主人公名:〇〇
主人公の一人称:自分
──ある日の放課後。
スプリングフィールドは、グラウンドの片隅にやってきた。
スプリングフィールド | ここなら邪魔にならないかな……? |
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スプリングフィールド | よし……これで体力作りをして、僕も強い貴銃士に……! |
スプリングフィールドはテニスラケットを取り出して、
壁打ちを始める。
スプリングフィールド | はぁ……はぁ……! |
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スプリングフィールド | あっ……間に合わない……! はぁ……はぁ……。 |
シャルルヴィル | やっほー、スフィー♪ |
主人公 | 【練習中?】 【頑張ってるね】 |
スプリングフィールド | ……! 皆さん……。 |
シャスポー | 壁打ちより、相手がいた方が楽しいんじゃないかい? 何もこんな隅で、1人でしなくてもいいだろう。 |
スプリングフィールド | いえ、あの……僕、少しでも体力がつけようと思って(※原文ママ)、 スポーツをしようと考えたんです。 誰かを付き合わせるわけにもいかないので、壁打ちを……。 |
スプリングフィールド | でも、なかなか……。 すこし腕も痛くなってきてしまって……。 |
シャルルヴィル | あ、結構大きいラケットを使ってるね。 ジュ・ド・ポームのだったら、もっと振りやすいのに。 |
スプリングフィールド | ジュ・ド・ポーム? |
シャスポー | フランス革命の時代からあるスポーツさ。 テニスの元になったと言われている。 |
シャスポー | フランスでは今でもプレイされてるんだ。 僕のラケットがあるから、持ってこよう。 |
シャスポーがジュ・ド・ポームのラケットを4本持ってきた。
テニスラケットよりも小さくて軽いため、
スプリングフィールドにも扱いやすい。
スプリングフィールド | わぁ……これはいいですね。 |
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シャスポー | グラースとタバティエールにも借りてきた。 ちょうど4人いるから、試合形式でやってみないか? |
シャスポー | 体力をつけるにしろ、 誰かと楽しみながらする方がいいだろう。 |
〇〇とスプリングフィールド、
シャスポーとシャルルヴィルでダブルスチームを組んだ。
シャスポー | よし、いくぞ。 |
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スプリングフィールド | お願いします……! |
シャスポー | はっ! |
シャスポーが放ったサーブの鋭さに、
スプリングフィールドは棒立ちのまま動けなかった。
スプリングフィールド | わ……!? |
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シャルルヴィル | ちょっと、シャスポー! 相手は初心者なんだから、手加減しなよ。 |
スプリングフィールド | いえ、いいんです! そのままお願いします! |
主人公 | 【頑張って食らいつこう!】 【いい気合だね】 |
シャスポー | 勇気があるな。僕のサーブ、受けてごらん! |
スプリングフィールド | はいっ! |
何度かサーブを受けるうちに、
スプリングフィールドのラケットがボールにかするようになった。
スプリングフィールド | もう1本お願いします! |
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シャルルヴィル | 頑張って! ファイト! |
シャルルヴィル | ……って、僕が応援しちゃだめだよね。一応ダブルスの試合だし。 |
シャスポー | はっ! |
スプリングフィールド | ……ええい! |
シャスポー | なに、僕のサーブを返しただと!? |
次第にラリーが続くようになってきた。
シャルルヴィル | これでゲームセットだね。 僕たちの勝ちだけど……いい試合だったんじゃない!? |
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主人公 | 【スプリングフィールドのおかげ!】 【すごい成長だった!】 |
スプリングフィールド | は、はい……負けちゃったけど、楽しかったです! |
スプリングフィールド | 僕、これからも頑張って自主練しますね。 もっともっと強くなります! |
バレンタインのサプライズパーティーの準備のため、
〇〇を街に連れ出したスプリングフィールドは、
新しく買った服で店が立ち並ぶ路地を歩いていた。
スプリングフィールド | あの、〇〇さん、ライク・ツーさん。 改めて……僕に服を選んでくれて、ありがとうございます。 |
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スプリングフィールド | 変じゃない、ですよね……? |
ライク・ツー | ふざけんな、変なわけねぇだろ。 俺とこいつで選んだんだ。 |
ライク・ツー | それに……お前も気に入って買ったんだろ? |
スプリングフィールド | は、はい! |
ライク・ツー | じゃあ、胸張って堂々としてろ。 姿勢が悪くて自信なさそうにしてると、 どんなにいい服もダサくなるぜ? |
スプリングフィールド | わかりました……! |
ライク・ツー | ショーウィンドウやらに映る自分の姿勢を、 横目でさりげなくチェックするといいぞ。 |
スプリングフィールド | なるほど、わかりました! |
スプリングフィールドはショーウィンドウの前を通りつつ、
自分の姿を横目で見る。
その度に、微笑みが浮かんだ。
スプリングフィールド | (ふふ。背中側はどんな感じなんだろう?) |
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チョコレート屋のショーウィンドウの前で、
スプリングフィールドは半ば無意識にくるりと回る。
その時、ガラス越しに店員と目が合った。
スプリングフィールド | あっ! |
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チョコレート屋の店員 | うふふ……そのお洋服、お気に入りなの? かわいいわね。 |
スプリングフィールド | す、すみません……! |
チョコレート屋の店員 | 何も謝ることなんてないわ。 恥ずかしがらないで。とっても似合ってるもの! いい1日を! |
スプリングフィールド | はい……ありがとうございます! |
主人公 | 【気に入ってるんだね】 【褒められてよかった】 |
スプリングフィールド | はい。その……最初は帽子に合う服がなくて、 僕だけ制服だったのが、少し寂しかったんですけど……。 |
スプリングフィールド | みんなで私服で出かけられて、仲間入りできて嬉しいです。 |
主人公 | 【記念写真を撮りたいね】 【ジョージにカメラを借りればよかった】 |
スプリングフィールド | あ、それなら……実はこれを持ってきてたんです。 〇〇さんと出かけるから、 思い出を残せたらいいなと思って……! |
スプリングフィールドが取り出したのは、
インスタントカメラだ。
ライク・ツー | 3人で撮るのか? これ、うまく画角に入るの難しいぞ。 誰かにシャッター押してもらおうぜ。 |
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スプリングフィールド | たしかに……少し待っていてください! |
スプリングフィールド | あの、すみません。写真を撮りたいんですけど……。 お願いしてもいいですか? |
街の人 | ああ、もちろんだよ! |
ライク・ツー | へぇ……。 |
スプリングフィールドが通行人に声をかけて、
無事に3人で写真を撮ってもらうことができた。
スプリングフィールド | ふふ、現像するのが楽しみですね。 |
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主人公 | 【なんだか前よりも積極的になったね】 →スプリングフィールド「そうでしょうか? ……そう、かもしれません。」 【頼んでくれてありがとう】 →スプリングフィールド「え、親切な方で助かりました。」 |
スプリングフィールド | 僕……まわりに頼ってばかりじゃなくて、 自分でできることは、なるべく自分でできるようにしたいんです。 当たり前のことですけど……。 |
スプリングフィールド | それに、今回は結局、 頼んでやってもらっただけで……。 |
ライク・ツー | いや、黙ってオロオロして助けを待つんじゃなくて、 自分から頼めてただろ。いいんじゃねぇの? |
スプリングフィールド | ありがとうございます……! |
スプリングフィールド | よかったら、もう少し撮りませんか? この辺を歩いたっていう思い出を残せたら嬉しいです! |
アウトレイジャー討伐任務に赴いた〇〇、
スプリングフィールド、ケンタッキー、ペンシルヴァニアたち。
順調に進んでいたかと思われた時──
新たなアウトレイジャーが現れ、回避しようとした
〇〇は足を滑らせてしまった。
スプリングフィールド | ……! 危ない、マスター! |
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湿り気を帯びた落ち葉で覆われた山の斜面で、
一度体勢を崩すと立て直すのは難しい。
斜面を転がり落ち、〇〇の意識はプツリと途切れた。
ゆらゆらと揺れる感覚で、
〇〇は、目を覚ました。
主人公 | 【あれ……?】 【気絶してた……?】 |
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スプリングフィールド | あっ! |
スプリングフィールド | よかった、目が覚めましたか。 ケンタッキーたちが、先にマスターを病院にって、 アウトレイジャーを引き受けてくれたんです。 |
スプリングフィールド | でも、戦闘の音が止まったので…… しばらくしたら僕たちに追いつくと思います。 |
主人公 | 【ごめん、重いよね】 【自分で歩けるよ】 |
スプリングフィールド | 大丈夫です、安静にしててください。 頭を打って気絶してたんですよ、無理しちゃ……ダメです。 |
スプリングフィールド | それに、まだ歩き始めて5分くらいしか経ってませんし。 |
スプリングフィールド | はぁ、はぁ……。 |
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主人公 | 【一度下ろして】 【無理しないで】 |
スプリングフィールド | ……はい。 |
〇〇を下ろした途端に、
スプリングフィールドが咳き込んだ。
スプリングフィールド | ごほ、げほっ! はぁ、はぁ……けほ、けほっ! |
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スプリングフィールド | すみません。やっぱり、少し無理したみたいです。 |
2人はケンタッキーたちが合流するのを待ち、
少し休憩をすることにした。
スプリングフィールド | ……すみません、僕……。 |
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主人公 | 【謝らなくていいんだ】 【ここまで運んでくれてありがとう】 |
〇〇は小物入れからチョコレートを取り出した。
スプリングフィールド | そんな……〇〇さんが食べてください。 僕がもらうわけにはいきません。 |
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主人公 | 【それじゃあ半分こにしよう】 【心身の疲労回復は大切だ】 |
〇〇はチョコレートを半分に割った。
スプリングフィールド | ……美味しい、です。 |
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主人公 | 【浮かない顔だね】 【まだ気にしてる?】 |
スプリングフィールド | ……僕なりに筋トレやスポーツで鍛えて、 マスターをおんぶできるようになるっていう目標を どうにか達成できて……。 |
スプリングフィールド | でも時々、身体が軋むような違和感があるんです。 強くなっているはずなのに、むしろ……。 |
スプリングフィールド | 僕の銃──スプリングフィールドA1865は設計不良のせいで、 寿命のパーツが短かった。 それで改造を繰り返して、どうにか使われてきた銃です。 |
スプリングフィールド | 貴銃士の身体を鍛えても、銃本体の性能は変わりません。 僕の努力は無駄なのかも、って時々考えてしまって……。 |
〇〇はスプリングフィールドの肩をそっとさする。
銃の性能は変わらなくとも努力は無駄にはならないこと、
貴銃士としての力は強くなっているし、
心銃の威力が以前よりも増していることを伝えた。
スプリングフィールド | ……そうですね。 |
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スプリングフィールド | ありがとうございます。 不安はやっぱりあるけど…… 〇〇さんやみんながいる限り、頑張りたいです。 |
震えながらも懸命に笑顔を作るスプリングフィールドを、
〇〇は励ますように、そっと抱きしめた。
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