ライク・ツー | はぁ……本当にいいのか? もっと色々細かく条件つければよかったのに。 |
---|---|
ダンロー | 確かに……さっきの話では、 「戦況が予断を許さない」など理由をつけて、 協力要請を断られる可能性もありそうだ。 |
ライク・ツー | エルメの方は、何考えてるかわかんねぇところがあるけど……。 あの2人、戦力としては、かなり心強いのによ。 |
主人公 | 【ライク・ツーたちがいるから】 |
ライク・ツー | それは……どーも。 |
ライク・ツー | ……今の言葉、 マークスが聞いてたら恨まれそうだな。 |
マークス | ……俺がなんだ? |
ライク・ツー | いたのかよお前!? |
マークス | 当然だ。補習なんて邪魔なやつがなければ、 マスターが行く場所には必ず俺がいる。 |
ライク・ツー | こえーよ、お前……。 |
ダンロー | はっはっは。君の周りはずいぶんと賑やかだな。 マスターになった君のことを心配していたが、 杞憂だったようで安心したよ。 |
主人公 | 【あっ、そうだ……】 【これをお返しします】 |
〇〇は、ドイツに来た初日に預かった、
小切手入りの封筒をダンローへと差し出す。
ダンローは死を覚悟していたからこそ
これを渡したのだろうが、
あれから状況は大きく変わった。
ライク・ツー | ええ……返すのかよ。 |
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主人公 | 【もう十分助けてもらいました】 【このお金は、ダンローおじさんのものです】 |
ダンロー | ……私にもわかってきたよ。 君が頑として意思を曲げない時の目が。 |
ダンロー | このお金は、君に役立ててもらいたかったんだが…… 私も引退することだし、弔いの旅に使うとしようか。 |
ライク・ツー | おっさん、引退すんのか。 |
ダンロー | ああ。もともと、軍の中ではかなりの老いぼれだしね。 傷は絶対高貴のおかげで治ったが……年のせいか 体力は落ちて、現役を続けるのは厳しそうだ。 |
ダンロー | それに……私はきちんと、謝罪も弔いもできていない。 自分の過去と向き合って、失われた多くの命のことを日々思い、 弔い暮らそうと思うんだ。 |
ダンロー | それで、その……〇〇。 また、手紙を書いても構わないかい? |
主人公 | 【はい!】 【こちらからも手紙を送ります】 |
ダンロー | ありがとう。 君がこれからも、息災であることを祈るよ。 |
──数時間後。
エルメ | やあ、荷造りははかどっているかい? 少し話をしたいんだけど……いいかな。 |
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主人公 | 【もちろん】 【どうぞ】 |
エルメ | ありがとう。 君とは長い付き合いになりそうだし、 あの時のことを話しておくのが誠実かなと思ってね。 |
エルメ | あ、なんのことって顔をしているね? きっと、君も知りたかったことだよ。 |
エルメ | ──あの時、どうして俺が ドライゼを挑発するようなことを言ったのか。 |
主人公 | 【気になっていた】 【教えてほしい】 |
エルメ | うんうん、素直でよろしい。 さて……どこから話そうか。 |
エルメ | 前にも話したけれど、俺は、 貴銃士は考える鉄だと認識している。 |
エルメ | でも……ドライゼって、すごく人みたいなんだ。 革命戦争のドライゼに憧れて、 不器用ながら、彼なりに一生懸命真似をしていた。 |
エルメ | どうすれば彼のようになれるのか、 ドイツに再び栄光を取り戻せるのか、兵士が強く育つのか。 とっても努力家で、がむしゃらに頑張ってたよ。 |
エルメ | そんなドライゼが、 俺は……なんだかとても気に障った。 |
エルメ | 貴銃士のくせに、所詮鉄なのに、 どうしてそんなに立派な“人”になろうとするのか。 |
エルメ | だからドライゼを、銃らしい存在に…… 俺の側に引き込んでみたかったんだ。 |
エルメ | 極度に自分を律して、潔癖で敬虔で……。 そんなドライゼが人としての在り方を捨てて、 冷徹にトリガーを引く「銃」になったら。 |
エルメ | 一体どんな貴銃士になるのか…… 君も、興味が湧かない? |
主人公 | 【…………】 【よくわからない】 |
エルメ | ふふ。俺の話は難しいかな。 それとも、理解しがたい? |
エルメ | だから、俺は……ドライゼがどこまで、 清廉潔白な「貴銃士ドライゼ」を貫けるのか。 試しつつ見ていたんだ。 |
エルメ | そうしたら、ああなったわけなんだけど。 |
エルメ | やっと、やっとドライゼが堕ちてくれたんだ。 俺は万歳でもしたい気分だったよ。 ……だけど。 |
エルメ | ……アウトレイジャーに堕ちてまで、 ドライゼはドライゼで、高潔さを保ち続けた。 |
エルメ | 目論みが外れたのに、俺はあの時、 なんだかホッとして、笑いたくなったんだ。 |
エルメ | ああ、そうだ。俺の知るドライゼはこうだ。 これでいいんだ……ってね。 |
エルメ | ねぇ、ドライゼが銃に戻る時に言ったこと、 〇〇は覚えてる? |
主人公 | 【確か……】 【後は任せた、と】 |
ドライゼ | エル……メ、あとは、任せ、た……。 |
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エルメ | あれを聞いて、俺は完敗を悟ったね。 |
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エルメ | ドライゼは、最後の最後で恨みごとを言うでもなく、 俺に託したんだ。心血を注いできた軍と、国の未来を。 |
エルメ | たぶん……ドライゼは、部下とか他者がいると なおさらちゃんとしないとって、 高潔さに磨きがかかるヤツなんだ。 |
エルメ | つまり、ドライゼを堕とそうとしていた俺すらも、 結局はドライゼの高潔さの土台にいたんだ。 |
エルメ | それを、あの瞬間理解できてしまって…… これでいいんだと思えるようになったよ。 |
主人公 | 【納得できたならよかった】 【もう、あんなことはしないでほしい】 |
エルメ | ふふ、大丈夫だよ。 もう答えは出たから、あれっきりさ。 |
エルメ | ふぅ……人とこんなに長く話すのは、初めてだな。 なんだか疲れたけど、悪い気分ではないね。 話すことで、思考が整理された気がするよ。 |
主人公 | 【これまでのマスターと会話は?】 |
エルメ | 会話……必要事項の伝達くらいかな。 人間みたいな交流は不要だと思ったし……。 |
エルメ | マスターは俺たちの動力源。 いずれ限界がくれば挿げ替えられるパーツ……。 |
エルメ | ドイツ支部ではそういう認識だったから、 なおさら交流しようなんて思わなかったよ。 |
エルメ | だから……君と、君の貴銃士たちの在り方は、 まったく違っていて興味深いね。 |
エルメ | 彼らは君のことを気にかけ、君にかかる負担を 最小限にしつつ、最大限の力を発揮している。 すごく効率的で、見習うべき点がある。 |
エルメ | 俺も君の貴銃士になったわけだし…… 多少は君たちのやり方に寄せてみようかと思うよ。 |
エルメ | そういうわけで…… 改めてよろしくね、マスター。 |
主人公 | 【こちらこそ】 【よろしく、エルメ】 |
エルメ | うん。 ……それじゃあ、気をつけて帰るんだよ。 |
エルメが退室しかけるが、
1つ気になっていたことがあり、
〇〇は彼を呼び止めた。
主人公 | 【そういえば、ジーグブルートは……?】 |
---|---|
エルメ | ああ、ジグなら銃のままで謹慎中だよ。 規律違反が20回を超えたし、 撤退命令を無視して戦い続けるのはあんまりだったね。 |
エルメ | ……あ。 |
ドライゼ | …………。 |
主人公 | 【ドライゼ特別司令官!】 |
ドライゼ | ……その呼び方はやめてくれ。 俺はもう、あなたの貴銃士であって 上官ではないのだからな。 |
エルメ | それじゃあ、俺はこれで。 ごゆっくり。 |
ドライゼ | エルメと……何を話していたんだ? |
主人公 | 【主にドライゼのことを……】 【気になっていたことについて】 |
ドライゼ | そうか……。 俺も、今のうちに、あなたに話したいことがある。 |
ドライゼ | これは、とある銃を手にした男の話だ──。 |
軍隊に入隊したばかりのその青年は、
繊細で優しく、とても兵士には向いていなかった。
人を撃つことができなかったのだ。
上官 | 貴様! それでも軍人か! そんな銃の構え方で敵を倒せると思うのか! |
---|---|
青年 | す、すみなせん……っ! |
兵士1 | ハッ! お前のような軟弱者に使われると、 高性能な銃でも役立たずになっちまいそうだな。 |
青年 | …………。 |
青年 | だって……人の命を奪うなんて恐ろしいこと、 僕にはできない……。 |
周囲に根性なしとののしられていたが、
それでもなお、青年は軍で懸命に訓練に励んだ。
やがて……戦争が始まり、青年も戦場へと赴く。
だが、そこでもやはり人を撃つことができなかった。
だが……そんな青年の運命が、大きく変わる夜がくる。
その日、彼がいる小隊は、作戦途中のアクシデントで
山で遭難してしまった。
数日が経ち、食料が尽きたところで、
小隊は山賊と鉢合わせ、戦闘になり──。
山賊1 | 返せ! そいつは俺らの食いモンだ! |
---|---|
隊員1 | うるさい! どうせ強奪してきたものだろうが! |
山賊1 | ぐぁ……ッ! |
隊員2 | ──おい、ちょうどいい練習台じゃねぇか。 お前、こいつを殺してみろよ。 |
仲間の1人が、怪我をして動けなくなっている山賊を、
青年の前へと放り出した。
山賊2 | 何しやがる! 離せ、クソ野郎が! |
---|---|
青年 | ぼ、僕には無理です……っ! そんな、こ、殺す……なんて……っ! |
隊員2 | 無理じゃねぇ、これは命令だ──殺せ。 戦闘になった時も、殺せねぇって喚く気か? |
隊員2 | こいつはクズだ。人から物や、 もしかすると命まで奪って生きてきたような連中だ。 お前がやることは、正しいことなんだよ。 |
隊員1 | おい、さっさとやれよ。 |
青年 | ……ッ! |
隊員2 | 照準を合わせて引き金を引くだけ。 それくらい、簡単だろう? |
隊員1 | ほら、早くしろ! |
青年 | あ、あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ! |
──青年は、初めて人を殺した。
青年 | 僕は、やった……やったんだ、僕が……! 僕だってできるんだ、 は、はは、ひゃはははははは……! |
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そこから、優しかった彼は、人が変わった。
人を撃つことを一切ためらわず、
敵を撃ち殺しては笑い──
青年 | ははっ、ひゃはははは……! |
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歯向かえば、捕虜も殺した。
すぐに、周囲は彼が異常だと気づくようになった。
少しずつ、青年が軍隊から浮き始めたある日──
青年 | うるさい、うるさい……! 僕に指図するな、黙れ……ッ!! |
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隊員2 | ぐ、ぅっ……! おま、え……。 |
ふとした口論から、青年は仲間を殺してしまった。
青年 | ハァ……ッ、ハァ……ッ! ぼ、僕は……なんてことを……っ! |
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青年 | 仲間を殺したのに……っ! どうして、こんなに嬉しいんだ! |
青年 | はははは! 笑いが、止まらない……っ! |
──青年は、高らかに笑いながら
自らに銃を向け……。
青年 | は、は、ははははははっ! ひゃはははははははははははははは……!! |
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──命を絶った。
ドライゼ | 俺は……彼が命を断つ間際の言葉を、 ずっと忘れられないでいる。 |
---|---|
ドライゼ | あのときはただの銃の身だったのに…… 浴びた血しぶきと共に、 俺の身に沁みついているような気がする言葉だ。 |
ドライゼ | 『僕はずっと……心に、獣を飼っていた』 |
ドライゼ | ……俺も変わってしまうのかもしれない。 あの、かつての持ち主の男のように……。 そんな恐怖が、ずっと付きまとっていた。 |
ドライゼ | 俺はレジスタンスのドライゼとは違い、 どんなに研鑽を重ねても、絶対高貴に至れなかった。 |
ドライゼ | 俺もまた、心に獣を飼っているから 絶対高貴になれないのだろうと思うと…… 俺はいつ獣になり果てるのかと、恐ろしかった。 |
ドライゼ | だが、いざアウトレイジャーに── 理性をなくした獣になりかけると、わかった。 |
ドライゼ | 怒りと憎悪と失望に呑まれかけても、 俺の中には、彼のような獣になることへの恐怖が、 なお強くあり続けたんだ。 |
ドライゼ | その恐怖が俺を押しとどめ…… せめて俺が少しでも俺であるうちに、 仲間に託して貴銃士としての生を終えたいと願った。 |
主人公 | 【恐怖が理性の一部になっていたということ?】 【だから、アウトレイジャー化が止まった?】 |
ドライゼ | そうだと言えるかもしれない。 |
ドライゼ | 俺は、獣になることをずっと恐れていた。 しかし……その恐れが俺の中に強くある限り、 俺は獣にならずに済むのではないかと思う。 |
ドライゼ | 矛盾しているようにも思えるが、 これが、俺の場合の真理なのだろう。 |
ドライゼ | ……俺は、レジスタンスにいたドライゼと同じ種類の銃だが、 別個の存在で、彼のようにはなれないだろう。 |
ドライゼ | しかし……俺は俺なりに、この手に掴んだ高貴を磨き、 1歩ずつ着実に歩んでいけたらと思う。 |
ドライゼ | それから……挨拶が遅れたが、 これからよろしく頼む。マスター。 |
主人公 | 【こちらこそ】 【よろしくお願いします】 |
ドライゼ | ……少し話し過ぎてしまったな。 俺は訓練へ戻る。 |
ドライゼ | 戦況が落ち着いている時期は、 時折士官学校へも顔を出そう。 その時は、あなたの話を聞かせてくれ。 |
主人公 | 【喜んで】 【楽しみにしてる】 |
ドライゼ | ……では、また。 |
──トルレ・シャフ本部にて。
ゴースト | ……今回は、ワイの出番はなかったな。 |
---|---|
ゴースト | ジグのアホ……ドライゼやらエルメがなんぼ言うても バカスカ絶対非道使いよって……。 |
ゴースト | あいつのせいでワイも知らん間に何回も銃に戻って、 ホンッマに最悪やわ……。 |
ゴースト | この間なんか、よっしゃースパゲッティ食べよ 思た瞬間に銃に戻って……。 |
ゴースト | もういっぺん召銃された時には、 せっかくの美味そうなスパゲティが 冷え冷えのパリパリやったわ。呪ったる……。 |
??? | ……デモ、目的のものは回収できたワ。 それでいいデショ。 |
ゴースト | せやなぁ。 ……しかし、あのドライゼが絶対高貴か。 かなわんなぁ、呪いたくなってまうわ。 |
ゴースト | レジスタンスにおった別の自分の亡霊追っかけて、 なーんも知らんで健気~にドイツのためやて頑張って、 憐れな奴やなぁって思っとったのに……。 |
??? | …………。 じゃあ、ワタシは行くワ。 |
ゴースト | おう、ワイも……じゃない。 ……そろそろ……俺も行く、よ。 |
ゴースト | ドイツ支部への……潜入任務に、な。 |
ドライゼ | マスター、いるか。 |
---|---|
主人公 | 【ドライゼ】 【こっちに来たんだ】 |
ドライゼ | ああ。ドイツの状況が一段落したからな。 こちらの任務にも手を貸せるようになってきた。 |
ドライゼ | これはマスターに、ドイツの土産だ。 |
主人公 | 【白いソーセージ?】 【美味しそう!】 |
ドライゼ | これは、ヴァイスヴルスト。 ミュンヘン伝統のソーセージだ。 |
ドライゼ | 甘口のマスタードも持参した。 ぜひとも、これをつけて食べてほしい。 |
ドライゼ | 鮮度を保つの難しいヴルストなんだが、 綿密な運搬計画に基き、 特にトラブルもなく輸送できたから、味は保証する。 |
ドライゼ | ミュンヘンは……今はまだ、反乱軍の手に落ちている。 しかし近いうちに必ずや奪還し、 人々の日常を取り戻してみせるとも。 |
主人公 | 【ミュンヘンか……】 【その時は行ってみたい】 |
ドライゼ | ああ。ぜひ来てみるといい。 旧市街地や美術館、博物館は見ごたえがあり、 オクトーバーフェストの時期は特に賑わう。 |
ドライゼ | ビールとヴルスト、そしてバンドの演奏。 見知らぬ人々と歌い、踊り、乾杯をする……。 |
主人公 | 【楽しそう】 【美味しそう】 |
ドライゼ | だろう。 だが、あなたが士官学校の生徒のうちは、 アルコールは禁止だぞ。 |
ドライゼ | ……さて、せっかくだから、 これからヴァイスヴルストを調理しよう。 最高の状態でマスターに口にしてもらいたい。 |
主人公 | 【……そういえば、エルメは?】 |
ドライゼ | ああ、エルメか。 到着するなり、滞在する部屋に直行していたが……。 |
ドライゼ | む……。まさか……。 |
〇〇はドライゼとともに
エルメが滞在している寮の部屋へと向かうが、
ノックをしても返事がない。すると──。
ドライゼ | うむ、これは……。 ついに、この日が来てしまったか……。 |
---|---|
ドライゼ | ……マスター。 あなたは、俺たちのマスターになったわけで……。 真実を、伝えておきたいと思う。 |
ドライゼが重々しく話を切り出し、
〇〇は何事かと身構えた。
ドライゼ | エルメについて、マスターはどう思う? |
---|---|
ドライゼ | おそらく、人当たりもよく、優秀な軍人……。 完璧な男に見えているのではないだろうか。 |
ドライゼ | それは、正しい。 |
ドライゼ | 正しいのだが……エルメはあの完璧さを保つために 月に数日、『鉄になる日』が必要なんだ。 |
主人公 | 【鉄になる日?】 【どういうこと?】 |
ドライゼ | あなたがドイツに来た時も、一度あっただろう? 周囲には、1人になり集中するための 重要な時間だのと説明しているが……。 |
ドライゼ | ……実際は、これでもかとダラダラする日だ。 |
主人公 | 【……???】 |
ドライゼ | ……マスターがそういう顔をするのも理解できる。 まさか、あのエルメがと思うだろう。 |
ドライゼ | だが、『鉄の日』のエルメは、 普段の彼とはまったくの別人だ。 |
ドライゼ | 顔も洗わず、服もろくに着ず、食事もせずに、 ひたすらゴロゴロとベッドに転がっている。 |
ドライゼ | ……いや、ベッドで寝ていればマシな方だな。 この前の『鉄の日』には、全裸で床に転がっていた。 |
主人公 | 【なぜそんなことを……?】 |
ドライゼ | 本人曰く、人間的活動の一切を放棄して 無になることで、己が銃、鉄塊であることを再確認し、 ヒーリング効果を得ている……らしい。 |
ドライゼ | ただ、エルメは完璧を信条としているから、 当然そんな姿は誰にも見せたくないようでな。 俺が食事などの面倒を見ているんだが── |
エルメ | ……ド、ドライゼ……。 |
エルメ | ……君、一体、なんの話をしているのかな!? |
ドライゼ | なっ……エルメ!? なぜ起きている。 てっきり、部屋の中で転がっているものかと……。 |
エルメ | いや。窓から見える連合軍旗が、 少しズレているのが気になってね……。 手直ししに行ってたんだ。 |
エルメ | ……それで、なんの話をしていたんだい? |
エルメ | 俺が部屋の中で転がっているかもって、言っていたけれど…… まさか、〇〇に話したわけ……? |
ドライゼ | …………。 |
エルメ | ドライゼ!!! |
ドライゼ | す、すまない……! |
主人公 | 【誰にも言わないから!】 【絶対に秘密にするから!】 |
エルメ | 〇〇……絶対だよ。 あれは、俺が完璧でいるために必要な儀式なんだ。 決して、ただぐうたらしているわけでは……。 |
エルメ | ……コホン! それより、俺に何か用だったのかな。 |
ドライゼ | そうだった。 マスターへの土産に持参したヴァイスヴルストを お前も食べないかと思って誘いに来たのだった。 |
エルメ | へぇ。それ、ドライゼが作ったの? 君が作るヴルストは絶品だって、 ドイツ支部の兵士たちの間で噂になってたけど。 |
ドライゼ | いや、これはミュンヘンの名店のものだ。 今は避難先の仮店舗で営業をしているのだが、 人気は健在だった。 |
ドライゼ | これで味の研究をして、 俺のヴルスト作りにも役立てたいと思っている。 |
エルメ | なるほどね。 それじゃあ、どんなものか、いただいてみようかな。 |
エルメ | ああ、そうだ……。〇〇。 この間は俺が色々と話したから、 今日は君のことを聞かせてよ。 |
エルメ | マスターと貴銃士の新しい関係を築くにあたって、 情報は重要だからね。 |
エルメ | ……よろしく、マスター? |
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