イギリス編:第20話~第25話

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第20話:捜索隊1

アッカーソン──おい、まだ見つからないのか!
捜索隊1申し訳ありません!
行方につながる情報を集めているのですが、
ほとんど手掛かりのない状態で……。
捜索隊2頼るような相手もいない人物ですから、
なおさら行方が掴みづらいのです。
捜索隊2かつての住居やそれなりに交流があった人物の家には
常時人員を配置して、現れないか見張らせています。
アッカーソンよし、そのまま続けろ。
周辺の空き家などに潜んでいるかもしれん。
可能性がある場所はしらみつぶしに当たれ。
捜索隊たちはっ!
ライク・ツーなんだ? 今の奴らは。
エンフィールドアッカーソン大臣が編成した捜索隊ですね。
ジョージ捜索隊ってことは……
おまえたちのマスターとスナイダーを探してんのか?
エンフィールドいえ……僕は特に話を聞かれていませんし、
あの口ぶりからして、
彼らが探しているのはマスターだけでしょう。
エンフィールドマスターが失踪した当日中には、
大臣の主導で捜索隊が編成されたと聞いています。
エンフィールドなので、マスターの捜索はあちらに任せ、
僕は絶対高貴になる特訓をしつつ、
スナイダーの行方を追ってみようと思うのです。
ライク・ツーふぅん……。
スナイダーは放置でいいのかよ。
エンフィールド放置というよりは……
手が出せない、と言った方が正しいかもしれません。
エンフィールド弟の気性からして、戻る気がない場合、
捜索隊を追手と見なして攻撃する可能性もあります。
エンフィールド普通の人では、たとえ武装していても
太刀打ちできませんから、大臣の判断は妥当でしょう。
マークス……お前の弟ってそんなに危ねぇ奴なのか。
ライク・ツーま、貴銃士なら、
放っといても簡単には死なねぇだろうしな。
エンフィールドええ……。
弟は強いので、正直なところ、あまり心配ないかと。
エンフィールド……さて、ジョージ師匠!
絶対高貴について、僕にご指導ください!
ジョージおお、そうだったな!
んー、って言っても、
オレにもよくわかんねぇんだよな……。
エンフィールドでは、ジョージ師匠の普段の過ごし方から、
絶対高貴へのヒントを見つけたいと思います!
エンフィールド僕の部屋へご案内しますね。
お茶を飲みながら色々お話ししてください!
ジョージおう!
マークスマスター、俺たちは部屋に戻ろう。
ゆっくり休んでコンディションの回復に努めてくれ。
主人公【ありがとう】
【そうするよ】
ライク・ツーんじゃ、俺はシャワー浴びてくる。
埃っぽいまま休みたくねぇし。
ライク・ツーマークス。お前も早いとこ身ぎれいにしとけよ。
『マスターのために』な。
マークスマスターのためなら……わかった。

ジョージふぃ~……。
ただいまー……。
主人公【大丈夫?】
【なんだか疲れてる?】
ジョージダイジョーブだ。ちょっと疲れたけど……。
マークス絶対高貴の特訓って、
フィジカルトレーニングでもしたのか?
ジョージいや、部屋でお茶飲んだり、話したり……
ちょっと絶対高貴になってみせたりしたくらいだよ。
ジョージだけど……「絶対高貴とはなんなのか」って
突っ込んで聞かれると、オレもよくわかってねーから、
ぐるぐるあれこれ考えて、頭が疲れたっていうか……。
ジョージ1回なれると、あんまり深く考えなくても
パーッとできるようになるんだけどなぁ……。
ライク・ツー原理もよくわからねぇ力だしな。
力を使う時に何を考えてるかもそれぞれ違うし、
普遍的で論理的な説明は俺でも無理だ。
ジョージライク・ツーが無理ならオレはもっと無理だよ……。
ジョージエンフィールドは、オレを見てヒントを見つける!
って言ってくれてるんだけど、
なんか、ずっとじーっと見られてるのも勝手悪くてさ。
ライク・ツーあー……あのクソ真面目そうなヤツのことだし、
マジでじーっとガン見してそうだな。
ジョージ……よし、決めた!
今日の夜は息抜きをしよう!
マークスまたトランプか?
ババ抜きもジジ抜きもいい加減飽きてきた。
マークスそれに、マスターには休息が必要だ。
ジョージトランプじゃなくて、探検だよ!
……実は、面白い話を聞いたんだ。
ジョージこの城には──出るらしい。
マークス何がだ。
ジョージ出るって言ったら当然、ユーレイだろ!?
Ghostだよ!
マークス知らん。
ライク・ツーはぁ……くだらねぇ。
ジョージなんだよ~、2人ともノリ悪すぎ!
歴史ある城だし、マジで出ると思うんだ。
とにかく、オレは行ってくるぜっ!
主人公【気をつけて】
【迷惑にならないように……】
ジョージOf course!

第21話:捜索隊2

──ウィンズダム宮殿滞在5日目。

ジョージふぁぁ~……。
もう朝か~……。
ライク・ツーなんだよ、お前また夜中に出歩いてたのか?
ジョージいやぁ、この城広いからさ!
1日じゃあ全部は見て回れなくて。
それに──
マークスそれに?
ジョージいや、なんでもない!
……見間違いかもしれないし……。
ライク・ツーふーん?

アッカーソン──今日こそはなんとしても、
行方の手がかりくらいは掴むように! いいな!
捜索隊はっ!

ライク・ツー今日も捜索隊が出てんのか。
……あのおっさん、必死だな。
マークスでも、全員街の方に行ってるぞ。
本当に、スナイダーのことは放ったらかしなんだな。
ライク・ツーま、見つけても素直に戻るかわかんねぇ奴よりは、
普通の人間を探す方が断然楽だわな。
ライク・ツーそれに……あいつが早く見つけたいのは、
マスターの方なんだろ。
ジョージマスターもスナイダーも、
一体どこに行っちまったんだろうなぁ。
マークスつーか、そもそもスナイダーは、いつからいないんだ?
マークスあいつらのマスターは初日に見たが、
スナイダーのことは一度も見てない。
ライク・ツー俺たちがついた時にはもう、具合が悪いって言って
部屋にこもってたから……
もっとずっと前からいなくなってた可能性もある。
ジョージだったら、かなり遠くに行ってるかもしれないよなぁ。
マークス……はぁ。
あと2日もここにいなきゃなんねぇなんて。
マークス本当に安全なのか怪しい場所に、
マスターを長居させたくない。
マークスもともと呼ばれていたのはジョージだけだろ?
こいつだけ置いて、もう帰ろうぜ。
ジョージええっ!? ヒドイ!
主人公【そういうわけにはいかない】
【自分も呼ばれている】
マークスそうだった……。
招待状には、マスターの名前も書かれてるんだったな。
マークス仕方ねぇ。
適当にしのいで、最終日になったらさっさと帰ろう。
ジョージYes!
それにさ、何も解決できないまま士官学校に帰るのも、
モヤッとしないか?
ジョージマスターもスナイダーも消えちまうなんて、
何があったのか気になってしょうがないよ。
ライク・ツー……マスターの失踪については、1つ仮説がある。
ジョージ仮説って、どんな?
ライク・ツーお前らから聞いた話をもとに、色々考えてたんだ。
エンフィールドの話が正しいと仮定すると、
今回のマスターの失踪は、過去2回とは違う。
マークスああ。前の2回は、一度銃に戻って、
目覚めたら別のマスターがいたと言っていた。
ライク・ツーあいつらが銃に戻ったということは、
前のマスターたちは力を失ったか、
あるいは……死んでいる。
ライク・ツー俺は、前任のマスター2人は死んだ──
いや、もっと正確に言うなら、
「殺された」んじゃないかと思ってる。
ジョージ殺された!?
ライク・ツー考えてみろ。
そうでもないと、不自然なことが多すぎる。
ライク・ツーまず、マスター交代のタイミング。
エンフィールドは、銃に戻ったあと、
割とすぐに再び召銃されてるんだろ?
マークスあの話し方だと、たぶんそうだ。
何日も何週間も経ってから
召銃されたって感じじゃなかった。
ライク・ツーそれが引っかかる。
マスターがいなくなったら、普通は探し回るもんだろ?
ライク・ツーどんなに探しても見つからず、
捜索を断念して次のマスターを選定したなら、
そんなにすぐ再召銃はできないはずだ。
ライク・ツー急いだとしても数週間……1ヶ月近くはかかる。
でも、下手するとマスターが失踪した当日中に、
エンフィールドたちは次のマスターから召銃されてる。
ライク・ツーそんなことが可能だったのはなぜか。
もう……わかるよな。
マークス次のマスターを用意した上で、
最初のマスターを始末した……ってことか。
ライク・ツーああ。3人目のジェイコブっつーマスターは当然、
前任者2人の失踪が気になっただろうな。
何があったのか、色々調べたはずだ。
ライク・ツーそして、俺と同じ結論に至った。
だから最初に会った時、「消される」とか
「殺される」とか言ってビビってたんだろう。
ライク・ツーだが、マスターが消えても、
エンフィールドは消えずにピンピンしてる。
ジョージってことは、
マスターはまだ生きてるってことだよな?
ライク・ツーそうすると、考えられる答えは1つだ。
「エンフィールドたちのマスターは、
生き延びるために自ら姿を消した」
ジョージえっ、それじゃあ……
見つかったら逆にヤバいってことか!?
ライク・ツーたぶん、そうだろうな。
マスターを消してる黒幕も目的もわからなかったが、
ここ数日の様子を見ててほぼ確信した。
ライク・ツースナイダーがいそうな森には手を出さず、
街の方に捜索隊を差し向けて、
やたら必死な奴がいるだろ?
主人公【アッカーソン大臣……!?】
ライク・ツーま、あのおっさんも、誰かの指示を受けて
動いてるだけって可能性もあるけどな。
ジョージじゃあ、エンフィールドたちのマスターを
助けてやらないとマズいだろ……!
ライク・ツー軽々しく動けねぇって。
最低でも大臣、もしかすると
それ以上のお偉いさんが噛んでるんだぞ。
ライク・ツー下手に首を突っ込めば、
俺たちだって安全とは言い難い。
マークス……マスターを危険に晒せない。
ライク・ツーだから、全員慎重に動けよ。
特にジョージ。いいな?
ジョージええっ、なんでオレだけ名指し!?
ライク・ツー日頃の行いのせいだ。
ライク・ツーとにかく……迂闊な行動をしない。
怪しまれないように、普通に振る舞う。
この2つは最低限守れ。
マークス&ジョージ……了解。

第22話:観察者1

エンフィールド──失礼します。
エンフィールドジョージ師匠、今日も絶対高貴についてのレクチャー、
よろしくお願いします!
ジョージ……おう。
今日は庭で気分変えてやってみるか。
エンフィールドはいっ!
マークス……エンフィールドの奴、
ジョージにすげぇ懐いてるよな。
ライク・ツーああしてると、THE・優等生って感じだけど。
ライク・ツーエンフィールドも、
腹の中では何考えてんのか……。

──数時間後。

ジョージた、助けてくれ……!
ライク・ツーうおっ!? どうしたんだよ!
マークス敵襲か!?
ジョージいや、敵襲じゃない。
ただ、ちょっと静けさが恋しくなって……。
マークスはぁ……?
いつも一番騒がしいのはあんただろ。
ジョージそうかもしれないけど、頼むよ!
匿ってくれ!
ライク・ツー匿えって……
お前、エンフィールドから逃げてきたのか?
ジョージうん……。
主人公【何があった?】
【どうして逃げる必要が?】
ジョージいや、それがさ……。
エンフィールドは、真面目でいいヤツなんだけど、
熱心すぎてちょっとしんどくなったっていうか……。
ジョージ実は……ここんところ、エンフィールドが朝から晩まで、
ほとんどずーっとそばにいるんだ。
ジョージ新しいタオルを持ってきてくれたり、
紅茶を淹れてくれたりするのは助かるんだけど……。
ジョージいないと思ったら実はすぐ後ろにいたりして、
マジでずーっと近くにいるんだ。
ジョージエンフィールドがいないのは、
風呂と寝る時と、ここにいる時……
あとは、食事のあとにちょっといなくなるくらいだな。
ジョージあいつの頑張りはすごいし応援したいけど、
ちょっとでいいから1人の時間が欲しい……!
ライク・ツーそういうことか。
ジョージのそばにいれば
絶対高貴になれるってわけでもねぇのにな。
ライク・ツー……しっかし、この能天気頭カラッポ野郎に
『1人の時間が欲しい』とまで言わせるとは。
エンフィールドの奴、やるな……。
マークスああ。ジョージがうるさい時には
エンフィールドを呼ぶことにしよう。
ジョージおいおいおい!?
オレを気遣う言葉とかないわけ!?
主人公【頑張って】
【ジョージならできる】
ジョージOh my gosh……!
〇〇まで……!

──コンコン

マークス誰だ?
エンフィールドすみません、少しよろしいですか?
ジョージげっ!
ライク・ツー噂をすれば……来たな。
ジョージオレ、ちょっと休憩!
マークスあ、おい!

扉が開くより先に、
ジョージはベッドの下へと隠れた。

エンフィールド失礼します。
こちらにジョージ師匠は……いないようですね。
主人公【ま、まだ戻ってないよ】
【散歩に行ったのかな……?】
エンフィールドそうですか……。
まだまだ絶対高貴の極意について
ご教示いただきたかったのですが、残念です。
エンフィールドそれでは──〇〇さん。
マークス……マスターになんの用だ?
エンフィールド少しお手を拝借したいのです。
主人公【協力が必要ということ?】
【握手?】
エンフィールドいえ、そのままの意味です。
あなたの手を少し見せていただきたくて……。
失礼しますね。

エンフィールドは、薔薇の傷がある方の手を取ると、
懐から虫眼鏡を取り出して、
〇〇の傷を観察し始めた。

マークスな……っ!?
ライク・ツーうっわ……。

第23話:観察者2

マークスお、おい! マスターに何するつもりだ!
その手を離せ!
エンフィールド落ち着いてください。
ただ観察しているだけで、何も害はありません。
マークスじゃあ、そのデカいレンズはなんだ!
エンフィールド虫眼鏡のことですか?
マークス虫……眼鏡?
エンフィールド物を拡大できるレンズです。
これで薔薇の傷が細部まで見えるんですよ。
マークス……マスターを傷つけるつもりがないのはわかった。
だが、なぜ傷を見るんだ?
エンフィールド〇〇さんは
多くの貴銃士を召銃していますし、
絶対高貴になれる貴銃士のマスターでもあります。
エンフィールド貴銃士を呼び覚ます力の根源は、
この傷なわけですし……。
エンフィールドジョージ師匠の高貴な心だけでなく、
この傷にも何か秘密があるのではないかと思って。
主人公【どうだった?】
【何かわかりそう?】
エンフィールド……残念ながら、よくわかりませんでした。
エンフィールド〇〇さん、せっかく
見せていただいたのにすみません。
エンフィールドよく考えてみたら、僕は自分のマスターの傷を
じっくり見たことがなかったので、
違いがわかるはずもありませんね……。
ライク・ツー計画性のない奴だな……。
ま、そんだけ切羽詰まってるってことか。
エンフィールド僕としたことが、考え足らずで恥ずかしい限りです。
エンフィールド……現状ではやはり、ジョージ師匠から学ぶのが、
絶対高貴になる1番の近道のようですね!
エンフィールドでも、皆さんが士官学校に戻るまで
あと2日しかないのに……。
エンフィールド僕は絶対高貴に目覚める気配もない……。
エンフィールド一体、僕の何が駄目なんだろう……。
これ以上、何をすればいいんだろうか……。
ライク・ツー……なぁ。
どうしてお前はそんなに絶対高貴にこだわるんだ?
エンフィールドえっ? だって、当たり前じゃないですか。
ライク・ツー……何がだ?
エンフィールド絶対高貴は、古銃の貴銃士だけが持つ奇跡の力。
逆に言えば、絶対高貴こそが、
誇り高き古銃の貴銃士を象徴し、定義するものです。
エンフィールドまして僕は、大英帝国が誇る、前装銃最後の傑作!
エンフィールド革命戦争で戦った、僕とは違う「僕」のように、
絶対高貴の力をもって、
人々に希望をもたらさなければならない!
エンフィールドだから僕は、必ず絶対高貴に目覚めないと……!
それが、イギリス王室で召銃された僕の役目であり、
果たすべき当然の使命なのです。
ライク・ツーはぁ。志の高いこって。
ライク・ツーだけど……それは、建前だろ。
お前の絶対高貴へのこだわりは、強迫観念じみてる。
ライク・ツーお前、本当は恐れてるんじゃないのか?
「絶対高貴になれないままだと、自分が役立たずの
不用品だと思われるんじゃないか」……って。
エンフィールド……っ!
エンフィールドそ、そんな……ことは……。
エンフィールド僕は……きっと、絶対高貴に目覚めて……。
僕のままで、立派に役に立てる、
この、国に、必要な存在で……あって……。

髪をぐしゃぐしゃに掻き乱したエンフィールドは、
荒く短い呼吸の下で、途切れ途切れに言う。

エンフィールドだから、だから僕は……違う!
ライク・ツーそうか? いかにも図星って感じの反応だけど。
エンフィールド違う、違う違う違う……っ!!
エンフィールド何も知らないくせに、わかったような口をきくな!
マークスお、おい。あんた、どうしたんだ。落ち着けよ。
エンフィールド僕に指図するな!
エンフィールド生まれて日が浅い上に、絶対非道なんていう
卑しくおぞましい力しか使えない現代銃が、
100年を超える歴史を持つこの僕に!!
ライク・ツー&マークス…………。
エンフィールド僕のことを理解できるのは、同じ古銃だけなんだ……。
エンフィールドああ、ジョージ師匠……どこにいるんですか。
早く僕を絶対高貴に導いてください。
ジョージ師匠……。

ジョージエンフィールド……。
ライク・ツー優等生の化けの皮がはがれたな。
マークス&ジョージ…………。

 

第24話:闇夜の亡霊1

──その日の夜。

ジョージあーあ。全然いないなぁ~ユーレイ。
ジョージ……ん?
謎の影…………。
ジョージあ、あいつは……?
謎の影…………。
ジョージあれ……? いなくなった……。

ジョージは言い知れぬ悪寒に、振り返る。
眼前に迫ってた、幽霊じみた男の紫色の瞳が
──不気味に光った。

???……おまえか。
ジョージう、うわああああっ!!!
???霧の深い夜に出歩くなと忠告されただろう?
???それはな……俺のような、
亡者がさまよっているからだ。
???さぁ……早く温かいベッドへと戻るがいいさ。
……絶対高貴の貴銃士。
ジョージあっ! ……待て!
ジョージ消えた……。

ジョージう~ん……。そうなのかなぁ……?
ジョージいや、でもまさかなあ……。
マークス傘で……海を滑る、のか……?
さすがマスター……すげぇ……。
マークスうっ……マスター、なんだそのブヨブヨしたの……。
新しく召銃……? いや、マスターがいいなら……。
ジョージ……ははっ。マークス、すげー寝言言ってる。
ライク・ツー……ぐぅ。
ジョージこっちは夢も見ないくらい爆睡か。
ジョージ…………。
ジョージ……やっぱり、マスターには話しておくか。
マークス……っ、マスター!?
おい、今マスターって言ったか?
ジョージえっ、爆睡してたのに起きたのか?
おまえのマスターセンサー怖すぎ!!
マークスマスターのところに行くなら俺も行く。
ライク・ツー──おい。
ライク・ツーるせえな……静かにしろよ。
おかげで起きちゃったじゃねーか……
ふぁ……マジで眠い。
ジョージライク・ツーもマスターのとこに行くか?
ライク・ツーは? 冗談……。
夜更かしは美容の敵だし、パス。
マークスビヨウ……?
ライク・ツーそんじゃ、グッナイ。
ジョージ&マークスあ、ああ……。

ジョージ〇〇! ちょっといいか?
主人公【……どうした?】
【眠い……】
ジョージ夜中にごめん!
でも、話しておきたいことがあるんだ。
ジョージ──スナイダーは、もしかすると、
この城のどこかに隠れてるのかもしれない!
主人公【どういうこと?】
【なぜそう思う?】
ジョージほら、この城に幽霊が出るって話しただろ?
それでオレ、一昨日から夜中に
城の中を探検してたんだけど……。
ジョージさって、怪しい奴に会ったんだ!
マークス……例の、幽霊ってやつか?
ジョージ暗かったから、
姿ははっきり見えなかったんだけど……。
ジョージよーく思い返してみたら、月明かりの中で、
紫色の目が輝いていた気がして……。
マークス紫……?
確か、スナイダーは髪も目も紫だったな。
ジョージそうなんだよ。だから、もしかするとあれは
スナイダーだったのかもって!
ジョージま、本物の幽霊だったら、
それはそれで超COOLだけどな!
主人公【幽霊の正体を確かめよう】
【幽霊を捕まえよう】
マークスマスター……!?
この城の中は、本当に安全なのか怪しい。
迂闊に動き回るのは危険だ。
ジョージでも、ライク・ツーは爆睡してるし、
〇〇を部屋に残すよりは、
一緒に行った方が絶対いいって!
マークスうーん……。
マークス……そうだな。
相手が幽霊だろうがなんだろうが、
マスターを害そうとするなら排除すればいい。
マークス行くぞ!
ジョージおう!
主人公【2人とも、静かに】
マークス&ジョージイエッサー。

第25話:闇夜の亡霊2

マークス……静かだな。
ジョージなっ? いかにも“出そう”な雰囲気あるだろ?
マークスそういえば、幽霊というのは、
気配があったり、物音を立てたりするものなのか?
ジョージどっちもYESだな!
オレは気配を感じたし、なんかしゃべってた。
マークスなんかって……覚えとけよ。
ジョージエンフィールドが言うには、
幽霊の中には“ポルターガイスト”っていう
うるさいヤツもいるらしい。
ジョージ誰もいないはずなのにヘンな音が聞こえたり、
物が勝手に動いたりするんだってさ……。
ジョージ……っ!
主人公【ジョージ?】
【どうした?】
ジョージ今、なんか背筋がぞわっとして……。
ジョージうわッ! 誰かいる!
マークス本当かっ!?
ジョージほら、あそこ!
マークスん……? 誰もいないぞ。
あるのは絵だけだ。人の顔が描いてある。
ジョージなぁーんだ、肖像画かぁ……。
主人公【本当に幽霊がいたら?】
【幽霊をどうしたい?】
ジョージどうするか、あんまり考えてなかったな……。
んー、とりあえずやっつける!
ジョージいや……いきなり攻撃したら可哀想か!?
もしかしたら友達になれるかもしれないしなぁ。
マークス幽霊と友達になりたいのか……?
ジョージ悪いやつじゃなければそれもアリだと思うよ。
オレたちだって人間じゃないし、
不思議な存在同士で仲良くできるかもだろ?
マークスふむ……それは一理ある。
俺はマスター以外はどうでもいいが。

──キィ……

マークス……おい。
今、向こうから何か聞こえなかったか?
ジョージオレにも聞こえた!
行ってみよう!

???…………。
ジョージ……! 今の!!
マークスああ。一瞬だが姿が見えた。
……マスターは、俺の後ろに。
ジョージおい! 出てこい幽霊!
???…………。
ジョージうおっ、本当に出てきた……!
???またおまえか。
……あいつが執心している“本物”だな。
ジョージしゃ、喋った!
マークスやはり幽霊は喋るのか。
……いや、幽霊じゃないのか?
主人公【あなたは誰?】
【スナイダー?】
???…………。
???……助けてくれ。
俺1人では、城から抜け出すことができない。
ジョージどういうことだ……?
???テューダー・ローズの先にいる……。
マークス──消えた!?
ジョージきっとあの角を曲がったんだ。
追うぞ!

ジョージ……誰もいない!?
マークスチッ、逃げられたか。
ジョージでも、廊下を走っていったなら、
後ろ姿くらいは見えるはずだろ……?
マークスどっかの部屋に入ったのか?

近くの部屋を手当たり次第に確認していくが、
どこにも人影はなかった。

ジョージ一体どこに消えたんだ……!?
やっぱりあいつは幽霊だったってことなのかな?
ジョージ城から出られないってことは、何か心残りがあって、
天国に行けずに彷徨ってるのか……。
ジョージうぅ……かわいそうだ! 助けてやらないと!
マークスあいつの髪……
見間違いじゃなければ、紫色だったぞ。
マークスってことは、やっぱりスナイダー?
貴銃士も幽霊になれるもんなのか……?
主人公【今日はここまでにしよう】
【続きは明日考えよう】
マークス……そうだな。
睡眠をとらないと、次の日の活動に障る。
ジョージそうだな。ふぁ……。夜中に起こしてごめんな。
それじゃ、Good night……。

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