第1話:喪失

──どこまで行っても白い壁、白い天井が続く地下施設の中。
誰にも見つからないように、青年は息をひそめて走る。

???はぁっ、はぁっ……。
???──で、分析の──。
???(……っ!)

進行方向から話し声が聞こえてきて、青年は足を止める。
そして、近くにあったボイラー室へと駆け込んだ。

???(……ここは……)

青年が見渡した先に、はしごがあった。
はしごの先は見えないが、上へと長く続いている。

???(……外に通じてる、のか……?)

青年は、無我夢中ではしごへと手をかけた。
床に置いてあった荷物に足がぶつかり、工具が転がり落ちる。

???(……っ、しまった……!)
???おい、今何か音がしなかったか?
???ボイラーの音か、振動で何かが落ちたか……。
とにかく確認しよう。
???(こっちに来る……!)

青年は、物音を立てないように注意しつつ、
急いではしごを上っていく。

???(もう少し上がれば、
僕の姿は死角に入って見えないはず……!)
???(トーマスさん……僕は、負けません……!
第95連隊の誇りは……今もこの胸にあるから……!)

はしごを上がりきった先には、重そうな金属製の蓋があった。
開けようと手を伸ばした時、すぐ下から足音が聞こえ、
青年は硬直する。

しかし、先程の声の主たちは、
室内を軽く点検し異変はないと判断したらしい。
しばらくして、ドアが閉まる音が聞こえてくる。

???(行ったか……)

青年は、慎重に金属製の蓋を押し開けた。
その途端──白く強い光が射し込み、思わず目を閉じる。

???……! そ、と……外、だ……。

木々の間を通り抜ける風の音、かすかな花の香り。
小鳥たちの囀り……無機質な地下室とは全く異なる情報の洪水に、
青年は呆然として、しばらくの間固まっていた。

しかしやがて、ゆっくりと外の世界へ一歩を踏み出す。

???見つけた……これなら脱出ルートに使える……。
けど、ここはどのあたりなんだ……?

しばらく歩くと、周囲をぐるりと囲む古びた門に突き当たった。
門は固く閉じられており、押してもびくともしない。

???────くそっ!!
???(いや、大丈夫だ。
森の方へ逃げるんだ。外に出られただけでも大収穫だろう!)
???(あまり長時間戻らないと勘づかれかねない……。 今日はここまでにして──)
???……ん? 誰かいるのか?
???……っ!!

──フィルクレヴァート士官学校、第二医務室。
普段は使われていない予備の医務室は、
目下、カウンセリングルームとして開放されている。

臨床心理士のフェデリコ・ロッシは、
招いた〇〇とやや斜めに向かい合い、
〇〇の話へと静かに耳を傾けていた。

ロッシそうか……判断ミスをしてしまった。
自分が悪いんじゃないか。そう思ってしまうんだね。
主人公【……止められたはずなんです】
【通信機を拾っていなければ、教官は……】
ロッシ……〇〇君。
君はきっと、授業でサバイバーズ・ギルトについて習っただろう。
ロッシ戦争や災害など、危険な状況で
奇跡的に生還した者が抱く罪悪感のことだ。
ロッシでも……現象を理解していたところで、
簡単に気持ちの整理はつかないよね。
ロッシどうしたって……生き残った者は考えてしまう。後悔してしまう。
もっと何かできたはずだ、助けられたんじゃないかと……。

〇〇は、ロッシの静かな声とともに、
セント・ディース島へ赴いた日のことを思い返していた。
謎の結晶、トルレ・シャフ、操られた兵士、そして……爆発。


──セント・ディース基地での事件から数日。
未だに被害の全容解明や被害者の身元確認が終わらない中、
捜索を妨げるような大雨が降っていた。

恭遠──〇〇君。少しいいか?
恭遠今しがた……イギリス支部の事後調査班から連絡があった。
先日の事件は犠牲者が多く、
爆発もあったせいで身元の特定が難航していたが……。
恭遠DNA鑑定の結果……ラッセル教官も、
犠牲者として認定されたそうだ。

恭遠の、慎重に〇〇のことを慮った言葉から、
爆発後の建物の捜索、身元確認作業がどれほど壮絶か悟り、
〇〇は唇を噛み締めた。

『遺体が発見された』──そう言えず、DNA鑑定が行われて、
犠牲になったものと判断されたからには……
きっと、ごく一部しか見つからなかったのだろう。

主人公【(ラッセル教官が、亡くなった……)】
【(また、身近な人を喪ってしまった……)】
恭遠〇〇君……。

恭遠が慰めるように、
〇〇の肩を引き寄せる。
2人はしばらく、そのまま動けずにいた。


──その後、貴銃士たちにも、ラッセルの死が伝えられた。

恭遠ラッセル教官──ラッセル・ブルースマイル上級曹長の葬儀は、
近縁者がいないため、近日中に士官学校で行われるそうだ。
ファル棺はほぼ空の状態で、ですか。
シャルルヴィルそれでも……みんなで、教官を偲ぶことに意味があるはずだよ。
きっと……。
マークスマスター……。
ライク・ツー…………。
恭遠〇〇君や、
あの現場にいた貴銃士の皆は特に、心身の休養が必要だ。
恭遠しばらくは任務を入れないことでコペール中将とも合意している。
連合軍も、結晶の件や今回の事件で混乱しているし、
何より教官として、医師の承諾が出るまで任務はさせられない。
恭遠……今は静かに、故人に思いを馳せよう。

ロッシ……彼の死をはっきりと認識した今、悲しみだけでなく、
罪悪感にも苛まれて苦しいだろう……。
ロッシ無理はしなくていい。
少しずつ少しずつ、受け入れて、また一歩進めるように……
私もできる限り力を尽くすよ。
主人公【ですが……】
【不安、なんです】
ロッシうん、ゆっくり話してごらん。

〇〇は今までの出来事を思い返す。
マスターになったあの夜から、何度も危機を乗り越えてきた。
時には命の危険もあったけれど、なんとか無事やり遂げてきた。

それは……自分自身のこれまでの訓練の成果でもあり、
心強い貴銃士や、支えてくれる人たちのおかげだと思っていた。
だが……ひとつ、重要な要素のことを失念していた。

それは──運だ。

主人公【これまでが幸運すぎたのかもしれません】
【きっと大丈夫だと油断したのかもしれません】

何事にも絶対なんてないことを、
改めて思い知った〇〇は、無力感に肩を落とした。

第2話:カウンセリング

ロッシ……〇〇君。
私の見解を伝えても構わないかな。
主人公【はい】
ロッシあの日、君がセント・ディース基地で目にしたのは、
想像を絶するような悲惨な光景だった。
ロッシ……私も、カサリステの一員だからね。
“完全結晶”と呼ばれていた結晶が引き起こした事象も含め、
報告書を見て一通り知っているよ。
ロッシ写真と文章ですら、寒気がするような現場だった。
私は元軍医で、酷い現場は数多く見てきたけれど、
それでも眉をひそめてしまうものだったよ。
ロッシ意図しない同士討ちにより死傷者多数、さらに爆発も……
そんな凄惨な現場は、熟練の兵士でもそう遭遇することはない。
まして、君はまだ学生。士官候補生なんだ。
ロッシそんな状況下で、ラブ・ワン、そしてライク・ツーのこともあり、
とても平静ではいられなかったはずだ。
それは当然のことで、恥ずべきことはないんだよ。
主人公【ですが……】
【それでも……】
ロッシあの場には大人たちもいた。ラッセル教官も、その1人だ。
指揮系統から言えば、君に責任はない。
これは、はっきりしている。
ロッシ一生徒である君が、教官である彼を本当に止められたのか?
押し問答をしているうちに、全員が爆発に巻き込まれた……
そういう可能性もあるのではないか?
ロッシ選択次第で、様々な未来があり得た分岐の瞬間だ。
だから、無数のIFを考えて後悔してしまうのも仕方がない。
それを責める気はないよ。
ロッシけれどね、ただ1つ確かなことがある。
……ラッセル教官は、大切な生徒である君が傷つくのを
望まなかっただろうということだ。
主人公【そう……ですね、きっと】
【はい……生徒想いの教官でしたから】
ロッシうん。
そうやって、彼に思いを馳せることも大切だよ。
ロッシ大事な人を亡くすのは、本当につらいことだ。
打ちひしがれて、殻に閉じこもりたくなる時もあるけれど……
心の中の故人に語りかけると、答えがもらえたりするしね。
主人公【フェデリコ先生もそうするんですか?】
【フェデリコ先生にもそういう経験が……?】
ロッシそうだね……。
今は随分と情勢が落ち着いてきたし、退役したから多くはない。
けれど、数年前は──珍しいことではなかった。

ロッシ特に、世界帝府が崩壊したあとの混乱期は大変なものだったよ。
発足したばかりの連合軍と、世界帝府の残党や支持者が
各地で何度も戦うことになってね。
ロッシ私は世界帝府の統治時代、
イレーネ城近くの大学病院に勤めていて、
革命戦争後は連合軍に軍医として加わったんだ。
ロッシその頃は、昨夜未来を語り合った友が、
翌日に遺体となって私のところへ運ばれてくる……
そういうことも幾度か経験したよ。

ロッシ何もかも嫌になって投げ出したくなる時、
「あの人だったらどうするか?」を考えてみるんだ。
ロッシそうすると、彼だったら、彼女だったら、
今の私を見てこう言うだろう……という言葉がわかる。
ロッシ「俺のことでいつまでもうじうじしてるなよ!」
「先生ならきっと多くの人の助けになれるわ」とか。
私の希望も混じっているかもしれないけれどね。
ロッシ生き残った私は、先に逝ってしまった彼らに
誇れるような人生を送ろうと思ったものだよ。
ロッシだから……そうだね、
今日はラッセル教官のことを想ってみよう。
彼は君にとってどんな教官だった?

〇〇は、ラッセルとのこれまでのことを思い出す。
親しみやすいながらも締めるところは締め、
生徒から慕われている、頼れる教官。

貴銃士が来てからは振り回されることも多く、
新たな一面を見る機会も増えたように思う。

アメリカでは、政府を敵に回しかねない危険な賭けに、
〇〇と貴銃士たちとともに加わってくれた。

次々と思い浮かぶ出来事を話して聞かせると、
ロッシは優しく目を細める。

ロッシ……ふふ。
彼は、いい教官になったのだね。
主人公【ラッセル教官と面識が……?】
【ラッセル教官をご存知なんですか?】
ロッシさっき、私は連合軍で軍医をしていたと話したね。
革命戦争後の大混乱が少し落ち着いた頃……
私は、イギリス支部で臨床心理士に転身したんだ。

ロッシその頃に、ラッセル君が患者として来たのが出会いだよ。
彼の右目については知っているかな。
戦場での負傷が原因で、視力がほとんど失われているんだが……。
ロッシ怪我して間もないころ、彼がカウンセリングにやってきた。
兵士としてのキャリアは絶たれたようなもので、
ひどくショックを受けていたからね。
ロッシカウンセリングを重ねる中で、
彼は少しずつ現実を受け入れ、前向きになっていったよ。
士官学校の教官という新しい道を見出したのも大きかった。

ロッシ…………。

かつてのことを思い出したのか、柔らかな表情だったロッシは、
やがて沈黙し、表情を曇らせる。

ロッシ〇〇君や、彼の死を悼む生徒たちの様子を見れば、
ラッセル君が素晴らしい教官になったことはわかる。
……神は、残酷だ。

〇〇はふと、ヴィヴィアンの葬儀で見かけた、
彼女の母のことを思い出していた。

主人公【(これ以上の悲しみは御免だ)】
【(どうすれば犠牲をなくせるんだろう)】
ロッシ……革命戦争が終結して、紆余曲折を経ながら、
世界全体の情勢はずいぶんと落ち着いてきたね。
ロッシけれど……連合軍と、トルレ・シャフをはじめとする親世界帝派、
その他の勢力の衝突は今でも続いている。
そして、これからも犠牲は出続ける……。
ロッシ争いのない世界を──これは、多くの人の願いであるはずなのに、
なかなかどうして遠い目標だ。
ロッシ……っと、すまない。
君のカウンセリングなのに、私がすっかり話し込んでしまった。
主人公【いえ、貴重なお話が聞けました】
【1人で話すより気が楽です】
ロッシそれならよかったよ。
……さて、今日のカウンセリングはここまでにしよう。
ロッシ話すことも大事だけれど、
休養はそれ以上に大切だからね。
主人公【完全結晶については何かわかりましたか?】
ロッシああ、カサリステ研究員が引き続き研究を進めているよ。
私も臨床心理士として時折見解を求められているけれど、
セント・ディース基地の現物が消滅してしまっているからね……。
ロッシ〇〇君が見たという黄色がかったものと、
トルレ・シャフ構成員が所持していた紫色のものが同一なのか、
なぜそういった差異が現れたのか……。
ロッシ透明な結晶が色づく条件や、
色を帯びた、彼らが“完全結晶”と呼んでいた物体の効果、
解明すべきことは山ほどあるが、慎重にならざるをえない。
ロッシセント・ディース基地の事例などからして、
あの結晶に人のみならず貴銃士をも操る力があるのはほぼ確実。
使い方次第ではとんでもない危険物質だ。
ロッシトルレ・シャフに利用された、
エヴァンズ教官の二の舞になってはいけないからね……。
主人公【エヴァンズ教官は……】

エヴァンズは、爆発を起こした連合軍基地からの帰還後、
行方がわからなくなっている。

ロッシ連合軍が行方を探しているけれど、今のところは何も……。
誇り高い人だったそうだから、
操られたことを恥じて遁走したという見方が強いみたいだね。
ロッシあるいは……という声もあるが……。
何かわかれば、君にもすぐ伝えよう。

──コンコン

ロッシ……どうぞ。
恭遠失礼します、フェデリコ先生。
〇〇君に用がありまして。
カウンセリングは──
ロッシちょうど終わったところですよ。
恭遠では……。

手招きされて、〇〇は恭遠のところへ行く。

恭遠ドイツから、彼が来たんだ。

第3話:転校生

ゴーストふふ……転入初日のコーディネートはこうでねーと。
主人公【ゴースト!】
【その格好は……?】
ゴーストまあまあ久しぶり、だな……。
ゴースト第一印象が大事……だろうと、思って……。
こんだけ派手な帽子とフサフサヒゲがあれば……
インパクトがあって、気づかれんことはない、だろ……。

再び赴いたドイツでいろいろとあったのち、
〇〇の貴銃士となったジーグブルートとゴースト。

ゴーストは用事を残しているため、
片づき次第士官学校に向かうという話だった。

恭遠と……とりあえず、貴銃士特別クラスに案内するよ。
事情を皆にも伝えないとな。

ゴーストどうも……!
シャルルヴィル&シャスポー……!?
ファル&ミカエル…………。
マークス&十手…………。
ゴースト……う……っ。
ゴースト……ダダ滑り……。
いっそ、存在に気づかれない方がマシ、だった、か……?
ジョージえっと、面白いと思うぜ、うん!
恭遠すまないな……。
皆、まだなかなか、そういう空気には……いや……。
ゴーストなら……これ、だ……。

ゴーストは鞄から袋を取り出した。
中にはパンがたくさん入っている。

ゴーストこれ……お土産のパン。
みんなで食べようと思ってたくさん持ってきたん、だけど……。
この袋──
タバティエール……?
ゴースト パンでパンパン、だ……!
カトラリー…………。
ゴーストん、1つだけ形の違うパンがある。
これは……カニだよな?
カニがいるよな……?
マークスそれがどうした。
ゴースト蟹がいる……よな?
十手はっ……!
た……『たしカニ』……!?
ゴーストそう……それそれ!

ゴーストが嬉しそうに拍手をする。

ジョージ……ぷっ!
スプリングフィールドふ、ふふ……。

教室内から小さな笑い声があがる。
このところ続いていた重苦しい空気が、少しだけ和らいだ。

シャスポーはぁ……こんなしょうもないことで笑うなんて……。
いや、しょうもなさすぎて笑うしかないのか……?
ジョージオレ、腹減っちゃった!
パンくれよ、ゴースト!
ゴーストうん……。
恭遠さて、改めて紹介しよう。
彼はゴースト。ドイツ生まれ、DG11の貴銃士だ。
恭遠ドイツでは親世界帝派との局地的な内乱が続いていたが、
完全鎮圧も目前という状態まできている。
恭遠アウトレイジャーの出現数も減っているため、
貴銃士は最前線から退き、
ドイツ支部の兵士を中心に対応にあたっているそうだ。
ゴーストああ……ドライゼとエルメの兄さんは、
指揮官でもあるから……まだ時々しか顔出せ……ないけど。
俺は、ぼちぼち暇だから……こっちに来てみた。
恭遠……ということだ。
今後の任務を手伝ってもらうことになる。
みんな、仲良くしてくれ。
マークス──と言っても、今は任務がないだろう。
恭遠そうだな。
当面は君たちと同じように学校生活を送ってもらうから、
ゴーストの席を決めてくれ。
ゴースト……なあ。ライク・ツーはいないのか?
恭遠ああ……ライク・ツーは、今日は休みみたいだな。
彼にもいろいろあったから……
今は、時間が必要なんだろう。
ゴーストへぇ……。

ライク・ツー…………。

恭遠ライク・ツー。
君の過去について、セント・ディース基地で明かされたことは
あの場にいた生存者の中だけで秘匿することとする。
ライク・ツー……いいのか……それで。
恭遠君が元世界帝軍の貴銃士だったことは、ひどく衝撃を受けたよ。
だが、過去を隠してきた理由、その目的、それらを聞いて、
〇〇君も私も、偽りはないと判断した。
恭遠しかし、元世界帝軍の貴銃士ということで、
連合軍内には拒絶する者もいるだろう。
君に危険が及ぶ可能性も考えられる。
恭遠君は対外的にはこれまで通り、世界帝軍とは関係のない銃で、
変わらず〇〇君の貴銃士だ。
〇〇君と共に、これからも任務に当たってほしい。
主人公【今度こそ本当に仲間だ】
【本当のライク・ツーを知れて良かった】
ライク・ツー〇〇……。
ライク・ツー……俺にできることが、まだあるかはわからないけど……。
やるよ。お前が折れない限り、俺も折れない。

ライク・ツーと〇〇は握手を交わす。
しかし、ライク・ツーの手はどこか弱々しかった。

ライク・ツーそうだ。ヴィヴィアンの父親は?
あいつは俺が元世界帝軍の貴銃士だって暴露してたろ。
恭遠リントンロッジ氏については……。
家宅捜索の結果トルレ・シャフとの関係が確認され、
勾留されている。
恭遠ただ、半狂乱状態のため、
証言の信憑性については疑念を持たれている。
ライク・ツーなら放っておいていいか。
……ラブ・ワンは?
恭遠彼については庇いようがない。
トルレ・シャフの貴銃士が、スパイとして入り込んでおり、
我々で対処した──そのように報告するよ。
ライク・ツー……っ……そう、だな……。

ライク・ツー僕は、諦めない……。
だけど、少しだけ……立ち止まっても、いいかな……。
ライク・ツーお兄ちゃん……。

第4話:立ち上がる者たち

恭遠君たち、〇〇君を見なかったか?
ミカエルさぁ……どうだったかな。
ファル見ていませんね。
カトラリー談話室とか寮の部屋は?
恭遠もう見たけれど、いなかったんだ。
どうしようか……緊急で連合本部に戻らないといけなくて、
出立前に一言かけておきたいんだが……。
恭遠……ん? 今のは……〇〇君の声か?

だんだんと大きくなっていく声は、
何かを言い争っているような調子だ。
恭遠は急いで声の方へと向かった。

ロッシ駄目だよ、〇〇君。
私はまだ任務復帰の許可を与えていない。
主人公【自分はもう大丈夫です】
【任務に行かせてください】
恭遠〇〇君、フェデリコ先生……!
一体どうしたんです?
ロッシ恭遠審議官……。
実は、アウトレイジャー討伐任務への応援要請が来ていまして。
ロッシですがまだ、〇〇君は全快とは言えません。
今回は休養を優先して、
要請は断るべきだと言っているのですが……。
主人公【助けが必要なら行くべきです】
【自分は健康で、任務に支障はありません】
ロッシ確かに肉体的には健康かもしれない。
だが、あんなことがあったばかりなのに、
また過酷な任務に行くなど……!
ロッシ〇〇君。
前にも言ったけれど、君はまだ学生なんだ。
少しは自分のことを優先しなさい。
ゴースト…………。
主人公【……もう誰かが傷つくのは見たくありません】
【誰かが傷つくより自分が傷つく方がいいです】
ロッシ世界の銃、そして盾となれ──その精神は立派だけれども。
あまり無茶をするものではないよ。
君は1人しかいないんだ。
主人公【すべての人がそうです】
【でも、見捨てることはできません】
ロッシ〇〇君……。
やれやれ。噂に聞いていた通り、こうと決めると君は頑固だね。
ロッシそれとも……忙しく動いていた方が、
気が紛れて楽になれるかい?
主人公【……!】
ゴースト……行ったら、いいんじゃないか?
恭遠ゴースト? いつの間に……。
ゴースト応援要請の内容……ちょろっと聞いてたん、だけど……。
アウトレイジャーの数はそこまで多くない……
普通の任務みたいだった。
ゴーストいずれ、任務に復帰するんだったら……
こういうのから、調子を戻していか……ないと
いけないんじゃないか……?
恭遠…………。
そうだな……ゴーストの意見も一理ある。
恭遠それに……フェデリコ先生。
〇〇君にとって、任務があることを知った上で
何もせずにいることは、ストレスになるかと思います。
ロッシ……確かにそうですね……。
ですがやはり、単独での任務は認められません。
ロッシなので……私が同行しましょう。
恭遠フェデリコ先生が?
ロッシはい。私はラッセル教官に代わり、
カサリステと〇〇君を繋ぎ、指揮をする立場です。
それに、不測の事態が起きた時の助けにもなるでしょう。
ロッシ今は臨床心理士としての仕事を主にしていますが、
私は医師ですし、連合軍で軍医の経験もありますからね。
恭遠ふむ……。
確かに、フェデリコ先生は適任ですね。
恭遠〇〇君、任務中はフェデリコ先生の指示に従い、
無理はしないこと。いいね。
主人公【わかりました】
【イエッサー!】
ロッシそれでは、〇〇君。
君は、参加する貴銃士の選定を頼むよ。
集合は明朝7時、正門だ。
ゴースト……俺も、行っていい、か……?
メンバーに、立候補する。
主人公【ありがとう!】
【頑張ろう】
ゴースト……初任務、だ……。気合い、入れなきゃな……。
あ、そうだ……その前に……。

──メモリアルウォールにて。

ヴィヴィアン・リントンロッジの名前の下に、
ラッセル・ブルースマイルの名前が新しく彫られている。

ライク・ツー…………。

──セント・ディース基地での事件の翌日。
ライク・ツーは1人ひっそりと、教官居住区を訪れていた。

教官居住区は士官学校の所有地内にあるが
教官の家族である民間人も過ごすため、学校を囲む塀の外にあり、
一見すると普通の住宅地のようだ。

ライク・ツー(……あの日ヴィヴィアンが結晶を盗んだのには、
ラッセルが何かしら関係してる。
あの時はまだ銃だったから、はっきりはわからねぇけど……)
ライク・ツー(ラッセルはヴィヴィアンに何をさせようとしてた?
爆発のタイミング的に、ただの事故じゃない可能性もある。
〇〇に話す前に、もっと情報が欲しい……)
ライク・ツー(ん……先客か?)

ライク・ツーの視線の先では、連合軍の兵士が数人、
ラッセルの家からダンボールを運び出していた。

ライク・ツー(……カサリステの差し金か?
誰かに見られる前に、機密関係の資料がないか
確認と回収に来た……?)
ライク・ツー(けど……動きが早すぎる気がする。
まだ安否不明なのに……死んだって確証があるのか?
それとも他に何か理由が……?)

ライク・ツーは、連合軍兵士が去ったのを確認して、
ラッセルの家に忍び込んだ。

ライク・ツー……荒らされてるわけじゃなさそうだな。

質素な部屋には、動物の絵はがきが入った写真立てや、
マトリョーシカなどが置かれている。

ライク・ツーなんだこりゃ……ああ、十手のおっさんと〇〇が
日本に行った時の土産の……たしか、ダルマだったか。

室内を見回したライク・ツーは、
ふと、タータンチェックの壁掛けに目を留めた。

ライク・ツーあいつ、こういうのが趣味だったのか?

ふと壁掛けを外してみるが、ただの壁があるだけだ。
しかし何かが気になり軽くノックをしてみると、
周囲の壁と異なり、音が響くことに気づく。

ライク・ツー……空間がある。

机にあったペーパーナイフを手に取ったライク・ツーは、
慎重に羽目板を外す。
すると、小さな隠しスペースが現れた。

中にはただ一枚、古びた写真だけが入っている。
そこには、肩を組んだ少年と少女が写っていた。

ライク・ツー写真……? この顔立ち……もしかしてラッセルか?
もう1人は……ラッセルに微妙に似てる気もするけど、
よくわかんねぇな。兄妹か、友達か……。

裏返すと、かすれた文字でメッセージが書き込まれていた。

──”I always hope your happiness.”


ライク・ツー(あの写真、ラッセルが隠してたのも気になるし、
とりあえず持ってきちまったけど……)

ライク・ツーは、写真を入れている
内ポケットのあたりに手を当てる。
それから、メモリアルウォールへと手を伸ばした。

ラッセル・ブルースマイルの名前の上にある、
ヴィヴィアン・リントンロッジと彫られた部分に触れる。

ライク・ツーなあ、お前はどう思う?
あいつにも何か事情があるのか……?
ゴースト独り言、か……?
ライク・ツー……っ!!
ゴーストそれとも、幽霊の友達でもいたりして……。
ライク・ツー……幽霊はそっちだろ、存在感ねぇやつだな。
つーか、いつからいたんだよ!!
ゴーストひどっ!
ゴースト……けっこう前からいた、けど。
ライク・ツーあっそ。
……こんなとこになんの用事だ?
ゴーストラッセル教官のことは……ドイツで聞いた。
士官学校に来たからには……
ここにも来とこうと思って、な……。
ゴーストあんまり知ら……ない人、だけど。
〇〇やらみんなに慕われてたってのは、わかる。
ゴースト……だから、来てみた。
ライク・ツー……そうか。

ゴーストはメモリアルウォールに刻まれたラッセルの名前を、
じっと見つめた。

ゴースト大事な人がいなくなるってのは……つらいこと、だ。
ゴースト……あんたも大変だったみたい、だな。
ライク・ツー……っ!

 

第5話:兄の死

ゴースト 前の「転入生」のことも、聞いた……
UL85A1……ラブ・ワン。
漢気のある、いいやつだったんだな。
ゴースト自分が消える──いや、消される、か。
そうわかってて、あんたに何も言わずに、
大切なあんたの意思を尊重して……消えてった。
ライク・ツー…………。
ゴースト立派なやつ……だと思う。
自分のことより、誰かを想えるなんて……な。

ラブ・ワンおいらは……どのみち終わりが決まってるなら、
最期にライたんの本心を知りたかった。
ラブ・ワンわがままなお兄ちゃんでごめんね、ライたん。
ライたんは諦めないでさ、やっちゃいなよ、名誉挽回。
ライク・ツーめちゃくちゃにしといて……っ、
何馬鹿なこと言ってんだよ……。
ラブ・ワンいや、ほんとゴメンッ!
でも……応援してるよ。
ラブ・ワンおいら……他のどのUL85A2でもない、
“ライたん”が弟で、本当に楽しかった。
ライク・ツー……っ、待って……!
ラブ・ワンじゃあね。Bye〜★

ライク・ツーは、強く拳を握りしめる。

ゴーストいや……本当に、すごいよなぁ……。
俺は……エルメの義兄さんのために、そこまでできるか……
たぶん、できないと思う……。
ゴーストそれに、兄ちゃんと天秤にかけても譲れ……ないくらいの
強い思いがあるあんたも、すごい……。
ライク・ツー(……黙れ、違う。
俺は天秤にかけたんじゃない。
俺は、天秤があることすら知らなかったようなもんだ)
ゴースト消えちゃった兄ちゃんのためにも……
あんたのやりたいこと、絶対やり遂げないと、だな……。
ライク・ツー…………。
話はそれだけか。
ゴースト……そう、だな……。
俺たちは、明日任務に発つ……。
ライク・ツー任務に? あいつ、もう立ち直ったのか……。
ゴースト授業、休んでないで出ろよ……。
じゃあな。

ゴーストが立ち去ると、
ライク・ツーはため息とともにその場にしゃがみ込む。

ライク・ツークソ……。

ラブ・ワンじゃあね。Bye〜★

ライク・ツー(1人で勝手に覚悟決めて、笑顔で綺麗に消えやがって……。
未練なんて何もねぇみたいに……!
せめて、本体を握られてるって知ってれば……!)
ライク・ツー(……いや。
だけど、あの時俺が言ったのは本心だ。
トルレ・シャフ側に行くつもりはねぇ)
ライク・ツー(だったら、結末はどのみち同じだったのか……?
でも、もっと何かできたかもしれねぇだろ)
ライク・ツー(……後悔したって、何もかもが手遅れだ。
壊れたものは完全に元通りにはならない。
死んだ人間も蘇らない)
ライク・ツー……はぁ……。

翌日。〇〇と5人の貴銃士──
マークス、十手、タバティエール、カトラリー、ゴースト、
そしてロッシの総勢7人で任務に向かうことになった。

アウトレイジャー討伐を要請してきたという
山間部のプラトー村へ向けて進んでいた一行は、
出発から2時間ほどで早速数体のアウトレイジャーと遭遇した。

アウトレイジャーウウウ……。
十手やれるかい、カトラリー君!
カトラリー当たり前でしょ。さっさと合わせて。
十手&カトラリー──絶対高貴!
アウトレイジャーグァァアア……!
タバティエールお疲れさん、2人とも。
十手ありがとう。
カトラリー君がどんどん強くなっていて頼もしいよ。
これは俺も負けてられないなぁ!
カトラリー別に……これくらい普通でしょ。
っていうか、みんなもっと働きなよ。
マークス…………。
タバティエールマークスくん?

周囲へ鋭い視線を向けていたマークスは、
やがてゆっくりと息をついた。

マークス近くに他のアウトレイジャーの気配はなさそうだ。
だが、引き続き警戒する。お前らも気を抜くな。
カトラリー別に……気なんか抜いてないけど。
カトラリー(マークス……ずっとピリピリしてる。
あんなことがあったあとだし、無理もないけど)
マークスマスターも……俺のそばから離れないでくれ。

第6話:プラトー村

しばらく進んだ一行は、一度休憩を取ることにした。

ゴースト俺は……少し、周りを見てくる。
ロッシでは、私も行こう。
その……用もあるから。
ゴースト用……?……ああ、用を足す用、か。
ロッシゴホン! 察したならわざわざ言わないでほしいよ。

2人は木立の中に消えていく。
残る5人はそれぞれ、水分や糖分補給を始めた。

タバティエール〇〇ちゃん、クッキー食べるかい?
主人公【ありがとう、もらうよ】
【うん、おいしそうだね】
十手甘いものを食べるとなんだか力が出てくるね。
タバティエール君が作った美味しいものならなおさらだ!
タバティエールはは、ありがとな。
カトラリーねぇ、もう1枚──って、あれ……?
カトラリーわ、雨降ってきた! クッキーが湿気っちゃうよ。

──ガサッ

マークス……? 白衣の奴とゴーストか?
カトラリーフェデリコ・ロッシ。名前くらい覚えなよ。
せめて「先生」って呼ぶとかさ。
マークスどうでもいい。
それより、迎撃準備だ。敵かもしれない。

ガサガサと落ち葉を踏む足音が近づいてくる。
マークスだけでなく、他の貴銃士たちと
〇〇も警戒態勢を取った。

アウトレイジャー殺、ス……。
タバティエールおでましか……!
十手〇〇君は傷つけさせないよ。──絶対高貴!
アウトレイジャーウウッ……!
カトラリー避けられた……っ!?
タバティエール絶対高貴───心銃!

獣のような俊敏さで十手の初撃を避けたアウトレイジャー。
だが、アウトレイジャーが一行を攻撃するより先に、
討ち損じに備えていたタバティエールの心銃に撃ち抜かれる。

アウトレイジャーガァァッ……!
タバティエール……ふぅ。なんとか片付いたな。

──ガサガサッ

マークスいや、まだだ!

マークスが銃を構えた次の瞬間──

ロッシま、待て待て! 私たちだ!
撃つんじゃない!
カトラリーなんだ、あんたたちだったの。
十手……って、ゴースト君!? どうしたんだい!?
まさか、アウトレイジャーに……!?

ゴーストは、ロッシに肩を貸してもらって
なんとか歩いている状態だ。
〇〇は慌てて駆け寄る。

主人公【大丈夫!?】
【負傷部位はどこ!?】
ゴースト大丈夫、だ……。
足を捻っただけ、だから。
マークスは……? 何やってるんだ、あんたは。
ゴーストいや……雨が降ってきた、だろ……?
湿った落ち葉で、足がズルッと、こう……な……?

〇〇がゴーストの足首を確認してみると、
やや赤くなって腫れているのがわかる。

ロッシ骨折ではなさそうだが、おそらく中程度の捻挫だね。
靭帯を痛めているかもしれないから、足首を固定して──
ロッシ……いや、貴銃士にそういう必要はないのだったね。
主人公【自分に任せてください】
【治療します】

〇〇は、腫れているゴーストの足首に手をかざす。
温かく淡い光が患部に降り注ぎ、腫れはあっという間に引いた。

ロッシ……! これが……「マスター」の力……!
ゴーストありがと、な……。助かった。
マークスもう間抜けなことでマスターの手を煩わせるなよ。
ゴースト……厳しいやつ、だな……。
ロッシ…………。
知識としては知っていたつもりだが、
目の当たりにすると貴銃士とマスターというのはすごいものだね。
ロッシ一体どういうメカニズムなんだろうか……。
貴銃士の肉体はマスターに宿る薔薇の傷と、
マスター自身の力に支えられているとして──
ロッシ貴銃士を構成する細胞にマスターの力は深く関連しているから、
細胞の治癒力を飛躍的に高めるような働きかけができるのか?
あるいは正常状態が記録されていてその状態に復元している……?

ゴーストは、ロッシからそっと距離を取った。

ゴーストこわ……なんか、解剖されそうな熱を感じた……。
カトラリーちょっとローレンツっぽかったよね、今の。
ロッシすまない……医者として、傷が一瞬で治る奇跡の光景は、
どうにも探究心がそそられてしまってね……。
マークスおい、それより先を急ごう。
雨が強くなってきた。
ロッシああ。
目的地のプラトー村はもうすぐのはずだよ。
足元に気をつけて進もう。

──それから30分ほどで、一行は山間の小さな村に到着した。

ロッシここがプラトー村だ。
この村周辺で度々アウトレイジャーが出没していることから、
連合軍からカサリステへ討伐依頼が来たようだ。
カトラリーこんな山の上の不便そうなとこに村がねぇ……。
アウトレイジャーも出て危ないし、
わざわざここに住まなくてもいいのに。
十手愛着のある土地からは、そう簡単に離れられないものさ。
住めば都って言うし……
そうでなくても俺は、のどかで素敵なところだと思ったよ。
カトラリーふぅん……そっか。
まあ、こういうのが気に入る人にとってはいいとこなのかもね。
ロッシ私もあまり詳しくはないんだが、
任務の事前資料によれば、村民は100人程度だそうだ。
見える範囲にある家は……50世帯くらいといったところかな。
カトラリー……フレンチ料理は期待できそうにないね。
他に何か名物でもあればいいけど。
司祭……おや? 連合軍の方ですね。
さあ、こちらへ!

小ぢんまりとした教会から、1人の司祭が出てくる。
雨に濡れた一行は教会の軒下に駆け寄った。

司祭危険な道中を、よくぞおいでくださいました。
司祭のジョゼフ・ワダムズです。
司祭どうぞ、中へお入りください。
すぐにタオルをお持ちします。

7人は、薄手のタオルで濡れた髪や服を拭き、
控えめに薪がくべられている暖炉で冷えた身体を温める。

司祭武装襲撃犯が森に潜んでいると軍から警告を受け、
村民はここしばらく恐ろしい思いをしていましたが、
これでようやく安心できますよ。
司祭街への交易にも出られる……本当に助かります。
小さな村ですが、どうぞごゆっくりお過ごしください。
タバティエール助かるぜ。
そんな状況だったなら、物資も食料も不足してるんじゃないか?
軍に支援を要請した方がよければ言ってくれよ。
司祭少し不足気味ですが、大丈夫ですよ。
教会で備蓄をしておりましたし、こういう小さな村ですから、
村民同士で分かち合い、乗り越えております。
十手昔ながらの温かい村なんだね。
司祭ええ。今時なかなかこういう地はないかもしれませんね。
司祭都会の暮らしをされている皆さんには不便に感じられるかも
しれませんが……。
任務でのご滞在中、せめて温かい食事と、
教会の客間を提供させていただきます。
主人公【ありがとうございます】
【お世話になります】
司祭さ、もう少ししたら夕食の時間ですからね。
その時、皆さんを村の者たちに紹介させてください。

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