自衛軍兵士1 | フィルクレヴァート連合士官学校よりお越しの、 〇〇様と貴銃士十手様であります! |
---|---|
??? | おお、英吉利より無事の到着か。 これは重畳じゃ。 |
??? | …………。 |
主人公 | 【あなた方は……】 【はじめまして】 |
邑田 | わしは邑田。 日ノ本にて初めて制式採用された国産小銃である。 |
邑田 | 軍銃一定(ぐんじゅういってい)の祖にして、 幾多の戦線を越え常住不断の歩みを続けた銃といえば、 まぁ、わしのことよな。ほっほっほ。 |
??? | …………。 |
邑田 | ほれ、在坂や。 そなたも挨拶をしておやり。 |
在坂 | ……在坂は、在坂だ。 |
在坂 | 桜國幕府で長く使われた槓桿式(こうかんしき)の小銃で、 邑田は先達。 ……よろしく。 |
十手 | よ、よろしく……。 |
邑田 | そなたら、滞在中はなんなりと頼るとよいぞ。 わしは幸い、ちっとも忙しくはないからの。 |
邑田 | おお、一人忘れておった。こっちが八九じゃ。 |
八九 | ……どうも。 |
邑田 | これ、八九。 大事なお客人に対する挨拶がそれで済むとでも? |
八九 | ……あー、はいはい。わかりましたよ。 |
八九 | 俺は八九。 ロングストロークピストン式のアサルトライフルだ。 自衛軍で制式採用されてる。 |
八九 | 集弾性は悪くねーから、AIMがちゃんとしてりゃ、 そうそう負けはしねぇはず……だ。 |
八九 | ま、よろしく。 |
十手 | ああ、よろしく。 |
主人公 | 【八九って……】 【世界帝軍にもいた……】 |
八九 | …………。 |
邑田 | よく勉強しておるのう。感心、感心。 そなたの言う通り、「89」なる銃は、 世界帝が従えた貴銃士の中の1挺じゃ。 |
十手 | へぇ、そうだったのか。 だけど、その89と君とはまた別なんだろう? |
邑田 | ほっほっほ。はて、どうだったかのう。 |
在坂 | …………。 隠す必要はないと、在坂は思う。 |
在坂 | 世界帝軍にいた89は、この八九だ。 |
十手 | えっ……? えええっ!!? |
主人公 | 【世界帝軍特別感部の、89!?】 【本当に本人!?】 |
邑田 | いかにも。もう、八九や。 |
八九 | ……ああ。 ま、あんたらが驚くのも無理はねぇ。 |
八九 | 俺も最初は、なんでこんなことになったのか、 さっぱり意味がわからなかったからな……。 |
革命戦争の決戦の地──イレーネ城での戦いのあと、
どれくらいの間眠っていたのかわからない。
誰かの切実な声に引き寄せられて目が覚めると、
俺は、見覚えのない部屋に立っていた。
八九 | (……ん? なんだ、ここ) |
---|---|
幕臣たち | …………。 |
八九 | (世界帝は……いない。 呼び出したのはあの人じゃない、か。 つまり、俺たちは……負けたんだな) |
八九 | (……見るからに偉そうなジジイどもだ。 これから取り調べとかか……? はぁ……うっかり目覚めるんじゃなかったぜ) |
八九 | (ただの尋問で済むとは思えねぇ。 じわじわ壊されるのか…… それとも、実験体みてぇに扱われるのか) |
八九 | (あー……だりぃことになったな。 せめてさっさと終わらせてくれ……) |
??? | 貴銃士八九殿! |
八九 | うおっ!? なんだよいきなり! 手ぇ握ってくんな気色悪ィな! |
??? | はっ、失礼いたしました! 私、葛城輝彦(かつらぎ てるひこ)と申します! |
葛城 | 小生はこのたび、光栄なことに 八九殿のマスターを務めることとあいなりましたッ! ともにこの日本国の平和を守って参りましょう! |
八九 | はぁ……!? |
幕府重鎮1 | これで召銃の儀は終わりじゃな。 行くとするか。 |
幕府重鎮2 | うむ、今回も日美子様の予言の通りであったな。 |
八九 | は……? おい、どこ行くんだよ! |
八九 | この国の平和を守るって、な、何言ってんだ!? 俺は世界帝の銃だったんだぞ? お前らにとっては「悪」だろ、どうせ!! |
八九 | 俺を呼び覚ました本当の目的はなんだ!? 何企んでやがる! |
幕府重鎮1 | ……はっはっは。 血相を変えて何を言うかと思えば。 |
幕府重鎮1 | 物を使うのは人。貴銃士も元は物なれば、 持ち主が変わればあり方も変わる。 ……我らはそう判断したまでのこと。 |
幕府重鎮2 | その力、悪しきことに使わねばよい。 |
幕府重鎮1 | 頼りにしておるぞ、八九、葛城。 |
葛城 | はっ! この葛城、身命を賭して邁進いたします! |
八九 | は……? い、意味わかんねぇ……。 |
八九 | (な……なんなんだよ、この状況……) |
邑田&在坂 | …………。 |
---|---|
八九 | ……うおっ!? |
八九 | (……こいつら……貴銃士!? ずっとこの部屋にいたのか……?) |
八九 | (嘘だろ、全然気配を感じなかったぞ! それに……) |
邑田&在坂 | …………。 |
八九 | (すげぇ圧だ……。 あからさまに殺気を放ってるわけじゃねぇ。 なのに、気圧される……!) |
八九 | (どんだけの死地を越えたら、 こんな雰囲気になるんだよ……) |
八九 | (……っ! もしかして、こいつら邑田銃と在坂銃か! 明治以降、数多の戦場で使われてきた銃……) |
八九 | (……銃としてはほぼ実践経験なしだった俺とは、 土台からして違うってわけか……) |
邑田&在坂 | …………。 |
八九 | (おいおいおい、こいつらなんで何も言わない……! いや、後輩である俺から声をかけるべきか!? でも、下手なこと言った瞬間に消されちまいそうだ) |
八九 | (くそ、どうする俺! なんて言えばいいんだよ、この場合! こんなの無理ゲーすぎんだろ……) |
──と、その時、唐突にラッパの音が響き渡った。
八九 | ……? ラッパ……? |
---|---|
邑田 | おお、やっと昼食の時間じゃ。 在坂や、食堂に行こうかの。 |
在坂 | ……在坂は、今日のメニューが知りたい。 カツ丼だったらいいと思う。 |
邑田 | ほっほっほ。丼ものは美味よなぁ。 楽しみじゃ。 |
邑田 | そなた──八九と言ったな。 食いっぱぐれぬように、食堂へ急ぐがよいぞ。 |
八九 | お、おう……。 |
八九 | ……って、まさか昼食のラッパ待ってただけなのか!? 尋問とか拷問とかねぇわけ!? |
八九 | ど、どうなってんだ……。 |
八九 | ……そんなこんなで、結局こうして 貴銃士として普通に暮らしてるわけだ。 |
---|---|
八九 | 元世界帝の銃の俺がな。 ……意味わかんねーだろ。 |
主人公 | 【たしかに驚いた】 【不思議な国だ……】 |
八九 | だよな。 |
邑田 | さて。 そなたら、話はその程度にしておくがよかろう。 |
在坂 | ……次は訓練場の見学だと、在坂は聞いている。 |
邑田 | うむ。しかるに、そろそろここを出立せねばなるまい。 案内役を頼まれておるでな。 |
邑田 | ほれ、早う来い。いざ行かん! |
自衛軍兵士1 | お、恐れながら申し上げます! 邑田様……訓練場は逆の方向かと! |
邑田 | おっと、そうであったかの。 失敬、失敬。 |
邑田 | 八九や、そなたが先導せよ。 そも、初めからそうしておけばよかったのじゃ。 まったく、気が利かぬやつじゃのう……。 |
八九 | ええ……? パワハラ上司かよ……。 |
邑田 | ん???? |
八九 | あー、へいへい、すんませんね! 俺が悪うござんした……っと。 |
八九 | 訓練場はこっちだ。ついてこい。 とっとと行って、とっとと解散しようぜ。 |
自衛軍兵士たち | 訓練、はじめ! |
---|---|
十手 | おお……すごい動きだなぁ。 士官学校の生徒さんたちも十分立派だったが、 完成度が違う感じがするよ。 |
八九 | あいつら、日頃からきっつい訓練してるからな。 これくらい序の口だぜ。 |
自衛軍兵士2 | おや。八九殿! お疲れ様です! |
自衛軍兵士3 | お疲れ様です! どうでしょう、今日はご一緒に訓練など! |
八九 | おう、お疲れ。 だりぃから俺はパスだ。 |
自衛軍兵士2 | ははは、八九殿は相変わらずですな。 気が変わられたらいつでも歓迎しますよ。 |
八九 | へいへい。 |
主人公 | 【人気者だ……】 【打ち解けてる】 |
八九 | 俺──八九式は、自衛軍の主要装備だからな。 もとから馴染みがあるし、日本の特殊な事情もある。 |
十手 | 特殊な事情? |
八九 | 世界帝の居城イレーネやら、革命戦争の中心地は、 日本から遠く離れたところにあった。 |
八九 | 日本に駐留してた世界帝軍の奴らは戦況を把握してただろうが、 日本の普通の市民レベルだと、 革命戦争は遠い異国のいまいち現実味がねぇ出来事だ。 |
八九 | 貴銃士についての噂も一応届いてたらしいが、 半分おとぎ話みてぇな感じに受け取られてたらしい。 |
十手 | そりゃあ……銃が人としての実体をもって戦うなんて、 そうそう信じられないよなぁ。 |
八九 | ああ。だから、俺が元世界帝の銃だったことよりも、 貴銃士になった銃への物珍しさが勝ったのかもしれねぇな。 |
八九 | 日本で召銃されてからは、 たまに訓練したり、お上の命令で仕事したり……。 ま、割とのんびり過ごしてる。 |
八九 | 特に不自由してねぇ分、 仕事断りづれーのがだりぃんだけどよ。 |
邑田 | “だりぃ”だのなんだの言いながら、 そなたは存外、律儀に仕事をするものよなぁ。 |
八九 | はぁ……。 サボったら、後で余計面倒なことになりそうだからな。 |
在坂 | ……仕事を真面目にするのはいいことだと、 在坂は思う。 |
邑田 | ほっほっほ。在坂は偉いのう。 八九が“サボり”とやらをした時は、 ともにきつーくお灸を据えてやろうな? |
在坂 | わかった。 |
八九 | うっ! だから、サボったりしねぇって!! |
自衛軍兵士2 | ──そこまで! 全員集合! |
自衛軍兵士たち | はっ! |
主人公 | 【ところで……】 【訓練を開示していいの?】 |
邑田 | …………。 そなたは聡い子じゃな。 だが、案ずることはないぞ。 |
邑田 | 連合士官学校からやってきたそなたらに、 何を見せ、何を見せぬか……無論、それは選んでおる。 |
邑田 | ……一国が力を持ち過ぎることも危ういが、 いざという時に国を守れる程度の力はなくてはな。 |
邑田 | ……その目でしかと見て、 そちらのお上に報告するといいじゃろう。 |
邑田 | ただし、桜國の上様は争いを好まぬ。 攻め入る者には容赦せぬが、 こちらから事を起こすことはない。 |
邑田 | そのことも、ゆめ忘るることなかれ。 |
十手 | ええと、つまり……日本の防御は手堅いから、 余計な手出しはせずに現状維持をしろと、 俺たちから報告すればいいってことだな……? |
邑田 | はて、なんのことやら。 そなたらが何をどう報告するかは、そなたらの自由よ。 |
邑田 | とはいえ、こちらばり手の内を明かすというのもな。 そちらも、力を示してみてはどうじゃ。 |
十手 | ど、どういうことだい……? |
邑田 | こう言わねばわからぬか? ……いざ尋常に勝負、じゃ。 |
邑田 | そなたらの力を、我らにとくと見せてみよ。 |
主人公 | 【やろう!】 【訓練通りに!】 |
十手 | あ、ああ! 合点承知の助だ! |
邑田 | うむ、なかなか楽しめたぞ。のう、在坂や。 |
---|---|
在坂 | 在坂も、悪くなかった……と思う。 もっとやってもいい。 |
邑田 | ほっほっほ。在坂に気に入られたようじゃ、 〇〇よ。また相手を頼むぞ。 |
八九 | ったく……。 今日は訓練に参加するつもりはなかったのによ。 ま、いい運動にはなったか。 |
八九 | ところでよ……。 |
八九 | ……なぁ、あんた。 |
十手 | 俺かい? |
八九 | おう。あんたの銃、ずいぶん変わり種だな。 十手って、昔の警察──岡っ引きっつったっけ。 そいつらが使ってたモンか? |
十手 | ちょっと惜しいな。 岡っ引きってのは、奉行所の仕事を手伝ってた 民間人のことなんだ。 |
十手 | 俺……十手を使ってたのは、 与力や同心って呼ばれる役職の人たちで、 君の言う通り、今で言う警察だ。 |
十手 | 『御用だ御用だ! 江戸の悪は俺がすべてお白洲まで連れていく! 神妙にお縄につけぃ!』ってね。 |
八九 | へぇ……悪くねぇな。 |
邑田 | しかし、十手鉄砲が実際に使われていたとはのう。 好事家が鑑賞品として集めておるとは 聞いたことがあったが……。 |
十手 | あ、ああ……確かに、かなり珍しいかもしれないなぁ。 |
八九 | どんなふうに使われてたんだ? |
十手 | えーっと……主に使われてたのは目潰しかな。 あんまり威力はないが、 下手人の隙をついてバーンと! |
十手 | それから、仲間同士で合図を出すのに使ったりも──。 |
在坂 | …………。 |
在坂 | 在坂は、その話はおかしいと思った。 |
在坂 | 十手は与力・同心の身分証明のためのものだから、 実用性はないと聞いたことがある。 |
在坂 | 十手が目潰しや合図に使われるのは、おかしい。 |
十手 | え……? |
十手 | えっと……それは……確かにそうだけど……。 あ、でも、俺の場合は……。 |
邑田 | ……これこれ、在坂や。 あまりお客人をいじめるでないぞ。 |
十手 | …………。 |
八九 | あー……仕込み銃といえば。 明日あたり、鷲ヶ前組が取り仕切ってる自治区に 行ってみたらどうだ? |
主人公 | 【ワシガサキ組?】 【自治区?】 |
八九 | あ? なんだ、知らねーのかよ。 えーと……どこから話せばいいんだ? めんどくせぇ……。 |
邑田 | 新宿歌舞妓町なる自治区があっての。 そこを取り仕切る鷲ヶ前組の若頭が、 煙管の仕込み銃の貴銃士を召銃したのだ。 |
十手 | 煙管の仕込み銃って…… まさか、革命戦争でも戦っていうキセルかい? |
在坂 | 在坂は、そうだと聞いている。 会ったことはない。 |
邑田 | 歌舞妓町自治区は、日本有数の観光地じゃ。 帰国前に一度は行ってみるとよいぞ。 |
邑田 | あの一帯は文字通りの「自治区」でな、 桜國幕府の統治とは違う決まり事で運用されておる。 |
邑田 | 街並みは江戸の頃を思わせる風情で、 花街もあれば、賭場もある。 ……果ては、帯刀すらも許されておる。 |
邑田 | ようは、江戸時代のごとき趣で 町全体が統一されておるというわけよ。 |
十手 | 江戸時代……! |
邑田 | そなたにとっては懐かしい風景かもしれんなぁ。 さて……八九や。そなたが案内しておやり。 |
八九 | はぁっ!? いや、なんで俺が……! |
在坂 | 客人の案内は、大事な仕事。 |
八九 | くっ……。 |
邑田 | わしらに案内は不向きゆえ、そなたが適任じゃろう。 任せたぞ、八九。 “サボり”はなしじゃ。よいな? |
八九 | はぁ……わかったよ。 やればいいんだろ、やれば。 |
八九 | 明日はほとんど自由行動の日だったよな? 案内は明日してやる。 |
主人公 | 【ありがとう】 【よろしくお願いします】 |
八九 | 集合時間と場所は後で知らせる。 寝坊すんじゃねぇぞ。 |
十手 | 歌舞妓町自治区──そんなところがあるとはなぁ。 いやぁ、楽しみだ。 |
十手 | (江戸みたいな街並みがあるなら…… 夢の神社も、自治区の中にあるだろうか……?) |
邑田 | 美味い茶屋もたくさんあるゆえ、 明日の朝食は控えめにして、 自治区で食べ歩きとやらをするのも一興じゃぞ。 |
邑田 | ……おお、そうじゃ。 |
邑田 | 〇〇よ。 明日、八九が道中に何度「帰りたい」と言うか 数えておいてくれ。 |
邑田 | わしは30回に賭けよう。 |
在坂 | ……在坂は、20回に賭けることにする。 |
主人公 | 【…………?】 【わかりました……?】 |
十手 | …………。 |
1日の行程を終えた〇〇たちは、
宿泊先である自衛軍の来客用施設に到着した。
十手 | へぇ、いい宿だなぁ。 基地の隣にこんな場所があるなんて驚いた。 |
---|---|
十手 | ……じゃあ、〇〇君。 俺は隣の部屋だから、 何かあったらすぐに呼んでくれよ。 |
主人公 | 【ありがとう】 【おやすみ】 |
十手 | ああ、おやすみ。 |
十手 | 何かあったら呼んでくれとは言ったが……。 もし何かあっても、俺じゃあ大した戦力にならない。 |
---|---|
十手 | 〇〇君も内心、 頼りにならないって思ってたりするのかなぁ……。 |
十手 | ……いかん、起きてると悪い方にばかり考えそうだ。 早いとこ布団かぶって寝ちまおう……。 |
十手 | …………。 |
在坂 | ……在坂は失望した。 |
---|---|
邑田 | やれやれ……わしも同感じゃ。 |
邑田 | あの十手なる奇銃。 立ち回りは派手派手しいが、とんだ見掛け倒しよ。 |
邑田 | 八九や、そなたはどう思う。 |
八九 | どーでもいい。 口だけのやつに興味ねぇからな。 |
十手 | うぅ……! わかってるさ……俺だって、好きでこんな……! |
十手 | やめてくれーっ! |
十手 | はぁ……はぁ……。 |
---|---|
十手 | ん? ここは……。 |
十手 | また……あの神社……! でも、前よりもはっきりしてる……? |
十手 | 境内……鳥居……。 あれは……御本堂か? |
十手 | ……? 御本堂が、うっすら光ってる? |
十手 | いや、扉から光が漏れてるのか……。 もしや、あの中に何かあるのか? |
十手 | それに、この光、どこかで……。 温かくて、眩い…………。 |
十手 | …………。 |
十手 | ……そうだ! この光……似ている……! |
十手 | 俺は知っている……これは、 絶対高貴の光……! |
十手 | ──はっ!! |
---|---|
十手 | ……朝、か……。 またいつもの夢だった、が……。 |
十手 | だけど、はっきり思い出せる。 神社の風景、鳥居、ご本堂の様子……! ここまで鮮明に覚えているのは初めてだ。 |
十手 | 日本に来たからなんだろうか。 やっぱり、夢の神社に何かがあるとしか思えない。 あそこが、俺を呼んでるんだ……。 |
十手 | あの神社に行けば、 俺も絶対高貴になれるかもしれない……! |
十手 | ……今日は、八九君が街を案内してくれるんだったな。 何か手掛かりがあるといいんだが……。 |
十手 | おはよう、〇〇君。 |
---|---|
主人公 | 【おはよう】 【ちゃんと休めた?】 |
十手 | ああ。 部屋は快適だし、ベッドの寝心地もよかった。 |
八九 | よう。もう準備はできてるみてぇだな。 んじゃ、朝メシの場所に案内する。 |
十手 | おはよう、八九君。 日本の朝ごはん……楽しみだな。 |
八九 | 別に特別な料理が出るわけじゃねぇぞ。 ごはんに味噌汁、焼き魚、納豆ってところだな。 卵もあるから、卵かけご飯にするのもいい。 |
主人公 | 【NATTO……!】 【卵かけご飯?】 |
八九 | あー、日本式の朝メシは珍しいか。 口に合わなそうなら、パンとベーコン、 スクランブルエッグなんかも用意できると思うぜ。 |
八九 | 十手は、和食の方がいいか? |
十手 | ああ! ごはんと味噌汁くらいなら 士官学校の食堂でも出るが、安全な生卵は 向こうだとなかなか手に入らないからなぁ! |
八九 | だろうな。 今のうちに食いたいモンは色々食っとけよ。 |
十手 | ああ、楽しみだ。 考えただけで腹が減ってきた。 |
八九 | お、メシの合図のラッパだな。 |
八九 | 朝メシ食い終わったら、歌舞妓町自治区に案内する。 土産物屋なんかも多いから、 土産が欲しけりゃ財布を持って来いよ。 |
十手 | そいつはありがたい。留守番組のみんなに、 土産をたっぷり買っていかないとなぁ。 |
十手 | 自治区に行けば、キセル殿にも会えるだろうか。 |
八九 | さぁな。若頭の補佐役だから、 そう簡単には会えないんじゃねぇか? |
八九 | 俺としては、元世界帝の銃と元レジスタンスっつー 微妙な間柄だし、出くわす前に帰りてぇんだが……。 |
主人公 | 【(行く前から「帰りたい」だ……)】 【(「帰りたい」1回目……)】 |
十手 | ああ、そうだ。 八九君、1つ頼まれてくれないかい? |
---|---|
八九 | なんだ? 面倒事なら却下だけど。 |
十手 | おそらく、そう手間はかからないと思うが…… 地図を用意してほしいんだ。 |
八九 | は……? このメニューでチーズはねぇだろ……。 |
十手 | いやいや、チーズではなくてな。 地図……その、マップの方だ。 あーゆー、おーけー……だろうか? |
八九 | あー、そっちか。 つーか、普通に日本語でいい。俺は日本の銃だぞ。 |
十手 | あ、ハハ……そうだったね。失敬失敬。 |
八九 | ……地図を用意するのは別に構わねぇ。 朝食のあとで持って来させる。 |
十手 | ありがとう、助かるよ。 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。