ベルギーから士官学校へ来たカトラリー。
絶対高責に目覚められない焦燥を抱え、自分のルーツを探る旅へ出る。
セイレーンの呪いは祝福に変わり、強く優しい光が道標のように水面を照らすのだった。
僕は持ち主に不幸をもたらす銃…そんなふうに思ってた。
でも、僕の中に込められた願いを知って
マスターを守る覚悟がある今、僕はもう、迷わない。
主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
──〇〇と十手が首相令嬢に招待され、
ベルギーで家庭教師をして帰国した、少しあとのこと……。
恭遠 | 今日は新しい転入生を紹介する。 ベルギーの貴銃士、カトラリーとミカエルだ。 |
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ジョージ | オレ、ジョージ! よろしくな☆ |
十手 | カトラリー君、ミカエル君。また会えて嬉しいよ。 これからよろしく。何か困ったことがあったら聞いてくれよ。 |
ミカエル | うん、よろしく。 ……カトラリー? きみも挨拶したら。 |
カトラリー | あ……よろしく……。 |
十手 | (カトラリー君……?) |
カトラリー | はぁ……。 |
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カトラリー | (みんなが挨拶してくれたのに……。 全然、話す気分になれなくて、素っ気なくしちゃった……) |
カトラリー | (だって……) |
ファル | ふ、ふふ…………ああ、赤い──。 |
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カトラリー | ……っ、ファル!! |
カトラリー | (ファル……修理できるのかな? 修理できたとしても……そのあとどうなるの? また召銃できるのかな……もう会えない……?) |
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??? | マスターーーー!! |
カトラリー | ッ!! |
カトラリー | なっ……何!? |
マークス | マスター! 大丈夫か!? マスター! |
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ライク・ツー | 落ち着けバカ犬。 叫んだって〇〇の傷がよくなるわけじゃねーぞ。 |
カトラリー | えっ、〇〇……手の傷が酷くなってる! すごく痛そう……。 |
主人公 | 【任務でちょっとね……】 【アウトレイジャーに囲まれて】 |
マークス | どうしようもなかった……アウトレイジャーに囲まれて…… 俺が絶対非道を……ッ。 |
ライク・ツー | 悔やんでる場合じゃねぇだろ。 さっさと絶対高貴になれる奴を呼びにいくぞ。 |
カトラリー | 待って! あ、あのさ……僕にやらせて。 |
ライク・ツー | ……! できるのか? |
カトラリー | ベルギーでは絶対高貴になれなかったけど……。 〇〇の貴銃士になってからは試したことがないんだ。 |
カトラリー | 〇〇の貴銃士は絶対高貴になれたやつも 多いって聞いてるし……僕だって……! |
ライク・ツー | 治せるなら早い方がいい。頼むぜ。 |
カトラリー | うん、やってみる。 |
カトラリー | (集中して……やらなきゃって気持ちで……!) |
カトラリー | 絶対高貴……! |
マークス | ……光らないぞ? |
カトラリー | あ、あれ……。 |
カトラリー | …………っ。 |
カトラリーはその場から走り出した。
十手 | あっ、カトラリー君! ちょっと話が── |
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カトラリー | 十手……〇〇の治療をお願い。 あっちにいるから。 |
十手 | えっ? あっ、待ってくれ! カトラリー君……! |
カトラリー | …………。 |
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カトラリー | (〇〇……大丈夫かな……) |
十手 | カトラリー君、いるかい? 入ってもいいかな。 |
カトラリー | ……十手。〇〇の傷、治ったの? |
十手 | ああ、〇〇君はもう大丈夫だよ。 カトラリー君にありがとうと伝えてって言ってたよ。 |
カトラリー | ……僕、絶対高貴になれなかったのに? |
十手 | 皆がすぐに絶対高貴に目覚めるわけじゃない。 前にも話した通り、俺なんて随分かかってしまったよ。 カトラリー君も気にせずに、ゆっくり焦らずが大事だと思うよ。 |
カトラリー | うん……。 十手でもそうだったんだもん。焦りは良くないよね。 |
カトラリー | (焦っちゃ、だめ……) |
カトラリーが士官学校にやって来て、少し経った頃。
〇〇が海に飛び込むアクシデントがあり、
カトラリーは部屋に引きこもりがちになってしまった。
カトラリーの銃にあるセイレーンの装飾──
そのせいで忌み嫌われ、
昔の持ち主も悲運に見舞われ死んでいった。
次は〇〇に災いが降り掛かってしまう……
そう考えたカトラリーは自分を責め、
〇〇との接触を断とうとしていた。
シャルロット | カトラリーがベルギーに来てから……。 わたくしの家族は不幸になってしまったわ。 あなたのせいよ……! |
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海賊 | ……やっぱ、あいつらの言った通りだったのか。 セイレーンが不吉だって……縁起がわりぃって……。 |
カトラリーを責める声が消え、今度は〇〇が現れる。
〇〇は、海に飛び込むことになったのは
セイレーンの呪いだとカトラリーに告げる。
カトラリー | ……やめてよっ!! |
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カトラリー | ……! 夢……。 やっぱり……僕は……。 |
カトラリー | 誰……? |
カトラリー | 〇〇……。 僕に……何の用? |
主人公 | 【声がしたから】 【どうかした?】 |
カトラリー | 別に……ちょっと嫌な夢を見ただけ。 用事が済んだなら── |
主人公 | 【明日、任務に来ない?】 |
カトラリー | は……? 行かないよ。僕は役に立てないし、持ち主を不幸にするから……。 なるべく〇〇と関わるべきじゃないんだ。 |
主人公 | 【そんなことない】 【気にしすぎだよ】 |
カトラリー | とにかく、僕のことは放っておいて! 話は終わったでしょ、じゃあね。 |
カトラリーに部屋から出されてしまった〇〇は、
談話室にやってきた。
十手 | おや、〇〇君。夜更かしかい? 早く寝ナイト……夜だけに。 |
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シャスポー | 十手、くだらないことを言っている場合じゃないだろう。 〇〇の表情を見ろ。 |
十手 | おや……そういえば、どことなく浮かない顔をしているね。 |
シャスポー | 〇〇、何か困ったことでもあったのかい? よかったら僕に相談して。 |
〇〇は2人にカトラリーが自信をなくし、
悩んでいることを説明した。
シャスポー | ……なるほど。確かに絶対高貴になれない苦悩は、 古銃の貴銃士として耐えがたいものがあるだろうね。 絶対高貴に目覚めるアドバイスを誰かができれば……。 |
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十手 | ……〇〇君。 その役目、俺に任せてくれないだろうか? |
十手 | カトラリー君の家庭教師の役目を中途半端にしておけないし。 何より、彼が心配なんだ。 |
翌日、十手はカトラリーの部屋を訪れた。
十手 | やあ! 久しぶりの家庭教師はどうかな。 |
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カトラリー | ……いらない。帰って。 |
十手 | 待ってくれ! |
十手 | 君は自分の出自を知っているかい? それを辿ることが、 絶対高貴に目覚めるきっかけになるかもしれないんだ。 |
カトラリー | ……出自……? |
カトラリー | 僕のルーツなんて知らないよ。 海賊船にいたことは覚えてて…… その前は陸にいたような気がする……けど、どこかわかんない。 |
カトラリー | それに、自分がもっと酷い存在だってわかったら……。 僕、もう……。 |
十手 | 不安はわかるよ。俺も……まさにそうだった。 |
カトラリー | ……十手も? |
十手 | ああ、自分の嘘の経歴を知るのは、正直かなり堪えたよ。 だけど事実を直視して受け入れられたから、今の俺がいるんだ。 ……なんてね。少し先輩ぶってしまったな。 |
カトラリー | …………。 |
カトラリーは自分のルーツを辿ろうと、
ミカエルとともにギリシャのとある島へとやって来た。
カトラリー | ここがセイレーンの伝説が残る島……? |
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ミカエル | セイレーン……。 その美しい歌声で船乗りを惑わせ、船を座礁させる伝説の怪物。 |
カトラリー | えっと……たしかギリシャ神話に出てくるんだっけ? 海の怪物で、上半身が人間の女性、下半身が鳥の姿なんだよね。 |
カトラリー | (そのセイレーンの装飾がある僕は……。 やっぱり、持ち主を不幸にするのかな) |
ミカエル | ……不安、迷いの音がするね。 |
ミカエル | ねぇ。ルーツを辿るのが怖い? |
カトラリー | う、うん……。 だって、僕が海に近づくと天気が悪くなることが多いし。 もし、それでまたこの間みたいなことがあったらって思うと……。 |
ミカエル | 僕ら銃に、天変地異を起こすような能力はないよ。 |
カトラリー | ……でも……。 |
ミカエル | でも……? |
カトラリー | (……ううん、まだ決めつけちゃダメだ! 十手だって真実を受け入れたからこそ、 先に進めるって言ってたし……) |
カトラリー | (僕だって、先に進みたいからここまで来たんだ。 怖いけど……先に進まなくちゃずっとこのままだ……!) |
ミカエル | ……ふふ、少しだけ希望の音が聴こえた。 それじゃあ、セイレーン探しの旅を再開しようか。 |
カトラリー | ……うん! でも、伝説が残る島っていうだけで来ちゃったけど……。 実際、どこに行けばいいのかな? |
ミカエル | 伝説通り、セイレーンが出るという場所に船で行ってみるかい。 |
カトラリー | 船……!? む、無理だよ……海は怖いもん。 他の方法で何かないか調べてみようよ! |
ミカエル | ……おや。 |
カトラリー | どうしたの? |
ミカエル | ……あそこにセイレーンがいる。 |
カトラリー | えっ!? どこ? どこにいるの? |
ミカエル | ほら、ご覧よ。 あの建物から僕らを見つめているよ。 |
カトラリー | 建物……? あっ! |
カトラリー | なーんだ、あの大きなポスターのことかぁ。 でも、何かきっかけが見つかるかもだし、行ってみよう! |
カトラリーとミカエルは、セイレーン像のポスターが掲げられた
美術館の中へと入った。
カトラリー | 展示されている時計に食器…… みんなセイレーンの絵や彫刻が施されているね。 |
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ミカエル | どうやらセイレーンが題材の美術を揃えた企画展のようだね。 |
カトラリー | うん……でもなんだか、怖い感じがしないね。 綺麗で、人魚みたい。 |
カトラリー | ……あっ、ミカエル! この銀時計を見て! これ、僕の装飾とそっくり! |
ミカエル | ……うん。たしかにきみのと似ている。 |
カトラリー | これって一体、どういうこと……? |
カトラリー | 見れば見るほど僕の銃の装飾と似てるや……。 どうして……? |
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美術館スタッフ | どうかなさいましたか? 展示の品でご質問などありましたら、お答えいたしますよ。 |
ミカエル | ちょうどよかった。カトラリー、見てもらったら。 |
カトラリー | う、うん。 僕の銃の装飾なんだけど……この時計とそっくりだよね? |
美術館スタッフ | おお、これは美しい。どれどれ……。 |
スタッフは銃を受け取り、ルーペでよく見比べる。
美術館スタッフ | ふむ……おそらく、同じ作者の作品でしょう。 |
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カトラリー | えっ! さ、作者ってどんな人なの!? |
美術館スタッフ | ええ、18世紀に活躍した彫刻家で、コスタ・G・ムスクーリ と言います。開運で成功した富豪ガヴラスに依頼され、 セイレーンのモチーフを多く手がけました。 |
美術館スタッフ | ガヴラスはセイレーンを敬い、 自分の守り神としていたそうなのです。 |
カトラリー | セイレーンは海の怪物だよ? 船乗りに恐れられてる……そんなのをなんで……? |
美術館スタッフ | はい、伝承によりますと……。 |
美術館スタッフ | ガヴラスがまだ若かった頃、彼は漁船で働いていました。 ある晩のこと── 船が嵐で遭難しかけた時に、不思議な歌声を聴いたと言います。 |
美術館スタッフ | それに導かれるようにして針路をとったところ、 無事に故郷へ辿りつくことができた、とか……。 |
ガヴラス | 他の人はわかってくれないが、私にとってはセイレーンが 幸運の女神なんだ! |
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美術館スタッフ | その熱意に応えるべく、コスタはこのように美しく 精巧なセイレーンの彫刻を手掛けたのでしょう。 |
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カトラリー | …………! |
美術館スタッフ | 実際に、コスタはガヴラスから護身用仕込み銃の依頼を受け、 銃工と共に制作したという記録が残っていますよ。 |
カトラリー | もしかして、それが僕……? |
美術館スタッフ | その可能性はかなり高いかと……。 でも、不思議なことにガヴラスの屋敷にあった蒐集物図録には、 記載がないんです。 |
カトラリー | え……? なんで? |
美術館スタッフ | この島はたびたび海賊による襲撃があったんです。 もしかしたらカトラリーさんの銃は、 納品前に海賊に奪われてしまったのかもしれませんね。 |
カトラリー | 海賊に盗まれた……。 |
カトラリー | (だから僕の記憶に、海賊の船長がいたんだ) |
ミカエル | 沈むべきものは沈め、やるべきことがある者は陸へ導く……。 そんな女神なのかな。 |
美術館スタッフ | 今は海の恐ろしい怪物として認識されているセイレーンですが、 大昔は死者の魂を導く役割を持つと信じられていました。 |
カトラリー | …………。 |
カトラリー | (ガヴラスのところへ行くはずだった僕を奪った海賊は死んだ。 でも、僕は海賊と一緒に遭難しても陸に戻ることができた) |
カトラリー | (考えてみれば、嵐で遭難したのに陸に戻れたのは奇跡的だ。 セイレーンは略奪者に罰をくだして、僕を救った……?) |
カトラリー | セイレーンが……僕を導いてくれたのかな。 |
ミカエル | この美術館に来たことも、セイレーンの導きかもしれないよ。 〇〇の貴銃士になったことも、きっと……。 |
カトラリー | 意味がある、のかな……。そうだと……いいな。 |
ミカエル | ふふ、それがきみの歴史が紡ぐメロディーなのだろうね。 |
制作者たちの想いを知ったカトラリーとミカエルは、
セイレーンの伝説が残る島をあとにした。
カトラリー | ねぇミカエル……。さっきさ、美術館で 「やるべきことがある者は陸へ導く」って言ってたけれど。 |
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カトラリー | それって、僕にもまだやるべきことがあるってこと……? |
ミカエル | ……うん……。 |
カトラリー | そう……だよね。 でも、それってなんだろう。 |
ミカエル | ……すぅ……。 |
カトラリー | って、寝てるじゃん! |
カトラリー | もう……! 紛らわしい寝言喋って! |
カトラリー | (でも……やるべきことは、きっと……) |
カトラリー | (きっと……ある。僕はそれを、知ってる……!) |
主人公 | 【カトラリー!】 【おかえり】 |
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カトラリー | 〇〇に十手。 ……うん、ただいま。 |
十手 | カトラリー君、何か掴めたようだね? |
カトラリー | うん、なんとなくだけど── |
ラッセル | おーい! 〇〇君! |
ラッセル | 休憩中のところすまない。 港町にアウトレイジャーが現れたとの情報が入った。 すぐに討伐に向かってくれるか? |
主人公 | 【イエッサー!】 |
十手 | こりゃ大変だ。 寮へ行って、誰か連れてくるよ! |
カトラリー | ……!! |
〇〇も準備のため談話室を離れようとすると──
カトラリー | あの……〇〇! |
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カトラリー | あのさ……僕も……その。 絶対高貴になれなくても……任務に参加していいかな? |
主人公 | 【もちろん!】 【助かる!】 |
カトラリー | ……うん! |
アウトレイジャーに | 殺、ス……ッ! |
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連合軍兵士 | くっ……攻撃が効かん! |
連合軍兵士 | 撃て、撃て! 応援が来るまでなんとか持ちこたえるんだ! |
??? | ──心銃! |
アウトレイジャー | グアッ……!? |
主人公 | 【おまたせしました!】 【参戦します!】 |
連合軍兵士 | ああ! 助かった! |
アウトレイジャーの足止めをしていた兵士たちから
歓声が上がった。市民の避難は完了しており、
アウトレイジャー3体を討伐中との情報を伝えられる。
十手 | よし、皆は下がってくれ! 2人とも、合わせてくれるかい! |
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ファル | ええ。 |
アウトレイジャー | 敵……死ネ……! |
十手 | 絶対高貴! |
ライク・ツー&ファル | 絶対非道! |
3人 | ──心銃! |
アウトレイジャーの攻撃と心銃がぶつかり、
爆風が巻き起こる。
カトラリー | くっ……! |
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トルレ・シャフ | …………。 |
その時──〇〇は停泊していた小型船から、
黒いマントの人物が現れるのを目撃した。
トルレ・シャフらしきその人物は、近くにいた十手に銃を向ける。
主人公 | 【危ないッ!】 |
---|
〇〇は咄嗟にマントの人物にタックルを
食らわせ、照準をずらし──
その勢いのまま、もとろも海に落下した。
カトラリー | マスター!! |
---|---|
市民 | きゃあぁっ! |
十手 | なっ!? |
十手たちが悲鳴の方へ目を向けると、
市民のもとへ新たなアウトレイジャーが迫るのが見えた。
ライク・ツー | チッ……! おいカトラリー、〇〇は任せたからな! |
---|---|
カトラリー | あ……!! |
カトラリー | (う、海……海は怖い……! だけど……!) |
ミカエル | 沈むべきものは沈め、やるべきことがある者は陸へ導く……。 そんな女神なのかな。 |
---|
カトラリー | 僕がマスターを、助けるんだ! |
---|
海に落ちた〇〇は、
海中でマントの人物と揉み合いになっていた。
トルレ・シャフ | ゴボッ……! |
---|
男は腰からナイフを抜き〇〇に向かって振り上げる。
〇〇はその手を掴み押し返すが、
腕に思い切り噛みつかれてしまう。
主人公 | 【うぅっ!!】 |
---|---|
カトラリー | 〇〇ーっ! |
カトラリー | この……野郎! 〇〇を放せよ!! |
トルレ・シャフ | ……ッ!! |
男は〇〇の腕から口を離し、
泳いで逃げようとする。
カトラリー | 〇〇! 大丈夫だね、よかった……! |
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カトラリー | あいつ、逃がさない! |
カトラリー | (体中から気力が湧いてくる……。 僕が今ここにいる理由が──やるべきことが、わかる!) |
カトラリー | (そうだ、これが──) |
カトラリー | 絶対高貴! |
連合軍 | ああ! 誰か浮かんできたぞ……黒マントの方だ! 〇〇さんは!? |
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カトラリー | ぷはっ! |
主人公 | 【自分は無事です!】 |
カトラリー | そいつを捕まえて! |
カトラリーは〇〇を陸にあげたあと、
気を失っているトルレ・シャフ構成員を兵士に預けた。
連合軍 | 不審人物を確保! 〇〇さんの救出を完了! |
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無線 | こちらも全てのアウトレイジャーを討伐完了! 被害なし! |
カトラリー | 終わっ……たの? |
主人公 | 【任務完了だよ】 【ありがとう、カトラリー】 |
カトラリー | ……っ! |
〇〇の言葉で、一気に緊張がほぐれたのか
カトラリーの手がぷるぷると震えだす。
カトラリー | あれ、なんで……今になって怖くなっちゃったのかな。 ふふ……おかしいや。 |
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主人公 | 【海の中なのに、カトラリーの声が聞こえた】 |
主人公 | 【カトラリーは不幸をもたらす銃じゃない】 |
主人公 | 【強くて優しい、自分の大事な貴銃士だ】 |
カトラリー | ……っ! う、うぅ……っ。 |
カトラリー | ありがとう……〇〇、ありがとう……! |
〇〇は震えるカトラリーを抱きしめた。
十手 | 2人とも無事だね! ああ、よかった……! |
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ファル | おや……海嫌いのカトラリーさんがずぶ濡れとは。 |
ライク・ツー | ……やったんだな。 |
カトラリー | うん、あのね……僕、絶対高貴になれたんだ。 十手のおかげだよ。 十手がルーツを探せって言ってくれたから……。 |
十手 | いや、それはきっかけに過ぎない。 絶対高貴になれたのは、 カトラリー君自身の力や努力があったからこそだよ。 |
十手 | 君はとても優しくて、 誰かのために強くなれる貴銃士だからね。 |
カトラリー | ……うん! |
カトラリーはセイレーンの飾りが施された銃を海の前に掲げる。
カトラリー | 僕の「やるべきこと」……これでいいよね。 ……ありがとう。 |
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そのあと──
〇〇は、用具箱を持ってカトラリーを訪ねた。
カトラリー | 〇〇? どうしたの? |
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主人公 | 【銃のメンテナンスをしたい】 【海水に濡れちゃったからケアしよう】 |
カトラリー | あ、うん。ちょうど自分でメンテナンスしてたところ。 どう? これで問題ないかな? |
〇〇は、渡されたカトラリーの銃を確認する。
主人公 | 【これじゃ駄目だ】 【分解して細部まできっちりやらないと】 |
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カトラリー | 分解ってなんか……ちょっとソワソワするんだけど……。 |
主人公 | 【慣れてるから安心して】 【銃のメンテナンスは得意なんだ】 |
主人公 | 【助けてくれたお礼をしたい】 |
カトラリー | そ、それなら……まぁ、別にいいけど。 精巧な装飾なんだから、丁寧にやってよね! |
主人公 | 【了解!】 【任せて!】 |
カトラリー | ……ふふ。 |
〇〇は早速メンテナンスを始める。
カトラリーはくつろいだ様子でそれを見守り、
ゆっくりとした穏やかな時間が流れるのだった。
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