今日は1年に1度の特別な日。
普段は甘やかすまいとしているライク・ツーも、本心を密かなメッセージにして伝える。
後悔と決意と、まだ言えない本当のこと。
色々あれど、伝えた言葉はすべて本物。
名誉挽回の野望を抱いて始まった新しい『俺』。
発破をかけるため吐いた言葉はいつしか澱のように沈んでいた。
『ごめん』それは前に進むためのメッセージ。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
※このカードストーリーはフルボイス仕様です。
──〇〇の誕生日。早朝。
マークスは緊張してよく眠れず、
いつもより2時間ほど早く起きたのだった。
マークス | (……今日はついてにマスターの誕生日だ。 プレゼントにオープンカー……いろいろと準備はしてきたが、 マスターは喜んでくれるだろうか……?) |
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──ぐぅ。
マークス | 腹が減った……。 とりあえず、何か食べに行くか。 |
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マークスがキッチンに入ると、
ライク・ツーがテーブルで何か作業をしていた。
ライク・ツー | よう、早起きだな。 |
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マークス | あんたこそ。 こんな早くにキッチンで何をしているんだ? |
ライク・ツー | 今日は〇〇の誕生日だろ? パーティーで使うものをセッティングしてたんだよ。 |
マークス | ん……? テーブルに落書きするのが、パーティーのセッティングなのか? |
ライク・ツー | はぁ? 落書きじゃねぇよ、見たらわかるだろ。 |
ライク・ツー | こういうのをテーブルアートっつーんだよ。 チョコレートやらフルーツのソースを使って、 テーブルに文字とか絵を描いてんの。 |
ライク・ツー | 見た目が華やかでお祝い向きだろ。 それに、ケーキだってソースで味変しつつ食えるわけ。 |
マークス | 本当だ……『Happy Birthday』って書いてある。 落書きじゃなかったんだな。 |
マークス | でも、このテーブルを会場に運ぶのは大変じゃないのか? |
ライク・ツー | よく見ろ。テーブルに直接じゃなくて、 透明のシートの上に描いてるだろ。 これをこっちの小さいプレートに乗せるわけ。 |
ライク・ツー | これなら冷蔵庫に入るし、パーティー会場まで楽に持っていける。 「サプライズ!」ってな。 |
マークス | なるほど……。あんたの案というのが気に入らないが、 これはマスターも喜ぶはずだ! よし、俺も手伝うぞ。 |
ライク・ツー | もうあらかた終わってるんだけど……。 あとは仕上げに、イイ感じに薔薇の花びらを散らすだけだ。 |
マークス | 食用薔薇なら、俺が温室で育てている。 取ってくるから、少し待ってろ。 |
ライク・ツー | いや、その必要はないぜ。 |
マークス | ん……? どういうことだ? |
ライク・ツー | 温室にあったのをむしってきた。 あれ、お前の薬草園だろ。 |
マークス | おい、勝手に何しやがる!? マスターの誕生日ケーキを飾るためなら本望だが! |
ライク・ツー | 怒ってんのか喜んでんのかどっちだよ、お前は。 |
ライク・ツー | ま、お前が育てたやつだし、飾り付けは任せてやる。 あんまりちんたらしてると、俺が代わりにやるからな。 |
マークス | これは俺の仕事だ! あんたはさっさと最高にアートを仕上げろ。 |
ライク・ツーから花びらの入った器を受け取り、
マークスは花びらを飾り始める。
マークス | ……なあ。1つ聞きたいことがある。 |
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ライク・ツー | なんだよ。 今集中してるから、どうでもいいことならあとでな。 |
マークス | 大切なことだ。 ……あんた、マスターの誕生日を祝う気持ちはあるのか? |
ライク・ツー | はぁ? あるからこんな朝っぱらから手の込んだもん用意してんだろ。 |
ライク・ツー | 〇〇……あいつはさ。 |
ライク・ツー | 親を亡くして、親友も亡くして、 たまたま結晶を触ったせいでマスターになっちまって、 まだ士官候補生なのにあちこちに駆り出されて……。 |
ライク・ツー | 今日くらいは、普通に誕生日を楽しむべきだろ。 ……最高の1日にしてやりてぇと思ってる。 |
ライク・ツー | ま、日頃の感謝も一応あるしな。 |
マークス | ……そうか。 あんたにも、そういう気持ちがあるんだな。 |
ライク・ツー | ……馬鹿にしてんのか? |
マークス | 意外だっただけだ。 同じ日に召銃されてからずっと近くにいるが、 いまだにあんたのことはよくわからない。 |
マークス | あんたは悪いやつじゃない、と思う……。 ……きっと。 |
マークス | もちろんマスターの1番の相棒は俺だ! でも、マスターにとってはあんたも大事な仲間だと思う。 |
ライク・ツー | そりゃどーも。 |
マークス | マスターもあんたに祝ってもらえたら喜ぶだろう。 |
ライク・ツー | ……言ってるセリフのわりには、顔が渋いぞ。 |
マークス | う……っ。 俺にはこういうアイデアは浮かばないし……。 |
マークス | 認めるのはしゃくだが、このプレートの出来はいいと思う……! |
ライク・ツー | お前、マジでどうした。熱でもあるのか……? |
マークス | そうだな、あるかもしれない。 ……いや、あるに違いない。俺があんたを認めるなんて……っ。 |
マークス | 今のは忘れろ! ほら、薔薇の飾りつけも完了だ! |
ライク・ツー | ……ふっ。 あっそ、りょーかい。 |
今日は〇月〇日(※)──〇〇の誕生日当日。
貴銃士たちが開いた〇〇の誕生日パーティーにて……。
(※:プロフィールに設定している誕生日が表示される。デフォルトは10月14日)
ライク・ツー | よう、〇〇。 |
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ライク・ツー | 誕生日ケーキ、その辺の店より美味いだろ。 タバティエールたちがすげえ気合入れて作ってたからな。 |
主人公 | 【テーブルアートもありがとう】 【飾りつけもセンスよかった】 |
ライク・ツー | ……テーブルアートの準備をしてる時、マークスが来てさ。 あいつも一緒に飾りつけしたんだ。 |
ライク・ツー | 薔薇の花びらは、あいつが育てたやつだ。 質がいい薔薇だから、こう……全体の完成度も上がったよな。 |
ライク・ツー | ……あと、これ。お前にやる。 |
主人公 | 【大きい紙袋……!】 【何が入ってるの?】 |
ライク・ツー | 俺からのプレゼントだ。 気になるなら、ここで開けてもいいけど? |
ライク・ツーがくれた紙袋の中には、洋服が一式入っていた。
ライク・ツー | 〇〇に合わせて、 帽子からシューズまでトータルコーディネートした。 |
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ライク・ツー | こういう普段用の洒落た服が1揃えくらいあってもいいだろ。 お前、放っておくと制服ばっかり着てるし。 |
ライク・ツー | ん……? なんだよ、その顔は。 |
主人公 | 【もしかして、職業体験に励んでたのは……】 【これを買うためにあんなに職業体験を……?】 |
ライク・ツー | なっ! 誰から聞いたんだよ、それ! |
ライク・ツー | 別にこれ買うためだけに職業体験しまくってたわけじゃねーよ。 |
ライク・ツー | 余計なこと気にしないで、もらっとけ。 |
主人公 | 【一緒に出かけてくれる?】 |
ライク・ツー | ……え? |
ライク・ツー | いや、別に……。 俺が買った服だからって、俺と出かける必要はないだろ。 お前が一緒に出かけたい相手を誘えよ。 |
主人公 | 【ライク・ツーがいい】 【だからライク・ツーを誘ってる】 |
ライク・ツー | ……あっそ。それなら、別にいいけど。 |
主人公 | 【楽しみにしてる】 【やった! お願いします!】 |
ライク・ツー | …………。 |
ライク・ツー | ……あのさ。 実は、テーブルにちょっと、仕掛けがあるんだ。 |
ライク・ツー | これ……ブラックライト。 テーブルの端のとこ、照らしてみてくれ。 |
〇〇が白いテーブルクロスにブラックライトを照らすと、
美しい模様と共に『ごめん』という文字が浮かんだ。
主人公 | 【これは……?】 【どういうこと?】 |
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ライク・ツー | ずっと言いたかったけど、機会がなくて……。 |
ライク・ツー | ……ごめん。 召銃された時、お前のこと腑抜けって言ったこと。 |
ライク・ツー | あれは撤回する。 お前は誰よりも強い、俺の自慢のマスターだ。 |
主人公 | 【ライク・ツー……!】 【ありがとう!】 |
ライク・ツー | おう……。 |
ライク・ツー | ま、特別なのは今日だけで、 明日からはまたビシバシ鍛えてやるからな。 覚悟しとけよ、〇〇。 |
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