トルレ・シャフ編:第6話~第10話

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第6話:トルレ・シャフの「杖」

トルレ・シャフの幹部である『シェパーズ・クルーク』
───通称『杖』の面々に召集されたフルサトは、
指定された会議室の前に到着した。

込み入った話をしている様子なので、
話の腰を折らないよう、少し待機する。

???───新しいコマの手配は順調かい、『バラニー』。
今のは不足があると話していたが。
『バラニー』無論。選抜を進めているところだ。
もともと今のは使い捨てのつもりだったのだが、
想定外のこともあり長く使うことになっただけのこと。
『バラニー』もう少し機密に関わらせることもでき、
振り回されるのではなく導けるような人員にすげ替える。
???そうか。

漏れ聞こえる会話がひと区切りついたところで、
フルサトは部屋の扉をノックした。

『バラニー』入れ。

室内には、『杖』のうち2人と1組、計4人がいた。

『バラニー』来たか、フルサト。
絶対高貴でメサルティムの傷を治すように。
フルサト……わかったワ。
『メサルティム』のマスターはぁ……? やるのか?
『メサルティム』の貴銃士やってもらえ。血が溜まってるんだろう。
『メサルティム』のマスターまあな。
飲み込むか吐き出せばいいだけだが。

『杖』は人間の上級幹部だが、『メサルティム』は例外だ。
由来である二重星のように、
マスターと貴銃士で一座となっている。

その『メサルティム』のマスターは、
胸ポケットからシルクのハンカチを取り出すと、
口内に溜まっていた血を吐き出した。

そして、フルサトに向かって舌を出す。
そこには痛々しく血を流す薔薇の傷が刻まれていた。

フルサト……っ。
わざわざ傷を見せなくても大丈夫ヨ。
フルサト絶対高貴での治療は、
身体のどこかに触れていればいいノ。
『メサルティム』のマスターだが、見えていないと、治療のやめ時がわかりにくいだろう。
『メサルティム』のマスターそれにさ……見せたいんだよ。
普段隠しているものだからさ───フフ……!
フルサト……絶対高貴。

絶対高貴の光が降り注ぎ、『メサルティム』の舌に刻まれた
薔薇の傷が癒やされていく。一輪の薔薇の花くらいの大きさに
戻ったところで、フルサトは治療を終えた。

『メサルティム』のマスターこれで満足か?
『メサルティム』の貴銃士ああ。
フルサト…………。

フルサトは、そのまま『杖』たちに背を向けて去っていく。
彼らもまた、何事もなかったかのように会議を続けた。

『バラニー』ところで、オーストリアの引き継ぎは───……

扉が閉まり、フルサトは次の目的地へ向けて歩き始める。
もう、会議室からの声は聞こえなかった。

第7話:アシュレーの決定

フルサトはぁ……。
フルサト(……時間がかかってしまったワ。
早く、あのコのところに行かないと……)

フルサトが廊下を歩いていると、
前方からトルレ・シャフ構成員が慌ただしく走って来た。

トルレ・シャフ構成員1フルサト様!!
こちらにいらっしゃいましたか!!
フルサトユー、あのコの世話係の……。
フルサト何かあったノ?
トルレ・シャフ構成員1はい。
実験体5番ですが……アウトレイジャー化が始まりまして。
フルサト……!!
トルレ・シャフ構成員1……偶然いらっしゃった他の貴銃士様が治療してくださり、
結晶回収ののち再召銃されました。
が、今現在もかなり不安定な状況です……。
フルサト…………。
そう、わかったワ……。
トルレ・シャフ構成員2フルサト様、よろしいでしょうか。
フルサト……今度はナニ?
トルレ・シャフ構成員2至急、シェパード・ルームにお戻りを。
モーゼル様がお呼びです。

───フルサトが会議室に行くと、
すでにアインスとエフが待機していた。
しばらくすると、モーゼルが部屋に入ってくる。

アインス……結論が出たのか。
モーゼルええ。アシュレーに現時点で把握済みのすべての情報と、
我々の中で出た意見を伝えました。
モーゼルラブ・ワンについてですが───……
モーゼルアシュレーは、残しておくことを選択しました。
アインス&エフ……っ!
モーゼル……しかし、これは特例です。
今回は我々がラブ・ワンの銃本体を保管しているため、
破壊するほどの緊急性も必要性もないからこその判断でした。
モーゼル戦闘中に銃に戻り、我々が回収することが困難な場合や、
本体を所持したままで敵と接触した場合、こうはいきません。
あなたたちも、それは十分把握しておくように。
モーゼルでないと、半端な判断をのちに後悔することになるでしょう。
モーゼル…………。
モーゼル(そう……僕は、後悔している。
あの時、『本体』を狙えなかったことを……)

───イレーネ城での戦いにて。
玉座の間にアシュレーと2人で籠もったモーゼルは、
ドア越しに周囲を警戒していた。

モーゼル(防衛ラインはもう機能していない。
特別幹部が無力化されたという報告もいくつか受けた。
できることならアシュレーを逃したいが、傷が酷すぎて……)
モーゼル(……! 誰か来る……?)
ライク♥ツーここだよ。
この扉の先の玉座に、あの人がいる。
……これでいいでしょ?
モーゼル───ッ!!
モーゼル(この声は、ライク・ツー……?
一体、何を……誰と話をして……)
モーゼル(……現実逃避をしている場合じゃない。
ライク・ツーは……アシュレーを裏切ったんだ)
ライク♥ツーモーゼルにバレたらやばいし、僕はあっちにいるから。
あとは勝手にやって───

静かに、ごく僅かに扉を開けたモーゼルは、
ライク♥ツーへと狙いを定め、引き金を引いた。

ライク♥ツーあ……え…………?

───ドサッ!

モーゼルアシュレーが無理を押して呼び覚ましたというのに、
その報いがこれですか。
モーゼル……あなたはもう不要です、ライク・ツー。

モーゼル僕はかつて……UL85A2の銃本体を破壊しなかった。
モーゼル……だからこそ今になって、あの貴銃士は、
厚顔無恥にも我らが敵として堂々とふるまっている。
モーゼル僕は、あの時あの銃を徹底的に破壊しておかなかったことを
ひどく後悔しています。
エフ…………。
アインスモーゼル。ただの銃に戻ったラブ・ワンは、もう何もできない。
アインスそして……俺たちはいつまでもあの方の味方だ。
俺たちが仕える主は、あの方ただ1人だ。
モーゼルええ。わかっていますよ、アインス。
あなたの忠誠は本物だと。
エフあらヤダ。アタシの忠誠もよ?
フルサト…………。

第8話:壊される宝物

フルサトはぁ……もう夕方ネ……。
フルサト(……呼び出しに始まって、本当にいろいろあった日だったワ)
???……から……ね 。
では、……しましょう……。
フルサト今の声……。

フルサトは足を止め、廊下の奥から聞こえる話し声に集中する。

フルサト(どこかで聞き覚えがあるワ……。
そう、確か……レジスタンス時代に……)

声に誘われるようにして進んでいったフルサトは、
ある女性の後ろ姿を見て、思い出した名前を口にしていた。

フルサト……オリビア……?
オリビア……はい?
フルサトねぇ、ユー……オリビア、よね?
レジスタンスのシンパで、街の手芸屋さんの……!
オリビア……ああ、懐かしいわ、フルサト様!
オリビアまたお会いできるなんて……!
あの頃は、よくうちの店に毛糸を
買いに来てくださっていましたよね。

───レジスタンス時代、
フルサトには行きつけの手芸屋がいくつかあった。
そのうちの1つが、オリビアの店だ。

フルサトコンニチハ♪
家族に手袋を編む毛糸を探しているノ。
どの色がいいかしらネ? たくさんあって迷っちゃうワ。
フルサトひとりひとり合う色がいいカシラ?
デモ、お揃いもかわいいわよネ、きっと!
オリビアふふっ、仲がよくて羨ましいですね。
せっかくですし、揃いにしてみたらいかがです?
フルサトオリビアは、お揃いがイイと思う?
オリビアええ。
みんなでお揃いって、「家族」って感じがして嬉しいと思います!
フルサトそれじゃあ、お揃いにしちゃうわネ。
色は……。
オリビアこちらの赤色はどうですか?
これなら、もしも雪の上に落としてしまった時も目立って、
すぐに見つけられると思いますよ。
フルサトそうネ……!
とっても綺麗な色だし、この赤い毛糸にするワ。
オリビアはぁい! お買い上げありがとうございます♪
ご家族のみなさんが喜んでくれるといいですね。

フルサトまさかココで、昔の知り合いに会えるなんて……!
フルサトでも、ユーがどうしてトルレ・シャフの施設に……?
まさか、ユーも脅迫されてここに連れてこられたノ……!?
オリビアえ……?
オリビア……ふふ。安心してください、フルサト様。
私は大丈夫ですから。
フルサト本当に……? つらいことはナイ?
何かあれば言ってチョウダイ。
ワタシにできることがあれば、力になるワ。
オリビアいいえ、お気持ちだけで。
本当に大丈夫なんです、フルサト様。
だって……。
オリビア───だって私、最初から世界帝に忠誠を誓っている身ですから。
フルサト…………え?
『オリビア』あはは……! 本当に懐かしいわ、『オリビア』って名前。
レジスタンスのシンパのふりをして、
レジスタンスの情報を集めてた時に使ってたのよね。
フルサト……ッ!
『オリビア』『オリビア』だった頃は親しくさせてもらったわね。
フルサト様が色々と話してくれたから、私、本当に助かったの!
『オリビア』ま、さすがに具体的な話はしてくださらなかったけど。
何気ない日常の話も、他の諜報員の情報を繋ぎ合わせれば、
意外と役に立ったりもするんですよ?
『オリビア』……あ、そうそう。
あなたとの関わりがトルレ・シャフでも活きたの。
『オリビア』モーゼル様にあなたのことを報告して……
それをもとに、あなたをこの役目にお選びになったんですって!
ああ、なんて光栄なのかしら……!
フルサトう……そ……。

フルサトはその場から駆け出す。

フルサト(やめて……ヤメテ、もうヤメテ……!)
フルサト(ワタシの宝物をメチャクチャにしないで……!
せめて、思い出ダケは……綺麗なまま大切にさせて……)
フルサト(これ以上、ぐちゃぐちゃに汚さないで……)

 

第9話:1人の部屋で

かつてレジスタンスのシンパを演じていた
トルレ・シャフ構成員から逃げ出して、
フルサトは部屋へと戻って来た。

フルサト…………はぁ……はぁ……。
あんなノ、嘘……全部、嘘にきまってるワ……っ!
フルサト…………。

フルサトは部屋の片隅に転がっていた毛糸玉を手に取り、
一心不乱に編み始める。

フルサト……手袋。
フルサト手袋を、編まなくチャ……。
フルサトそ、そう……そうヨ、手袋を編むノ。
そうしたら……そうしたら、きっと喜んでくれるワ。
きっとみんな、喜んで───
フルサト(……みんな……?)
フルサト(みんなって……誰? 誰もイナイのに……)

フルサトは手を止め、部屋の隅のカゴをぼんやりと見つめる。
そこには、フルサトが今までに編んだ手袋が
山のように積まれていた。

フルサト……っ!
フルサトワタシ、いつの間にこんなに編んだノ……?
フルサトはぁ……フ、フフフ……。
フルサト(部屋に1人でいるとツラくて、寂しくて……。
何かして気を紛らわせたくて、いつの間にか編んでたのネ。
今もソウ……ワタシ、手袋を編もうとしてる)
フルサト(こんなコトしても、あの頃は戻ってこないのに……)

フルサト忘れ物はナイ?
手袋も耳あてもしっかりつけた?
サカイ大丈夫やで!
クニトモフルサトさんに作ってもろた手袋やさかい、
絶対忘れたりせーへんよ。
フルサト大事に使ってくれて嬉しいワ。
ワタシも、みんなにもらったマフラー、大事に使うわネ♪
サカイおおきに!

フルサト……ッ。
フルサト(ああ、思い出してしまったワ。
今朝見ていた、優しくて温かい夢……)
フルサト(思い出したら、ツラくなるのに……)
フルサト………………。
フルサト金チャン。サカイちゃん。クニトモちゃん。
フルサト……マスター。
フルサトワタシ、レジスタンスで家族ができたのに……
1人になっちゃったワ……。
フルサトうっ……うっ……っ。

第10話:歪な信頼

───トルレ・シャフ本部、シェパード・ルーム。

アインスなぜ、彼───フルサトだったんだ?
モーゼル……?
それは、どういう意図での質問でしょうか?
アインス……我々が欲しかったのは、確実に絶対高貴が使える古銃だ。
アインス移送中に奪取することを考えると、
移送距離が長く積み替えなどで隙があると有利。
世界連合との連携が緊密でないならなおよし───。
アインスそのあたりの条件から絞り込んだのはわかる。
だが、似たような条件の銃は他にもあっただろう。
アインスなぜ、彼を選んで呼び覚ましたのか……
特別な事情があるのであれば聞いておきたい。
モーゼル……それは───。

───革命戦争終結後。

処刑から逃れたアシュレーは、
暗躍していた信奉者から真のアリノミウム結晶を献上され、
再びマスターとなる道を選んだ。

モーゼル……陛下、お身体の調子はいかがですか。
アシュレーああ、悪くない。
アシュレー馴染み深い傷を得られて、むしろ調子が良いくらいだ。
力比べでもしてみるかい?
モーゼル……お戯れを。
アシュレー戯れというなら、君もだろう。
……今の私は『陛下』じゃない。ただのアシュレーだ。
モーゼル……アシュレー……。
モーゼル薔薇の傷をお見せください。
アシュレー心配性だな。
そんなに変わりはないだろう? ほら。
モーゼル……確かに、世界帝であらせられた頃とは
比べ物にならないほど良好な状態ですが、
僕を再召銃した直後と比べると、やや進行しています。
モーゼルこの傷がまた茨のごとくあなたを蝕む前に、
早い段階で対策を打たねばなりません。
モーゼル……僕はもう二度と、
あなたに、あんな苦痛を味合わせたくない。
モーゼル……絶対高貴になれる古銃を早急に召銃することが
必要不可欠です。
モーゼルアシュレー。本日は、あなたが召銃するにふさわしい
銃の候補を見繕ってまいりました。
……こちらの資料を。
アシュレー…………。
モーゼル召銃自体が負担となる以上、
呼び覚ますのは、絶対高貴になれる保証のある銃にすべきです。
モーゼル古銃であるだけでは不十分……
絶対高貴になれるということを自分たちがこの目で確認している、
レジスタンスの貴銃士がもっとも確実でしょう。
モーゼルレジスタンスの貴銃士のうち、どの銃が適切かですが……
量産銃は元マスターが所持しているようで、
まだ居所の特定ができていません。
モーゼル特定できた後も、すり替えれば流石に気づくでしょうから、
我々の動きを悟らせることになり得策ではないかと。
モーゼルそこで、かのマスターの手を離れ、
各国に返還される予定の一品銃を
移送中にすり替え、入手することを提案します。
モーゼル面倒事をなるべく避けるため、世界連合の影響が強い地域……
たとえばフランスなどから距離がある国の貴銃士が理想です。
それらを満たす候補としては───。
モーゼルトルコのアリ・パシャ、エセン、マフムト。
ロシアのエカチェリーナ、アレクサンドル。
日本のイエヤス、ヒデタダ、ユキムラ、キンベエ、フルサト。
モーゼル僕はその中から、日本の『フルサト』を推薦します。
アシュレー……それは何故?
モーゼルまず、彼の所有権を有しているのが日本だからです。
モーゼル世界連合───レジスタンスの息がかかった組織が、
新世界秩序を構築しようとする中で、
あの国は連合から一定の距離を置いています。
モーゼル我々にとっては、いろいろと好都合です。
モーゼルそして、もう1点は彼の性質です。
フルサトという貴銃士は人一倍情に厚く、温厚で、
しかし仲間のために時に容赦なく力を振るうと報告がありました。
モーゼル……平和な世界を望み、
時にリスクを取ることも辞さない、志高いアシュレー……
あなたに通じるところがある貴銃士ではないかと考えました。
アシュレーそれは美しい話だな。
……だが、君のことだから、理由はそれだけではないだろう。
モーゼルはい。
───彼なら、レジスタンスのマスターや近縁の銃を人質に取れば、
容易に操ることが可能です。
アシュレーああ……モーゼルはいい子だ。
モーゼル……っ!
アシュレーいいだろう。話を進めておくれ。
モーゼル……っ、はい。お任せを、アシュレー。

モーゼル……長所と短所は表裏一体です。
モーゼルどちらも本来は単なる特性にすぎず、
周囲にとって都合のいいものが長所で、
不都合なものが短所とみなされているだけのこと。
モーゼル貴銃士フルサトは仲間思いで情に厚い───
これは、長所であり短所でした。
モーゼル我々にとっても長所といえるかもしれませんね。
ありがたいことに、弱点が明確なのですから。
モーゼルラブ・ワンとライク・ツー───あの2挺も同じです。
兄弟銃に対しての思い入れが強く、それが長所であり短所でした。
モーゼルその結果……どうなりましたか?
アインス…………。
モーゼル現場にいた監視役から、任務失敗、裏切りのコードが届いた時……
僕は『ああ、やっぱりか』としか思いませんでした。
あまりにも予想通りでしたから。
モーゼル……それに比べて、アインス。
ベルギーでのあなたの冷静な判断、見事でしたね。
モーゼルあの状況で、敵か味方か明確に判別できなかったファルを
軽率に連れ帰ったり、ほだされて隙を見せたりするようなら、
僕はあなたを見限っていたでしょう。
モーゼル後顧の憂いを断つために、破壊すらしていたかもしれませんね。
アインス……ああ。お前なら、そうするだろう。
モーゼル……今後も、聡明な判断を期待していますよ。
次は、決別を決めた時点で破壊するか、
銃にした上で奪取するかまでしてほしいところですが。
アインス……覚えておこう。
モーゼル…………。
モーゼル(……僕たちは、絶対高貴の力を求めて古銃の貴銃士を召喚した)
モーゼル(……絶対高貴は、気高い心の力だと聞いたことがある。
ならば、どれだけ御しやすく操りやすくても、
心が折れるような貴銃士ではダメだった)
モーゼル(……長所と短所は、本当に表裏一体だ)
モーゼル(特定の人物や集団にひどく思い入れをもっているがゆえに
操りやすいと判断していたフルサトだが……
彼は彼らを守るためなら、どこまででも自分を犠牲にできる)
モーゼル(報告にあった彼の言動からは、
僕の、アシュレーに対する思いと似たものを感じた)
モーゼル(その証拠に、どれだけ孤独を感じようと、
どれだけ傷つこうと、彼はまだ折れていない)
モーゼル(……僕もアシュレーのためなら、
どんなに過酷な状況でも耐えられる)
モーゼル(僕たちのために、僕たちの見据える理想のために……)
モーゼル(───その心、これからも折らないでくださいね。フルサト)

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