主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
体力測定のため、貴銃士特別クラスで短距離走が行われていた。
ケンタッキー&ジョージ | っだぁー! |
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ジョージ | イエーイ☆ オレがいっちばん☆ |
十手 | ふぅ! ジョージ君、早いねぇ……! |
恭遠 | よし。 第1グループはこれで終了だな。 次の6名の準備を……。 |
恭遠 | ……ん? 5人分しかタイムがない……? 6人走ったはずだが。 |
恭遠 | 第1グループのメンバーは、 ドライゼ、エルメ、ジョージ、ケンタッキー、十手……。 |
恭遠 | あと1人は……。 …………! |
ゴースト | 俺、だ……。 |
恭遠 | あ、ああ! ゴーストだったな。 |
ゴースト | 俺が1位だったん、だけど……。 |
ゴースト | まさか…………見逃してた、のか? |
ジョージ | えっ!? ゴーストが先にゴールしてたのか!? |
恭遠 | ……す、すまない! |
恭遠 | 俺が測定した記録の1位は、ジョージで……。 君の分が測定できなかった。 |
恭遠 | 非常に申し訳ないが、もう1度走ってくれるか……? |
ゴースト | (……そんなこったろうと思ったわ。予想はついとったけどな) |
ドライゼ | そういえば、ドイツ支部でもお前の走る姿を見たことがないな。 俺からも頼む。ゴースト。 |
エルメ | 確かにそうだね。俺も興味があるよ。 |
ゴースト | ……わかった。 |
恭遠 | では、位置について……! |
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恭遠が持つスターターピストルの合図とともに、
ゴーストが俊敏な動きで走り出す。
ジョージ | Wow!! スゲーな!! |
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ケンタッキー | はああっ!? これ、完全にチート級だろ! |
そして、あっという間にゴールした。
もちろん6人の中で最速の記録だ。
エルメ | ゴースト……君がそんなに足が速いなんて、知らなかったよ。 |
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ゴースト | ふ……速さには自信がある、ぞ……。 |
ゴースト | 俺の銃……DG11のバースト射撃なんて、 1分で2000発だしな……。 |
ケンタッキー | マジかよ!? |
十手 | そんなに早いだなんて、銃としてあり得るのかい!? |
ゴースト | ふふん……俺の銃はな。 発射の反動が射撃手に伝わって照準がブレてま……しまう前に、 できるだけ多く打ち切ってしまえっていうコンセプトなん……や。 |
ドライゼ | む……? |
ドライゼ | もしや、お前が神出鬼没だと言われているのは その移動速度もあってのことか? |
ジョージ | へー! すげー! ゴーストって、存在感がないだけじゃなかったんだなっ! |
ゴースト | …………。そ、そうだな……。 |
ゴースト | (喜んでええんかどうか、わからん……!) |
その日、貴銃士特別クラスでは射撃訓練が行われていた。
ジーグブルート | やるぜ……! おらぁっ!! |
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ゴースト | …………。 |
ゴースト | (ジグのやつ、今日も張り切っとるなぁ。 ワイは弾薬温存しとこ……) |
ジョージ | Oh! Cool! |
ジョージ | やっぱババババッて撃てるのいいよなー! オレも50挺くらいあればズバババって撃てるんだけど……。 |
ジョージ | って、わー!? |
ジーグブルートに近づこうとしたジョージが、突然転倒した。
ジーグブルート | おい、何やってんだ!? 今、思いっきり腰ぶつけただろ……。 |
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ゴースト | 痛そう、だったな……大丈夫か……? |
ジョージ | いててっ! あー、やっちゃったなぁ。 |
ゴースト | (すぐに立ち上がりよった……! 意外とタフやな、こいつ) |
ジョージ | あー、これで転んだんだ! ジーグブルートの銃から出たコイツ! |
ジョージは、地面に散らばった空薬莢を拾い上げる。
ジーグブルート | ああ、現代銃は撃ったあと空になった薬莢が落ちるぜ。 今度から足元に気を付けろ。 |
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ジョージ | はーい。 |
ゴースト | ふふん……そう、だろ……。 |
ジーグブルート | あ? なんだゴースト。ニヤニヤしやがって。 |
ゴースト | 金属薬莢……ってのは、たくさん撃ったらこんなふうに、 そこら中、空薬莢で埋めつくされて危ないん……だ。 |
ゴースト | 戦場でずっこけたら、しゃれにならない……よな。 |
ジーグブルート | だから気ィつけろつったじゃねぇか。 |
ゴースト | 発射した直後の空薬莢は激ア……高熱で、 触ると火傷するし、二重に危ない……。 |
ゴースト | やっぱり薬莢なんていらん……いらないんだ。 |
ジーグブルート | ハッ。だからって薬莢をなくそうとして、 てめぇみたいな失敗作になるよりずっといいと思うぜ? |
ゴースト | むぅっ……。 俺の方が一応先輩なのに、生意気……だ! |
ゴースト | お前には……パスタ食う直前で銃に戻された恨みがあるからな。 一回しばいた……負かしてやるか。 |
ジーグブルート | おう、いいぜ。上等だ! かかってこいよ相手になるぜ!! |
ジョージ | ちょ……ストップストップ! |
ジョージ | オレが滑ったせいでこうなっちゃったのか? もう滑らないから! 許してくれよー! |
ジーグブルート | 別にお前のせいじゃねぇよ。 |
ゴースト | はぁ……。 |
ある日の任務中。
突然の豪雨により、〇〇たちは洞窟で
雨宿りをすることになった。
シャスポー | くっ……。 イギリスの気候はこれだから……鬱陶しい雨だ。 |
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グラース | 自分が湿気に弱いからって天気に八つ当たりか? みっともないぜ、お兄様♥ |
シャスポー | なんだと? |
グラース | 紙製薬莢は湿気に弱いですからねぇ。 兄さんも僕みたいな金属薬莢ならよかったのに。 |
シャスポー | みっともないのは君だろ。 人が弱ってるところにネチネチつけ込むなんて、薄汚い性分だな。 |
シャスポー | シャスポー銃からグラース銃に改造されるときに 品性が欠けてしまったんだね、かわいそうに。 |
グラース | あのな! 僕は性能の話をしただけだ。 お前こそ、毎回ネチネチ言いやがって! |
タバティエール | おい、2人ともそのぐらいに……。 |
ゴースト | ちょっと……静かにしてくれ、ないか……? ううっ……。 |
タバティエール | えっ……? お前さん、具合が悪いのか? |
グラース | は? なんでだよ? お前は湿気なんて平気だろ、現代銃なんだから。 |
ゴースト | 前に、言わなかったか……? 俺は……ケースレス弾だから、薬莢がない。 |
シャスポー | ……つまり、紙でも金属でもなく、 そもそも薬莢自体がないってことか? |
タバティエール | じゃあ、お前さんの弾薬はどういう構造になってるんだ? |
ゴースト | ワ……俺の弾薬は、火薬を固形にした特殊なケースで 弾を包んでいる状態なん……だ。 |
ゴースト | 火薬は丸出し……何もコーティングされ……てないから、 すごく湿気に弱いってこと。 |
グラース | マジかよ……! 現代銃にもそんな情けないやつがいたなんて驚きだな。 |
ゴースト | (こ、こいつ……! 雨が止んだら速攻呪ったる……!) |
シャスポー | ふっ……つまり、グラースは湿気に強いから、 雨でも台風でも問題にならないと言いたいわけだ? |
シャスポー | ……そんなに湿気が好きなら、君は外に出ていればいいだろ! |
グラース | はぁ!? |
ゴースト | (おっ。シャスポーのやつ、いいこと言いよったな。 ワイも加勢したろ) |
ゴースト | そう、だ……そうだっ。 |
グラース | おい、やめろって! 2人がかりで押すなっ! |
グラース | 濡れて髪がぺったんこになっちまうだろ!! |
タバティエール | ははっ……なんて言ったらいいやら……。 |
ある日。
ゴーストは、談話室で新聞を読むファルを目にした。
ゴースト | ファル……? 新聞を読んでるなんて、珍しいな。 |
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ゴースト | 何か、面白いことでも書いてあるのか? |
ファル | ええ……経済の動向を少々。 |
ファル | 農園を1つ買おうと思っていまして。 |
ゴースト | はっ!? |
ゴースト | (農園を買うて……! どういう風の吹き回しや!?) |
ファル | この記事によると、フランスのとあるワイナリーが経営の危機に 瀕しているそうで。 |
ゴースト | (ああ……農園て、ワイン絡みの話やったか。 ファル、好きやもんな) |
ファル | そういうわけで私が購入を検討しているのですが、 現状では資金が足りないので金策を考えていたところです。 |
ゴースト | 金かぁ……。 |
ゴースト | あっ、そういえば……。 俺のマガジンなら高値で売れるらしい、よ。 |
ファル | ほう……あなたのマガジンが? |
ゴースト | 実は、な。 |
ゴースト | もう作られていないから、プレミア価値で1マガジン15万UCで 取引されてるって聞いた。高いだろ……ふふ。 |
ファル | なるほど。 量を用意できるならそれなりの値段になりそうですね。 |
ゴースト | ドイツには昔のが余ってて、俺が使う分は提供してもらえるけど。 ……少しやろうか? |
ゴースト | ……なんて、冗談── |
ファル | いいですね。 調整がついた分はすべて私に流してください。 |
ファル | 事業として、農園を軌道に乗せる道筋は見えているので。 出資者ということで、あなたには色を付けてお返ししますよ。 |
ゴースト | え…………。 |
ゴースト | じょ、冗談……だ。 さすがに、ドイツ支部から横流しで金にするのはまずい。 |
ファル | はぁ……? くだらない冗談なら言わないでください。 |
ファル | 時間の無駄になりました。 別の出資者を探すとしましょう。 |
ゴースト | えっ?? ちょ……ファル? |
ゴースト | ひど……。 ちょっとした冗談やったのに、なんでマジレスやねん。 |
ある日、貴銃士特別クラスでは家庭科の授業が行われていた。
恭遠 | 今日の課題はナップザック作りだ。 各自選んだキットをミシンにセットするところから始めてくれ。 |
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恭遠 | 裁縫部の面々も参加しているから、わからないことがあれば 彼らに聞きながら進めるように。 |
ゴースト | (……今日の課題、楽しみにしとったんや。 まずはミシンのセッティングからやな) |
ゴースト | (このボビンっちゅーやつ、なんかワイの銃の中身と似とるな) |
ゴースト | (妙に親近感湧いてきたわ。楽し……) |
ゴースト | ふんふん♪ ふん……♪ |
八九 | なあ、ゴースト。 お前、どんなデザインのやつ選んだんだ? |
ゴースト | ん? 俺は……これ。 |
八九 | じゅ、十字架に薔薇!? お、お前、マジか……! |
ゴースト | ゴシック系、ってやつだ。 俺に合ってる……だろ? |
八九 | お、おう……。 |
八九 | (いやこれ、どう見ても厨二だよな……?) |
ゴースト | 八九のはインスタントラーメンの袋の柄か。 オモシロ食べ物系ってやつ……だな。 |
シャルルヴィル | わぁ! 八九もゴーストも、素敵なデザインだね。 |
シャルルヴィル | ボクはスイーツ柄にしたよ。 このマカロンのところがかわいいでしょ? |
ケンタッキー | 俺は絵柄を自分でデザインしてみたぜ。 アレンジ版の星条旗だ! |
ゴースト | へぇ……みんな、それぞれ個性があるんだな。 |
ジョージ | おーい、ケンタッキー! ミシンの使いかた教えてくれよ。 |
ケンタッキー | お前、なんで手が糸まみれになってんだ!? 今行くから待ってろ! |
十手 | ライク・ツー君。 ここの縫いかたはこれで合っているのかな……? |
ライク・ツー | ああ、合ってるぜ。 あとはここで返し縫いして── |
30分後──
ジョージ | Hey! 完成したぜ! |
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ケンタッキー | ほとんど俺がやったんだけどな……。 |
全員のナップザックが完成した頃、
大きなバスケットを手にした恭遠が現れた。
恭遠 | みんな、上手にできたな! 食堂にお願いして、全員分のサンドイッチを用意してもらった。 |
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恭遠 | 今日作ったナップザックを早速背負って、ピクニックに行こう。 〇〇君も一緒だ。 |
貴銃士たち | おぉー! |
その後。
ゴーストは〇〇と共にピクニックを楽しんでいた。
ゴースト | 〇〇……これが、俺の作ったやつだ。 |
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主人公 | 【上手にできてる!】 【似合ってるね】 |
ゴースト | せや……そうだろ。 裁縫だけに、サイホーの気分……なんてな。ぷぷっ。 |
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