファル……おや。早速お出ましのようですよ。
アウトレイジャーウウウ……。
カトラリーわっ、いきなり……!?
ファルカトラリーさん、どいてください。
──絶対非道。
ファル心銃!

ファルの放った心銃に貫かれ、
アウトレイジャーの身体は蜃気楼のように消えていった。

カトラリー……他にはいないのかな。
この1体だけ……?
ファル目撃情報から考えると、
少なくとも2~3体はいそうでしたが。
彼らが集団行動をするとも限りませんしね。
ファル……ところで、ミカエルさんは?
主人公【いない……!?】
【いつの間にか消えてる!?】
カトラリーもう、ミカエルってば……!

ミカエルの姿を探して、3人はもと来た道を辿った。
彼は薄暗い路地の入り口付近で立ち止まり、
曲でも考えているのかぼんやりと宙を眺めている。

カトラリーミカエル!
勝手にどっか行っちゃダメだって言ったじゃない!

カトラリーが駆け寄ろうとした時……ミカエルの背後に、
スモークガラスのワンボックスカーが急停車した。

ファル……ッ!

車のドアが開き、ミカエルが車内に引っ張り込まれる。
ファルが即座に発砲して車体に命中するが、
止めるには至らず、車はあっという間に走り去ってしまう。

カトラリーう、そ……!
カトラリーどうしよう、僕が目を離したから……!
わかってたのに……!
主人公【まさか、例の誘拐犯……!?】
【すぐにベルギー支部に連絡する】
ファルそう焦らずとも大丈夫ですよ。
カトラリーちょっ……なんでそんなにファルはのんきなのさ!
ミカエルが誘拐されちゃったんだよ!?
ファルふふ……変ですね。
カトラリーさんはよく言っているではありませんか。
ミカエルさんは天使なのだと。
ファル天使が人間ごときに害されるはずがない。
そうでしょう?
カトラリーファル……。
ファルマスター、お貸ししている地図を。
それから、ベルギー支部に、
この地域の犯罪者リストの要請をお願いします。

Ep2. 微笑みは残酷に

連合軍ベルギー支部にやってきた〇〇たちは、
ミカエル誘拐の対応を開始した。

ファルアンデル通りとブルッセ通りを封鎖、検問を敷いてください。
エノーロワから外に出してしまえば、追跡が困難になります。
ベルギー支部兵士1了解!
カトラリー…………。
主人公【絶対に大丈夫だよ】
【自分たちで絶対救出しよう】
カトラリー……うん。
ミカエルなら、きっと大丈夫だよね。
ベルギー支部少佐こちらの状況は。
ベルギー支部兵士1少佐!
ファル殿の助言を受け、一帯を封鎖、検問を行っています。
ベルギー支部少佐よし、引き続き頼んだぞ。
ベルギー支部少佐君が〇〇君か。
今回の件、最近エノーロワで頻発している
行方不明事件に関連している可能性が高い。
ベルギー支部少佐犯人グループの隠れ家となりそうな場所を、
別働隊が現在しらみ潰しに捜索しているところだ。
ファル……そちらの地図を拝見しても?

少佐が持参した地図をチェックする。
すでに空振りだった場所には×印がつけられている。

ファル残った中では……この工場地帯が怪しいですね。
稼働していない施設も多いはず。
隠れ潜むにはもってこいでしょう。
ベルギー支部兵士2会議中、失礼いたします!
市民からの通報がありました!
ベルギー支部兵士2廃工場で爆発が発生した模様です!
巡回中の部隊が向かったところ、
行方不明となっているミカエル殿らしき姿が見えたと!
カトラリー……っ!
ベルギー支部少佐現場へ急行する。
〇〇候補生たちも同行を!
主人公【イエッサー!】
ベルギー支部少佐お前たちは、救急と消防にも応援を要請するように。
廃溶剤に引火して被害が拡大する恐れもある。
警戒を怠るな。
ベルギー支部兵士たちはっ!

〇〇たちが現場へ到着した時、
すでに消防なども到着して、消火活動が行われていた。

カトラリーミカエル!!!

カトラリーが工場に飛び込もうとする。

消防士ダメです、近づいてはいけません!
カトラリーでも、火が!!
ミカエル……ミカエルー!!
ファル…………。
消防士危険です、離れてください!
さらに爆発するかも……!
カトラリーそんな……ミカエル……!
???──ら……よ。
カトラリー今の……ミカエルの声……?
ファルあちらから聞こえました。
罠かもしれませんので、警戒してください。

声の聞こえた方に駆けつけると、
火の手が迫りつつある工場の一角で
ミカエルが少女を人質にとった男と対峙していた。

男の手にはナイフが握られており、
少女の首筋に刃が当てられている。

カトラリーミカエル、無事だったんだ……!
ミカエルうん、きみの銃が役に立ったよ。
動くな! こっちに来るんじゃねぇ!
道を開けろ!!
主人公【お前は逃げられない、投降しろ!】
【この建物は包囲されている!】
うるせぇ、いいから道を開けろ!!
このガキがどうなってもいいのか!!
ミカエル…………。

〇〇たちは男を刺激しないよう、
静かに左右に分かれて道を開けた。

来い!
少女いやぁっ……!

怯える少女を引きずりながら、男が廊下に出る。
その瞬間──

ファルこんにちは。
なっ!?

物陰で待ち伏せていたファルが男の手を捻ってナイフを奪い、
そのままナイフを男の足に突き刺した。

ぐああああ!!
カトラリーファル……!
ファル……ほら、ぼんやりしていないで、
あなたも早く逃げなさい。
少女わ、わぁぁん……っ!
怖かったよぉ……!
主人公【もう大丈夫だよ】
【安全なところに行こう】

ファルは人質の少女を〇〇に引き渡す。
一部始終を眺めていたミカエルに、カトラリーが抱きついた。

カトラリーよかった、無事で……!
ミカエルうん、迎えに来てくれたんだね。
く……そ……!
ファルああ、大丈夫ですよ。
あなたのことは忘れていません。
お聞かせ願いたいことが多いので……ゆっくり楽しみましょう。
ファル行方不明者の詳細、組織、犯行動機、目的……。
会話の種はたくさんありますね。
ファルペラペラ喋ってくださっても構いませんが……
私、お仕置きというものに少々興味がありまして。
楽しませていただけるなら歓迎しますよ。

ファルは、男の傷口を容赦なく踏みにじった。

うぐっ……ぁああッ!
カトラリーファル……顔、怖いよ……!
ファル心外ですね。これは笑顔でしょう。
カトラリーそ、それはそうかもしれないけど……。
主人公【ベルギー支部に引き渡そう】
【私刑は禁止されている】
ファル…………。
ファルマスターの仰せであれば、仕方ありませんね。

ファルが男を蹴り転がす。
合流してきたベルギー支部の兵士たちが男を確保した。

ファルもうおしまいですか。
残念ですね。
カトラリーファル……。

Ep3. 在りし日の微笑み

──トルレ・シャフ本部にて。

エフアインスお兄様、おかえりなさい♥
どこに行ってらしたの?
アインスこれを受け取っていた。

どさりと置かれた袋の中には、
いろいろな花の種子の袋が入っている。

エフウフ♥ アインスお兄様は本当にお花がお好きね。
もちろん、今回も赤いお花なんでしょ?
エフ……この種……。

エフは、赤いポピーの写真が印刷されている種子の袋を見つけ、
ピタリと手を止めた。

エフ(シャーレーポピー……
約束の、花……)

ゴースト目印は、赤い花──
ファルはんには、そう伝えとくわ。

エフお兄様……。
アインス……ただ、色が気に入っただけだ。
アインスここじゃ、花は育たねぇ。
どこかに種子を蒔きに行くぞ。

──翌日。
人気のない寂れた公演に、2人の姿があった。

アインスここなら、当面誰も触らないだろうな。

世話する人もいないのか、荒れてしまっている花壇。
枯れた花を抜き、土をほぐして、
2人はシャーレーポピーの種を蒔いていく。

エフやーん! 爪に土が入っちゃったわ。
アインス手袋をやっただろう? なぜ使わない。
エフ今日は……この手で土を触ってみたかったの。
エフほら、昔……。
こんなふうに、みんなで花を植えたことあったでしょ?
エフあの時のアタシは、土なんてやぁよって触らなかったわ。
アインスそうだったな。
エフでも……花が咲いた時、
一緒に植えればよかったって、ちょっと後悔したの。

──イレーネ城の庭園の一角にて。
アインスの花壇が、満開の花で鮮やかに彩られていた。

エフまあ! 綺麗ねぇ。
さすがアインスお兄様だわ♥
ファル庭師が世話しているエリアに勝るとも劣りませんね。
アインスが日頃から世話をしていた成果でしょう。
アインス……ファル、お前もだろう?

アインスは摘んだポピーで作った花束を、
ファルに持たせる。

ファルはい?
私は何もしていませんが。
アインス俺がいない時、水やりをしていたと聞いた。
それに、芽を抜きに来たカラスを追い払ってるのも見たぜ。
ファル……っ!
ファル……見られていましたか。
アインス……盗み見とは、あなたも人が悪いですね。
エフフフ……♥ やだ、ファルちゃん。
照れてるのぉ?
ファル違います。
エフあはは、やっぱり照れてるじゃなぁい!
アインス……ははっ!

エフ(……あの時の、ファルちゃんの笑顔……。
やぁね、こんなこと思い出して……)
エフ(今思えば……あれが『幸せ』だったのかしら。
アインスお兄様も、アタシも……ファルちゃんも)
エフ……ファルちゃん……。

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×