ライク・ツー | (……確かに、あんなに強力に洗脳じみたことができるなら、 なんだって思うがままだ) |
---|---|
ライク・ツー | (けど……このやり方じゃあ、 あくまで“そう思わせてる”だけだ。 そんなのは……意味がねぇ。俺のやり方じゃない) |
ラッセル | ──イギリス支部に連絡が取れた。 ダンジネスで待機していた隊が向かっているそうだ。 |
ラッセル | 動ける兵士には、外で集合するよう伝えてある。 残念ながら、生存者は十数名のようだが……。 |
ラッセル | 私たちも外に出て、負傷者の応急手当をしよう。 エヴァンズ教官は──。 |
エヴァンズ | ん……、んん? 私は……。 |
エヴァンズ | ……っ、なぜだ、なぜだ……っ! 私の傷がぁ……!! |
恭遠 | エヴァンズ教官……!? |
エヴァンズ | 私の薔薇の傷が……マスターの証が、なぜないのだっ!? |
ライク・ツー | ……は……? |
彼が左手を上に重ねていたので気がつかなかったが、
エヴァンズの右手に刻まれていたはずの薔薇の傷跡が、
確かになくなっていた。
ジョージ | あ……まさか……。 |
---|---|
十手 | エヴァンズ教官を止めようと、 俺たちが絶対高貴を使った時に、消えてしまった……? |
ラブ・ワン | …………。 |
ファル | と、いうことは……ラブ・ワンさん。 あなた……なぜ、消えてないんです? |
全員 | ……!! |
シャルルヴィル | え……ええっ? エヴァンズ教官は本当のマスターじゃない……? いや、でも、絶対高貴で治ったならちゃんとした薔薇の傷だよね。 |
シャルルヴィル | 薔薇の傷は本物だったけど、 ラブ・ワンさんのマスターじゃなかった、ってこと……? |
エヴァンズ | そんな……まさか! 私は確かにお前を召銃したはずで……! |
エヴァンズ | ……はず、で……? ……なぜ、だ……思い……出せない……? |
ラブ・ワン | あは★ バレちった。 |
呆然としたために、
貴銃士たちや〇〇の反応がわずかに遅れた。
マークス | ……っ、マスター!! |
---|
その一瞬の隙に、ラブ・ワンは〇〇を拘束し、
銃口を向ける。
マークス | マスター!! |
---|---|
マークス | てめぇ……マスターを離せ! |
ラブ・ワン | え〜〜、やだよぉ。 だって離したら、おいらの話聞く前にバーン! でしょ? |
エヴァンズ | お前は、何を……。 私の……私の貴銃士が……。 |
ラブ・ワン | ざぁんねん。 おいら、エヴァちんの貴銃士じゃないんだよね〜。 |
ラッセル | ……!? 一体どういうことなんだ……!? 話なら聞くから、俺の生徒に手を出さないでくれ……! |
ジョージ | おまえの本当のマスターは誰なんだ! なんでこんなことすんだよ! |
ラブ・ワン | 最初に言ったじゃーん? おいら、トルレ・シャフのラブ・ワンだって。 |
ラブ・ワン | あれ、マジなの。 連合軍ジョークとか嘘ついててごめんね、エヴリバディ! |
ラブ・ワン | 改めて紹介しまーす★ エヴァちんは、おいらを召銃したって、 あの結晶のせいで思い込んでるだけの哀れなオジサン! |
エヴァンズ | そ、そんな……そんな……っ! |
ラブ・ワン | んで、おいらはぁ…… |
ラブ・ワン | 元世界帝軍の特別幹部アーンド、 現トルレ・シャフの貴銃士★ |
ライク・ツー | お前……っ! |
ラブ・ワン | ……ね、ライたん。 俺が前に言ったことの意味、 スマートなライたんならもうわかってるよね。 |
ラブ・ワン | 完全結晶の力、すごくない? あれがあったら、ぜーんぶ思うがままなんだよ。 人間も──貴銃士も、世界も! |
ラブ・ワン | これでライたんの願いも叶うんじゃないかな〜。 だから、俺と一緒に行こうよ。 |
ライク・ツー | ……バッカじゃねーの。 俺はトルレ・シャフなんかに興味ねぇ。 俺にはここで、やるべきことがあんだよ。 |
ラブ・ワン | ええ〜! 信じらんないなぁ〜。 だって……ライたん、嘘ばっかりなんだもん。 |
ライク・ツー | ……! |
ラブ・ワン | 中途半端でぇ、嘘つきなライたん。 やるべきことがあるって言うけど、 みんなは知ってるわけ? 知らないよねぇ〜! |
ライク・ツー | ……やめろ。 |
ラブ・ワン | ……お前こそやめろよ。 |
ライク・ツー | ……っ! |
ラブ・ワン | 一番重要なところを隠しといて、 「ここでやるべきことがある」とか冗談キッツいよ? |
ライク・ツー | 隠してることなんて──。 |
ラブ・ワン | ふぅーん。 俺、ムカムカして指滑っちゃいそ〜。 |
ラブ・ワンは、〇〇に突きつけた銃の
引き金に触れた指を滑らせる。
マークス | マスター!! |
---|
マークスはラブ・ワンに狙いを定めるが、
〇〇を盾にされては手が出せない。
ライク・ツー | ……ッ、やめろよ、そいつは関係ねぇだろ! |
---|---|
ラブ・ワン | はい、またウソ〜! ライたんの隠し事は、 〇〇ちんにも関係大アリでしょ。 |
ライク・ツー | ……てめぇの望みはなんなんだよ。 |
ラブ・ワン | 俺は、ライたんとちゃんと会話がしたいだけ。 嘘も隠し事もなしの、本気の会話ね。 |
ラブ・ワン | ……ねぇ、ライたんの望みはなんなの? なんのためにそっちにいるの? ライたんは── |
ライク・ツー | ……黙れ。 わかった、わかったから……!! |
ライク・ツー | その先は……自分で言う。 俺は……。 |
ライク・ツー | …………っ。 |
ライク・ツー | ……俺は、世界帝軍にいたライク・ツーだ。 |
ライク・ツー | ……俺は、世界帝軍にいたライク・ツーだ。 |
---|---|
一同 | ……!! |
マークス | ……やっぱり、お前は……俺たちを、騙して……! |
ライク・ツー | 俺の望みは……名誉挽回。 |
ラッセル | ライク・ツー、君にも聞いておきたい。 君にとって一番大事なものはなんだい? 〇〇君ではなさそうだが……。 |
---|---|
ライク・ツー | …………。 …………め一よばんかい? |
主人公 | 【(……そうだった)】 【(……そんな話をしていた)】 |
---|---|
ライク・ツー | かつては世界最高の権力者で──今は、世紀の大罪人。 そんな世界帝の貴銃士として頑張った「お仕事」は、 今となっては「犯罪」だ。 |
ライク・ツー | おまけに土壇場で世界帝を裏切って、レジスタンス側についた。 どっちつかずで最低最悪の卑怯者。 それが、俺が作っちまったライク・ツーのイメージだ。 |
ライク・ツー | そうなったのは、俺が悪いから言い訳はしねぇ。 派手好きで、負け犬も貧乏も嫌い。 求められるがままに働いて、充実感もあった。 |
ライク・ツー | けど、世界帝が負けそうになったら真っ先にビビって、 兄貴も俺も壊されてゴミにされるのが嫌で、 さっさとあの人を見限った。 |
ライク・ツー | ぜーんぶ、場当たり的な判断だ。 嫌なもんから逃げてただけ。 |
ライク・ツー | だから……もしやり直せるなら、 今度はよく考えて、自分で判断して、ちゃんと道を選んで…… いいライク・ツーになろうと思った。 |
ライク・ツー | 俺が泥まみれにしたライク・ツーの名前と名誉を、 俺自身の力で綺麗に……挽回してやる。 |
ライク・ツー | そのためには、トルレ・シャフの打倒…… 奴らの裏にいそうな、世界帝の排除が一番だって考えた。 |
ジョージ | ……ライク・ツー……。 |
ライク・ツー | ……〇〇。 お前に召銃された時に雑魚だって煽ったのは、 お前がヴィヴィアン想いだってわかってたからだ。 |
ライク・ツー | ただの銃に戻ってた間のことも…… 断片的にぼんやりだけど、覚えてたから。 |
ライク・ツー | お前と対等な協力者になるために、 嘘の目的を設定した。 |
ライク・ツー | 俺はあいつを殺したやつを、この手でぶっ殺す。 |
---|---|
ライク・ツー | そして、あいつが成し遂げようとしていたことを、 この手で代わりに成し遂げてやる。絶対にな。 |
ライク・ツー | よし、そう決めた。 いま決めた。 |
ライク・ツー | ヴィヴィアンのことは、本当の目的じゃなかった。 お前に取り入るために、利用したんだ。 |
---|---|
ライク・ツー | ……今まで騙してて、悪かったな。〇〇。 |
主人公 | 【ライク・ツー……】 【…………】 |
マークス | てめぇ……何が悪かっただ。 マスターの想いを利用して……裏切って……! 絶対に、絶対に、許せねぇ……!! |
ライク・ツー | ……ラブ・ワン。そいつを離してくれ。 |
ライク・ツー | トルレ・シャフに行くつもりがねぇのは、俺の本心だ。 こいつらに全部ぶちまけて、もう計画はパーだし、 ここに残るつもりもねぇ。 |
ライク・ツー | ははっ……所詮、負け犬は負け犬以上にはなれねぇんだな。 名誉挽回も、もうおしまいだ。 |
ライク・ツー | けど……それでも、トルレ・シャフにはつかない。 |
ラブ・ワン | それ、トルレ・シャフには 勝つ見込みがないって思ってるってこと? もうぜーんぶ諦めちゃってどうでもいいってこと? |
ライク・ツー | ……どっちも違う。 |
ライク・ツー | ヴィヴィアンは……世界帝を憎んでた。 だから、父親がトルレ・シャフに俺を献上しないように、 危険をおかしてすり替えて……俺は、士官学校に持ち込まれた。 |
ライク・ツー | 俺がもう一度貴銃士として目覚めて…… おまけに、名誉挽回まで狙える立ち位置につけたのは、 あいつの意志が、〇〇と引き合わせたからだ。 |
ライク・ツー | 名誉挽回が駄目だとしても、 せめて、ヴィヴィアンと〇〇…… 最後の持ち主たちの願いも、進む道も、邪魔したくねぇ。 |
ライク・ツー | だから、俺はそっちには行かない。 |
マークス | …………。 |
ライク・ツー | ……〇〇、俺を銃に戻せ。 |
主人公 | 【……!】 |
ライク・ツー | ぜーんぶわかっただろ? 俺はここまでだ。 銃に戻って今度こそ遺言通りに墓に埋められるか、 分解してどっかに厳重に封印するか……。 |
ライク・ツー | 使える状態だと悪用されかねないし、 壊しちまうのが一番いいかもな。 |
ライク・ツー | はは……ゴミになるのが数年遅れただけで、 俺の運命ってやつは結局同じとこに着地すんのか。 |
主人公 | 【壊す、だなんて……】 【……嫌だ】 |
ライク・ツー | なんだよ。ためらう理由がどこにある? 俺は存在しない方がいい個体だ。 後々の火種にならねぇように消すのが合理的だろ。 |
ジョージ | ……やめろよ……やめてくれよ、ライク・ツー。 |
十手 | ライク・ツー君……! |
スプリングフィールド&シャルルヴィル | …………。 |
ライク・ツー | ラブ・ワン。わかっただろ、望みはゼロだって。 ……〇〇を離せ。 離してくれ……頼む。 |
マークス | ライク・ツー……。 |
ライク・ツー | 俺の、最後の願いだ。 ……お願い、お兄ちゃん。 |
ラブ・ワン | …………。 |
ラブ・ワン | …………。 |
ラブ・ワン | ……わかったよ、OKOK! |
ライク・ツー | え……? |
ラブ・ワンは笑顔になり、
あっさりと〇〇を解放した。
マークス | マスター! 大丈夫か? 強く掴まれたりしてないか? 痛むところはないか? |
---|---|
主人公 | 【大丈夫】 【なんともないよ】 |
ジョージ | 〇〇……! よかった……! |
マークス | ラブ・ワン。覚悟はできてんだろうな? |
銃を構えるマークスを、〇〇は慌てて止めた。
マークス | マスター、止めないでくれ! あいつはマスターを撃とうとしたんだ。俺が始末する!! |
---|---|
主人公 | 【ラブ・ワンに撃つ気はなかったはず】 【ラブ・ワンはライク・ツーを試してただけ】 |
マークス | えっ……? |
ラブ・ワン | アウチ! 参っちゃうな〜、〇〇ちん。 おいらに人質にされながら、そんなこと思ってたわけ? |
ラブ・ワン | お見通しではずかしい〜。 でも、おかげでライたんの気持ちがよくわかったから、 許しちゃうよん★ |
その時──ラブ・ワンの身体が、淡く光り始める。
十手 | なにっ……!? |
---|---|
マークス | マ、マスター……! 俺は撃ってないからな! |
ラブ・ワン | あっはははは! そんなことわかってるって! |
ラブ・ワン | これは……時間切れってことだね。 |
エヴァンズ | ……! 私からの力の供給が途絶えたから……? |
ラブ・ワン | ブッブー、エヴァちん不正解! |
ラブ・ワン | 実はさ……俺の本体、トルレ・シャフに握られてんの。 |
ライク・ツー | ……っ! |
ライク・ツー | お前、まさか……。 |
ラブ・ワン | うん、人質っていうか銃質っていうか? いやぁ、まいっちゃうねぇ。 |
ラブ・ワン | ライたんと接触して連れてこいって言われててさ。 逃げたり失敗したり……まあとりあえず、 期限内にクリアできなきゃ、問答無用でゲームオーバー。 |
ラブ・ワン | ああ、気にしなくていいからね、ライたん。マジで。 どうせ、俺はあの人よりライたんを優先するってバレてるし、 失敗前提みたいなとこあるミッションだからさ。 |
ライク・ツー | んなこと、一言も……! |
ラブ・ワン | いや〜、ライたん面倒見いいし? 俺がライたんの気持ちを左右すんのは違うなーっていう、 俺なりのこだわりっていうか。 |
ラブ・ワン | 俺は……どのみち終わりが決まってるなら、 最期にライたんの本心を知りたかった。 |
ラブ・ワン | わがままなお兄ちゃんでごめんね、ライたん。 ライたんは諦めないでさ、やっちゃいなよ、名誉挽回。 |
ライク・ツー | めちゃくちゃにしといて……っ、 何馬鹿なこと言ってんだよ……。 |
ラブ・ワン | いや、ほんとゴメンッ! でも……応援してるよ。 |
ラブ・ワン | おいらは……他のどのUL85A2でもない、 “ライたん”が弟で、本当に楽しかった。 |
ライク・ツー | ……っ、待って……! |
ラブ・ワン | じゃあね。Bye〜★ |
ラブ・ワンの姿が消える。
持つ人を失った、彼の本体だったものではない銃が、
重い音を立てて床に落ちた。
ライク・ツー | …………。 |
---|
がっくりと膝をついたライク・ツーへ、
マークスが銃口を向ける。
マークス | ……ライク・ツー。 あんたは本当に負け犬だ。 嘘ついて、騙して、その挙句にすべてを失った。 |
---|---|
十手 | マークス君……!? |
マークス | おい、立てよ。 俺が正確精密に、心臓撃ち抜いてやる。 |
ライク・ツー | ……立つ必要ねーだろ。 さっさと撃てよ、ほら。 |
目を閉じたライク・ツーは、軽く腕を広げる。
ライク・ツー | ちゃんと本体も壊せよ。 |
---|---|
ライク・ツー | …………。 手間かけて悪ィな、マークス。 |
マークス | ……ッ。 |
マークス | くそっ、なんで……。 |
マークスは、かすかに震える指先に舌打ちをこぼした。
しかし、深呼吸をして狙いを定める。
主人公 | 【……待って、マークス】 |
---|---|
マークス | マスター……? |
主人公 | 【……許さない】 |
ライク・ツー | 〇〇……わかってる。 許してもらおうなんざ── |
主人公 | 【消えるなんて、許さない】 |
ライク・ツー | …………! |
──〇〇の脳裏に、
これまでライク・ツーとともに過ごした時間が次々と蘇る。
ライク・ツー | …………。 お前らだけでフラフラ動くよりは、 俺もいた方がまだマシか。 |
---|---|
ライク・ツー | 渋々だからな! 調子に乗んなっての。 |
ライク・ツー | ああ。 いや、大したことじゃねぇんだけど……。 お前……足、怪我したんだって? |
---|---|
ライク・ツー | 大したことないからって甘く見ないで、 ちゃんと痛みも腫れも引いて良くなるまで無理すんなよ。 その方が早く治って、早く訓練に戻れるからな。 |
ライク・ツー | トレーニングでなんかわかんねーことあれば、 俺が暇だったら付き合ってやってもいい。 |
ライク・ツー | 乗り掛かった舟ってやつ。 俺も乗っかった以上沈没するわけにはいかねぇし、 仕方ねぇからジョージたちが来るまでは手伝ってやる。 |
---|
ライク・ツー | 銃だろうが鉄だろうが、俺の在り方は俺が決める。 ……その先にどんな未来があろうとも、 自分で決着をつけてやる。 |
---|
ライク・ツー | あのおっさん、 前にも一度手紙を置いていっただろ。 |
---|---|
ライク・ツー | その顔からして……ちゃんと話せたみたいだな。 よかったじゃん。 |
主人公 | 【自分はライク・ツーを信じたい】 |
---|---|
ライク・ツー | この期に及んで……お前は甘っちょろすぎんだよ。 だから俺みたいなのに騙される。 |
主人公 | 【すべてが嘘ではなかったはず】 【ライク・ツーの本心にもたくさん触れたはず】 |
〇〇は、ヴィヴィアンの父親の話を聞いた時、
ライク・ツーに疑心を抱いてしまったことを打ち明けた。
しかし、その後、これまでの出来事を思い返していくうちに、
たとえ彼の話が本当だとしても、〇〇たちと
ライク・ツーが過ごした時間は本物だと思い直し──
本心で話し合えば、いつか必ずわかり合える時が来る。
そう信じると決めたのだと、ライク・ツーに伝えた。
ライク・ツー | だから……言ってんだろ。 本物なんかじゃない。最初から全部嘘なんだよ! |
---|---|
主人公 | 【最初は嘘でも、今から本当にすればいい!】 |
ライク・ツー | は……? 嘘を……本当に……って。 |
主人公 | 【ヴィヴィアンの仇をとろう】 【ヴィヴィアンの無念を晴らそう】 |
ライク・ツー | …………。 |
主人公 | 【自分と一緒に来て!】 【消えるのは許さない!】 |
ライク・ツー | ……嘘を、本当に……。 |
ライク・ツー | ……わかった。それなら── |
ライク・ツーは大きく息をつくと、視線をどこかへ彷徨わせた。
誰かを探すように──そして、ある1点へと定める。
ファル | ……? |
---|---|
ラッセル | ええと……私もまだ混乱しているんだが……。 そろそろ応援が到着する頃だし、一旦外に出よう。 |
ラッセル |
ラブ・ワンがあのタイミングで消失したことからして、 この基地内にトルレ・シャフの監視が及んでいる可能性もある。 何か攻撃を仕掛けられては危険だ。 |
ラッセル | ラブ・ワンとライク・ツーについては…… 士官学校に戻ってから、いろいろなことを検討する必要が── |
話しつつ、ラッセルが外へ向かって歩き始めた時だった。
──ドゴォン!!
ラッセル | ぐっ……! |
---|---|
マークス | マスター!! |
ライク・ツー | 〇〇! |
十数メートル先で何かが爆発したらしく、
強い衝撃が〇〇たちを襲った。
建物の天井のコンクリートが剥落し、粉塵とともに落ちてくる。
マークス | ……ッ、マスター、大丈夫か!? |
---|---|
主人公 | 【大丈夫】 【2人が守ってくれたおかげで】 |
マークス&ライク・ツー | ……! |
マークス&ライク・ツー | …………。 |
ラッセル | みんな、早く避難するんだ! 第二、第三の爆発が起きるかもしれない! |
ジョージ | 行くぞっ!! |
十手 | まずい……大きな柱がやられてしまっている……! 早く出ないと崩れるかもしれないぞ……! |
シャルルヴィル | みんな、走れる!? |
エヴァンズ | ……あ、ああ……。 |
──一行は、基地の中を全力で走った。
もうすぐ外に出るという時──。
ラッセル | ……っ、しまった、通信機が……! |
---|
ラッセルの胸ポケットから滑り出た通信機は、
階段を転げ落ち、地下へ続く階段の踊り場に落ちる。
ラッセル | もっと応援が必要になりそうなのに……! 先に出ていてくれ! |
---|---|
シャルルヴィル | 気をつけて! ラッセル教官も早くね! |
〇〇たちが、一足先に外へ脱出した直後だった。
──ドゴォン!!
一同 | ……!! |
---|---|
マークス | ……なっ……! |
ひときわ大きな爆発音が鳴り響き──
基地の建物は、一気に崩壊し始める。
スプリングフィールド | そんなっ……! |
---|---|
十手 | ラッセル教官は、まだ……!? |
ファル | ええ。まだ出てきていません。 |
主人公 | 【ラッセル教官!!!】 |
シャルルヴィル | こ……こういう時って、間一髪で脱出できてて…… ほこりまみれになりながら、ね……そう、だよね……? |
しかし、ラッセルが出てくることはなかった。
呆然とする一行の前で、断続的に爆発や炎上が続き……
ものの数分で、基地のメイン棟は瓦礫の山と化す。
恭遠 | ラッセル教官……! 返事をしてください! 声が出せないなら、何か物音を!! |
---|---|
恭遠 | ……ラッセル教官……。 |
呼びかけに答える声も、音も、なかった。
──────
──数週間後。
──フィルクレヴァート士官学校、
メモリアルウォールにて。
生徒たちが順番に、花を手向ける。
すすり泣きが聞こえる中、貴銃士たちと〇〇も、
重い足取りで進んだ。
十手 | ……悪い夢でも、見ているのだろうか……。 |
---|
『ヴィヴィアン・リントンロッジ』
その文字は今日、メモリアルウォールの最後の名ではなくなった。
ジョージ | 『ラッセル・ブルースマイル上級曹長』……。 |
---|---|
マークス | 二階級特進……そんなものに意味があるのか。 |
恭遠 | …………。 |
恭遠 | さあ……俺たちも、花を手向けよう。 |
主人公 | 【……どうか、安らかに……】 |
ライク・ツー | …………。 |
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