第41話:トカゲと小夜啼鳥の決意

マークス行っちまったな……。
マークスはぁ……。
とにかく、マスターの傷が治ってよかった……。
市民2……何が起きたんだ……!?
市民1ロシニョル家のグラース様が、
消えてしまったぞ……。
カトリーヌシャスポー……!

カトリーヌは地面に落ちたシャスポー銃を拾い上げる。
その震える背中を、テオドールがそっと支えていた。

シャルルヴィル……こんなこと、って……。
テオドール大丈夫か、カトリーヌ。
カトリーヌええ……。
テオドール辛い思いをさせてすまなかった……。
逃げるのではなく、先に説得する道を選ぶべきだった。
テオドールだが……それでもだめなら、もう1度、
俺と一緒に逃げてくれるか?
カトリーヌええ……ええ、何度でも。あなたと一緒なら。
テオドール……ロシニョル侯爵、父上。
誰になんと言われようと、私たちは結婚します。
レザール侯爵なっ……! 私が許すとでも思ったのか!?
ロシニョル侯爵テオドール君。君の思いはわかったが、
当家としても、許すわけにはいかない。
ロシニョル侯爵ロシニョルとレザールが結ばれるなど、
あってはならんのだ!
レザール侯爵それはこちらの台詞だ!
カトリーヌだったら、わたくしはロシニョルの姓を捨てます!
テオドール私も、レザールの家名などどうでもいい!
いがみ合いたいのなら、勝手にすればいい。
私たちは家名もしがらみも捨てて生きていきます。
テオドール許しなど必要ありません、父上。
これは、私たちの決定の報告です。
カトリーヌ認められないというのであれば……
どうぞ縁をお切りください、お父様。
ロシニョル侯爵くっ……私とて、愛娘の結婚を祝ってやりたいが……
レザールの倅だぞ……!
レザール侯爵貴殿がそれを言うのか!
我が妻に毒を盛っておいて……!
レザール侯爵それだけではない。
召銃パーティーで当家に恥をかかせようと、
現代銃を混ぜただろう!
ロシニョル侯爵黙れ!
誇り高きロシニョルが、そのような真似をするものか!
ロシニョル侯爵リリエンフェルト家の手前、仲裁を受け入れたが、
当家との関係修復を望まない
そちらが仕組んだことではないのか!?
レザール侯爵なんだと……!
レザール侯爵それだけのために、息子が呼び覚ます銃の中に
現代銃を混ぜ、そちらに古銃を混ぜたと?
馬鹿馬鹿しい!
ロシニョル侯爵では、一体どこの誰が、
ロシニョル家を陥れようとするのだ!
マークスなぁ、マスター。
……やっぱり妙だよな。
マークスあいつらはどっちもやってないって言ってるし、
あれは本心に思える。
それに、どっちにとってもメリットがない。
マークス前に、レザールでもロシニョルでもない第三者が、
何か仕組んでるんじゃないかって考えたよな。
主人公【……2つの事件には、共通点がある】
【2家が関係修復を図ると、事件が起きる】
マークス……!
確かに、その通りだ。
マークスってことは、レザールとロシニョルが仲良くしたら、
困る奴がいるってことなのか……?
主人公【聞いてください!】
レザール侯爵……む?
ロシニョル侯爵なんだね?
マークス毒マカロン事件でも、召銃パーティーでも、
何か悪だくみをした奴がいる。
レザール侯爵だから、それがロシニョル家だと──
マークスいや、違う。マスターと俺が思うに、
黒幕は……あんたらじゃない第三者だ。
マークス考えてみろ。どっちの事件の時も、
あんたらは関係を修復しようとしてたんだろ。
マークス普通、そんなにタイミングよく、何度も邪魔が入るか?
ロシニョル侯爵その意見にも一理あるが、人は恨みにかられ、
時に理を越えても恨みを晴らそうとするのだ。
レザールが犯人だというのが妥当だろう。
レザール侯爵今のは自白か?
先祖代々の恨みを晴らそうと、毒菓子を寄越したと?
ロシニョル侯爵そんなことは言っていない!
シャルルヴィル…………。
シャルルヴィル……ま、待って!
レザール侯爵&ロシニョル侯爵……!
ロシニョル侯爵シャルルヴィル殿?
シャルルヴィル……彼らの言っていることは……正しい。
レザール侯爵なんですと?
シャルルヴィル殿まで妄言に付き合う必要は──
シャルルヴィル……っ、違うんだ、妄言なんかじゃない。

覚悟を決めるように深呼吸をしたシャルルヴィルは、
2人の侯爵をまっすぐに見つめた。

シャルルヴィル……ど、毒マカロンも、召銃パーティーも、
どちらも裏で糸を引いていたのは……っ。
シャルルヴィル裏で、糸を引いてたのは……
リリエンフェルト家、なんです。

第42話:シャルルヴィルの決意

ロシニョル侯爵リリエンフェルト家が……?
レザール侯爵そんな、まさか……。
シャルルヴィル(あ、あああ……っ!
どうしよう、言っちゃった……
ボク、言っちゃった……!)
シャルルヴィル(帰ったらきっと殴られる。
ううん、もっと酷いことになるかも……。
でも……!)

マークスあんたらも貴銃士だろ!
突っ立ってないで、なんとかしろよ!

グラース……おい、マスター!
悪いが、ちょっと無茶させてもらうぞ。
テオドール構わない!
カトリーヌのためならば、この命、惜しくなどない!

タバティエールくそっ……! なんで絶対高貴になれない……?
俺は一体なんのために貴銃士になったんだ……!

シャルルヴィル(みんなが諦めずに、必死に足掻いてる中、
ボクは何もできないって諦めて、
ただ立ちすくんでるだけだった……)
シャルルヴィル(でも、ボクは本当のことを知ってる。
無力だけど、レザールとロシニョルの関係を変える
そのきっかけを作ることはできる……)
シャルルヴィル(ボクが動かなくちゃ、何も変わらないんだ。
諦めて何もしなかったら、ずっとこのまま……)
シャルルヴィルボクは無力だから……
何かを変えることなんて、できないと思ってた。
だけど……。
シャルルヴィル〇〇たちは諦めなかった……、
諦めなんて言葉、知らないみたいに……。
シャルルヴィルだから、ボクも……!
ボクだって、何かを、変えられるって……!
信じたく、て……っ!
主人公【大丈夫】
【信じてる】
シャルルヴィル……っ!
〇〇……。
レザール侯爵リリエンフェルト家の策略だった……?
にわかには信じられんが、しかし……。
ロシニョル侯爵シャルルヴィル様の告発となると……。
カトリーヌそんな……本当に……?
テオドール……リリエンフェルトが裏で手を引いていたというのは、
言われてみれば納得がいく話だ……。
テオドールリリエンフェルト家に次ぐ名門の
レザールとロシニョルが反目しあうことで、
リリエンフェルトの権威が絶対的なものとなる。
テオドールもしも両家が協力関係になれば、
フランス国内におけるリリエンフェルトの力は
相対的に弱まるわけですからね……。
テオドール──ロシニョル侯爵。
毒入りマカロンにも、召銃パーティーの騒動にも、
あなたは一切関与していないのですね。
ロシニョル侯爵ああ、もちろんだ。
マカロンを作ったのは、当家で長年仕えた、
優秀で気のいいパティシエだった。
ロシニョル侯爵彼が食べ物を冒涜し、これから新たな関係を築いていく
レザール家に対して毒を盛るなど、決してありえない。
ロシニョル侯爵だが、咎がなくとも、こちらが贈ったマカロンで
レザール侯爵夫人が倒れたことも事実……
故に、レプリカを使った召銃パーティーにも同意した。
ロシニョル侯爵私は約束を反故にしていないし、
毒を盛るように指示もしていない!
神と、亡き妻に誓ってだ!
シャルルヴィル……毒マカロンの件も、
リリエンフェルト家の策略だったと聞いています。
レザール侯爵……!
レザール侯爵“も”ということは……ほかにも……?
シャルルヴィル……そう、召銃パーティーです。
シャルルヴィルレザール家の方にはグラース銃を、そして
ロシニョル家の方に本物のシャスポー銃を混ぜた。
……どちらも、リリエンフェルト家の仕業です。
全員……!!
マークス待て。テオドール、あんたは前日の夜に
ロシニョル家に忍び込んで何かしていたんだろう?
それはなんだったんだ。
テオドールあれは……。
テオドール召銃パーティーの前日、父から「ロシニョル家が
用意した銃はすべてレプリカで、カトリーヌが
貴銃士を召銃することはない」と知らされた。
テオドールそれを聞いて、彼女がどんなにショックだろうと──
俺はなんとか、彼女を励ましたかった。
テオドールそれで、つい人目を忍んで、
会いに行ってしまったのだ……。
マークス……なるほどな。
レザール侯爵だが、すべてが仕組まれていたことだったとしたら、
レザールとロシニョルの長きに渡る対立は、
一体なんだったのだ。
レザール侯爵まんまと踊らされていただけ、ということか……。
ロシニョル侯爵うむ……。カトリーヌはテオドール殿のことを
心から愛しているようだが……。
レザール侯爵しかし、我々の間には深い確執があるのだ。
このようなことは……いや、しかし……。
ロシニョル侯爵…………。
我々も未来を考える時がきたのかもしれないな。
カトリーヌお父様……!
レザール侯爵お前たちのことも、きちんと考える。
家名を捨てると早まって出て行かず、
しばらく待ちなさい。
テオドール父上……!
カトリーヌああ……本当に、ありがとう、ございます……!
グラース&タバティエール…………。

第43話:ジョージを探せ!

事件のあと、〇〇とマークスは
レザール家へ戻った。

そして、翌朝。
2人は、ジョージを探すため
屋敷を出発しようとしていたのだが──。

???……スター、おーい、マスター!
マークス……ん?
なんだ、騒がしいな……。
ジョージマスターー!!! 大丈夫か??
マークスジョージ!?
主人公【そっちこそ大丈夫!?】
【どこに行ってたの!?】
ジョージよかった、無事だ!
薔薇の傷も大丈夫そうだな。
はぁ~~~、よかったぁ……!
ジョージ本当に、無事でよかったよ。
オレもう、ずっと心配してたんだからな!
ジョージ〇〇たちも
監禁されてるんじゃないかって!
主人公【か、監禁!?】
【どういうこと!?】
マークス何があったのかちゃんと説明しろ!
ジョージいや、それがさぁ……
オレ、ずっと監禁されてたんだけど。
マークスはぁ!?
ジョージパーティーの時にもらったドリンクに、
変なクスリが混ぜられてたみたいでさ。
ジョージ目を覚ましたら地下牢にいて、
銃も取り上げられてて、脱出できなかったんだ。
ジョージしかも、ちょいちょい眠くなるっていうか、
ぼーっとする薬を焚かれてたみたいで、
時間とか日付の感覚もよくわかんなくなって……。
ジョージんで、ある夜に、ふっと目を覚ましたら──

ジョージ……うー。んなにたくさん……食べられないよ……。
ジョージていうかマークス、生肉は身体に悪いって……!
ジョージんがッ……! ……なんだ、夢か。
ジョージ生肉を大量に食わされるなんて、
ヘンな夢だったなぁ。
ジョージ生肉でもなんでもいいから、
安心して食えるものが欲しいって願望の表れかな……。
ジョージ……あ、またパンとスープが置いてある……。
だけど、もう、絶対……食べるもんか……!

──ぐぅぅ……。

ジョージいや……いやいやいや、食べちゃダメだ!
ジョージ耐えるんだ、ジョージ!
ここでまんまと手を出したら、ブラウンに
「高貴じゃない!」ってぶん殴られると思え!
ジョージここは敵地。つまり戦場だ。
ジョージ戦場では、一瞬の油断が命とりになる。
このパンの中に、薬とか毒が入ってるかもしれない。
ジョージだから、絶対に食べるわけには……!
謎の男食え。
ジョージ……うおっ!?
ジョージおい……おまえ!
何が目的なんだ! オレをここから出せ……ッ!
謎の男お前にはまだしばらくここにいてもらう。
謎の男……上の人間から、
お前は大事な客であると聞いている。
餓死させるわけにはいかない。いい加減何か食え。
ジョージ大事な客だと!? 鎖でつないで牢に入れてんのに!?
謎の男逃がすわけにはいかんからな。
ただ、害するつもりはない。
毒が不安なら、俺が毒見をしてやろう。
ジョージ本当に、食った……。
謎の男これでわかっただろう?
食事に毒など入っていない。
謎の男とにかく、何か口にしておけ。
それが賢明な判断だ。
ジョージ待て……! まだ話は終わってないぞ……ッ!
ジョージおまえたちの目的はなんだ!
マスターは無事なのか!?
ジョージもしマスターに何かしたら、
絶対に許さないからな……!
謎の男…………。

ジョージそんな感じでしばらくして、今日目が覚めたら、
牢の中にオレの銃があったんだ。
ジョージ牢の扉も開けっ放しで、足枷の鍵もそばにあったから、
意味わかんねぇけど、とりあえず逃げた。
ジョージ地下牢にはもう誰もいなくてさ。
地上に出たあとは、道で寝てたおじちゃんに
道案内してもらって、どうにか戻ってきたんだ。
ジョージあとでおじちゃんにお礼持っていかないとなぁ。
主人公【怪我はなさそうだね】
【とにかく、無事でよかった】
ジョージおう! ありがとな。マスター!
マークスどこからツッコんでいいのかわからないけどな。
ジョージ……まぁ、マークスの言う通り、
犯人も目的もわからないのは気味が悪いけど。
ジョージ怪我したりひどい目にあったりしなかったから、
とりあえずよかったよ。
主人公【ラッセル教官にも連絡しよう】
マークスだな。
マークス……よし、それじゃあ……。
ジョージ。顔と腹、殴られるならどっちがいい?
ジョージえっ!? 殴るのは決定なワケ!?

 

第44話:別れ

連合軍のフランス支部に向かった〇〇たちは、
エラメル大佐とラッセル教官に状況を報告する。

エラメル大佐によると、フランスで頻発していた
アウトレイジャー襲撃被害が激減し、
以前と同程度の水準にまで落ち着いたらしい。

そのため、〇〇たちのフランスでの任務は、
本日付けで一旦終了になるとのことだった。

ラッセルフランス支部の支援任務、お疲れ様。
明日、フィルクレヴァートに戻ろう。
マークスやっとか……!
これでマスターも、ゆっくり休めるな。
主人公【マークス、お疲れ様】
【マークスもゆっくり休んで】
エラメル大佐……〇〇くん、マークスくん。
任務終了にあたって、私から一言お礼を言わせてくれ。
エラメル大佐アクシデントもあって過酷な状況で、
パリを守るために尽力してくれて、ありがとう。
エラメル大佐君たちのおかげで、
シャスポーくんが市民に被害を及ぼす前に止められた。
苦しんだ彼を……殺戮者にせずに済んだ。
エラメル大佐本当に……ありがとう。

ジョージを監禁した犯人の正体や、その目的。
激増し、そして激減したアウトレイジャー襲撃被害。
突如現れた謎の貴銃士。フランスでは不可解なことが多く起きた。

しかし──
蜥蜴と小夜啼鳥をめぐる奇妙に絡まりあった歪みがほどけて、
ささやかな幸せが訪れようとしているのは確かだった。


──翌日。

マークスよし、忘れ物はないな。
行こう、マスター。ついでにジョージ。
ジョージついで!?
ヒドいぞ、マークス!
カトリーヌ……〇〇さん!
テオドールよかった、見送りに間に合って。
主人公【カトリーヌさん】
【テオドールさん】
カトリーヌ皆さんにも報告したくて……
わたくしたち、結婚を祝福してもらえそうなの!
お父様たちが、和解に向けて話し合ってくださって──
カトリーヌ〇〇さんたちのおかげです!
本当に、ありがとう……。
心から感謝しています。
テオドールまさか、短期間でこんなにも事態が好転するとは……。
君たちには感謝してもしきれないよ。
テオドール私がロシニョル家の一員になる未来がくるなんて、
駆け落ちの夜には、考えられなかったことだ。
主人公【ロシニョル家の?】
【カトリーヌさんの家に?】
テオドール私は次男だからね。
レザールの家は兄さんに任せて、
ロシニョル家に婿に行くことにしたんだ。
カトリーヌロシニョルとしても歓迎なの。
というのも、その……。
テオドール彼女の継母と子供たちは、屋敷から追い出されたんだ。
テオドール継母には、カトリーヌを毒殺しようとした件の
容疑がかかっている。
テオドール本人は頑なに否認しているんだが、
匿名で告発文書が届けられてな。それに──
テオドールあの件だけは、リリエンフェルトは関与していないと
シャルルヴィル様の証言もある。
テオドール彼女を害するものもいなくなったし、
これで安心して、カトリーヌと暮らせるよ。
主人公【おめでとうございます】
【よかったですね】
ジョージ全然わかんねーけど、Congratulations!
カトリーヌありがとうございます……!
カトリーヌ……本当は、シャスポーにも祝ってもらいたかったわ。
ジョージん? 何言ってんだ。
シャスポーならそこにいるじゃないか。
マークスあー……色々あったんだよ。
そいつはグラースだ。
ジョージんんん……?
テオドールそれで……。
散々世話になっておいて図々しいことは承知の上だが、
出発前に頼みがあるんだ。
テオドール──私の薔薇の傷を、癒してほしい。
カトリーヌのように……完全に。
主人公【えっ!】
【でも……】
テオドールああ、わかっている。
薔薇の傷が消えれば、彼ら貴銃士は消えてしまう。
テオドール……身勝手な話だとは思う。だが──
タバティエールおいおい。
気にするなよ、マスター。
タバティエールあいつが……シャスポーがあんなことになっても、
俺は絶対高貴になれなかったんだぜ。
タバティエールだったら、もういつまでも貴銃士でいる意味はないのさ。
……いても仕方ない。
タバティエールそれにマスターはこれから、カトリーヌちゃんと
幸せに暮らすって決めたんだ。
タバティエールこの傷は、普通に生きていく上では、ない方がいい。
だから、これでいいのさ。
タバティエール──だろ?
グラース色々と楽しかったぜ、マスター。
グラース君の貴銃士として過ごした時間は、申し分なかった。
郵便配達の真似事も、まあ楽しかったさ。
テオドールお前たち……。
テオドール……ああ、俺もお前たちのマスターであったことを、
心から誇りに思うよ。
グラースおっと、それから。
……カトリーヌ、幸せにね。
グラース僕のマスターは、僕と同じくらいにはいい男なはずさ。
カトリーヌ……ええ。
ありがとう、優しい郵便屋さん。
テオドールさて。その上で、あなたに頼みたいことがある。
……私とカトリーヌの貴銃士だった銃、
3挺を、あなたに託したい。
テオドールレザール家とロシニョル家の問題に彼らを巻き込み、
かなり窮屈な暮らしを強いてしまった……。
テオドールもちろん、あなたさえよければだが……。
彼らに再び、貴銃士としての生を
授けてもらえないだろうか。
主人公【わかりました】
【大切にします】
テオドールありがとう……。
あなたのもとなら、彼らも新しい未来を築けるだろう。
ジョージえっと、事情はよくわからないけど……いいんだな?
本当にやるぞ?
テオドールああ。どうか頼む。
ジョージわかった。それじゃあ……絶対高貴!
テオドール……傷が、消えていく……。
タバティエール俺をまた召銃するかしないかは……
〇〇ちゃんに任せるよ。
タバティエールだけど……もし君の貴銃士になれるなら、
そのときは毎日美味しいものでも作るよ。
……じゃ、な。
グラースシャスポーのフリしてると、
あんま好き放題できなかったからな。
今度は絶対非道で、敵をぶっ殺しまくってやる。
グラースそれから、ニンゲンとしても色々……
楽しみにしてるぜ、新しいマスターさん。
テオドールありがとう……。
タバティエール、グラース。
カトリーヌシャスポーを……どうかよろしくお願いいたします。
皆さん、本当にありがとうございました。
ジョージ結婚式には、オレたちも呼んでくれよな!
テオドールああ、もちろんだ。
特別な来賓客として、招待状を出させてもらうよ。
テオドールありがとう、〇〇。
あなたのこれからの人生の旅路に、幸多からんことを……。

第45話:トリコロール

???おお、やっと戻ったか。
それで? 成果はどうだ?
???心配しなくても、ちゃんと持ってきたワ。
???ふむ……1つだけか。
まあいい。上出来だ。
???……そういえば、ロシニョル家令嬢の暗殺未遂については、
無事、夫人の仕業ということで処理されたそうだな。
???匿名の告発ゆえに、怪しむものも多少いるかと思ったが……
これまでの所業がよほど悪質だったらしい。
我々としては、第三者の関与が疑われず万々歳だ。
???ふふ……ははは……。
???…………。
???1つ、聞いても?
どうしてジョージを捕まえたノ?
???何、簡単なこと。
我々の計画に、彼が邪魔だっただけだ。
???周囲の人間を誰彼かまわず助けて回る奴がいては、
果実が熟するより前に落ちてしまう。
???だかれって、あんなことしなくても、
結晶の回収に問題はないワ。
???…………。
???……お前が口を挟むことではない。
ともかく、引き続き回収を頼むぞ。
???ええ……。

無事、フランスでの任務を終え、
士官学校に戻ってきた日──。

ラッセルよく戻ったな、〇〇君。
そして、マークス、ジョージ!
恭遠一時的とはいえ、ジョージ。
行方不明となっていたそうだが……問題はないのか?
ジョージOh……行方不明の間より、
帰ってからの方がヤバかったかな……。
マークス……ふん。
ラッセルそれで、その銃が……。
マークスシャスポーとタバティエールとグラースだ。
レザール家とロシニョル家から受け取った。
ジョージタバティエールとグラースのマスターに、
傷を消してほしいって頼まれてさ。
マークス3挺とも、マスターに託したいと言っていた。
主人公【彼らを召銃したいと思います】
【3挺をよろしくお願いします】
ラッセルど、どうしますか、恭遠審議官……。
恭遠〇〇君が希望して、
大きな負担にもならないのであれば……
構わないと思いますが。
マークス……マスターには、俺がいればいいと思うんだがな。
でも、マスターの希望は尊重したい……!
ジョージ仲間が増えると、賑やかで楽しいよな!
戦力にもなるし!
ラッセルふむ……。
〇〇君、決意は変わらないのだな。
主人公【はい!】
【召銃させてください】
ラッセルならば、私にも反対する理由はない。
さぁ、やってくれ!

薔薇の傷が刻まれた手で、
願いを込めながら、3挺の銃に触れていく。

シャスポー……〇〇さん。
君に呼ばれたような気がしたよ。
シャスポー君は……あんなことをした僕を、
また貴銃士にしてくれるの……?
マークス……あんたは必死で、アウトレイジャー化に抗った。
マスターはそれを見ていた。
マークスマスターはあの時も言っただろ。
あんたはフランスを守る貴銃士だって。
シャスポー……あの言葉、堕ちかけていた僕にも届いたよ。
僕がなんのために生まれたのか、思い出させてくれた。
シャスポー君のおかげで僕は、
血の惨劇を繰り返さずに済んだんだ。
シャスポー今度はフランスだけじゃなくて、
マスター──〇〇のことも守れるように
この力を尽くすよ。
タバティエール〇〇ちゃん……。
俺を呼んでくれたんだな。……へへ。
タバティエール呼ばれたからには、早いとこお荷物を卒業できるように
頑張るとしますかね。
これからよろしく頼むよ、“マスター”。
グラース……グラースだ。
よろしくな、マスター。
グラースグラースとして生きるからには、
とことん楽しまねぇとな。
グラース〇〇も、付き合ってくれよ?
主人公【頑張ってみる】
【みんな、これから改めてよろしく】
ラッセル……さて。
新たな仲間も増えたことだし──
ジョージおっ、もしかして、パーティーでも開くのか!?
ラッセルいや、次の任務の話だ。
ジョージNooooo! そりゃないよ……
パーティーのご馳走もろくに食べてないのに……。
マークス次の任務地で何か美味いものを食べればいい。
ジョージそれもそうだな!
ジョージ……休みナシはしんどいけど、
オレたちの助けを必要としている人がいるなら、
うまいメシがなくても行かないと!
タバティエール俺たちも力になるぜ。
シャスポー僕の本当の力、〇〇に見せてあげるよ。
グラース戦闘も、心行くまで楽しまねぇとな?
恭遠やる気は十分だな。これは頼もしい。
ラッセルでは、さっそく来てくれ!
次の任務について作戦会議を始める。
主人公【イエッサー!】
【了解!】
ジョージシャスポー、タバティエール、グラース、
覚悟しろよ~?
これから忙しくなるぜ☆

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