エンフィールド | …………。 ……っ。 |
---|---|
エンフィールド | ここは……? |
エンフィールド | うっ……頭が……! |
エンフィールド | (そ、そうだ。 確か、いきなり殴られて──) |
エンフィールド | なんだ、これ……!? |
エンフィールド | (動けない……! 椅子に縛りつけられてる!?) |
エンフィールド | (ここはどこだ? どうやって抜け出せばいい? 何か使えそうなものは……!) |
エンフィールド | (あ、あそこにテーブルが……) |
エンフィールド | ……っ! |
エンフィールド | (あれは……! 僕の本体──エンフィールド銃。 それと、工具箱……) |
エンフィールド | まさか……! |
スナイダー | ほう、目が覚めたのか。 |
エンフィールド | ……っ、スナイダー! |
エンフィールド | どういうつもりだ! すぐに縄を解いて── |
スナイダー | ちょうどいい。 これからおまえを改造してやろうと思っていたんだ。 おまえも、自分が変わる様を見ておきたいだろう? |
エンフィールド | や、やめろ……! それだけは……っ、改造だけは嫌だ……っ! |
スナイダー | 騒がしいな。 ……まったく。泣き言ばかりほざく口なら、 塞いでおけばよかったか。 |
スナイダー | さて、と……。 |
エンフィールド | やめるんだ、スナイダー! い、嫌だ、やめてくれ──! |
エンフィールド | ──うわぁぁあぁぁぁっ!!! |
ラッセル | やぁ、待っていたよ。 急な呼び出しで悪いね。 |
---|---|
ライク・ツー | 別にいいけど。なんか用か? |
ラッセル | ああ、実はすごいものが届いていてね。 |
ラッセル | 聞いて驚かないでくれ。 ……なんと、イギリス王室からの手紙だ。 |
主人公 | 【王室から!?】 【一体どんな用件で……?】 |
ラッセル | 私も正直かなり驚いたんだが……。 ジョージと〇〇君に、 王室からの招待状が届いたんだ。 |
ジョージ | えっ、オレ? |
ラッセル | ああ、そうだ。 新しく目覚めた、イギリス人ゆかりの貴銃士を招いて 交流したいということらしい。 |
ラッセル | イギリス王室でも、 半年ほど前に新たに貴銃士を召銃したというから、 彼らとの交流が主な目的ではないかと思う。 |
ラッセル | ただ、宛名がなぁ……。 |
マークス | 宛名がどうかしたのか? |
ラッセル | ……それが、招待状の宛名が 「ブラウン・ベス」になっているんだ。 |
マークス | ブラウン・ベスって、ジョージのことだろ? 王室は「ブラウン・ベス」じゃなくて 「ジョージ」だってこと、知らないのか? |
ラッセル | いや……連合軍に報告は上がっているから、 王室でも把握しているはずだ。 |
ライク・ツー | なら、あえてブラウン・ベス宛てで 送ってきたってことか……? |
ジョージ | まぁ、イギリスの王室にとっては、 オレの存在ってビミョーなところなのかもな~。 |
ラッセル | ああ……。 「ジョージ」が歓迎されるのか少し気がかりだが、 王室からの招待を無下にするわけにもいかない。 |
ジョージ | そうだよなぁ~。 ……よし、行こう! |
マークス | いいのかよ。 |
ジョージ | オレがブラウン・ベスから目覚めたのは本当だしな! それに、授業にも飽きてきてたところだったんだ。 |
ラッセル | やれやれ、授業は真面目に受けてくれよ……。 ともあれ、君自身が乗り気なのはありがたい。 |
マークス | ……なぁ。それ、俺も行っていいだろ? |
ラッセル | ああ。実はそのつもりで君たち2人も呼んだんだ。 今回の招待期間は、1週間と長めでね。 ロンドン周辺でのアウトレイジャー目撃情報もある。 |
ラッセル | だから、ついでと言ってはなんだが、 アウトレイジャー退治も兼ねて滞在してほしいんだ。 |
ライク・ツー | なるほど。そういうことか。 ……ったく、こき使いやがって。 |
ラッセル | ははは、そう言わないでくれ。 どうだい、マークス、ライク・ツー。行ってくれるか? |
マークス | 当たり前だ。 マスターが行くなら、俺はどこにだってついていく。 |
ライク・ツー | こいつら2人だけだと何するかわかんねぇしな。 お守り役が必要ってことだろ? |
ラッセル | ははは……。 |
ジョージ | なーなー! 王室にいる貴銃士って、どんなヤツなんだ? |
ライク・ツー | 女王が召銃したブラウン・ベスは知ってるけど、 他の奴らのことは知らねぇな。 |
ラッセル | 半年前に召銃されたのは、 エンフィールドとスナイダーだそうだ。 |
ラッセル | どちらも大英帝国を代表する名銃だよ。 革命戦争でも同型の銃の貴銃士が活躍した、兄弟銃だ。 |
ライク・ツー | ……へぇ、兄弟銃ね。 |
マークス | なぁ、ジョージ。 ブラウン・ベスってあんたと同じ種類の銃だろ? 性格は違うのか? |
ジョージ | …………。 |
マークス | おい、ジョージ。 |
ジョージ | ……ん? 悪い、ぼーっとしてた! |
マークス | 大丈夫かよ。 トランプばっかりやってて寝不足なんじゃねーのか。 |
ジョージ | あはは、そうそう! ……って、バレてたのかよ!? |
ライク・ツー | ……同じ種類の銃から目覚めたって言っても、 王室のやつとコイツはだいぶ毛色が違いそうだな。 |
ジョージ | はは……、そうだな。 |
ラッセル | では、ジョージと〇〇君に加えて、 マークスとライク・ツーも同行ということで、 よろしく頼むよ。 |
ラッセル | 君たち3人は来週いっぱい公休としよう。 その分、今週の残りの授業はしっかり励んでくれよ。 |
主人公 | 【イエッサー!】 |
──翌週。
マークス | マスター、足元に気をつけてくれ。 すごい霧で視界が悪い。 |
---|---|
ライク・ツー | お、見えてきたぞ。 ……へぇ、あれがウィンズダム宮殿か。 |
ライク・ツー | ふーん、立派なもんだな。 |
深い霧の向こうに見えてきたウィンズダム宮殿は、
300年以上の歴史を誇る英国王家の居城である。
──濃霧もあいまって、荘厳な佇まいだ。
マークス | ……デカいな。 |
---|---|
マークス | リリエンフェルトの家もデカいが、もっとデカい。 ここに女王は1人で住んでるのか? |
ライク・ツー | バカ。んなわけねぇだろ。 侍従も召使もたくさんはべらせてるんだよ。 |
ジョージ | …………。 |
ライク・ツー | おい、ジョージ? |
ジョージ | ……ん? 悪い。なんか言ったか、ライク・ツー。 オレの顔になんか付いてる? |
ライク・ツー | いや……別になんでもねぇけど。 |
主人公 | 【何か気になることでも?】 【いつもと様子が違う】 |
ジョージ | えっ、オレ、なんかヘンだった!? いつも通りだと思うけど……。 |
ライク・ツー | いつも通りなわけあるか。 普段はもっと騒がしいだろ、お前は。 |
ジョージ | ……そうかな? |
ライク・ツー | チッ……なんか調子狂うな。 |
ライク・ツー | (つーか、やけに空気が重い気がするな……。 ……この霧のせいか?) |
垂れこめるような曇天と、視界を遮る霧。
周囲を重々しい雰囲気が包んでいる。
マークス | マスター、どうかしたか? |
---|---|
主人公 | 【……なんでもない】 【大丈夫】 |
マークス | そうか。ならいいんだが……。 何かあったら俺に言ってくれ。 他の奴らはあてにならないからな。 |
ライク・ツー | おい、聞こえてるぞ。 |
マークスとライク・ツーが睨み合う中、
ゆっくりと正門が開かれていく。
??? | これはこれは! ようこそおいでくださいました。 |
---|---|
アッカーソン | 貴銃士の皆様と、 そのマスターの〇〇殿ですな。 私は国務大臣のアッカーソンと申します。 |
主人公 | 【よろしくお願いします】 【お世話になります】 |
アッカーソン | 今回の滞在ではアウトレイジャーの討伐も あわせて行ってくださるとのことでしたな。 いやぁ、大変心強い! |
アッカーソン | さすがは未来の士官殿と貴銃士様たちですなぁ。 はっはっは! |
ライク・ツー | なんか、調子のいいジジイだな……。 |
アッカーソン | マーガレット女王陛下も、皆様を 直接お迎えしたいとおっしゃっていたのですが……。 |
マークス | いないのか? |
アッカーソン | いえ。実は、このところお身体の具合が芳しくなく、 お休みになられておりまして……。 |
ライク・ツー | へぇ。傷が悪化してるのかもな。 お前の出番があるんじゃないか、ジョージ。 |
ジョージ | …………。 |
ジョージ | ……! ああ、そうだな。 |
ライク・ツー | (こいつ、またぼーっとしてたな……) |
??? | 皆さん、もしかして…… フィルクレヴァートからのお客様でしょうか!? |
マークス | ん? |
主人公 | 【はい、そうです】 【士官学校から来ました】 |
??? | やはりそうでしたか! ようこそ、ウィンズダム宮殿へ。 僕はエンフィールドといいます。ええ! |
エンフィールド | 世界の工場・大英帝国が生んだ前装銃最後の傑作、 エンフィールド銃から目覚めた貴銃士です! どうぞ、お見知りおきを。 |
主人公 | 【よろしくお願いします】 【〇〇です】 |
アッカーソン | このエンフィールド殿は、先の革命戦争では 貴銃士とならなかったものの、 レジスタンス兵が使用していたものでしてね。 |
エンフィールド | ええ! まぁ、銃でしたので記憶はおぼろげですが。 弟のスナイダーも同じ部隊にいたようですよ。 |
エンフィールド | 僕もスナイダーも当時は貴銃士になりませんでしたが、 こうして召銃されたこと、光栄に思っています。 |
アッカーソン | レジスタンスが使っていたエンフィールド銃と スナイダー銃を政府として入手できたので、 こうして貴銃士として目覚めさせたというわけです。 |
アッカーソン | 革命戦争で貴銃士となった銃は、かつてのマスターが 保管しているそうですが……レジスタンスが愛用した 銃というわけでも、格としては十分ですからな。 |
アッカーソン | 我がイギリスの高貴さと、 かつての戦いへの勝利を象徴する貴銃士としては うってつけでしょう! はははは! |
エンフィールド | ええ! そうでしょうとも! あはははは! |
ライク・ツー | あー……よく喋るやつらだな。 俺はライク・ツーだ。こっちはマークス。それで── |
ジョージ | オレは──。 |
エンフィールド | ……っ! お待ちください、あなたは──。 |
エンフィールド | ブラウン・ベス先輩……! |
エンフィールド | ブラウン・ベス先輩……! |
---|---|
エンフィールド | その佇まい! そのお姿! 間違いありません……! |
エンフィールド | ああ! 本当にブラウン・ベス先輩なのですね……! なんて気高いお姿! さすがは我らが大英帝国を築いた イギリス陸軍初の制式フリントロック式マスケット銃! |
エンフィールド | 長きにわたって英国紳士たちと共に戦った ブラウン・ベス先輩とお会いできるなんて、 本当に光栄です……! |
ジョージ | お、おう……? |
主人公 | 【あ、あの……?】 【お、落ち着いて……】 |
エンフィールド | ……はっ! 失礼しました。 |
エンフィールド | ブラウン・ベス先輩にお会いできた感動と興奮で、 つい喋りすぎてしまいました……。 |
ライク・ツー | はぁ……なんかもう、面倒くさくなってきた。 |
マークス | おい、やっぱり勘違いされてるみたいだぞ。 |
エンフィールド | 勘違い、と言うと……? |
ジョージ | 悪い! オレはブラウン・ベス・マスケットの貴銃士だけど、 ブラウン・ベスじゃなくて、ジョージなんだ。 |
エンフィールド | ブラウン・ベス先輩だけどそうじゃなくて、 ジョージさん……? |
エンフィールド | ど、どういうことでしょうか……? |
ジョージ | ほら、ブラウン・ベスはアメリカ独立戦争の時に、 イギリス側でもアメリカ側でも使われただろ? |
ジョージ | それで「アメリカ側のブラウン・ベス」の人格が 生まれたんだ。それがオレ。 |
ジョージ | ……ってわけで、改めて。オレはジョージだ。 よろしくな、エンフィールド。 |
エンフィールド | な、なるほど……? そういう事例もあるんですね。 |
エンフィールド | それでは改めまして、 よろしくお願いします、ジョージさん。 |
エンフィールド | …………。 |
エンフィールド | あの……ジョージさんとして目覚めた場合、 ブラウン・ベス先輩の人格が目覚めることは ないのでしょうか? |
ジョージ | ……! |
ジョージ | うーん、どうだろうなぁ。 オレは……そのうち目覚めるんじゃないかって 思ってるけど。 |
エンフィールド | ほ、本当ですか……!? うわぁ、それは楽しみだなぁ……! |
ライク・ツー | ……おい。 ブラウン・ベスなら、この城にいるんだろ? |
エンフィールド | あ……。 |
マークス | 女王が目覚めさせた奴がいるんだったよな。 なら、それで十分じゃないのか? |
マークス | 同じ貴銃士が2人いてもしょうがねぇ。 こいつはジョージ。それでいいだろ。 |
主人公 | 【ジョージはジョージだから】 【それでいいし、それがいい】 |
ライク・ツー | 同感。 こいつは別にこのままでいいだろ。 |
ライク・ツー | 騒がしいけど、もうこいつに慣れちまったし。 絶対高貴になれるなら、俺は文句ない。 |
エンフィールド | そう、ですか……。 |
ジョージ | …………。 |
ジョージ | (“オレ”のままでいい、かぁ……) |
ジョージ | …………へへ。 |
マークス | そーいや、そのブラウン・ベスは何してるんだ? |
エンフィールド | 彼は女王陛下についておいでです。 高貴なお2人は、一心同体ですから。 |
ライク・ツー | 高貴ねぇ……。 |
ライク・ツー | ああ、あとスナイダーって奴はいないのか? 確か、あんたの兄弟銃なんだろ? |
エンフィールド | ……弟は調子が悪くて、 数日前から部屋で休んでいます。 |
マークス | なんだよ、どいつもこいつも病人か。 |
アッカーソン | ……あー、ゴホン。 貴銃士様といえど、我らが女王陛下に対して そのような言動は謹んでいただきたく! |
ライク・ツー | あー、悪い。 こいつそーゆーのマジでわかんねぇんだ。 |
エンフィールド | あの……ジョージさん。 |
ジョージ | なんだ? |
エンフィールド | ジョージさんは、絶対高貴になれるんですよね? 実は僕……まだ、絶対高貴になれないんです。 |
エンフィールド | 大英帝国の貴銃士として、 このままでいるわけにはいきません! |
エンフィールド | それで……もしよろしければ、ぜひ! 絶対高貴のお力を見せていただきたいのですが! |
ジョージ | ああ、いいぞ! それならお安いご用だ。 |
ジョージ | ──絶対高貴! |
アッカーソン | ……っ、これが……。 |
エンフィールド | なんて温かい、眩しい光……! これが、絶対高貴……! |
アッカーソン | …………。 |
アッカーソン | これはこれは、素晴らしい! 女王陛下の騎士、ブラウン・ベス様に引けを取らない 高貴なお力をお持ちだ! いやぁ、実にお見事! |
ジョージ | HAHAHA! そう褒められると照れるなぁ~。 |
エンフィールド | ……ジョージさんは、そんな風に笑われるのですね。 やっぱり、ブラウン・ベス先輩とは違うんだ……。 |
主人公 | 【あなたのマスターは?】 【そちらのマスターに挨拶をしたい】 |
エンフィールド | はっ、そうでした! マスターのご紹介が遅れてすみま──おや? |
エンフィールド | マスターが見当たりませんね……。 途中まで一緒に来たんですが……。 |
マークス | ……なぁ。 あんたのマスターってのは、あれか? |
ジェイコブ | …………。 |
ライク・ツー | こそっと出ていこうとしてるみてぇだけど。 |
エンフィールド | マスター! どこへ行かれるのですか? 待ってください! |
主人公 | 【自分たちも行こう】 【様子を見に行こう】 |
マークス | 了解。 |
エンフィールド | マスター! 待ってください。 ほら、士官学校の貴銃士たちと、 マスターの〇〇さんですよ。 |
---|---|
主人公 | 【少しだけお時間を……】 【ご挨拶だけ……】 |
ジェイコブ | ……る、……うぅ……っ。 |
マークス | おい、なんか様子が変だぞ。 ……震えてるみてぇだ。 |
マークス | ……ハッ! わかったぞ、食中毒だな。 俺もこの間、生肉を食った時にそうなった。 |
ライク・ツー | イギリス王室のマスターが、 お前みたいなバカな真似しねーよ……。 |
ジョージ | おーい、どうしたんだ? 大丈夫か? |
ジェイコブ | もう、おしまいだ……。 消されてしまう……俺はもう消されるんだ……。 |
ジェイコブ | 殺されたくないぃぃ……い、嫌だ……! |
主人公 | 【あのー……】 【大丈夫ですか?】 |
ジェイコブ | ……ッ! うわぁあぁっ! やめろ、殺さないでくれッ! |
蒼白な顔でブツブツと何かを呟いていた彼は、
声を掛けた途端、叫び声をあげて走り去ってしまった。
エンフィールド | 待ってください、マスター! |
---|---|
ライク・ツー | ……なんだ、あれ? |
マークス | マスターが挨拶するって言ってるのに、 無礼なやつだ。 |
ジョージ | でも、様子がフツーじゃなかったぜ? 殺さないでくれ、とか言ってたし……。 |
マークス | まぁ、少なくとも食中毒じゃなさそうだな。 そうだったら、あんなに速く走れない。 |
ライク・ツー | はぁ……。 |
イギリス兵士 | 失礼します! 王城近くの森にて、 アウトレイジャー出没との一報が入りました! |
アッカーソン | なんだと!? 客人であるあなたたちに頼るのは心苦しいが…… 奴らの討伐に手を貸してくださる約束でしたな。 |
主人公 | 【応戦します!】 【みんな、行こう!】 |
マークス&ライク・ツー&ジョージ | 了解! |
マークス | 出没場所はこの辺りだな。 |
---|---|
ライク・ツー | ……ん、待て。 なんか聞こえねぇか? |
ジョージ | ……銃声だ! 急ごう! |
??? | ──絶対非道! |
アウトレイジャー | グアァアァッ! |
マークス | 絶対非道……貴銃士か! |
ジョージ | すげぇ、アウトレイジャーがほぼ全滅してる! |
アウトレイジャーの出没場所に到着すると、
既にほとんどの敵が無力化されていた。
絶対非道で戦っていた貴銃士が静かに佇んでいるが、
薄暗い森の中では、その姿ははっきり見えない。
??? | …………。 |
---|---|
マークス | おい、待て! |
後を追ったものの、濃い霧に溶けるように
謎の貴銃士の姿は消えていった。
マークス | ……消えた。 |
---|---|
ライク・ツー | まかれたな。 俺たちより土地勘があるんだろ。 ……イギリスの貴銃士か? |
マークス | でも、イギリスにいるのは3人とも古銃の貴銃士だろ。 絶対非道を使える奴はいないんじゃないのか? |
ライク・ツー | ああ。 ……誰だったんだ、今の。 |
ジョージ | おい、話はあとだ! 周り見ろって! |
アウトレイジャー | 殺、ス……! ゥアアアアッ! |
ライク・ツー | チッ、まだザコが残ってたのかよ。 ……一気に片づけるぞ! |
マークス | あんたが指示出すんじゃねーよ。 おい、俺とマスターの足引っ張るなよ! |
マークス | 敵の無力化に成功。 ……マスター、怪我はないか? |
---|---|
主人公 | 【無傷だよ】 【問題ない】 |
マークス | そうか、よかった。 |
ジョージ | 〇〇、薔薇の傷見せてみろ。 うーん、ちょっと悪化してるな。 軽く治療しとくぞー。 |
ジョージ | ──高貴を。 |
主人公 | 【ありがとう】 |
ジョージ | これくらいトーゼンだろ! しんどい時はいつでも言ってくれよな。 |
ジョージ | ……んで、さっきの貴銃士はなんだったんだ? 強いのは確かみたいだけどさ。 |
マークス | ……思ったんだが、 そう気にする必要はないんじゃないか? |
マークス | あいつはアウトレイジャーと戦ってた。 それに、マスターに敵対する様子もなかった。 脅威になりそうにないなら、どうでもいい。 |
ジョージ | それもそっか。 あいつのおかげで、オレたちも助かったわけだし! |
ライク・ツー | もしかすると、カサリステが派遣してたりしてな。 |
マークス | カサリステが? |
ジョージ | ああー、確かに! オレたちの知らないところで、 別の貴銃士を目覚めさせてるかもしれないぜ。 |
ジョージ | なんて言ったって、秘密組織だし! |
主人公 | 【報告だけはしておこう】 【ラッセル教官には知らせておく】 |
ジョージ | そうだな! よーし、それじゃあ城に戻ろうぜ。 オレ、腹減ってきた! |
ライク・ツー | すっかり日が暮れちまったな。 |
---|---|
ジョージ | まぁ、あの貴銃士のおかげでラクできたし、 軽い運動ができてよかったって思おうぜ。 |
アッカーソン | おお、アウトレイジャーは無事に討伐できましたか。 さすがはフィルクレヴァート士官学校の精鋭ですな! |
アッカーソン | さてさて、お疲れでしょうから部屋へ案内させます。 晩餐までのつなぎに、軽食も用意しますぞ。 |
ジョージ | やったー! オレ、バーガーがいい! |
ライク・ツー | 軽食どころじゃねぇだろ、それ。 |
ジョージ | ……それもそうだな。 じゃあ、フレンチフライ山盛りで! |
ライク・ツー | はぁ……ったく、こいつは……。 |
ジョージ | ……すげぇ部屋だな。 |
---|---|
マークス | マスター! 寝るだけの部屋なのに、教室ぐらいの大きさだ! |
ライク・ツー | (おお……。なかなかゴージャスじゃん……!) |
マークス | ……あんた、何ニヤニヤしてんだ? きもちわりーな。 |
ライク・ツー | は!? 別にニヤニヤしてねーし。 |
ライク・ツー | 寝るだけの部屋が無駄に広いから、 つい、笑っちまっただけだ。 |
使用人1 | 失礼いたします。 軽食をお持ちいたしました。 |
ジョージ | おーっ、うまそう! 匂い嗅いだら余計腹減ってきた~! ありがとな! |
使用人1 | 恐れ入ります。 ご滞在の間、お食事やアクティビティなど、 お楽しみいただけますと幸いでございます。 |
ジョージ | へ? アクティビティ? 何か用意されてんのか? |
使用人1 | はい。明日の昼はポロのご観戦、 夜は「鍵の儀式」のご見学を用意しております。 |
ジョージ | ポロ? なんかよくわかんねーけど、面白そうだな! |
使用人1 | ポロは人馬一体となって行う球技でございます。 広大なフィールドを馬たちが駆ける様は圧巻ですよ。 |
ジョージ | へぇ~! いいな、ぜってぇ見に行く! |
マークス | 鍵の儀式ってのはなんだ? |
使用人1 | 鍵の儀式は、イギリス王室が管理する城塞で 700年間毎日続いている交代式でございます。 |
マークス | 700年……すげーな。 |
使用人1 | ポロの試合は世界帝統治時代に途絶えておりましたが、 鍵の儀式は戦時中も伝統を繋いだのでございます。 |
使用人1 | 中世に建てられたイースト・エンド城塞にて、 毎晩きっかり9時57分── |
使用人1 | 伝統的な衣装をまとった守衛隊が正門の施錠をして、 番兵と毎晩決まったやり取りをするのです。 セリフはこのように── |
使用人1 | 「女王陛下に神のご加護がありますように!」 |
ライク・ツー | ……っ、いきなりでかい声出すなよ。 びっくりするだろ。 |
使用人1 | ……ははは、申し訳ございません。 私もかつては守衛隊に憧れたもので……。 |
使用人1 | 他にご覧になりたいものや、 ご訪問希望の施設などございましたら、 なんなりとお申しつけを。 |
使用人1 | 場内には図書館や美術室、資料室などもございます。 そちらも、いつでもご案内させていただきますよ。 |
ライク・ツー | ……ふーん、図書館もあるのか。 |
使用人1 | それでは、失礼いたします。 |
ジョージ | イギリス人の割に陽気でいいヤツだったな! よーし、冷めないうちにいただきまーす、っと! |
ジョージ | んん、ポテトうま~っ! なんかいつもと違うオシャレな味するぞ!? ほら、マスターも食べてみろって! |
ライク・ツー | 芋ばっか食ってると、 せっかくの晩餐が入らなくなるぞ。 |
──コンコン
エンフィールド | あのー……もうお戻りになったと聞いたのですが、 皆さんいらっしゃいますか? |
---|---|
ジョージ | おっ、エンフィールドか! 丁度いいところに来たな! おまえも一緒にフレンチフライ食べようぜ! |
エンフィールド | えっ、僕もよろしいんですか? では……失礼します。 |
エンフィールド | アウトレイジャー討伐後に 涼しい顔でお食事をされているとは……。 さすがです、ジョージさん! |
ライク・ツー | いや、こいつ別に大したことしてねーけどな。 |
ジョージ | 治療はしたぞ! 絶対高貴でぽわ~っとな! |
エンフィールド | 絶対高貴で……! 素晴らしいです。ジョージさん! |
エンフィールド | 実は……僕がお邪魔したのは、 その件でジョージさんにお願いがあるからなんです。 |
ジョージ | お願い? おう! オレにできることなら任せとけ! |
ライク・ツー | あっ、お前……! 話聞く前から安請け合いしやがって……。 |
ジョージ | いーじゃんいーじゃん。 それで、お願いってなんなんだ? |
エンフィールド | 先ほどもお話ししたように、 僕はまだ、絶対高貴に目覚められていなくて……。 |
エンフィールド | ジョージさんのような素晴らしい力を使えるように、 絶対高貴について、滞在中ご指導いただきたいんです! |
エンフィールド | 先輩──いえ、これからは師匠と呼ばせてください! ジョージ師匠、ご指導ご鞭撻のほど、 どうぞよろしくお願いいたします! |
ジョージ | おう、よろしくな! |
ライク・ツー | 軽っ! |
マークス | つーか、なんでジョージなんだ? 絶対高貴のことは、ブラウン・ベスに聞けばいいだろ。 |
エンフィールド | ……彼は、常に女王のおそばにいますから。 僕が近づける機会はありませんよ。 |
ジョージ | …………。 |
エンフィールド | では、ジョージ師匠! 明日からよろしくお願いします。 |
エンフィールド | 皆さん、お疲れのところ失礼しました。 ゆっくりお過ごしくださいね。それでは── |
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