Happy Brave Musketeer's Day!
今年貴銃士たちが華々しくパレードをするのはアメリカ!
大統領の提案で『夢』に関する絵を描くことになった貴銃士たちは、自分の真の望みと向き合うことになる……。
銃に夢の絵を描かせるなど一体何がしたいんだが。
もっとわからないのは、赤い花に心をかき乱される不可解な自分ですが……。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
変化は必要ありません。
となれば、来年もあなたと一緒ですね。
貴銃士たちが描いた夢の絵を見るため、
〇〇は革命戦争資料館に向かった。
貴銃士たちが描いた絵を眺めながら歩いていると、
ホールの端にファルがぼんやりと佇んでいた。
ファル | ……おや? マスター。 あなたも来ていたのですね。 |
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ファル | 皆さんの絵はどうでしたか? |
主人公 | 【どれも素敵だった】 →ファル「……他の方々は貴銃士だというのに、夢を持てるのですね。 大変不思議なことですが、まるで人間のようです。」 【ファルの絵はどこ?】 →ファル「私の絵ですか? 気に留める価値もありませんよ。 描けと言われたから、ひねり出しただけです。」 |
ファル | ……私は、何も思いつかないので、 チーズをワインを描きました。 |
ファル | カトラリーさんに世界中の美味しいチーズとワインを巡るとか その場しのぎの「夢」を話してしまいましたし、 ちょうどいいかと思いまして。 |
ファル | そんな日が来るなんて、想像できませんが。 ……ほら、この絵が私の描いたものですよ。 |
ファルが溜息を吐きながら、壁に視線を戻した。
〇〇も改めて壁の絵を見る。
チーズとワインが、素朴なタッチで描かれている。
上手ではないが、妙に味のある絵に仕上がっていた。
主人公 | 【ふふっ】 【こ、これがファルの絵……!】 |
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ファル | 何かおかしいですか? カトラリーさんも同じような反応をしていました。 |
主人公 | 【可愛い絵だなと思って】 【ちょっと意外だっただけ】 |
ファル | はぁ、そうですか。 |
ファル | ……絵の具というのは難しいものですね。 火薬ならばどう調合すれば、思った通りの威力を出せるのか、 想像がつくのですが── |
ファル | せっかくなので、私が一番好きな青カピチーズの王様を 描こうと思ったのですが、あの色合いが出せなかったのです。 |
ファル | 絵の具やペンキはどれだけ混ぜても思い通りの色が出せません。 しかも、調整のために別の色を混ぜると、 どんどん濃く、黒くなってしまうのです。 |
ファル | ……まるで、目を閉じた時に胸に湧き上がる何かのように。 |
ファル | 青カビもそうなのですが、 羊の乳から作られたチーズ独特のアイボリーが、 どうしても上手く表現できず……。 |
ファル | たまたまできた色で、白カビチーズ風にしてみました。 所々に混じる淡黄色が『らしく』見えるでしょう? |
ファル | それに合わせて、ワインのモデルにもこだわりましたよ。 白カビチーズに合わせる1本はなかなか難しいですから。 |
ファル | シードルやフルーティな白ワインが好ましいですが、 絵に描くとなると難しい色合いですからね。 |
ファル | 赤ワインのなかでもっともふさわしい銘柄を選ぶのに、 少々苦労をしました。 |
ファル | せっかくなので、そのワインを嗜みながら筆を──って、 どうかしましたか? |
興味深そうにファルをじっと見つめている
〇〇の様子に、ファルは怪訝な顔をした。
主人公 | 【ワインについてはすごく饒舌だね】 【本当にワインとチーズが好きなんだと思って】 |
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ファル | ……どうやら、語りすぎたようですね。 調子に乗ってしまいました。 |
主人公 | 【もっと聞かせて!】 【どうして謝るの?】 |
ファル | ……この話はやめましょう。 私は要請通り、夢をテーマに絵を描いた。 もうそれでいいでしょう。 |
主人公 | 【絵の話を続けてほしい】 【ファルともっと話をしたい】 |
ファル | そんなことを言われましても……。 |
ファルが困ったように自身の描いた絵を見る。
〇〇も絵を改めて眺める。
ワインとチーズの絵の下に、
何かを白いペンキで塗りつぶした跡があった。
主人公 | 【もしかして、描き直した?】 【塗りつぶした跡がある】 |
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ファル | …………。 |
ファル | ……やはり、夢や絵心など、私には必要ありませんよ。 |
ファル | (私は何故あんなものを……) |
貴銃士たちが革命戦争資料館に集められ、
夢の絵を描いている時のこと……。
ファル | ……困りましたね。何も思い浮かびません。 |
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ファル | 先日は、とっさにおいしいチーズとワインを巡る世界旅行と 答えましたが……。 |
ファル | まったく、貴銃士が夢を描くなどナンセンスです。 私には夢など……。 |
ファル | ………………。 |
ファル | (……私の弟銃であるKB FNCが、 貴銃士として召銃されたのなら……会ってやっても……) |
ファル | …………はは。 |
ファル | くだらない、私は何を考えているのか。 |
ファル | やはり、無難にワインとチーズを描いておけばいいでしょう。 昨晩飲んだ赤ワインでも── |
ファルはパレットに赤い絵の具を絞り出した。
ファル | ……いい赤です。 ですが、これではワインではなく……鮮やかな花のような……。 |
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気がつくと、ファルは1輪の赤い花を描いていた。
それに気がついて、ぐっと顔をしかめる。
ファル | ……私は何を……。 赤ワインを描くはずだったのに……う……。 |
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ファルの心臓がどくどくと不規則に脈打つ。
胸元を押さえて、ファルはうずくまった。
ファル | ……こんなものは……さっさと、消しましょう……。 |
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ファル | …………。 |
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ファル | いえ、ただの書き損じです。 それ以上でも以下でもありませんよ。 |
主人公 | 【いつかファルとワインを飲みたい】 →ファル「……そうですね、しかるべき時になったらご馳走しますよ。 ワインとチーズは一緒に味わうのが至上です。 初めての1杯にふさわしいマリアージュを考えておきます。」 【またチーズを一緒に食べにいこう】 →ファル「ああ、そんなこともありましたね。 まったく、多くの貴銃士がいるのによくそんな些末なことを 覚えているものです。」 |
ファル | まあ、あなたがワインやチーズに興味を持ってくださるのは、 なんというか……悪い気はしませんね。 |
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