メインストーリーⅠ:第21話~第24話

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第21話:ブラウン・ベス

シャルルヴィルあっ……!
シャルルヴィルな、なんてことするのさ!
ケースを割るなんて、乱暴すぎるっ!
ライク・ツーうるせーな。
ブラウン・ベスは絶対高貴になれるって聞いたぞ?
シャルルヴィルた、確かにそうだけど、
量産銃のうちの1挺が絶対高貴になれたからって
全部がなれるわけじゃ……!
ライク・ツー現状可能性が高いのは、こいつだろ。
早くしろよ。
うちのマスターが死んだらどうしてくれるんだ?
ライク・ツーこいつが死んだら、俺たちも消えるんだ。
……そんなのはごめんだね。
ライク・ツーそれとも、お前が絶対高貴になって
治療してくれるのかよ?
シャルルヴィルそ、それは……。

布ごと、ブラウン・ベスを持ち上げて手にとってみる。
ずっしりとした銃からは、歴史の重みを感じた。

イギリスを長きにわたって支えたブラウン・ベス。
彼なら、薔薇の傷を治すために
力を貸してくれるだろうか。

主人公【ブラウン・ベスに触れても?】
【貴銃士になってほしい】
シャルルヴィル……ロジェ様に怒られても、
ボク、知らないからね!
ライク・ツー〇〇。
お前の正直な気持ちを込めてみろ。
……できるよな?
主人公【もちろん】
【やるしかない】

ブラウン・ベスの銃身に、〇〇は
祈りを込めた右手で、そっと触れる。

その途端、ブラウン・ベスが光を放ち、
光があたりを眩く照らしていった。

ブラウン・ベス(?)…………。
ラッセル…………!
ブラウン・ベス(?)……Hello, Everybody!
ライク・ツーあ?
マークスは?
ラッセルえ?
主人公【ええっ??】
【は、はろー……?】
シャルルヴィルベスくん……?
ブラウン・ベス(?)ん? オレの名前はジョージだけど?
シャルルヴィルジョージ……?
えっ……あ、ああ!
そ、そうくるっ!?
ライク・ツーどう来たんだよ。
シャルルヴィルえーっとね。
ブラウン・ベスって銃には2つの側面があるんだ。
シャルルヴィルひとつは、さっきそのおじさんが説明してた
イギリス初の制式銃としての側面。
ラッセル(お、おじさん……!?)
シャルルヴィルそしてもうひとつは──
アメリカ独立戦争で、
イギリス軍と戦った銃としての側面。
マークスイギリス軍と?
イギリスの銃なのにか。
シャルルヴィル量産銃、って言ったでしょ。
ブラウン・ベスはアメリカとイギリス両軍の
主要な装備だったんだ。
ライク・ツーじゃあ、つまりこいつは……。
シャルルヴィルそう、おそらくは──
アメリカ独立戦争で用いられた、アメリカ側の人格!
ジョージん? おまえ……
もしかして、あのシャルルヴィルか!
ジョージいやぁ、久しぶりだなあ!
アメリカ独立戦争では、
アメリカ側で一緒に戦ったよな!
ジョージ久々に会えてうれしいぜ! 300年ぶり?
はっはっは!
シャルルヴィルう、うん……ひ、久しぶりだね。
シャルルヴィルあのね。実は、この人たちが
絶対高貴になれる貴銃士を探してて……。
ジョージOh! 絶対高貴ね~。
それはなかなか大変そうだな。見つかりそうか?
マークスいや、あんたに期待して呼び覚ましたんだが。
ジョージえ、オレ!?
ジョージHAHAHA!
頼ってくれるのは嬉しいけど、
オレなんて無理無理!
ライク・ツーは? 何言ってんだよ。
古銃の貴銃士だろ? なれるだろ。
ジョージ古銃の貴銃士ってだけで全員がすぐに
絶対高貴になれるってワケじゃないよ。
ジョージなっ、シャルルヴィル?
シャルルヴィルえ!?
ボ、ボクは……。
ジョージおまえも、絶対高貴に目覚めるのに苦労しただろ?
シャルルヴィルああ、そうだね。それはもちろん。
ジョージこんなキレイなシャルルでも苦労したんだ。
高貴じゃないオレには、できなさそうだよ。
マジでごめんな。他の奴らにでも──

第22話:光

ジョージマジでごめんな。他の奴らにでも──
マークス…………。
マークス……ふざけるな。
お前もシャルルヴィルもいい加減にしろ!
マークスマスターはお前ならと思って呼び覚ましたのに、
ハナから無理だと諦めて見捨てるのかよ!
それでも貴銃士か!?
マークスマスターを見ろ!
こうしている間にも、
マスターの薔薇の傷はどんどん進行してるんだ!
マークス時間がないっつーのがわかんねぇのかよ!?
のんびりしてる場合じゃねぇんだ!
ジョージ…………。
ラッセルマークス……。
マークス……はぁ。
マークスこんな奴を頼りに来た俺が馬鹿だった。
マークス時間がない。
マスター、行こう。
マークスこの際、どこの銃だっていい。
なんとか宮殿に行って、
革命戦争で戦った貴銃士を呼び覚ませばきっと──
ジョージ…………。
ジョージ……待って!
マークスもういい。
ジョージ違うんだ……。
いや、違わないんだけど、うん。
ジョージおまえがマスターのことを想う気持ち、
伝わったよ。
ジョージそれに、マスターからの思いや願いも……
さっき呼び覚まされた時に、なんとなく感じた。
オレは人を助けたい。だから、マスターの声に応えた。
ジョージだから……。
ごめん、ほんとのこと言う。
ジョージオレは絶対高貴にはなれない。
今はなれないけど、でも……!
ジョージいつか絶対高貴になるのは、オレの夢なんだ!
ジョージだからマスター……お願いだ。
オレもそばにいさせて?
ジョージ絶対高貴、いつかなれるように努力する。
必ず、なってみせる。
ジョージオレはさ、
マスターみたいに苦しんでいる人を助けたいんだ!
ジョージその日が来るまで……
いや、絶対高貴になったそのあとも、
マスターに忠誠を誓うよ。

ジョージがそっと〇〇の右手をとり、
薔薇の傷が血を滲ませる手の甲に
恭しく口づけをした。

その時──

ラッセルな、なんだこの光は?
主人公【もしかして、これが……?】
【絶対高貴……?】
マークスこれが、絶対高貴……。

温かい光。
──身体が、軽い。

ずっと続いていた苦痛が、
光に浄化されるように消えていく。

マークス……!
マ、マスター!
マークス見ろ! おい、見ろ!
マスターの傷が、修繕されていくぞ!!
ジョージえっ……?
もしかして、オレ……?
主人公【ありがとう】
【助けてくれたね】
ジョージオレ、なれたのか?
──絶対高貴に。
ジョージ…………。
ジョージよっっしゃ~~~!!!
マークスマスターが!
元気になったぞ!!
ラッセル俺にも見せてくれ!
……本当だ。
ラッセル信じられない。
絶対高貴にはこんな力があるのか……。
ライク・ツーへぇ……。
すごいじゃないか!
シャルルヴィル……!!
シャルルヴィルさ、さすがだね、ジョージ。
…………。
ジョージThank you、シャルルヴィル。
……それに、マスター!
ジョージオレ、マスターに会えて本当によかった。
これから、よろしくな!

 

第23話:アクシデント!?

ラッセルひとまず、これで安心だな。
一度、学校に戻って……
ラッセル……あっ!?
ライク・ツーおい、なんか棚から落ちたぞ。
ラッセルし、しまった。
貴重なものかも……ん?
ラッセルこれは銃か?
まったく見たことがない形だ。
シャルルヴィルここにあるのは奇銃だよ。
別の道具を銃に改造したものだけど……
これは……なんだろうね。
ラッセル奇銃か。
革命戦争では、食器や杖の仕込み銃も
活躍したと聞くが……。
ラッセル〇〇君も見るかい?
主人公【ぜひ】
【せっかくなので】
???…………。
ラッセルうわぁ!?
???──男! そこを動くな、曲者め!
???俺の目と鼻の先で盗人を働くたぁ、見上げた根性だ。
???であえ、であえ~!
この同心十手が相手になるぞぉ!
十手…………。
全員…………。
主人公【(ポカーン)】
十手……え、っと……?
十手どうしたんだい、お前さんたち。
ずいぶんと、その……張り合いがないな?
ラッセルす、すまない。
君は、一体……?
十手おっと、よくぞ聞いてくだすった。
十手俺は指し火式火縄銃の十手鉄砲。
江戸時代の奇銃だ。
ラッセルふむ、君も古銃の貴銃士ということか。
十手そういうことだな。
十手わかったところで、神妙にお縄につけぃ!
ライク・ツーおらっ。
十手ぐわっ!
十手いきなり蹴るとは、どういう了見だ……。
ライク・ツーなんかよくわかんねーけど……
一応、古銃の貴銃士ってことだよな。
ってことはお前も絶対高貴になれるのか?
十手絶対高貴!
十手…………。
ぜ、絶対……高貴……とは……?
ライク・ツーはぁ。
ダメだこりゃ。
ラッセルラ、ライク・ツー!?
銃をしまうんだ!
十手な、何をする気だ!?
ライク・ツー何って。
お前は絶対高貴になれないんだろ?
ライク・ツーしかも、お前の銃……なんだそれ?
指し火式って……戦場で毎回マッチでも擦るのか?
ライク・ツーそんな足手まとい、いらねぇから。
……ジョージがいれば十分だ。
ライク・ツーいらないなら、とっとと銃に戻す。
……合理的だろ?
十手ま、待ってくれ!
十手その、絶対ナニガシというのは知らないが、
俺はそちらの御仁の力になりたくて……。
ライク・ツーだから、絶対高貴になれなきゃ力になれねーんだよ。
十手そんな。
ま、待ってくれ……!
ジョージHey! Hey! Hey!
ちょっと待てよ、2人とも。
ジョージそんなにお堅いこと言うなって。
……な?
ジョージアクシデントで召銃されたけど……十手だっけ?
オレそんな銃見たことないよ、COOL!
ジョージなんか、面白そうじゃん。
それに、人数が多い方が賑やかで楽しいだろ?
ジョージな、マスター!
マスターもそう思うだろ?
主人公【その通り!】
【一緒に行こう!】
十手……っ!
お、恩に着るよ!
十手助け舟、痛み入る。
本当にありがとう! マスター!
ライク・ツー……お前ら、甘すぎ。
ラッセルふぅ。
アクシデントはあったが、なんとか体制は整ったな。
ラッセルでは、改めて学校に戻ろうか。

シャルルヴィルジョージたちのことは、
ロジェ様にボクから言っておくよ。
主人公【ありがとう】
【よろしくお願いします】
マークス世話になったな。
シャルルヴィルあと……1つ、ボクから助言。
薔薇の傷跡は、マスターが「力」を使うほどに
広がっていく。使い過ぎに気を付けてね。
マークスああ……わかってる。
主人公【気にしすぎないで】
【大丈夫だよ】
マークスどんな手段を使っても、
どんな代償を払っても……。
マークス……いや、なんでもない。
ライク・ツーほら、早く行くぞ。
十手ほう……! これが、異国の風景か……!
ラッセル俺は車を手配してくるよ。
人数が増えたが……まぁ、大丈夫だろう。
ラッセル賑やかになるなぁ。はは!
ジョージ…………。
オレ、絶対高貴になれたんだ……。
ジョージあいつは……。
あいつはなれなかったのに、どうして……?

第24話:帰還

ジョージWow……!
すっげぇ立派な建物だな!
ライク・ツー……古臭いけどな。
十手歴史を感じていいじゃないか。
俺はなかなか好きだよ。
ラッセル長旅ご苦労様!
ここが、これから君たちの活動拠点となる
フィルクレヴァート士官学校だ。
ラッセルさっそくだが、軽く施設の案内をしよう。
まずはどこから回るか──。
マークスマスター、疲れてないか?
早く部屋に戻って休もう。
マスターに士官学校の案内は必要ないしな。
ジョージなあなあ!
向こうに見えるヘンな形の建物ってなんなんだ?
ライク・ツーそういや……。
おい、ラッセル。士官学校なんだから、
まともなトレーニングルームくらいあるんだろうな?
ラッセルあ、ああ……施設は充実しているぞ。
ラッセルそれはそうと、私のことはラッセル教官と呼びなさい。
貴銃士であれど、士官学校で暮らす上のルールだ。
ライク・ツーあぁ?
十手ラ、ライク・ツー君……。
日本には郷に入れば郷に従え、
ということわざがあってね。
十手新しい土地や環境に来たら、
そこでの習慣ややり方に従うべき、だという──
ライク・ツーうるせぇな。
大して役に立たねぇ妙な銃のくせに、
口だけは一人前かよ。
十手うっ、うぅ……。
ライク・ツーここに来るまでの戦いでも──
アウトレイジャー殺、ス……!
十手俺の出番だな。
十手鉄砲の力をとくと見よっ!
十手……って、火種がないっ!
アウトレイジャー……殺ス……消ス……!
十手ひ、ひぃっ!
ライク・ツーはぁ!? ったく、何やってんだよてめぇ!
アウトレイジャーウッ、グァ……ッ!
ライク・ツーはぁ……。てめぇ何考えてんだ。
戦場で悠長に火種探してる暇なんか
ねぇに決まってんだろ!
十手す、すまない……。
しかし助かったよ。ありがとう。

──バァンッ!!

十手ヒェッ!!!???
ジョージうおっと! 変なところに飛んじまった!
悪い十手、大丈夫かー!?
十手だ、大丈夫だが……。
ジョージあー、びっくりした。
当たんなくてマジでよかったよ。あっはっは!
十手は、はぁ……。
ライク・ツーチッ……これだから古臭い銃ってやつは。
役に立つどころか邪魔にしかならねぇな……。
マークスおい、まだ来るぞ!
……数が多いな。
ライク・ツー一気に片付けるか。
戦えない奴を守りながら長期戦は無理だ。
マークス…………。
短期決戦の方が、マスターへの負担も少ないか……。
主人公【大丈夫、絶対非道を使って】
【2人の力を貸してほしい】
マークス……っ、ごめん、マスター……!
マークス&ライク・ツー──絶対非道!
アウトレイジャーグァァァ……ッ!
十手こ、これが、絶対非道……。
とんでもない力だな……。
ライク・ツーよし、片付いたな。
マークスマスター! 傷は大丈夫か?
主人公【平気だよ】
【そんなに悪化してない】
ジョージおいおい、そんな白い顔して無理すんなって!
オレがすぐに治すからさ。
ジョージマスター、手を貸してくれ。
十手おお……。
すごい、傷が治っていく……。
ジョージよーし、こんなもんだな!
十手(マークス君とライク・ツー君は、
絶対非道の凄まじい力で、
アウトレイジャー相手に堂々と戦っている……)
十手(ジョージ君は俺と同じ古銃だけど、
絶対高貴になってマスターの傷を癒せる……)
十手(……何もできないのは俺だけ、か……)
ライク・ツーお前もさっさと、
絶対高貴に目覚めるとかなんとかして、
役に立つようになれよ。
ライク・ツー戦場で使えねぇ奴を庇って戦う余裕はない。
わかったな。
十手あ、ああ……。
ジョージあんまり気にすんなよ、十手。
絶対高貴にいつどうやって目覚めるかなんて、
オレたち自身にもよくわかんねーんだしさ。
ジョージそれに……あいつも一応、
おまえのこと心配して言ってるんだと思うし!
十手……ありがとう、ジョージ君。
ラッセルあー……。
君たち、ちょっといいか。
ラッセルまずは士官学校の雰囲気を知るために、
訓練の様子を見に行こう。
私についてきてくれ。

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