イギリス編:第1話~第6話

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第1話:プロローグ

エンフィールド…………。
……っ。
エンフィールドここは……?
エンフィールドうっ……頭が……!
エンフィールド(そ、そうだ。
確か、いきなり殴られて──)
エンフィールドなんだ、これ……!?
エンフィールド(動けない……!
椅子に縛りつけられてる!?)
エンフィールド(ここはどこだ? どうやって抜け出せばいい?
何か使えそうなものは……!)
エンフィールド(あ、あそこにテーブルが……)
エンフィールド……っ!
エンフィールド(あれは……!
僕の本体──エンフィールド銃。
それと、工具箱……)
エンフィールドまさか……!
スナイダーほう、目が覚めたのか。
エンフィールド……っ、スナイダー!
エンフィールドどういうつもりだ! すぐに縄を解いて──
スナイダーちょうどいい。
これからおまえを改造してやろうと思っていたんだ。
おまえも、自分が変わる様を見ておきたいだろう?
エンフィールドや、やめろ……!
それだけは……っ、改造だけは嫌だ……っ!
スナイダー騒がしいな。
……まったく。泣き言ばかりほざく口なら、
塞いでおけばよかったか。
スナイダーさて、と……。
エンフィールドやめるんだ、スナイダー!
い、嫌だ、やめてくれ──!
エンフィールド──うわぁぁあぁぁぁっ!!!

ラッセルやぁ、待っていたよ。
急な呼び出しで悪いね。
ライク・ツー別にいいけど。なんか用か?
ラッセルああ、実はすごいものが届いていてね。
ラッセル聞いて驚かないでくれ。
……なんと、イギリス王室からの手紙だ。
主人公【王室から!?】
【一体どんな用件で……?】
ラッセル私も正直かなり驚いたんだが……。
ジョージと〇〇君に、
王室からの招待状が届いたんだ。
ジョージえっ、オレ?
ラッセルああ、そうだ。
新しく目覚めた、イギリス人ゆかりの貴銃士を招いて
交流したいということらしい。
ラッセルイギリス王室でも、
半年ほど前に新たに貴銃士を召銃したというから、
彼らとの交流が主な目的ではないかと思う。
ラッセルただ、宛名がなぁ……。
マークス宛名がどうかしたのか?
ラッセル……それが、招待状の宛名が
「ブラウン・ベス」になっているんだ。
マークスブラウン・ベスって、ジョージのことだろ?
王室は「ブラウン・ベス」じゃなくて
「ジョージ」だってこと、知らないのか?
ラッセルいや……連合軍に報告は上がっているから、
王室でも把握しているはずだ。
ライク・ツーなら、あえてブラウン・ベス宛てで
送ってきたってことか……?
ジョージまぁ、イギリスの王室にとっては、
オレの存在ってビミョーなところなのかもな~。
ラッセルああ……。
「ジョージ」が歓迎されるのか少し気がかりだが、
王室からの招待を無下にするわけにもいかない。
ジョージそうだよなぁ~。
……よし、行こう!
マークスいいのかよ。
ジョージオレがブラウン・ベスから目覚めたのは本当だしな!
それに、授業にも飽きてきてたところだったんだ。
ラッセルやれやれ、授業は真面目に受けてくれよ……。
ともあれ、君自身が乗り気なのはありがたい。
マークス……なぁ。それ、俺も行っていいだろ?
ラッセルああ。実はそのつもりで君たち2人も呼んだんだ。
今回の招待期間は、1週間と長めでね。
ロンドン周辺でのアウトレイジャー目撃情報もある。
ラッセルだから、ついでと言ってはなんだが、
アウトレイジャー退治も兼ねて滞在してほしいんだ。
ライク・ツーなるほど。そういうことか。
……ったく、こき使いやがって。
ラッセルははは、そう言わないでくれ。
どうだい、マークス、ライク・ツー。行ってくれるか?
マークス当たり前だ。
マスターが行くなら、俺はどこにだってついていく。
ライク・ツーこいつら2人だけだと何するかわかんねぇしな。
お守り役が必要ってことだろ?
ラッセルははは……。
ジョージなーなー!
王室にいる貴銃士って、どんなヤツなんだ?
ライク・ツー女王が召銃したブラウン・ベスは知ってるけど、
他の奴らのことは知らねぇな。
ラッセル半年前に召銃されたのは、
エンフィールドとスナイダーだそうだ。
ラッセルどちらも大英帝国を代表する名銃だよ。
革命戦争でも同型の銃の貴銃士が活躍した、兄弟銃だ。
ライク・ツー……へぇ、兄弟銃ね。
マークスなぁ、ジョージ。
ブラウン・ベスってあんたと同じ種類の銃だろ?
性格は違うのか?
ジョージ…………。
マークスおい、ジョージ。
ジョージ……ん? 悪い、ぼーっとしてた!
マークス大丈夫かよ。
トランプばっかりやってて寝不足なんじゃねーのか。
ジョージあはは、そうそう!
……って、バレてたのかよ!?
ライク・ツー……同じ種類の銃から目覚めたって言っても、
王室のやつとコイツはだいぶ毛色が違いそうだな。
ジョージはは……、そうだな。
ラッセルでは、ジョージと〇〇君に加えて、
マークスとライク・ツーも同行ということで、
よろしく頼むよ。
ラッセル君たち3人は来週いっぱい公休としよう。
その分、今週の残りの授業はしっかり励んでくれよ。
主人公【イエッサー!】

第2話:霧の王城1

──翌週。

マークスマスター、足元に気をつけてくれ。
すごい霧で視界が悪い。
ライク・ツーお、見えてきたぞ。
……へぇ、あれがウィンズダム宮殿か。
ライク・ツーふーん、立派なもんだな。

深い霧の向こうに見えてきたウィンズダム宮殿は、
300年以上の歴史を誇る英国王家の居城である。
──濃霧もあいまって、荘厳な佇まいだ。

マークス……デカいな。
マークスリリエンフェルトの家もデカいが、もっとデカい。
ここに女王は1人で住んでるのか?
ライク・ツーバカ。んなわけねぇだろ。
侍従も召使もたくさんはべらせてるんだよ。
ジョージ…………。
ライク・ツーおい、ジョージ?
ジョージ……ん?
悪い。なんか言ったか、ライク・ツー。
オレの顔になんか付いてる?
ライク・ツーいや……別になんでもねぇけど。
主人公【何か気になることでも?】
【いつもと様子が違う】
ジョージえっ、オレ、なんかヘンだった!?
いつも通りだと思うけど……。
ライク・ツーいつも通りなわけあるか。
普段はもっと騒がしいだろ、お前は。
ジョージ……そうかな?
ライク・ツーチッ……なんか調子狂うな。
ライク・ツー(つーか、やけに空気が重い気がするな……。
……この霧のせいか?)

垂れこめるような曇天と、視界を遮る霧。
周囲を重々しい雰囲気が包んでいる。

マークスマスター、どうかしたか?
主人公【……なんでもない】
【大丈夫】
マークスそうか。ならいいんだが……。
何かあったら俺に言ってくれ。
他の奴らはあてにならないからな。
ライク・ツーおい、聞こえてるぞ。

マークスとライク・ツーが睨み合う中、
ゆっくりと正門が開かれていく。


???これはこれは!
ようこそおいでくださいました。
アッカーソン貴銃士の皆様と、
そのマスターの〇〇殿ですな。
私は国務大臣のアッカーソンと申します。
主人公【よろしくお願いします】
【お世話になります】
アッカーソン今回の滞在ではアウトレイジャーの討伐も
あわせて行ってくださるとのことでしたな。
いやぁ、大変心強い!
アッカーソンさすがは未来の士官殿と貴銃士様たちですなぁ。
はっはっは!
ライク・ツーなんか、調子のいいジジイだな……。
アッカーソンマーガレット女王陛下も、皆様を
直接お迎えしたいとおっしゃっていたのですが……。
マークスいないのか?
アッカーソンいえ。実は、このところお身体の具合が芳しくなく、
お休みになられておりまして……。
ライク・ツーへぇ。傷が悪化してるのかもな。
お前の出番があるんじゃないか、ジョージ。
ジョージ…………。
ジョージ……! ああ、そうだな。
ライク・ツー(こいつ、またぼーっとしてたな……)
???皆さん、もしかして……
フィルクレヴァートからのお客様でしょうか!?
マークスん?
主人公【はい、そうです】
【士官学校から来ました】
???やはりそうでしたか!
ようこそ、ウィンズダム宮殿へ。
僕はエンフィールドといいます。ええ!
エンフィールド世界の工場・大英帝国が生んだ前装銃最後の傑作、
エンフィールド銃から目覚めた貴銃士です!
どうぞ、お見知りおきを。
主人公【よろしくお願いします】
【〇〇です】
アッカーソンこのエンフィールド殿は、先の革命戦争では
貴銃士とならなかったものの、
レジスタンス兵が使用していたものでしてね。
エンフィールドええ!
まぁ、銃でしたので記憶はおぼろげですが。
弟のスナイダーも同じ部隊にいたようですよ。
エンフィールド僕もスナイダーも当時は貴銃士になりませんでしたが、
こうして召銃されたこと、光栄に思っています。
アッカーソンレジスタンスが使っていたエンフィールド銃と
スナイダー銃を政府として入手できたので、
こうして貴銃士として目覚めさせたというわけです。
アッカーソン革命戦争で貴銃士となった銃は、かつてのマスターが
保管しているそうですが……レジスタンスが愛用した
銃というわけでも、格としては十分ですからな。
アッカーソン我がイギリスの高貴さと、
かつての戦いへの勝利を象徴する貴銃士としては
うってつけでしょう! はははは!
エンフィールドええ! そうでしょうとも!
あはははは!
ライク・ツーあー……よく喋るやつらだな。
俺はライク・ツーだ。こっちはマークス。それで──
ジョージオレは──。
エンフィールド……っ!
お待ちください、あなたは──。
エンフィールドブラウン・ベス先輩……!

第3話:霧の王城2

エンフィールドブラウン・ベス先輩……!
エンフィールドその佇まい! そのお姿!
間違いありません……!
エンフィールドああ! 本当にブラウン・ベス先輩なのですね……!
なんて気高いお姿! さすがは我らが大英帝国を築いた
イギリス陸軍初の制式フリントロック式マスケット銃!
エンフィールド長きにわたって英国紳士たちと共に戦った
ブラウン・ベス先輩とお会いできるなんて、
本当に光栄です……!
ジョージお、おう……?
主人公【あ、あの……?】
【お、落ち着いて……】
エンフィールド……はっ! 失礼しました。
エンフィールドブラウン・ベス先輩にお会いできた感動と興奮で、
つい喋りすぎてしまいました……。
ライク・ツーはぁ……なんかもう、面倒くさくなってきた。
マークスおい、やっぱり勘違いされてるみたいだぞ。
エンフィールド勘違い、と言うと……?
ジョージ悪い!
オレはブラウン・ベス・マスケットの貴銃士だけど、
ブラウン・ベスじゃなくて、ジョージなんだ。
エンフィールドブラウン・ベス先輩だけどそうじゃなくて、
ジョージさん……?
エンフィールドど、どういうことでしょうか……?
ジョージほら、ブラウン・ベスはアメリカ独立戦争の時に、
イギリス側でもアメリカ側でも使われただろ?
ジョージそれで「アメリカ側のブラウン・ベス」の人格が
生まれたんだ。それがオレ。
ジョージ……ってわけで、改めて。オレはジョージだ。
よろしくな、エンフィールド。
エンフィールドな、なるほど……?
そういう事例もあるんですね。
エンフィールドそれでは改めまして、
よろしくお願いします、ジョージさん。
エンフィールド…………。
エンフィールドあの……ジョージさんとして目覚めた場合、
ブラウン・ベス先輩の人格が目覚めることは
ないのでしょうか?
ジョージ……!
ジョージうーん、どうだろうなぁ。
オレは……そのうち目覚めるんじゃないかって
思ってるけど。
エンフィールドほ、本当ですか……!?
うわぁ、それは楽しみだなぁ……!
ライク・ツー……おい。
ブラウン・ベスなら、この城にいるんだろ?
エンフィールドあ……。
マークス女王が目覚めさせた奴がいるんだったよな。
なら、それで十分じゃないのか?
マークス同じ貴銃士が2人いてもしょうがねぇ。
こいつはジョージ。それでいいだろ。
主人公【ジョージはジョージだから】
【それでいいし、それがいい】
ライク・ツー同感。
こいつは別にこのままでいいだろ。
ライク・ツー騒がしいけど、もうこいつに慣れちまったし。
絶対高貴になれるなら、俺は文句ない。
エンフィールドそう、ですか……。
ジョージ…………。
ジョージ(“オレ”のままでいい、かぁ……)
ジョージ…………へへ。
マークスそーいや、そのブラウン・ベスは何してるんだ?
エンフィールド彼は女王陛下についておいでです。
高貴なお2人は、一心同体ですから。
ライク・ツー高貴ねぇ……。
ライク・ツーああ、あとスナイダーって奴はいないのか?
確か、あんたの兄弟銃なんだろ?
エンフィールド……弟は調子が悪くて、
数日前から部屋で休んでいます。
マークスなんだよ、どいつもこいつも病人か。
アッカーソン……あー、ゴホン。
貴銃士様といえど、我らが女王陛下に対して
そのような言動は謹んでいただきたく!
ライク・ツーあー、悪い。
こいつそーゆーのマジでわかんねぇんだ。
エンフィールドあの……ジョージさん。
ジョージなんだ?
エンフィールドジョージさんは、絶対高貴になれるんですよね?
実は僕……まだ、絶対高貴になれないんです。
エンフィールド大英帝国の貴銃士として、
このままでいるわけにはいきません!
エンフィールドそれで……もしよろしければ、ぜひ!
絶対高貴のお力を見せていただきたいのですが!
ジョージああ、いいぞ!
それならお安いご用だ。
ジョージ──絶対高貴!
アッカーソン……っ、これが……。
エンフィールドなんて温かい、眩しい光……!
これが、絶対高貴……!
アッカーソン…………。
アッカーソンこれはこれは、素晴らしい!
女王陛下の騎士、ブラウン・ベス様に引けを取らない
高貴なお力をお持ちだ! いやぁ、実にお見事!
ジョージHAHAHA! そう褒められると照れるなぁ~。
エンフィールド……ジョージさんは、そんな風に笑われるのですね。
やっぱり、ブラウン・ベス先輩とは違うんだ……。
主人公【あなたのマスターは?】
【そちらのマスターに挨拶をしたい】
エンフィールドはっ、そうでした!
マスターのご紹介が遅れてすみま──おや?
エンフィールドマスターが見当たりませんね……。
途中まで一緒に来たんですが……。
マークス……なぁ。
あんたのマスターってのは、あれか?
ジェイコブ…………。
ライク・ツーこそっと出ていこうとしてるみてぇだけど。
エンフィールドマスター! どこへ行かれるのですか?
待ってください!
主人公【自分たちも行こう】
【様子を見に行こう】
マークス了解。

第4話:恐怖の予言

エンフィールドマスター! 待ってください。
ほら、士官学校の貴銃士たちと、
マスターの〇〇さんですよ。
主人公【少しだけお時間を……】
【ご挨拶だけ……】
ジェイコブ……る、……うぅ……っ。
マークスおい、なんか様子が変だぞ。
……震えてるみてぇだ。
マークス……ハッ!
わかったぞ、食中毒だな。
俺もこの間、生肉を食った時にそうなった。
ライク・ツーイギリス王室のマスターが、
お前みたいなバカな真似しねーよ……。
ジョージおーい、どうしたんだ?
大丈夫か?
ジェイコブもう、おしまいだ……。
消されてしまう……俺はもう消されるんだ……。
ジェイコブ殺されたくないぃぃ……い、嫌だ……!
主人公【あのー……】
【大丈夫ですか?】
ジェイコブ……ッ! うわぁあぁっ!
やめろ、殺さないでくれッ!

蒼白な顔でブツブツと何かを呟いていた彼は、
声を掛けた途端、叫び声をあげて走り去ってしまった。

エンフィールド待ってください、マスター!
ライク・ツー……なんだ、あれ?
マークスマスターが挨拶するって言ってるのに、
無礼なやつだ。
ジョージでも、様子がフツーじゃなかったぜ?
殺さないでくれ、とか言ってたし……。
マークスまぁ、少なくとも食中毒じゃなさそうだな。
そうだったら、あんなに速く走れない。
ライク・ツーはぁ……。
イギリス兵士失礼します!
王城近くの森にて、
アウトレイジャー出没との一報が入りました!
アッカーソンなんだと!?
客人であるあなたたちに頼るのは心苦しいが……
奴らの討伐に手を貸してくださる約束でしたな。
主人公【応戦します!】
【みんな、行こう!】
マークス&ライク・ツー&ジョージ了解!

マークス出没場所はこの辺りだな。
ライク・ツー……ん、待て。
なんか聞こえねぇか?
ジョージ……銃声だ! 急ごう!
???──絶対非道!
アウトレイジャーグアァアァッ!
マークス絶対非道……貴銃士か!
ジョージすげぇ、アウトレイジャーがほぼ全滅してる!

アウトレイジャーの出没場所に到着すると、
既にほとんどの敵が無力化されていた。

絶対非道で戦っていた貴銃士が静かに佇んでいるが、
薄暗い森の中では、その姿ははっきり見えない。

???…………。
マークスおい、待て!

後を追ったものの、濃い霧に溶けるように
謎の貴銃士の姿は消えていった。

マークス……消えた。
ライク・ツーまかれたな。
俺たちより土地勘があるんだろ。
……イギリスの貴銃士か?
マークスでも、イギリスにいるのは3人とも古銃の貴銃士だろ。
絶対非道を使える奴はいないんじゃないのか?
ライク・ツーああ。
……誰だったんだ、今の。
ジョージおい、話はあとだ! 周り見ろって!
アウトレイジャー殺、ス……! ゥアアアアッ!
ライク・ツーチッ、まだザコが残ってたのかよ。
……一気に片づけるぞ!
マークスあんたが指示出すんじゃねーよ。
おい、俺とマスターの足引っ張るなよ!

 

第5話:消えた影

マークス敵の無力化に成功。
……マスター、怪我はないか?
主人公【無傷だよ】
【問題ない】
マークスそうか、よかった。
ジョージ〇〇、薔薇の傷見せてみろ。
うーん、ちょっと悪化してるな。
軽く治療しとくぞー。
ジョージ──高貴を。
主人公【ありがとう】
ジョージこれくらいトーゼンだろ!
しんどい時はいつでも言ってくれよな。
ジョージ……んで、さっきの貴銃士はなんだったんだ?
強いのは確かみたいだけどさ。
マークス……思ったんだが、
そう気にする必要はないんじゃないか?
マークスあいつはアウトレイジャーと戦ってた。
それに、マスターに敵対する様子もなかった。
脅威になりそうにないなら、どうでもいい。
ジョージそれもそっか。
あいつのおかげで、オレたちも助かったわけだし!
ライク・ツーもしかすると、カサリステが派遣してたりしてな。
マークスカサリステが?
ジョージああー、確かに!
オレたちの知らないところで、
別の貴銃士を目覚めさせてるかもしれないぜ。
ジョージなんて言ったって、秘密組織だし!
主人公【報告だけはしておこう】
【ラッセル教官には知らせておく】
ジョージそうだな!
よーし、それじゃあ城に戻ろうぜ。
オレ、腹減ってきた!

第6話:初日の終わり

ライク・ツーすっかり日が暮れちまったな。
ジョージまぁ、あの貴銃士のおかげでラクできたし、
軽い運動ができてよかったって思おうぜ。
アッカーソンおお、アウトレイジャーは無事に討伐できましたか。
さすがはフィルクレヴァート士官学校の精鋭ですな!
アッカーソンさてさて、お疲れでしょうから部屋へ案内させます。
晩餐までのつなぎに、軽食も用意しますぞ。
ジョージやったー! オレ、バーガーがいい!
ライク・ツー軽食どころじゃねぇだろ、それ。
ジョージ……それもそうだな。
じゃあ、フレンチフライ山盛りで!
ライク・ツーはぁ……ったく、こいつは……。

ジョージ……すげぇ部屋だな。
マークスマスター!
寝るだけの部屋なのに、教室ぐらいの大きさだ!
ライク・ツー(おお……。なかなかゴージャスじゃん……!)
マークス……あんた、何ニヤニヤしてんだ?
きもちわりーな。
ライク・ツーは!?
別にニヤニヤしてねーし。
ライク・ツー寝るだけの部屋が無駄に広いから、
つい、笑っちまっただけだ。
使用人1失礼いたします。
軽食をお持ちいたしました。
ジョージおーっ、うまそう!
匂い嗅いだら余計腹減ってきた~!
ありがとな!
使用人1恐れ入ります。
ご滞在の間、お食事やアクティビティなど、
お楽しみいただけますと幸いでございます。
ジョージへ? アクティビティ?
何か用意されてんのか?
使用人1はい。明日の昼はポロのご観戦、
夜は「鍵の儀式」のご見学を用意しております。
ジョージポロ?
なんかよくわかんねーけど、面白そうだな!
使用人1ポロは人馬一体となって行う球技でございます。
広大なフィールドを馬たちが駆ける様は圧巻ですよ。
ジョージへぇ~! いいな、ぜってぇ見に行く!
マークス鍵の儀式ってのはなんだ?
使用人1鍵の儀式は、イギリス王室が管理する城塞で
700年間毎日続いている交代式でございます。
マークス700年……すげーな。
使用人1ポロの試合は世界帝統治時代に途絶えておりましたが、
鍵の儀式は戦時中も伝統を繋いだのでございます。
使用人1中世に建てられたイースト・エンド城塞にて、
毎晩きっかり9時57分──
使用人1伝統的な衣装をまとった守衛隊が正門の施錠をして、
番兵と毎晩決まったやり取りをするのです。
セリフはこのように──
使用人1「女王陛下に神のご加護がありますように!」
ライク・ツー……っ、いきなりでかい声出すなよ。
びっくりするだろ。
使用人1……ははは、申し訳ございません。
私もかつては守衛隊に憧れたもので……。
使用人1他にご覧になりたいものや、
ご訪問希望の施設などございましたら、
なんなりとお申しつけを。
使用人1場内には図書館や美術室、資料室などもございます。
そちらも、いつでもご案内させていただきますよ。
ライク・ツー……ふーん、図書館もあるのか。
使用人1それでは、失礼いたします。
ジョージイギリス人の割に陽気でいいヤツだったな!
よーし、冷めないうちにいただきまーす、っと!
ジョージんん、ポテトうま~っ!
なんかいつもと違うオシャレな味するぞ!?
ほら、マスターも食べてみろって!
ライク・ツー芋ばっか食ってると、
せっかくの晩餐が入らなくなるぞ。

──コンコン

エンフィールドあのー……もうお戻りになったと聞いたのですが、
皆さんいらっしゃいますか?
ジョージおっ、エンフィールドか!
丁度いいところに来たな!
おまえも一緒にフレンチフライ食べようぜ!
エンフィールドえっ、僕もよろしいんですか?
では……失礼します。
エンフィールドアウトレイジャー討伐後に
涼しい顔でお食事をされているとは……。
さすがです、ジョージさん!
ライク・ツーいや、こいつ別に大したことしてねーけどな。
ジョージ治療はしたぞ!
絶対高貴でぽわ~っとな!
エンフィールド絶対高貴で……!
素晴らしいです。ジョージさん!
エンフィールド実は……僕がお邪魔したのは、
その件でジョージさんにお願いがあるからなんです。
ジョージお願い?
おう! オレにできることなら任せとけ!
ライク・ツーあっ、お前……!
話聞く前から安請け合いしやがって……。
ジョージいーじゃんいーじゃん。
それで、お願いってなんなんだ?
エンフィールド先ほどもお話ししたように、
僕はまだ、絶対高貴に目覚められていなくて……。
エンフィールドジョージさんのような素晴らしい力を使えるように、
絶対高貴について、滞在中ご指導いただきたいんです!
エンフィールド先輩──いえ、これからは師匠と呼ばせてください!
ジョージ師匠、ご指導ご鞭撻のほど、
どうぞよろしくお願いいたします!
ジョージおう、よろしくな!
ライク・ツー軽っ!
マークスつーか、なんでジョージなんだ?
絶対高貴のことは、ブラウン・ベスに聞けばいいだろ。
エンフィールド……彼は、常に女王のおそばにいますから。
僕が近づける機会はありませんよ。
ジョージ…………。
エンフィールドでは、ジョージ師匠!
明日からよろしくお願いします。
エンフィールド皆さん、お疲れのところ失礼しました。
ゆっくりお過ごしくださいね。それでは──

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