アッカーソン | ──おい、まだ見つからないのか! |
---|---|
捜索隊1 | 申し訳ありません! 行方につながる情報を集めているのですが、 ほとんど手掛かりのない状態で……。 |
捜索隊2 | 頼るような相手もいない人物ですから、 なおさら行方が掴みづらいのです。 |
捜索隊2 | かつての住居やそれなりに交流があった人物の家には 常時人員を配置して、現れないか見張らせています。 |
アッカーソン | よし、そのまま続けろ。 周辺の空き家などに潜んでいるかもしれん。 可能性がある場所はしらみつぶしに当たれ。 |
捜索隊たち | はっ! |
ライク・ツー | なんだ? 今の奴らは。 |
エンフィールド | アッカーソン大臣が編成した捜索隊ですね。 |
ジョージ | 捜索隊ってことは…… おまえたちのマスターとスナイダーを探してんのか? |
エンフィールド | いえ……僕は特に話を聞かれていませんし、 あの口ぶりからして、 彼らが探しているのはマスターだけでしょう。 |
エンフィールド | マスターが失踪した当日中には、 大臣の主導で捜索隊が編成されたと聞いています。 |
エンフィールド | なので、マスターの捜索はあちらに任せ、 僕は絶対高貴になる特訓をしつつ、 スナイダーの行方を追ってみようと思うのです。 |
ライク・ツー | ふぅん……。 スナイダーは放置でいいのかよ。 |
エンフィールド | 放置というよりは…… 手が出せない、と言った方が正しいかもしれません。 |
エンフィールド | 弟の気性からして、戻る気がない場合、 捜索隊を追手と見なして攻撃する可能性もあります。 |
エンフィールド | 普通の人では、たとえ武装していても 太刀打ちできませんから、大臣の判断は妥当でしょう。 |
マークス | ……お前の弟ってそんなに危ねぇ奴なのか。 |
ライク・ツー | ま、貴銃士なら、 放っといても簡単には死なねぇだろうしな。 |
エンフィールド | ええ……。 弟は強いので、正直なところ、あまり心配ないかと。 |
エンフィールド | ……さて、ジョージ師匠! 絶対高貴について、僕にご指導ください! |
ジョージ | おお、そうだったな! んー、って言っても、 オレにもよくわかんねぇんだよな……。 |
エンフィールド | では、ジョージ師匠の普段の過ごし方から、 絶対高貴へのヒントを見つけたいと思います! |
エンフィールド | 僕の部屋へご案内しますね。 お茶を飲みながら色々お話ししてください! |
ジョージ | おう! |
マークス | マスター、俺たちは部屋に戻ろう。 ゆっくり休んでコンディションの回復に努めてくれ。 |
主人公 | 【ありがとう】 【そうするよ】 |
ライク・ツー | んじゃ、俺はシャワー浴びてくる。 埃っぽいまま休みたくねぇし。 |
ライク・ツー | マークス。お前も早いとこ身ぎれいにしとけよ。 『マスターのために』な。 |
マークス | マスターのためなら……わかった。 |
ジョージ | ふぃ~……。 ただいまー……。 |
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主人公 | 【大丈夫?】 【なんだか疲れてる?】 |
ジョージ | ダイジョーブだ。ちょっと疲れたけど……。 |
マークス | 絶対高貴の特訓って、 フィジカルトレーニングでもしたのか? |
ジョージ | いや、部屋でお茶飲んだり、話したり…… ちょっと絶対高貴になってみせたりしたくらいだよ。 |
ジョージ | だけど……「絶対高貴とはなんなのか」って 突っ込んで聞かれると、オレもよくわかってねーから、 ぐるぐるあれこれ考えて、頭が疲れたっていうか……。 |
ジョージ | 1回なれると、あんまり深く考えなくても パーッとできるようになるんだけどなぁ……。 |
ライク・ツー | 原理もよくわからねぇ力だしな。 力を使う時に何を考えてるかもそれぞれ違うし、 普遍的で論理的な説明は俺でも無理だ。 |
ジョージ | ライク・ツーが無理ならオレはもっと無理だよ……。 |
ジョージ | エンフィールドは、オレを見てヒントを見つける! って言ってくれてるんだけど、 なんか、ずっとじーっと見られてるのも勝手悪くてさ。 |
ライク・ツー | あー……あのクソ真面目そうなヤツのことだし、 マジでじーっとガン見してそうだな。 |
ジョージ | ……よし、決めた! 今日の夜は息抜きをしよう! |
マークス | またトランプか? ババ抜きもジジ抜きもいい加減飽きてきた。 |
マークス | それに、マスターには休息が必要だ。 |
ジョージ | トランプじゃなくて、探検だよ! ……実は、面白い話を聞いたんだ。 |
ジョージ | この城には──出るらしい。 |
マークス | 何がだ。 |
ジョージ | 出るって言ったら当然、ユーレイだろ!? Ghostだよ! |
マークス | 知らん。 |
ライク・ツー | はぁ……くだらねぇ。 |
ジョージ | なんだよ~、2人ともノリ悪すぎ! 歴史ある城だし、マジで出ると思うんだ。 とにかく、オレは行ってくるぜっ! |
主人公 | 【気をつけて】 【迷惑にならないように……】 |
ジョージ | Of course! |
──ウィンズダム宮殿滞在5日目。
ジョージ | ふぁぁ~……。 もう朝か~……。 |
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ライク・ツー | なんだよ、お前また夜中に出歩いてたのか? |
ジョージ | いやぁ、この城広いからさ! 1日じゃあ全部は見て回れなくて。 それに── |
マークス | それに? |
ジョージ | いや、なんでもない! ……見間違いかもしれないし……。 |
ライク・ツー | ふーん? |
アッカーソン | ──今日こそはなんとしても、 行方の手がかりくらいは掴むように! いいな! |
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捜索隊 | はっ! |
ライク・ツー | 今日も捜索隊が出てんのか。 ……あのおっさん、必死だな。 |
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マークス | でも、全員街の方に行ってるぞ。 本当に、スナイダーのことは放ったらかしなんだな。 |
ライク・ツー | ま、見つけても素直に戻るかわかんねぇ奴よりは、 普通の人間を探す方が断然楽だわな。 |
ライク・ツー | それに……あいつが早く見つけたいのは、 マスターの方なんだろ。 |
ジョージ | マスターもスナイダーも、 一体どこに行っちまったんだろうなぁ。 |
マークス | つーか、そもそもスナイダーは、いつからいないんだ? |
マークス | あいつらのマスターは初日に見たが、 スナイダーのことは一度も見てない。 |
ライク・ツー | 俺たちがついた時にはもう、具合が悪いって言って 部屋にこもってたから…… もっとずっと前からいなくなってた可能性もある。 |
ジョージ | だったら、かなり遠くに行ってるかもしれないよなぁ。 |
マークス | ……はぁ。 あと2日もここにいなきゃなんねぇなんて。 |
マークス | 本当に安全なのか怪しい場所に、 マスターを長居させたくない。 |
マークス | もともと呼ばれていたのはジョージだけだろ? こいつだけ置いて、もう帰ろうぜ。 |
ジョージ | ええっ!? ヒドイ! |
主人公 | 【そういうわけにはいかない】 【自分も呼ばれている】 |
マークス | そうだった……。 招待状には、マスターの名前も書かれてるんだったな。 |
マークス | 仕方ねぇ。 適当にしのいで、最終日になったらさっさと帰ろう。 |
ジョージ | Yes! それにさ、何も解決できないまま士官学校に帰るのも、 モヤッとしないか? |
ジョージ | マスターもスナイダーも消えちまうなんて、 何があったのか気になってしょうがないよ。 |
ライク・ツー | ……マスターの失踪については、1つ仮説がある。 |
ジョージ | 仮説って、どんな? |
ライク・ツー | お前らから聞いた話をもとに、色々考えてたんだ。 エンフィールドの話が正しいと仮定すると、 今回のマスターの失踪は、過去2回とは違う。 |
マークス | ああ。前の2回は、一度銃に戻って、 目覚めたら別のマスターがいたと言っていた。 |
ライク・ツー | あいつらが銃に戻ったということは、 前のマスターたちは力を失ったか、 あるいは……死んでいる。 |
ライク・ツー | 俺は、前任のマスター2人は死んだ── いや、もっと正確に言うなら、 「殺された」んじゃないかと思ってる。 |
ジョージ | 殺された!? |
ライク・ツー | 考えてみろ。 そうでもないと、不自然なことが多すぎる。 |
ライク・ツー | まず、マスター交代のタイミング。 エンフィールドは、銃に戻ったあと、 割とすぐに再び召銃されてるんだろ? |
マークス | あの話し方だと、たぶんそうだ。 何日も何週間も経ってから 召銃されたって感じじゃなかった。 |
ライク・ツー | それが引っかかる。 マスターがいなくなったら、普通は探し回るもんだろ? |
ライク・ツー | どんなに探しても見つからず、 捜索を断念して次のマスターを選定したなら、 そんなにすぐ再召銃はできないはずだ。 |
ライク・ツー | 急いだとしても数週間……1ヶ月近くはかかる。 でも、下手するとマスターが失踪した当日中に、 エンフィールドたちは次のマスターから召銃されてる。 |
ライク・ツー | そんなことが可能だったのはなぜか。 もう……わかるよな。 |
マークス | 次のマスターを用意した上で、 最初のマスターを始末した……ってことか。 |
ライク・ツー | ああ。3人目のジェイコブっつーマスターは当然、 前任者2人の失踪が気になっただろうな。 何があったのか、色々調べたはずだ。 |
ライク・ツー | そして、俺と同じ結論に至った。 だから最初に会った時、「消される」とか 「殺される」とか言ってビビってたんだろう。 |
ライク・ツー | だが、マスターが消えても、 エンフィールドは消えずにピンピンしてる。 |
ジョージ | ってことは、 マスターはまだ生きてるってことだよな? |
ライク・ツー | そうすると、考えられる答えは1つだ。 「エンフィールドたちのマスターは、 生き延びるために自ら姿を消した」 |
ジョージ | えっ、それじゃあ…… 見つかったら逆にヤバいってことか!? |
ライク・ツー | たぶん、そうだろうな。 マスターを消してる黒幕も目的もわからなかったが、 ここ数日の様子を見ててほぼ確信した。 |
ライク・ツー | スナイダーがいそうな森には手を出さず、 街の方に捜索隊を差し向けて、 やたら必死な奴がいるだろ? |
主人公 | 【アッカーソン大臣……!?】 |
ライク・ツー | ま、あのおっさんも、誰かの指示を受けて 動いてるだけって可能性もあるけどな。 |
ジョージ | じゃあ、エンフィールドたちのマスターを 助けてやらないとマズいだろ……! |
ライク・ツー | 軽々しく動けねぇって。 最低でも大臣、もしかすると それ以上のお偉いさんが噛んでるんだぞ。 |
ライク・ツー | 下手に首を突っ込めば、 俺たちだって安全とは言い難い。 |
マークス | ……マスターを危険に晒せない。 |
ライク・ツー | だから、全員慎重に動けよ。 特にジョージ。いいな? |
ジョージ | ええっ、なんでオレだけ名指し!? |
ライク・ツー | 日頃の行いのせいだ。 |
ライク・ツー | とにかく……迂闊な行動をしない。 怪しまれないように、普通に振る舞う。 この2つは最低限守れ。 |
マークス&ジョージ | ……了解。 |
エンフィールド | ──失礼します。 |
---|---|
エンフィールド | ジョージ師匠、今日も絶対高貴についてのレクチャー、 よろしくお願いします! |
ジョージ | ……おう。 今日は庭で気分変えてやってみるか。 |
エンフィールド | はいっ! |
マークス | ……エンフィールドの奴、 ジョージにすげぇ懐いてるよな。 |
ライク・ツー | ああしてると、THE・優等生って感じだけど。 |
ライク・ツー | エンフィールドも、 腹の中では何考えてんのか……。 |
──数時間後。
ジョージ | た、助けてくれ……! |
---|---|
ライク・ツー | うおっ!? どうしたんだよ! |
マークス | 敵襲か!? |
ジョージ | いや、敵襲じゃない。 ただ、ちょっと静けさが恋しくなって……。 |
マークス | はぁ……? いつも一番騒がしいのはあんただろ。 |
ジョージ | そうかもしれないけど、頼むよ! 匿ってくれ! |
ライク・ツー | 匿えって…… お前、エンフィールドから逃げてきたのか? |
ジョージ | うん……。 |
主人公 | 【何があった?】 【どうして逃げる必要が?】 |
ジョージ | いや、それがさ……。 エンフィールドは、真面目でいいヤツなんだけど、 熱心すぎてちょっとしんどくなったっていうか……。 |
ジョージ | 実は……ここんところ、エンフィールドが朝から晩まで、 ほとんどずーっとそばにいるんだ。 |
ジョージ | 新しいタオルを持ってきてくれたり、 紅茶を淹れてくれたりするのは助かるんだけど……。 |
ジョージ | いないと思ったら実はすぐ後ろにいたりして、 マジでずーっと近くにいるんだ。 |
ジョージ | エンフィールドがいないのは、 風呂と寝る時と、ここにいる時…… あとは、食事のあとにちょっといなくなるくらいだな。 |
ジョージ | あいつの頑張りはすごいし応援したいけど、 ちょっとでいいから1人の時間が欲しい……! |
ライク・ツー | そういうことか。 ジョージのそばにいれば 絶対高貴になれるってわけでもねぇのにな。 |
ライク・ツー | ……しっかし、この能天気頭カラッポ野郎に 『1人の時間が欲しい』とまで言わせるとは。 エンフィールドの奴、やるな……。 |
マークス | ああ。ジョージがうるさい時には エンフィールドを呼ぶことにしよう。 |
ジョージ | おいおいおい!? オレを気遣う言葉とかないわけ!? |
主人公 | 【頑張って】 【ジョージならできる】 |
ジョージ | Oh my gosh……! 〇〇まで……! |
──コンコン
マークス | 誰だ? |
---|---|
エンフィールド | すみません、少しよろしいですか? |
ジョージ | げっ! |
ライク・ツー | 噂をすれば……来たな。 |
ジョージ | オレ、ちょっと休憩! |
マークス | あ、おい! |
扉が開くより先に、
ジョージはベッドの下へと隠れた。
エンフィールド | 失礼します。 こちらにジョージ師匠は……いないようですね。 |
---|---|
主人公 | 【ま、まだ戻ってないよ】 【散歩に行ったのかな……?】 |
エンフィールド | そうですか……。 まだまだ絶対高貴の極意について ご教示いただきたかったのですが、残念です。 |
エンフィールド | それでは──〇〇さん。 |
マークス | ……マスターになんの用だ? |
エンフィールド | 少しお手を拝借したいのです。 |
主人公 | 【協力が必要ということ?】 【握手?】 |
エンフィールド | いえ、そのままの意味です。 あなたの手を少し見せていただきたくて……。 失礼しますね。 |
エンフィールドは、薔薇の傷がある方の手を取ると、
懐から虫眼鏡を取り出して、
〇〇の傷を観察し始めた。
マークス | な……っ!? |
---|---|
ライク・ツー | うっわ……。 |
マークス | お、おい! マスターに何するつもりだ! その手を離せ! |
---|---|
エンフィールド | 落ち着いてください。 ただ観察しているだけで、何も害はありません。 |
マークス | じゃあ、そのデカいレンズはなんだ! |
エンフィールド | 虫眼鏡のことですか? |
マークス | 虫……眼鏡? |
エンフィールド | 物を拡大できるレンズです。 これで薔薇の傷が細部まで見えるんですよ。 |
マークス | ……マスターを傷つけるつもりがないのはわかった。 だが、なぜ傷を見るんだ? |
エンフィールド | 〇〇さんは 多くの貴銃士を召銃していますし、 絶対高貴になれる貴銃士のマスターでもあります。 |
エンフィールド | 貴銃士を呼び覚ます力の根源は、 この傷なわけですし……。 |
エンフィールド | ジョージ師匠の高貴な心だけでなく、 この傷にも何か秘密があるのではないかと思って。 |
主人公 | 【どうだった?】 【何かわかりそう?】 |
エンフィールド | ……残念ながら、よくわかりませんでした。 |
エンフィールド | 〇〇さん、せっかく 見せていただいたのにすみません。 |
エンフィールド | よく考えてみたら、僕は自分のマスターの傷を じっくり見たことがなかったので、 違いがわかるはずもありませんね……。 |
ライク・ツー | 計画性のない奴だな……。 ま、そんだけ切羽詰まってるってことか。 |
エンフィールド | 僕としたことが、考え足らずで恥ずかしい限りです。 |
エンフィールド | ……現状ではやはり、ジョージ師匠から学ぶのが、 絶対高貴になる1番の近道のようですね! |
エンフィールド | でも、皆さんが士官学校に戻るまで あと2日しかないのに……。 |
エンフィールド | 僕は絶対高貴に目覚める気配もない……。 |
エンフィールド | 一体、僕の何が駄目なんだろう……。 これ以上、何をすればいいんだろうか……。 |
ライク・ツー | ……なぁ。 どうしてお前はそんなに絶対高貴にこだわるんだ? |
エンフィールド | えっ? だって、当たり前じゃないですか。 |
ライク・ツー | ……何がだ? |
エンフィールド | 絶対高貴は、古銃の貴銃士だけが持つ奇跡の力。 逆に言えば、絶対高貴こそが、 誇り高き古銃の貴銃士を象徴し、定義するものです。 |
エンフィールド | まして僕は、大英帝国が誇る、前装銃最後の傑作! |
エンフィールド | 革命戦争で戦った、僕とは違う「僕」のように、 絶対高貴の力をもって、 人々に希望をもたらさなければならない! |
エンフィールド | だから僕は、必ず絶対高貴に目覚めないと……! それが、イギリス王室で召銃された僕の役目であり、 果たすべき当然の使命なのです。 |
ライク・ツー | はぁ。志の高いこって。 |
ライク・ツー | だけど……それは、建前だろ。 お前の絶対高貴へのこだわりは、強迫観念じみてる。 |
ライク・ツー | お前、本当は恐れてるんじゃないのか? 「絶対高貴になれないままだと、自分が役立たずの 不用品だと思われるんじゃないか」……って。 |
エンフィールド | ……っ! |
エンフィールド | そ、そんな……ことは……。 |
エンフィールド | 僕は……きっと、絶対高貴に目覚めて……。 僕のままで、立派に役に立てる、 この、国に、必要な存在で……あって……。 |
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱したエンフィールドは、
荒く短い呼吸の下で、途切れ途切れに言う。
エンフィールド | だから、だから僕は……違う! |
---|---|
ライク・ツー | そうか? いかにも図星って感じの反応だけど。 |
エンフィールド | 違う、違う違う違う……っ!! |
エンフィールド | 何も知らないくせに、わかったような口をきくな! |
マークス | お、おい。あんた、どうしたんだ。落ち着けよ。 |
エンフィールド | 僕に指図するな! |
エンフィールド | 生まれて日が浅い上に、絶対非道なんていう 卑しくおぞましい力しか使えない現代銃が、 100年を超える歴史を持つこの僕に!! |
ライク・ツー&マークス | …………。 |
エンフィールド | 僕のことを理解できるのは、同じ古銃だけなんだ……。 |
エンフィールド | ああ、ジョージ師匠……どこにいるんですか。 早く僕を絶対高貴に導いてください。 ジョージ師匠……。 |
ジョージ | エンフィールド……。 |
---|---|
ライク・ツー | 優等生の化けの皮がはがれたな。 |
マークス&ジョージ | …………。 |
──その日の夜。
ジョージ | あーあ。全然いないなぁ~ユーレイ。 |
---|---|
ジョージ | ……ん? |
謎の影 | …………。 |
ジョージ | あ、あいつは……? |
謎の影 | …………。 |
ジョージ | あれ……? いなくなった……。 |
ジョージは言い知れぬ悪寒に、振り返る。
眼前に迫ってた、幽霊じみた男の紫色の瞳が
──不気味に光った。
??? | ……おまえか。 |
---|---|
ジョージ | う、うわああああっ!!! |
??? | 霧の深い夜に出歩くなと忠告されただろう? |
??? | それはな……俺のような、 亡者がさまよっているからだ。 |
??? | さぁ……早く温かいベッドへと戻るがいいさ。 ……絶対高貴の貴銃士。 |
ジョージ | あっ! ……待て! |
ジョージ | 消えた……。 |
ジョージ | う~ん……。そうなのかなぁ……? |
---|---|
ジョージ | いや、でもまさかなあ……。 |
マークス | 傘で……海を滑る、のか……? さすがマスター……すげぇ……。 |
マークス | うっ……マスター、なんだそのブヨブヨしたの……。 新しく召銃……? いや、マスターがいいなら……。 |
ジョージ | ……ははっ。マークス、すげー寝言言ってる。 |
ライク・ツー | ……ぐぅ。 |
ジョージ | こっちは夢も見ないくらい爆睡か。 |
ジョージ | …………。 |
ジョージ | ……やっぱり、マスターには話しておくか。 |
マークス | ……っ、マスター!? おい、今マスターって言ったか? |
ジョージ | えっ、爆睡してたのに起きたのか? おまえのマスターセンサー怖すぎ!! |
マークス | マスターのところに行くなら俺も行く。 |
ライク・ツー | ──おい。 |
ライク・ツー | るせえな……静かにしろよ。 おかげで起きちゃったじゃねーか…… ふぁ……マジで眠い。 |
ジョージ | ライク・ツーもマスターのとこに行くか? |
ライク・ツー | は? 冗談……。 夜更かしは美容の敵だし、パス。 |
マークス | ビヨウ……? |
ライク・ツー | そんじゃ、グッナイ。 |
ジョージ&マークス | あ、ああ……。 |
ジョージ | 〇〇! ちょっといいか? |
---|---|
主人公 | 【……どうした?】 【眠い……】 |
ジョージ | 夜中にごめん! でも、話しておきたいことがあるんだ。 |
ジョージ | ──スナイダーは、もしかすると、 この城のどこかに隠れてるのかもしれない! |
主人公 | 【どういうこと?】 【なぜそう思う?】 |
ジョージ | ほら、この城に幽霊が出るって話しただろ? それでオレ、一昨日から夜中に 城の中を探検してたんだけど……。 |
ジョージ | さって、怪しい奴に会ったんだ! |
マークス | ……例の、幽霊ってやつか? |
ジョージ | 暗かったから、 姿ははっきり見えなかったんだけど……。 |
ジョージ | よーく思い返してみたら、月明かりの中で、 紫色の目が輝いていた気がして……。 |
マークス | 紫……? 確か、スナイダーは髪も目も紫だったな。 |
ジョージ | そうなんだよ。だから、もしかするとあれは スナイダーだったのかもって! |
ジョージ | ま、本物の幽霊だったら、 それはそれで超COOLだけどな! |
主人公 | 【幽霊の正体を確かめよう】 【幽霊を捕まえよう】 |
マークス | マスター……!? この城の中は、本当に安全なのか怪しい。 迂闊に動き回るのは危険だ。 |
ジョージ | でも、ライク・ツーは爆睡してるし、 〇〇を部屋に残すよりは、 一緒に行った方が絶対いいって! |
マークス | うーん……。 |
マークス | ……そうだな。 相手が幽霊だろうがなんだろうが、 マスターを害そうとするなら排除すればいい。 |
マークス | 行くぞ! |
ジョージ | おう! |
主人公 | 【2人とも、静かに】 |
マークス&ジョージ | イエッサー。 |
マークス | ……静かだな。 |
---|---|
ジョージ | なっ? いかにも“出そう”な雰囲気あるだろ? |
マークス | そういえば、幽霊というのは、 気配があったり、物音を立てたりするものなのか? |
ジョージ | どっちもYESだな! オレは気配を感じたし、なんかしゃべってた。 |
マークス | なんかって……覚えとけよ。 |
ジョージ | エンフィールドが言うには、 幽霊の中には“ポルターガイスト”っていう うるさいヤツもいるらしい。 |
ジョージ | 誰もいないはずなのにヘンな音が聞こえたり、 物が勝手に動いたりするんだってさ……。 |
ジョージ | ……っ! |
主人公 | 【ジョージ?】 【どうした?】 |
ジョージ | 今、なんか背筋がぞわっとして……。 |
ジョージ | うわッ! 誰かいる! |
マークス | 本当かっ!? |
ジョージ | ほら、あそこ! |
マークス | ん……? 誰もいないぞ。 あるのは絵だけだ。人の顔が描いてある。 |
ジョージ | なぁーんだ、肖像画かぁ……。 |
主人公 | 【本当に幽霊がいたら?】 【幽霊をどうしたい?】 |
ジョージ | どうするか、あんまり考えてなかったな……。 んー、とりあえずやっつける! |
ジョージ | いや……いきなり攻撃したら可哀想か!? もしかしたら友達になれるかもしれないしなぁ。 |
マークス | 幽霊と友達になりたいのか……? |
ジョージ | 悪いやつじゃなければそれもアリだと思うよ。 オレたちだって人間じゃないし、 不思議な存在同士で仲良くできるかもだろ? |
マークス | ふむ……それは一理ある。 俺はマスター以外はどうでもいいが。 |
──キィ……
マークス | ……おい。 今、向こうから何か聞こえなかったか? |
---|---|
ジョージ | オレにも聞こえた! 行ってみよう! |
??? | …………。 |
---|---|
ジョージ | ……! 今の!! |
マークス | ああ。一瞬だが姿が見えた。 ……マスターは、俺の後ろに。 |
ジョージ | おい! 出てこい幽霊! |
??? | …………。 |
ジョージ | うおっ、本当に出てきた……! |
??? | またおまえか。 ……あいつが執心している“本物”だな。 |
ジョージ | しゃ、喋った! |
マークス | やはり幽霊は喋るのか。 ……いや、幽霊じゃないのか? |
主人公 | 【あなたは誰?】 【スナイダー?】 |
??? | …………。 |
??? | ……助けてくれ。 俺1人では、城から抜け出すことができない。 |
ジョージ | どういうことだ……? |
??? | テューダー・ローズの先にいる……。 |
マークス | ──消えた!? |
ジョージ | きっとあの角を曲がったんだ。 追うぞ! |
ジョージ | ……誰もいない!? |
---|---|
マークス | チッ、逃げられたか。 |
ジョージ | でも、廊下を走っていったなら、 後ろ姿くらいは見えるはずだろ……? |
マークス | どっかの部屋に入ったのか? |
近くの部屋を手当たり次第に確認していくが、
どこにも人影はなかった。
ジョージ | 一体どこに消えたんだ……!? やっぱりあいつは幽霊だったってことなのかな? |
---|---|
ジョージ | 城から出られないってことは、何か心残りがあって、 天国に行けずに彷徨ってるのか……。 |
ジョージ | うぅ……かわいそうだ! 助けてやらないと! |
マークス | あいつの髪…… 見間違いじゃなければ、紫色だったぞ。 |
マークス | ってことは、やっぱりスナイダー? 貴銃士も幽霊になれるもんなのか……? |
主人公 | 【今日はここまでにしよう】 【続きは明日考えよう】 |
マークス | ……そうだな。 睡眠をとらないと、次の日の活動に障る。 |
ジョージ | そうだな。ふぁ……。夜中に起こしてごめんな。 それじゃ、Good night……。 |
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