エンフィールド | それでは、また明日── |
---|---|
主人公 | 【ちょっと待って】 【聞きたいことが……】 |
エンフィールド | はい、なんでしょうか。 城内の案内でしたら、僕にお任せを。 |
主人公 | 【あなたのマスターは大丈夫?】 |
エンフィールド | ああ……先ほどはお騒がせしてすみません。 今は落ち着いて、部屋で休まれています。 |
エンフィールド | バタバタしていて紹介が遅れましたが、 マスターの名はジェイコブ・テイラーと言います。 官庁に勤める秀才だったようですよ。 |
マークス | んなことはどうでもいい。 それより、あいつ……物騒なこと言ってたけど、 あれはなんだ? |
マークス | 殺されるとかなんとか……。 まさか、俺のマスターに危害が及ぶようなことは ないだろうな? |
エンフィールド | ええ、そんなことはありえませんよ! マスターは、以前の──いえ、なんでもありません。 きっと大丈夫ですから……ご心配なさらず。 |
主人公 | 【スナイダーの様子は?】 |
エンフィールド | まだあまり体調が良くないようですが、 状態は安定しているのでご安心を。 |
エンフィールド | お気遣いいただきありがとうございます。 早くスナイダーのことも紹介できるといいのですが。 |
ジョージ | おう! オレたちも、スナイダーと会えるのを楽しみにしてる! |
エンフィールド | ……それでは、僕はこれで。 ジョージ師匠、明日からよろしくお願いいたします! |
ライク・ツー | ……本当に大丈夫なのか、この城は。 |
主人公 | 【マスターが? スナイダーが?】 |
ライク・ツー | スナイダーのことはよく知らねぇ。 だけど、あのマスターの様子は 明らかにおかしかっただろ? |
ライク・ツー | それに……士官学校で、妙な噂を聞いたんだ。 |
ジョージ | 噂って、どんな? |
ライク・ツー | ……イギリスのマスターが、 相次いで姿を消してるんだとよ。 お前らは聞いたことないか? |
マークス | ……初耳だな。 |
ジョージ | オレも初めて聞いたぞ。 |
主人公 | 【詳しく聞かせてほしい】 【他に知っていることは?】 |
ライク・ツー | 情報はあるに越したことはねぇからな。 食堂で噂話してた奴らから、色々と聞き出しておいた。 |
ジョージ | おお……! ライク・ツー、オレたち以外に友達いたんだな! |
ライク・ツー | そいつらによると……って、おい! お前、俺のことなんだと思ってんだよ。 |
ライク・ツー | つーか、別に友達じゃねぇし。 俺はたまたま話を聞いただけだ。 |
ライク・ツー | ……そもそも、お前らとも友達じゃねーし。 |
ジョージ | HAHAHA、確かに! オレたち、友達じゃなくて仲間だもんな☆ それで、噂って? |
ライク・ツー | 仲……、あー、もういいや。 話戻すぞ。 |
ライク・ツー | 新しい貴銃士──エンフィールドとスナイダーは、 約半年前に召銃された。 ここまではお前らも聞いてるよな? |
ライク・ツー | 問題はこの先だ。 ……奴らのマスターは、今ので3人目らしい。 |
マークス | 3人目? 前の2人はどうしたんだ。 |
ライク・ツー | 1人目のマスターも2人目のマスターも、 2ヶ月くらいで姿を消したそうだ。 |
ライク・ツー | どっちも、霧の深い夜に──忽然とな。 |
ジョージ | 2ヶ月くらいで……ってことは……。 |
ライク・ツー | ああ。2人の召銃からもうすぐ半年。 つまり、今のマスターの任命からもうすぐ2ヶ月だ。 |
ライク・ツー | 噂が本当なら……あいつもそろそろ、 前任者たちと同じ道を辿るのかもしれない。 |
マークス | なるほどな……。 それで怯えてたってわけか。 |
マークス | ん、でも待てよ。あのマスターは、「消される」とか、 「殺される」とか言ってなかったか? |
主人公 | 【失踪じゃないと確信している?】 【彼は、殺されると思っている?】 |
ライク・ツー | さぁな。1つ確かなのは…… この城で、何かが起こってるってことだ。 |
ライク・ツー | 問題は、俺たちが呼ばれたことと、 この城で起きている何かが関連しているのかどうか。 ……俺は、妙なことに巻き込まれるのは御免だ。 |
マークス | ああ。 マスターが危険な目に遭うのは絶対ダメだからな。 |
ジョージ | はぁ~。 せっかくの旅行なのに、幸先悪いなぁ。 |
ライク・ツー | とにかく、1週間の辛抱だ。 深入りせず、1週間経ったらとっとと帰ろうぜ。 それまで……全員、気をつけろよ。 |
ジョージ&マークス | ああ。 |
──ウィンズダム宮殿滞在2日目。
ジョージ | Good Morning! Everybody! |
---|---|
マークス | う……朝からなんだよ……。 |
ライク・ツー | うるせぇ……。 |
ジョージ | おいおい! 気になることはあるけど、 せっかく豪勢にもてなされてるんだぜ |
ジョージ | もっと楽しんでいかないと損だって! マスターもそう思うだろ? |
主人公 | 【そうだね】 【警戒しつつ楽しもう】 |
ジョージ | なっ! ちなみにみんな、今日は何するんだ? |
ジョージ | オレは、ポロってやつを見に行ってくる! 馬に乗ってバトルするって、すっげー面白そうだろ? みんなで行こうぜ! |
マークス | 俺は、アウトレイジャーの襲撃に備えてここにいる。 |
主人公 | 【自分もここに残る】 【ジョージは楽しんでおいで】 |
ジョージ | 〇〇もマークスも行かないのか……。 まぁ、任務も大事だしな。 |
ジョージ | もしアウトレイジャーが出た時は、 大至急オレも呼んでくれ! ……んで、ライク・ツーはどうするんだ? |
ライク・ツー | あー、俺は少し出かけてくるわ。 アウトレイジャーが出るまで ただ待ってるだけっつーのは暇すぎるしな。 |
ライク・ツー | アウトレイジャーが出たら呼べ。 俺もすぐに向かう。 |
ジョージ | OK! それじゃ、それぞれ自由行動を満喫しようぜー。 |
主人公 | 【行ってらっしゃい】 【気をつけて】 |
マークス | ……ライク・ツーは、どこ行ったんだろうな。 |
主人公 | 【気になる?】 【ついて行ってもいいよ】 |
マークス | 何を言っているんだ、マスター。 マスターのそばにいるのが最優先に決まってるだろ。 |
マークス | あいつらが妙なことをしでかさなければ、 俺は別にどうでもいい。 |
使用人1 | 失礼いたします。 クリームティーのセットをお持ちいたしました。 |
マークス | ん? ティーセット? そんなもん、頼んでねぇぞ。 |
使用人1 | 女王陛下の計らいでございます。 王室のシェフ特製のスコーンをぜひ、と。 |
使用人2 | 季節の果物のジャムを多数ご用意いたしましたので、 お好みのジャムとクロテッドクリームとともに お召し上がりください。 |
主人公 | 【ありがとうございます】 【いただきます】 |
マークス | ……変わった形だな。 マスターが食べるなら、俺も食べてみるか。 |
マークス | ジャムと……この白いのを付けるんだな。 ……こんな感じか? |
主人公 | 【そうそう】 |
マークス | ……ん、美味い! パンみたいなのに、軽くてどんどん食べられるな。 |
紅茶とスコーンを楽しんでいると、
にわかに部屋の外が騒がしくなった。
使用人1 | おや……? 妙に騒がしいですね。 お客人がいるというのに申し訳ありません。 何かあったのか、確認してまいります。 |
---|---|
マークス | まさか、敵襲じゃないよな……? 俺たちも行ってみよう、マスター。 |
〇〇たちが廊下に出てみると、
使用人たちが青白い顔で立ち尽くしていた。
マークス | おい、何かあったのか? |
---|---|
使用人2 | マークス様、〇〇様……! |
使用人1 | 実は英国所属のマスター……ジェイコブ様が 行方不明になってしまったそうなのです! |
マークス | エンフィールドたちのマスターが? |
使用人3 | ええ。昨夜自室に戻られたことは確認できたのですが、 今朝から室内に呼びかけても返事がなく……。 |
使用人3 | 様子がおかしいと踏み込んだ時には、 部屋はもぬけの殻だったのです……。 ああ、なんということでしょう……! |
マークス | あいつの姿を最後に見たのは誰なんだ? |
使用人1 | 昨晩、最後に会話を交わしていたのは…… 確か、エンフィールド様だったと思います。 |
主人公 | 【エンフィールドはどこ?】 【エンフィールドから話を聞こう】 |
使用人1 | エンフィールド様のお部屋にご案内いたします。 どうぞ、こちらへ。 |
使用人に案内されて、エンフィールドの部屋に向かう。
その途中で話し声が聞こえてきて、
〇〇たちは足を止めた。
エンフィールド | ……ああ。大丈夫だ。 |
---|---|
エンフィールド | 僕がなんとかするから……。 |
声のする方を見てみると、
ある一室の扉を薄く開けたエンフィールドが、
中へ向かって語りかけている。
主人公 | 【あの部屋は?】 【彼は何を?】 |
---|---|
使用人1 | あそこはスナイダー様のお部屋です。 スナイダー様は気難しく、使用人を寄せ付けないので、 エンフィールド様が看病などをされているのです。 |
使用人1 | きっと、マスターの失踪を伝えているのですね……。 それでは、私はここで。 何かありましたらお呼びください。 |
マークス | おい、エンフィールド。 |
エンフィールド | マークスさん……! 〇〇さんまで……! |
マークス | ん……? スナイダーは、もういいのか? |
エンフィールド | あ、はい。 マスターの失踪で少し動揺していましたが、 落ち着いてきたので……。 |
主人公 | 【あなたは大丈夫?】 |
エンフィールド | ええ、大丈夫です。 僕も、スナイダーも……きっと。 |
主人公 | 【少し話せる?】 |
エンフィールド | …………。 僕からも話をしたいと思っていたところでした。 場所を変えましょう。 |
エンフィールド | せっかく皆さんが王城へ来てくださったばかりなのに、 こんな騒ぎになってしまってすみません……。 |
---|---|
マークス | ……マスターがどうなったのか、心当たりはあるのか? |
エンフィールド | わかりません。 ただ……僕がこうしてここにいる以上、 マスターはどこかで無事に生きているはずです。 |
エンフィールド | マスターがいなければ、僕たち貴銃士は、 この身を保つことすらできませんから。 |
マークス | ああ、確かに……。 もしマスターが死んでたら、 あんたも消えてるはずだ。 |
エンフィールド | ……ええ。 |
マークス | ……なぁ。 これまでにマスターが消えた時は、何があったんだ? 今回と同じような感じだったのか? |
エンフィールド | ……っ! |
エンフィールド | ……僕たちのマスターのこと、ご存知だったんですね。 |
マークス | 今のマスターが3人目で、前の2人は2ヶ月くらいで 消えちまったらしいっていう噂話なら聞いた。 |
エンフィールド | そうでしたか……。 |
主人公 | 【噂は本当?】 【1番目と2番目のマスターは?】 |
エンフィールド | その噂は……事実です。 僕たちの最初のマスターと、その次のマスター…… 2人とも、2ヶ月ほどでいなくなってしまいました。 |
エンフィールド | あの時のことは、はっきり覚えていないのですが……。 以前マスターがいなくなった時は、 ふっと突然意識がなくなって── |
エンフィールド | 呼ばれたような気がして目覚めた時には、 新しいマスターに召銃されていました。 |
マークス | 1度は銃に戻ったのか。 ってことは……。 |
エンフィールド | ……ええ。かつてのマスターたちは、 マスターとしての力を失ったのでしょう。 命を落とした可能性も捨てきれませんが……。 |
エンフィールド | ただ、マスターたちはいずれもお身体は丈夫でしたし、 誰かに恨まれるような方々でもありません。 |
エンフィールド | ですから……マスターとしての力を失っただけで、 どこかで生きてるんじゃないかって、信じてるんです。 |
主人公 | 【今回は、銃に戻っていない……】 【今回の失踪は、何かが違う】 |
マークス | マスターの言う通りだ。 あんたらのマスターが消えたのに あんたらが消えてないのは、今回が初めてなんだろ? |
エンフィールド | え、ええ。 その理由まではわかりませんが……。 |
エンフィールド | …………。 マスターがいなくなった理由……。 |
エンフィールド | ……もしかしたらマスターは、 僕たちに愛想を尽かしてしまったのかもしれません。 |
エンフィールド | 歴代のマスターも今回のマスターも、当然、 僕たちが絶対高貴に目覚めることを期待していました。 |
エンフィールド | マスターが変わる度、今度こそ、今度こそと思うのに、 僕は半年近くも絶対高貴になれず、 燻り続けている……。 |
エンフィールド | ……ハッ! そうです。逆に考えれば、 僕が絶対高貴の力に目覚めて真価を発揮すれば、 マスターは戻ってきてくださるかもしれません! |
エンフィールド | そういえば、ジョージ師匠は 今どちらにいらっしゃるのですか? |
エンフィールド | 師匠にご指導をお願いして、 一刻も早く絶対高貴にならなければ……! |
マークス | ジョージなら、“ポロ”ってやつを見に行ったぞ。 |
エンフィールド | ええ!? そんな……。 |
エンフィールド | 僕としたことが……! 師匠の予定ぐらい、ちゃんと把握しておくべきでした。 |
エンフィールド | こうしてはいられません! 大至急、ジョージ師匠の元に行ってきます! |
マークス | ちょっ、おい……! |
エンフィールド | では、また後ほど! |
マークス | なんなんだあいつ……。 人の話全然聞かねぇな……。 |
マークス | ジョージに師匠、師匠ってついてまわって。 ああいう奴を「犬みたい」って言うって聞いたぞ。 |
主人公 | 【そうだね】 【マークスと少し似てる】 |
マークス | 俺は犬じゃなくて、マスターの相棒だ! |
マークス | ……にしても、エンフィールドたちのマスターは どこに行っちまったんだろうな? |
マークス | 何かが起きてるのに、 どうなってるのかわからなくて…… なんだか、嫌な感じだ。 |
ジョージ | いやぁ、面白かったなー! |
---|---|
侍従長 | お楽しみいただけたようで、何よりでございます。 |
ジョージ | ポロって初めて見たけど、 あんなに白熱する試合だったんだな! 〇〇たちも見れたらよかったのにな~。 |
ジョージ | あ、そうだ! 明日はオレが留守番して、 マスターたちに出かけてもらうか! よーし、早速── |
侍従長 | お待ちください。ジョージ様。 |
ジョージ | おっ、どうした? |
侍従長 | 実は、ジョージ様と内密に お話ししたいという方がいらっしゃいまして。 |
ジョージ | オレに会いたいって……あ、エンフィールドか? |
侍従長 | いえ、エンフィールド様ではございません。 |
侍従長 | ご案内いたしますので……どうぞ、こちらへ。 |
ジョージ | ……わかった。 |
ジョージ | (オレだけ……? なんか胡散臭いけど……とりあえず、行ってみるか) |
ジョージ | (ここは確か……女王の間の扉……?) |
---|---|
ジョージ | Wow……すっげー豪華な扉だな! もしかして、オレに会いたいって言ってるのって…… 女王サマだったりして!? |
侍従長 | 左様にございます。 |
ジョージ | ええっ、本当!? でも、なんでオレだけ? 〇〇も会いたがってたんだけどなぁ。 |
侍従長 | …………。 |
侍従長 | ……お連れいたしました。 |
マーガレット女王 | ──ウィンズダム宮殿へようこそ。 昨夜はわたくし自ら迎えることができず、 心苦しい限りです。 |
---|---|
マーガレット女王 | 城での滞在はいかがですか? ブラウン・ベス・マスケットの貴銃士、ジョージ。 |
アッカーソン | …………。 |
ブラウン・ベス | …………。 |
ジョージ | おーっ、本当に女王サマだ! 会えて嬉しいぜ! |
ジョージ | うおっ、ブラウン・ベスもいるのか! マジでオレと同じような顔してるんだな! |
ジョージ | でも、性格はぜってー違ってそうだよなぁ。 マジメそうな顔してるもんな。HAHAHA☆ |
アッカーソン | ジョージ殿、女王陛下の御前ですぞ。 そのような態度は……! |
マーガレット女王 | 構いません。 楽しい方ではありませんか。 |
マーガレット女王 | ……ブラウン・ベス、あなたも挨拶を。 |
ブラウン・ベス | …………。 奇妙なものだな。こうして同じ銃の貴銃士が集うとは。 |
ジョージ | Exactly! なんだか面白いもんだな! |
ジョージ | オレはジョージだ。よろしくな、ブラウン・ベス! ……って、オレもブラウン・ベス・マスケット なんだけど。 |
ブラウン・ベス | ……ああ、そうだな。まぁ、よろしく。 |
マーガレット女王 | ……ジョージ。 あなたに1つ尋ねたいことがあります。 |
マーガレット女王 | 同じ種類の銃から、 これほどまでに異なる性質の貴銃士が目覚めるのは、 大変に興味深いことですわ。 |
マーガレット女王 | このブラウン・ベスは気高きイギリスの騎士。 対するあなたには、ブラウン・ベスとしての 記憶や意識はないのでしょうか。 |
ジョージ | うーーーん……。 |
アッカーソン | …………。 |
ジョージ | ……ないな! ぜんっぜん!! |
ジョージ | オレにあるのは独立戦争やらで、 アメリカ兵の銃として戦った時の記憶だけだ。 |
ジョージ | だからブラウン・ベスのことは何も知らないし、 聞かれても答えられないよ。 |
マーガレット女王 | …………。 ……なるほど。そうですか。 |
ジョージ | それよりさ、そっちのブラウン・ベスはどうなんだ。 おまえにはイギリスの銃としての記憶があるんだろ? よかったら聞かせてくれよ! |
ブラウン・ベス | ……俺は、マーガレット女王陛下の騎士。 それ以上でもそれ以下でもない。 |
マーガレット女王 | 積もる話は、ぜひお茶会や晩餐の際にでも。 ところで、ポロの観戦はいかがでしたか? |
ジョージ | ああ、ポロの観戦な。 招待してくれてありがとな、女王サマ! 迫力があって、最高にいい試合だったぜ! |
ジョージ | でさぁ、オレもポロやってみたいんだけど、 乗っていい馬とかいないのか? |
マーガレット女王 | ……わかりました。 乗馬できるよう、手配しましょう。 |
マーガレット女王 | ──ただし、1つ条件があります。 |
ジョージ | へっ? 条件? |
マーガレット女王 | 滞在中、人前で絶対高貴にならないことです。 |
ジョージ | えっ……なんでだ? |
マーガレット女王 | 絶対高貴は、貴銃士だけが持つ特別な力。 ゆえに、その力は大いに人々の注目を集めます。 |
マーガレット女王 | あなたが人前で気軽に絶対高貴を使うと、 力を求める者たちが、あなたを利用しようと 画策するかもしれない。 |
マーガレット女王 | いらぬ諍いや危険を避けるためにも、 約束してもらいたいのです。 |
ジョージ | そういうことなら……わかった。 ただ、〇〇の傷が悪化した時は、 目立たないようにコソッと治療するからな! |
マーガレット女王 | ええ、火急の治療の際はそれで構いません。 ……滞在をお楽しみくださいね。 |
ジョージ | うん、ありがとう! またな! |
マーガレット女王 | ……なるほど。 あれがジョージですか。 |
---|---|
マーガレット女王 | もし彼にブラウン・ベスの記憶が少しでもあれば、 対策を講じる必要がありましたが……。 |
マーガレット女王 | 彼に、かつての記憶はなさそうですね。 放っておいても問題はないでしょう。 |
アッカーソン | ええ。あれに腹芸ができるとも思えませんし、 記憶がないというのは本当でしょう。 ……滞在中、様子を見ておく必要はありますが。 |
アッカーソン | しかし、ある意味では惜しい。 もし記憶があれば、脅すなりなんなりして引き込み、 ブラウン・ベスに代わらせるつもりだったのだが。 |
マーガレット女王 | それは無理でしょう。 |
侍従長 | ええ。記憶がないことに加え、あの性格です。 「ブラウン・ベス」を満足に演じるのは不可能かと。 |
アッカーソン | うむ……落ち着きのなさといい、下品な口調といい、 危うくて民衆の前に出すことなどできん。 |
アッカーソン | 今の状態が現時点でのベストということだな。 |
ブラウン・ベス | …………。 |
ライク・ツー | 『世界帝府解体の歴史』 ──これなら何か書いてあるか? |
---|---|
ライク・ツー | 『世界帝府が保有した物品類のうち、 破棄対象とならなかったものは、 然るべきところへ返還されることとなった』 |
ライク・ツー | 『世界帝が使役した貴銃士の本体である銃については、 破棄か保管かで議論が紛糾したものの、生産国へ 返還され、各国で厳重に保管することで決着した』 |
ライク・ツー | はぁ……。 誰でも知ってるレベルのことしか書いてねぇな。 |
ライク・ツー | 変換処理中のこととか、輸送中のこととか、 もっと細かいことが知りてぇのに……。 |
図書館司書 | あの……何かお困りですか? 探している本などあれば、お力になれますが。 |
ライク・ツー | ……っ! いや、調べ物はもう終わったから大丈夫だ。 |
図書館司書 | 左様でございますか。 何かございましたら、いつでもお声がけください。 |
ライク・ツー | ……やっぱり、公開資料の中にはねーか。 |
---|---|
ライク・ツー | そりゃそうだよな。 返還途中に紛失した銃があるなんて知られたら、 とんでもねぇ大騒ぎになる。 |
ライク・ツー | だが……政府や王室の一部の人間は、 絶対に何かを掴んでいるはずなんだ。 |
ライク・ツー | UL85A1──ラブ・ワンの情報を。 |
ジョージ | やっほー! 今戻ったぜー! |
---|---|
ライク・ツー | 戻って早々騒がしいな、お前。 |
主人公 | 【おかえり】 【ポロはどうだった?】 |
ジョージ | いやぁ~、ポロ、マジですごかったよ。 試合は格好よくて、迫力あって最高! |
マークス | へぇ……。 |
ライク・ツー | ふーん……。 |
ジョージ | 反応薄っ! |
マークス | なぁ、あんたは何してたんだ? ライク・ツー。 |
ライク・ツー | ……読書? |
ジョージ | うへぇ、せっかくの休みなのにマジメだなぁ……。 |
ジョージ | あ、そうそう! ポロの見学のあと、女王に少しだけ会ってきたんだ。 |
ライク・ツー | はぁっ!? 女王と!? |
マークス | ふーん……。 |
ライク・ツー | いや、そこは驚くところだろフツー。 |
マークス | マスター以外のマスターはどうでもいい。 |
ライク・ツー | あー……はいはい、お前はそういう奴だな。 |
主人公 | 【お、押しかけたりは……?】 【すごいね……!】 |
ジョージ | してねーって! ポロのあと、ちょっと来てくれって呼ばれたんだ。 |
ライク・ツー | なんでお前だけ呼ばれたんだよ。 |
ジョージ | さぁ……? オレがブラウン・ベスから 呼び覚まされた貴銃士だから、 興味があったとかじゃねーかな? |
ライク・ツー | そういうもんか……。 女王は体調が悪いって言ってたけど、 お前に合うくらいの元気はあったんだな。 |
エンフィールド | 失礼します! |
エンフィールド | ジョージ師匠がお帰りだと聞いてやってまいりました! |
ジョージ | うおっ、エンフィールド! |
エンフィールド | 師匠! 早速ですが、特訓をお願いします! |
ジョージ | 特訓……ああ、絶対高貴の! 気合十分ってカンジだなぁ! いいぜ! |
主人公 | 【あ、そういえば……】 【2人にはまだ話してなかった】 |
ライク・ツー | なんのことだ? |
主人公 | 【エンフィールドのマスターが失踪した】 |
ライク・ツー | はぁっ!? マジかよ? |
エンフィールド | はい……。きっと、僕たちが絶対高貴になれないので、 嫌気がさしてどこかへ行ってしまったんですね……。 政府の上層部からも急かされていたようですし。 |
エンフィールド | ……だから、僕が絶対高貴になれたら、 マスターが戻ってきてくれるのではないかと! |
ライク・ツー | ふぅん……。 |
ジョージ | そんなことがあったのか……! |
エンフィールド | そういうわけで……ジョージ師匠、お願いです! |
エンフィールド | なんでもいいので、絶対高貴になれるコツを 教えてください! |
ジョージ | ……わかった。 |
ジョージ | おまえが絶対高貴になれるように、 オレも全力で手伝う! |
エンフィールド | ありがとうございます、ジョージ師匠! |
エンフィールド | とにかく、何か少しでも、 絶対高貴に繋がるヒントが欲しいんです。 |
---|---|
エンフィールド | 師匠は絶対高貴の力を使う時、 どういう風に発動しているんでしょうか? |
ジョージ | うーん、そうだな……。 ……こう、高貴さを込めて、ガッと気合いを入れてる! |
マークス | いや、それじゃ参考にならねーだろ。 |
マークス | 高貴さとか気合とか、 そんな感覚的なことばっか言われてもな……。 |
ジョージ | じゃあ、おまえはどうやって絶対非道になってんだ? |
マークス | それはこう……力にぐっと手を伸ばして……! |
ジョージ | オレの言ってることと大差ねーじゃん。 |
ライク・ツー | だな。 |
マークス | 違うぞ! 「どんなことをしてもマスターを守るんだ」って 思うのがコツだ。 |
ジョージ | それならオレは、「苦しんでるマスターを助けたい」 ……って思ったのがポイントだったかな。 そういう風に考えたら目覚めてたから! |
エンフィールド | ガッと気合を……? それから、力に手を伸ばして……? |
ライク・ツー | おいおい、真に受けちまってるぞ……。 |
ジョージ | じゃあさ! こういうのはどうだ? 城のテッペンから飛び降りてさ、 弾むやつでぽよーんって! |
---|---|
エンフィールド | そ、それ、高貴に繋がるでしょうか……? |
ライク・ツー | いやダメだろ。 |
使用人1 | 失礼いたします。夕食の準備が整いました。 |
ジョージ | おお! 晩メシだってさ! 一旦休憩にしようぜ、エンフィールド。 |
エンフィールド | もうそんな時間ですか……。 結局、絶対高貴になれなかったなぁ。 |
ジョージ | 落ち込むなって! うまいメシ食べて元気出そうぜ! |
エンフィールド | はい……そうですね。 僕は用がありますので、皆さんは先に食堂に 向かってください。 |
ジョージ | わかった。じゃ、また後でな~。 |
エンフィールド | ……なら、いいけど。 |
---|---|
エンフィールド | それじゃ、僕は皆さんと一緒に夕食を食べてくるから。 気が向いたら、君もおいでよ。 |
ジョージ | スナイダーか? |
エンフィールド | ジョ、ジョージ師匠!! ……皆さん、どうしてこちらに? |
マークス | どうしてって、食堂がこの先にあるからな。 通りかかった。 |
ジョージ | なぁ、エンフィールド。 スナイダーはこの部屋にいるんだろ? まだ具合が悪いのか? |
主人公 | 【大丈夫?】 【怪我なら治せるけど】 |
エンフィールド | お気持ちはありがたいのですが、その……。 怪我はしていないので、大丈夫です。 |
ジョージ | じゃあ、あとで見舞いに来てもいいか? |
エンフィールド | それはやめた方がいいと思います。 |
ジョージ | えっ? なんで? |
エンフィールド | スナイダーは気難しいところがあるので、 馴染みのない相手を必要以上に警戒します。 |
エンフィールド | 不用意に近づくと攻撃する可能性もあるので、 絶対に近づかないでくださいね! 皆さんに万一のことがあっては大問題です。 |
マークス | ……物騒な奴だな。 |
エンフィールド | ええ、そうなんです。体調が悪いので 余計に気が立っていて……。僕も兄として、 なんとかしたいと思っているのですが……。 |
エンフィールド | ……ああ、すみません。ここで立ち話をしていては ディナーが冷めてしまいますね。 さぁ皆さん、食堂に行きましょう! |
ライク・ツー | 昨日の晩餐もすごかったけど、 今日もまた華やかだったな……。 イギリスとはいえ、さすがは王城ってところか。 |
---|---|
マークス | マスターのカレーには負けるけどな。 |
ジョージ | …………。 |
ジョージ | なぁ、〇〇……。 ちょっといいか? |
主人公 | 【どうかした?】 【スナイダーのこと?】 |
ジョージ | ……! さすがは〇〇だな! |
ジョージ | あとでこっそり、様子を見に行ってみないか? |
主人公 | 【そうしよう】 【攻撃されないようにそーっと……】 |
ジョージ | うん! |
マークス | 話は聞こえた。 マスターが行くなら、俺も行く。 |
ジョージ | ライク・ツーはどうする? |
ライク・ツー | ぞろぞろ行っても悪目立ちするだろ。 つーか、余計なことに首突っ込むな。 損しかねぇってのに……。 |
ジョージ | 損とか得とかの問題じゃなくて、 オレはスナイダーが心配なんだ。 |
ライク・ツー | あっそ。 俺は行かねーから、お前らだけで行ってこい。 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。