───アメリカ支部から破壊予定の3挺を奪還した3人は、
夜明けが近づく頃、森の中にある小屋へ到着し身を潜めた。
ジョージ | ……ふぅ。ここまでは順調だな! |
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主人公 | 【マークスたちは大丈夫かな】 →ジョージ「マークスなら……大丈夫だって! 〇〇の相棒なんだから、信じてやろうぜ☆」 【囮役の3人のおかげだ】 →マイケル「ああ……。 彼らも無事だといいんだが。」 |
マイケル | 〇〇、ジョージ、マークス。 恭遠審議官に、ラッセル曹長……。 |
マイケル | 危険な賭けに手を貸してくれたキミたちに、 俺は、なんとお礼を言ったらいいのか……! |
ジョージ | HAHAHA☆ そんなこと気にすんなって! あいつらを助けたいって思いは、オレたちだって同じなんだから! |
主人公 | 【彼らは危険ではないと、証明しましょう】 【破壊命令を、どうにか覆しましょう】 |
マイケル | ……ああ、必ず! |
それぞれが抱えていた3挺の銃を、
包んでいた布から出してテーブルに並べる。
マイケル | ……うん、本体に問題はなさそうだ。 念のため、キミたちも確認してくれるかい? |
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ジョージ | おう! 銃のことならオレと〇〇に任せとけ! |
〇〇とジョージは、
3挺の銃をじっくりと検分した。
ペンシルヴァニアとケンタッキーは、
大切に使われたことが窺える、手入れの行き届いた銃だ。
ジョージ | ペンシルヴァニアもケンタッキーも、問題ナシだな! 機構部もばっちり☆ ま、ケンタッキーがあんなスゲー狙撃してたし当然か! |
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ジョージ | スプリングフィールドの方も、肝心の機構部は問題ないけど……。 この傷は……。 |
スプリングフィールドの銃には、銃床を中心に、
大小さまざまな切り傷のような痕が刻まれている。
ナイフの先で幾度も切りつけたような作為性があり、
戦いの中で付いたと考えるには不自然なものだった。
ジョージ | 前のマスターがやったのか……? ……でも……。 |
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マイケル | ペンシルヴァニアがスプリングフィールドを持ってきた時には、 既にその傷は刻まれていたよ……。 彼は、傷について話そうとはしなかった。 |
マイケル | この傷は……彼がアウトレイジャー化したことと、 何か関係がありそうかい? |
ジョージ | いや……たぶん、これは関係ないと思うぜ。 銃の機能には問題ない部分だし。 それに……見た感じ、もっと昔の───古い傷だ。 |
マイケル | そうか……。 なぜ彼らがアウトレイジャーになってしまったのか、 結局のところはわからないままだ。 |
マイケル | もしかしたら、二の舞になって 同じ苦しみを味あわせてしまうことになるかもしれない。 |
マイケル | だが……俺は、彼らを信じたい。 ……人の勝手で呼び覚まして、 絶対高貴になれと迫るのは、二重に勝手で心苦しいが。 |
マイケル | 彼らを危険因子だとして破壊されるよりは…… 彼らの可能性に賭けたい……! |
ジョージ | ……オレも同じ気持ちだぜ、マイケル! |
主人公 | 【自分もです】 |
マイケル | 〇〇。 ペンシルヴァニアとケンタッキー、そしてスプリングフィールドを どうか……よろしく頼む。 |
マイケルの手に刻まれていた傷は、
ジョージの力によって完治している。
そのため、3挺の奪還に成功した際は、
〇〇が再召銃をすることを、
あらかじめマイケルと話し合って決めていた。
主人公 | 【……はい!】 【3挺を召銃します】 |
---|
ペンシルヴァニア、ケンタッキー、スプリングフィールドへ、
〇〇は祈りを込めた手で触れていく。
ペンシルヴァニア | ……ん……? |
---|---|
ケンタッキー | ここは……? |
スプリングフィールド | う……、あれ……。 |
ジョージ | よかった! 全員元に戻ってるな! |
ペンシルヴァニア | 元に……? ん……、この感覚……。 |
ケンタッキー | あれ……マスターが、変わってる……? |
マイケル | わかるかい? 俺にはもう、マスターとしての力がない。 それに……キミたちを、絶対高貴に導けなかった。 |
マイケル | だから……〇〇に、 キミたち3人を託すことにしたんだ。 |
スプリングフィールド | ……そう、ですか。 よろしくお願いします、マスター。 |
主人公 | 【こちらこそ】 【よろしくね】 |
ケンタッキー | は……? ちょ、お前、あっさり過ぎんだろ! つーか、何があったのかわかんねぇんだけど……。 |
ケンタッキー | 俺は確か、いつも通りに仕事してて……。 それから……あ、れ……? なんか、記憶が飛んでる……? |
ケンタッキー | いや……でも、断片的に覚えてる……。 急にめまいがして、自分がコントロールできなくなって……。 俺……、嘘、だろ……。 |
ペンシルヴァニア | ……俺も、思い出してきた。 俺たちは、あの公園で…… 何か、恐ろしいものに飲み込まれて───。 |
ジョージ | ああ……。 おまえらは、アウトレイジャーになったんだ。 |
ケンタッキー | なんで、俺たちが……!? つーか、ここはどこなんだ? 何があったんだよ……!? |
主人公 | 【これまでのことを説明する】 【少し長い話になるけど、聞いてほしい】 |
ペンシルヴァニア | 〇〇───いや、“マスター”。 教えてくれ。 俺たちに、何があったのかを……! |
〇〇とマイケル、ジョージは、
貴銃士として再び目覚めたばかりの3挺に、
これまでの経緯を話した。
ペンシルヴァニアとスプリングフィールドは、
マイケルや市民を守ろうとしてアウトレイジャーと戦った直後、
自らもアウトレイジャーと化したこと。
ほぼ同時刻に、職務中だったケンタッキーもまた、
アウトレイジャー化して暴走したらしいこと。
そして───そんな3挺を危険視したアメリカ政府によって、
破壊命令が下されたため、〇〇たちが3挺を奪取し、
逃亡中の身の上であること……。
ケンタッキー | ……ぜんッぜん、なにひとつ、理解できねぇ……! なんで俺が……大統領も……! |
---|---|
ペンシルヴァニア | ……俺たちのために……。 皆に、危ない橋を渡らせてすまない。 |
主人公 | 【謝らないでほしい】 【勝手にやったことだから気にしないで】 |
ペンシルヴァニア | …………。 |
ペンシルヴァニア | だが……俺は、俺には……。 もう、わからないんだ。 |
ペンシルヴァニア | 絶対高貴を求めて旅立ち、大地を自由に歩き…… 毎日様々な人と出会い、語り合い─── アメリカという国のスピリットを十分に掴んだつもりだ。 |
ペンシルヴァニア | なのに、絶対高貴になれないばかりか、狂気に飲み込まれた……。 俺はケンタッキーの言う通り、ただのろくでなしだったんだ……。 |
マイケル | ペンシルヴァニア……。 |
ケンタッキー | ……俺はこいつと違って真面目で根性あるっスけど……。 正直……俺もちょっと……。 |
ケンタッキー | 〇〇さんには、わざわざ召銃してもらって ほんと申し訳ねぇんすけど……。 |
ケンタッキー | あんなに頑張ってても、絶対高貴には及ばなかったんです。 同じことが繰り返されたら、って思うと、 次こそまた、ってテンションになれなくて……。 |
ジョージ | そんなことないって! 2人なら、絶対なれる! なぁ、元気出してくれよ……2人とも……! |
スプリングフィールド | …………。 |
その時───スプリングフィールドが立ち上がり、
自らの銃を手に取って〇〇に渡した。
主人公 | 【……スプリングフィールド?】 |
---|---|
スプリングフィールド | 僕は、現代銃で……。 二度も、アウトレイジャーになって、います……。 |
スプリングフィールド | この先、新しいマスターにもおそらく……危害を加えます。 今のうちに、破壊……してください。 |
全員 | ……!!! |
主人公 | 【破壊なんて絶対しない!】 【スプリングフィールドが悪いんじゃない!】 |
スプリングフィールド | ……でも、僕は、あなたのために役立てるとは、思えません。 だから、あなたにとって、僕は不要だと……。 |
〇〇は、
スプリングフィールドへゆっくりと話しかけた。
スプリングフィールドは、これまで多くのつらい体験をして、
目に見えない傷をたくさん負っているのだろう。
痛くて苦しくて、心を閉ざしてしまうのもわかる。
世界にはつらくて悲しいことが多いから、
心が疲れてしまって、何もかも嫌になるのも……よくわかる。
だけど……そんな真っ暗闇にも、温かな光が差すこともある。
せっかく貴銃士として目覚めてくれたのに、
人のわがままによって、つらい思いだけを胸に銃に戻したくない。
これも、〇〇のわがままかもしれないけれど……
心の傷を少しずつ治して、喜びや楽しさも味わってほしい。
心から笑える日が来るまで、みんなで支えたい───と。
ペンシルヴァニア | 〇〇……。 俺と同じ気持ちを持ってくれていたんだな……。 |
---|---|
スプリングフィールド | ……マスター……。 |
ジョージ | 大丈夫だ。〇〇を信じてくれ! 〇〇が召銃した貴銃士は、 古銃も現代銃も、一度もアウトレイジャー化してないんだ。 |
ジョージ | それに……一度アウトレイジャー化した貴銃士も、 〇〇は絶対高貴に導いたんだぜ! |
ケンタッキー&ペンシルヴァニア | …………。 |
〇〇はケンタッキー、ペンシルヴァニア、
スプリングフィールドそれぞれの目をしっかりと見つめる。
主人公 | 【自分のことを、信じてほしい】 |
---|---|
主人公 | 【2人は絶対高貴になれる!】 【3人はもう、アウトレイジャーにはならない!】 |
ケンタッキー | ……俺は───。 |
その時、スプリングフィールドが
ふと顔を上げ、警戒するように周囲に視線を走らせる。
スプリングフィールド | ……何かの、気配があります。 |
---|---|
ジョージ | おっ、マークスたちじゃないか? |
主人公 | 【……様子がおかしい】 【マークスなら、声がするはず】 |
ジョージ | ……っ、確かに! マークスなら、「マスター 、どこだー!」って言って 勢いよく駆け込んでくるよ な……。 |
小屋の中に緊張が満ち、貴銃士たちが銃を構える。
ジョージ | 〇〇……オレが様子を見る。 |
---|
ジョージがそっと、慎重にドアを開けると───。
アウトレイジャー | 殺、ス……。 |
---|---|
ジョージ | うわっ!? |
ペンシルヴァニア | アウトレイジャーだ……! |
アウトレイジャー | 破壊、スル……。 |
---|---|
スプリングフィールド | 敵……戦闘、開始します。 |
ジョージ | おい、スプリング!? |
スプリングフィールド | ───絶対非道……! |
スプリングフィールドが力を使うごとに、
〇〇の薔薇の傷が、じわじわとその蔦を伸ばす。
傷口から滲んだ血が、地面にポタポタと滴った。
ケンタッキー | ……っ、マスター!? その傷……なんで、いきなり広がって……!? |
---|---|
ジョージ | スプリング! オレと交代だ! 〇〇の薔薇の傷が悪化してるっ! |
スプリングフィールド | 薔薇の……傷……? |
??? | くそっ……この、疫病神が……! |
---|---|
??? | てめぇが来てから…… こんな、わけのわからねぇ傷がどんどん広がって……! なぁ! てめぇのせいなんだろ!? |
??? | この傷はお前の存在が…… いや、お前が俺の寝ている間に付けたんだ……! ぐっ、がはっ……! なぁ、そうなんだろ!? |
アウトレイジャー | アァァ……殺、ス……!! |
---|---|
スプリングフィールド | アウトレイジャー……! |
マイケル | まさか、こんな街中に出現するなんて……! 俺は、周囲の人たちを避難させる。 ……スプリングフィールド、頼めるか? |
スプリングフィールド | はい……ご命令で、あれば……。 |
スプリングフィールド | 絶対非道……! |
アウトレイジャー | グァァ……。 |
マイケル | ……くっ……! |
ペンシルヴァニア | ……マスター……? |
スプリングフィールド | ……心銃! |
アウトレイジャー | ギャァァア……! |
マイケル | ……っ、ううっ……! |
ペンシルヴァニア | おい、大丈夫─── ……くっ、なんだ、この眩暈……。 |
スプリングフィールド | う、グ、ァ、ァアア……! |
スプリングフィールド | ……!! |
---|---|
スプリングフィールド | (そうだ、あの時も……僕が絶対非道になったから…… マスターが苦しみだして……!) |
スプリングフィールド | (僕が絶対非道になったせいで……みんな……) |
ジョージ | スプリング、危ないっ!! |
アウトレイジャー | ウゥ……破壊、スル……。 |
スプリングフィールド | ……っ! |
ジョージ | ぐ、っ……。 |
ペンシルヴァニア | ジョージ!!! |
スプリングフィールドを庇ったジョージへと、
アウトレイジャーの攻撃が直撃する。
レッドコートが見る間に暗赤色に染まり、
倒れたジョージの顔色は、血の気を失い真っ青になっていく。
ケンタッキー | おい、ジョージ! くそっ、しっかりしろ! 死ぬんじゃねぇ! |
---|---|
スプリングフィールド | あ……、う、そ……僕の、せいで……! あ、あああ……! |
主人公 | 【ジョージ!】 【すぐに治療する!】 |
〇〇はジョージへ駆け寄り、傷の治療を始めた。
絶対非道で広がっていた傷が、力を使ったことでさらに悪化し、
茨のような傷が腕をじわじわと這い上がっていく。
ペンシルヴァニア | ……っ、マスター……! このままじゃ、傷が悪化してあんたが死んでしまう……! |
---|---|
アウトレイジャー | ウ、ウゥゥ……! |
ケンタッキー | ……チッ、しつけぇんだよクソが! |
アウトレイジャー | ……グッ、……殺、ス……! |
ケンタッキー | はっ!? なんで効かねぇんだよ……! |
ケンタッキーが放った弾は、確かに当たったように見えた。
しかし、アウトレイジャーは平然と歩み続ける。
ペンシルヴァニア | 無駄だ! そいつらには通常の銃弾がほとんど効かない。 絶対高貴か、絶対非道でないと……! |
---|---|
ケンタッキー | んなこと言ったって……! ジョージは動けねぇし、スプリングフィールドが絶対非道を使えば マスターが耐えらんねぇ! |
ケンタッキー | 俺が……俺たちが、なんとかしねぇと……! でも、どうやったら絶対高貴になれんだよ……ッ! |
主人公 | 【2人ならできる!】 【自分自身を、信じて……!】 |
ケンタッキー | ……! |
ケンタッキー | (〇〇さんとは、つい先日会ったばっかだけど……。 破壊されそうになった俺たちを、危険も顧みずかばってくれた) |
ケンタッキー | (スプリングフィールドへの言葉も、マジのマジの本気で……。 今、俺のことも、心から信じてくれてるって、 目を見りゃ一発でビビッとくるくらいにわかる……!) |
ケンタッキー | 〇〇さんは─── いや、“マスター”は、俺に命預けてくれてんだ。 それに応えねぇなんて……アメリカのスナイパーじゃねぇ! |
ケンタッキー | ……俺、信じてみます。 〇〇さんを! そんで、俺自身も! |
ペンシルヴァニア | ……そうだ。俺たちのことを信じてくれた…… 〇〇、マイケル、ジョージ…… そして、アメリカのみんなのために。 |
ペンシルヴァニア | 俺たちは、絶対高貴になるんだ! なぁ、ケンタッキー? |
ケンタッキー | ハッ、お前がその気なら俺だって負けねぇぞ! ───マスターたちの想いに、応えようぜっ! |
2人が力強く頷き合ったその時───
彼らの身体が、淡く光を帯び始める。
ペンシルヴァニア | なんだ……この力は……。 |
---|---|
ケンタッキー | もしかして、これが……? |
アウトレイジャー | 破壊……スル……。 |
ペンシルヴァニア&ケンタッキー | ───絶対高貴! |
ペンシルヴァニア | もう誰も……傷つけさせはしない。 愛する仲間こそ……俺の魂だ! |
ケンタッキー | 俺たちの一撃、喰らいやがれっ! ───心銃! |
アウトレイジャー | グァアアア……!! |
マイケル | Amazing……すごいぞ、2人とも……! あっという間にアウトレイジャーを倒すなんて……! |
ペンシルヴァニア | 俺たち……絶対高貴に、なれたんだな……。 |
ケンタッキー | 俺の方が先だったけどな! っつーか、ぼーっとしてる場合じゃねぇよ。 マスターとジョージを早く助けねぇと……! |
ペンシルヴァニア | マスターの傷を…… 絶対高貴で、回復させればいいんだな? |
主人公 | 【お願い!】 【そうしたら、ジョージを治療できる!】 |
ペンシルヴァニア | わかった。任せてくれ。 |
ペンシルヴァニア | ……絶対高貴。 |
絶対高貴の暖かな光が、〇〇を包む。
蔦を伸ばしていた傷は徐々に癒され、
薔薇の花のような形へと戻っていった。
主人公 | 【ありがとう、ペンシルヴァニア】 |
---|
続いて〇〇が、
アウトレイジャーの攻撃で重傷を負ったジョージを癒す。
ジョージ | ん……? あ……〇〇……。 ありがとな、助けてくれて……。 |
---|---|
ケンタッキー | ジョージ、お前……心配させんじゃねーぞ! |
ジョージ | HAHA……ごめんごめん! |
スプリングフィールド | …………、よか、った……。 |
スプリングフィールド | (僕だけ……ただ、傷つけるだけだった。 ジョージさんに、守ってもらって……。 絶対非道で、マスターを傷つけて……) |
スプリングフィールド | (ペンシルヴァニアさんの力は、あんなに温かいのに。 ケンタッキーさんの力は、明るくて、眩しいのに……) |
スプリングフィールド | (……僕、は……) |
ケンタッキー | 改めて……。 |
---|---|
ケンタッキー | 自分、ケンタッキーっす! ふつ……ふつつか者ですが、よろしくお願いしまっす!! マスターッ!! |
ペンシルヴァニア | ……よろしく頼む、〇〇。 |
主人公 | 【こちらこそ!】 |
ケンタッキー | てめっ……前から言おうと思ってたけど、 マスターのことを名前で呼び捨てにすんじゃねぇよ!! 馴れ馴れしいんだよボケ!! |
ペンシルヴァニア | ん? そうか? |
主人公 | 【どっちでもいいと思う】 【呼びやすい方でいいよ】 |
ケンタッキー | えっ……いや! 自分はマスターと呼ばせていただきます! ……スッ!! |
ジョージ | さっきまで〇〇のこと、名前で呼んでたのになー。 おかしなヤツ! HAHA! |
マイケル | キミたちの絶対高貴、本当に眩しかった。 ……おめでとう! 心から、祝福するよ。 |
ペンシルヴァニア | ……これまで俺の夢を共に追ってくれて、ありがとう。 これからはあんたの夢を、追いかけてくれ。……自由に、な。 |
ケンタッキー | マスター……いや、マイケルさん。 ペンシルヴァニアと一緒にいなくなった時は、 ぶっちゃけ「マジかよ」ってぶちのめされましたけど……。 |
マイケル | うっ……Sorry……! |
ケンタッキー | 俺らのこと信じて、無茶して、まっすぐ突っ走る、 すっげー眩しいマスターでした。 一緒に過ごせた日々、楽しかったっス。今まで、あざっした! |
マイケル | ああ。こちらこそありがとう。 俺はキミたちのことを、これからもずっと応援してるぞ! Wish you the best! |
ジョージ | じゃあ、さっそく大統領のとこに戻ろうぜ! 2人が絶対高貴に目覚めたってことは、破壊命令も取り消しだろ? |
ケンタッキー | そうだな! 俺とペンシルヴァニアでスターズハウスに乗り込んで、 ババーン! と絶対高貴を披露してやるぜっ! |
マイケル | ちょ、ちょっと待つんだ。 それだと、スプリングフィールドが……。 |
ペンシルヴァニア | ……ん? スプリングフィールドに、何か不都合が? |
スプリングフィールド | …………。 |
主人公 | 【……わからない】 【アメリカ政府の出方が読めない】 |
ジョージ&ケンタッキー | えっ……。 |
マイケル | 酷なことだが……リスクについての認識は、 共有しておくべきだと俺は思う。 だから、最悪のケースについて話をさせてくれ。 |
マイケル | アメリカ政府の視点で把握している、 スプリングフィールドについての事実はこうだ。 |
マイケル | “旅の途中でマイケルとペンシルヴァニアが拾った現代銃。 来歴は不詳。絶対非道で敵を撃破する力を持つ。 そして……二度、アウトレイジャーになった”。 |
ケンタッキー | スプリングフィールドが、 この先またアウトレイジャーになることはないって 証明すんのが難しい、ってことか……。 |
マイケル | はぁ……スプリングフィールドと出会った経緯を 馬鹿正直に報告するんじゃなかったと後悔しているよ。 あの時、A1795の一件を知っていたら……。 |
ペンシルヴァニア | ……銃の種類としては全く別物だが、 A1795がアウトレイジャー化して破壊されているというのも…… 不利に働くかもしれない、か。 |
マイケル | そういうことだ。 ……すまない、スプリングフィールド。 こんな話を聞かせてしまって。 |
スプリングフィールド | いえ……。 すべて事実……ですから。 |
ジョージ | マークスとかライク・ツーだって、 現代銃で絶対高貴は使えねぇけど、 アウトレイジャーになったことなんてないぞ? |
ジョージ | でも、絶対ならない! って証明するには、 スプリングが壊されないように気を付けながら、長い時間をかけて 「ほら大丈夫だろ!」って見せるしかない、のか……? |
マイケル | 問題は……政府がそれを許すか、だな。 聞く耳を持たずに破壊されそうになるなら。 再び……今度は、終わりが見えない逃亡生活が始まることになる。 |
全員 | …………。 |
マイケル | 1つの案として、俺とスプリングはここに残り、 君たちだけでD.C.に戻って話を付けるという手もある。 |
マイケル | もし決裂した場合は…… 俺と2人で、山でテント暮らしでもするかい? スプリング。 |
スプリングフィールド | マイケル、さん……。 |
主人公 | 【ですが……】 【それでは、マイケルさんが……】 |
マイケル | 〇〇は、たくさんの貴銃士を束ねる、 将来有望な年若い士官候補生だ。 逃亡生活なんてexcitingな経験するには、まだ早いね。 |
マイケルは明るく振る舞うが、
アメリカ政府が本気で手配をかけるなら、
どこまで逃げられるかわからない上、大きな危険を伴う。
ケンタッキー | 何か……手はないのか……? |
---|---|
スプリングフィールド | …………。 |
スプリングフィールド | ごめん、なさい……。 僕がいると、みなさんを、危険に───。 |
主人公 | 【そんなことはない!】 【大丈夫、なんとかしてみせる】 |
スプリングフィールド | で、でも……。 |
ペンシルヴァニア | 大丈夫さ、スプリングフィールド。 お前は何も心配せずに、俺たちに任せればいい。 そして……やりたいこと、楽しそうなことを見つけてくれ。 |
スプリングフィールド | ……? どういうこと、でしょうか……? |
ジョージ | そんなに難しく考えなくていいんだぜ? 自由に楽しんどけ☆ってことだよ! |
スプリングフィールド | 自由……。 |
ケンタッキー | そ! 要するに……自分の心に素直に従って、 やりてぇことを思うままやって、伸び伸びしてりゃいいんだよ。 |
ペンシルヴァニア | ああ……やりたいことは、お前次第だ。 何も考えずに、星をぼんやり数えるのもいい。 気が向くまま大地を駆け、寝転ぶのもいい。 |
ペンシルヴァニア | お前なりの、やりたいことと……自由を見つけてほしいんだ。 |
スプリングフィールド | 僕の、やりたいこと……自、由……。 |
スプリングフィールド | わか、りません……。僕には……。 |
ケンタッキー | ……ま、この状況でんなこと言われても困るよな。 緊張続きでくたびれたし……ふぁ〜! |
ケンタッキー | マスター! 俺、ちょっと水を汲んできていいっすか!? 冷たい水でも飲んでリフレッシュしましょう! |
ペンシルヴァニア | ……そうだな、俺も付き合おう。 この人数分の水を1人で運ぶのは大変だろう。 |
ケンタッキー | ああ……って、俺1人で行けるっつーの! |
ペンシルヴァニア | そう言うな。 2人で探した方が、水源も早く見つかるぞ。 |
ケンタッキー | ……か、勝手にしろ。 |
ジョージ | オレも、さっきの怪我で服に汚れがさ……。 早く洗っときたいな。 よーし、オレも一緒に行くぜ☆ |
ケンタッキー | え、お前そういうの気にするタチなの? 破れても気づかねーと思ってたぜ。 |
ジョージ | あ! オレずっと思ってたんだけど、 ケンタッキーの服破れてるぞ? 腰のところ。 |
ケンタッキー | これはファッションだっつーの!!! |
3人が賑やかに小屋を出て行ったあと、
マイケルも伸びをしながら扉へ向かって歩き始める。
マイケル | ふぅ……俺は、少し外の空気を吸って、 ストレッチをしてくるよ。 |
---|---|
主人公 | 【わかりました】 |
小屋の中には、〇〇と
スプリングフィールドだけになる。
スプリングフィールド | …………。 |
---|---|
スプリングフィールド | マスター……すみません、僕……。 何も、できなくて……。 |
主人公 | 【いいんだよ】 【少しずつ進んでいけたらいい】 |
スプリングフィールド | ……、……。 |
スプリングフィールド | あの……僕、も……少し、出てきます。 |
主人公 | 【わかった】 【気を付けて】 |
スプリングフィールド | はい……。 |
ケンタッキー | マスター! ケンタッキー、ただいま戻りましたっ! 水もバッチリっす! |
---|---|
ジョージ | ふう! さっぱりしたー! 汚れ落とせてすっきりしたぜ。 |
ペンシルヴァニア | 井戸が枯れていなくて……助かったな。 |
マイケル | やあ、 3人ともお疲れ様☆ ん……? スプリングフィールドは? |
主人公 | 【少し外に出ると……】 【外で見かけませんでしたか?】 |
マイケル | んん……? 俺は見てないな。 小屋を出てきたことにも気づかなかったよ。 |
ケンタッキー | 俺たちも見てないっすね。な? |
ペンシルヴァニア | ……ああ。 |
ジョージ | その辺の散歩でもしてんのかな? |
しかし───それから30分以上が経過しても、
スプリングフィールドは戻ってこない。
ケンタッキー | あいつ、まさか……。 自分がいなければ、とか思って、 1人でどっか逃げちまったんじゃ……。 |
---|---|
主人公 | 【手分けして探そう!】 |
ジョージ&ペンシルヴァニア | ああ! |
スプリングフィールドが戻らないまま数時間───
〇〇たちは全員で手分けして、
森の中の捜索を続けていた。
ペンシルヴァニア | スプリングフィールド……! どこだー! 返事をしろー! |
---|---|
ケンタッキー | ペンシルヴァニア! いたか? |
ペンシルヴァニア | いや、こっちにはいない。 そっちはどうだった……? |
ケンタッキー | いねぇ……どこにも。 足跡は途中の砂地っぽいとこで消えちまってて……。 |
ペンシルヴァニア | 風で砂が動いて痕跡を隠した、か……。 |
ケンタッキー | あいつ、どこ行っちまったんだ……? 街の方……は、1人で身を隠す気ならありえねぇよな。 |
ペンシルヴァニア | ああ……。 俺たちに迷惑を掛けまいといなくなったのなら、 人目を避けるはずだ。 |
ペンシルヴァニア | とにかく……暗い中でこれ以上の捜索は危険だ。 一度引き返して、皆と情報を共有しよう。 |
ケンタッキー | おう。 もしかしたら、小屋に戻ってるかもしれないしな。 |
しかし、スプリングフィールドは、やはり戻ってこない。
一同は夜明けを待って捜索を再開することにし、
小屋で夕食と休息をとったのだった。
───次の日の朝。
ケンタッキー | かーっ……すび……。 |
---|---|
ペンシルヴァニア | …………。 |
ペンシルヴァニア | ……っ? |
わずかな物音にペンシルヴァニアが目を覚ました直後、
小屋の扉がゆっくりと開く。
スプリングフィールド | …………。 |
---|
そこには、土埃にまみれ、
ところどころに傷を負ったスプリングフィールドが立っていた。
ペンシルヴァニア | スプリングフィールド!! |
---|
ペンシルヴァニアの大声に、眠っていた面々が目を覚ます。
ジョージ | んがっ……スプリング!? おまえ、どこ行ってたんだよ! 大丈夫か!? |
---|---|
主人公 | 【スプリングフィールド……!】 【その傷は……!?】 |
スプリングフィールド | ご、ごめん、なさい……。 |
ペンシルヴァニア | 謝らなくていい。 お前が戻ってきてくれて……何よりだ。 |
ケンタッキー | つーか、なんでそんなボロボロになってんだよ。 まさか……アウトレイジャーと鉢合わせたのか!? |
スプリングフィールド | いえ……。 |
主人公 | 【とにかく、治療をしよう】 【傷を見せてほしい】 |
スプリングフィールド | これ、くらい……。 なんとも、ありません……。 |
スプリングフィールド | それより……あの……。 これを、マスター、と、 みなさん……に……。 |
スプリングフィールドは、大事そうに抱えていた包みの中から
リンゴを取り出し、一同に差し出した。
細かな擦り傷や切り傷を負い、
土に汚れたスプリングフィールドに対し、
リンゴだけは傷1つなく綺麗な状態だ。
ペンシルヴァニア&マイケル | リンゴ……? |
---|---|
スプリングフィールド | は、はい……。 僕が、知っている食べ物の、中で…… これが、1番美味しい……ので。探して、いました。 |
ジョージ | えっと……それって、つまり……。 |
ケンタッキー | おま……っ、まさか、そのために、 こんなボロボロになるまで……!? |
スプリングフィールド | ……す、すみま……せん……。 |
ケンタッキー | いや、だから謝んなくていいけど! つーか、なんで5個なんだ? 1つ落としてきたのか? |
スプリングフィールド | いいえ……マスターと、マイケルさんと、 ペンシルヴァニアさんと……ケンタッキー、さん…… それから、ジョージさんの分なので……5つ、です。 |
ケンタッキー | は……? お前、最初から自分の分は考えてなかったのかよ。 なのに、そんなに必死に探して、持ってきたのか……。 |
スプリングフィールド | ご、ごめん、なさい……。 |
ジョージ | 大丈夫だって☆ みんなでわければOKだからさ! |
ジョージ | っていうか、よくリンゴの木なんか見つけたなぁ! アメリカの森って、そのへんにリンゴの木が生えてるもんなのか? |
ペンシルヴァニア | ん……こんなに大きくて、甘い匂いがするやつは…… 人の手が加わっていないと、実らない……と思う。 |
ペンシルヴァニア | なぁ……スプリングフィールド。 このリンゴは、どうしたんだ? |
スプリングフィールド | あ、あの……ふもとの、市場から……とって、きました。 |
マイケル | とる……盗る!? |
スプリングフィールド | 大……丈夫……です。 バレて、ません……から……! マスターや、マイケルさんたちに……迷惑はかけません……! |
マイケル | Oh…… 買い物の概念と仕方を教えておくんだった……! |
主人公 | 【気持ちはすごく嬉しい】 【みんなのために、頑張ってくれたんだね】 |
スプリングフィールド | 僕には……これくらい、しか、できないので……。 |
主人公 | 【でも、勝手に持ってきたらダメなんだ】 →スプリングフィールド「え……? ご、ごめん、なさい……。」 ペンシルヴァニア「売り物は……お金を払って、買うものなんだ。 どこから持ってきたのかはわかるか? 俺も一緒に行くから、お金を払って謝ろう。」 【治療が済んだら、一緒に謝りに行こう】 →スプリングフィールド「マスターが、謝る……? 僕の、せいで……ごめんなさい……。」 |
ケンタッキー | 買い物の仕方なら俺が教えてやるから、 ちゃんと覚えろよ? |
スプリングフィールド | は、はい……。 |
ジョージ | んで、なんでそんなに傷だらけになっちまったんだ? お店の人……には、バレてないって言ってたし、 殴られたとかじゃないよな。 |
スプリングフィールド | え、っと……急いで逃げる途中に、 斜面から滑り落ちて……その……。 |
ペンシルヴァニア | ……大きな怪我じゃなくて、よかった。 〇〇……治療を頼む。 |
主人公 | 【もちろん】 【任せて】 |
〇〇がスプリングフィールドの傷に手をかざすと、
傷口が淡い光に包まれて、見る間に治癒していく。
スプリングフィールド | ───っ! |
---|---|
スプリングフィールド | (……なに、これ……温かい……。 身体が軽くなるような……不思議な感覚……) |
スプリングフィールド | (こんなに温かいものを……僕は……。 ……僕には……) |
スプリングフィールド | …………。 |
ケンタッキー | …………。 |
ケンタッキー | (……俺、スプリングフィールドと会ったばっかりの時、 かなりひでぇこと言ったよな……。 なのに、俺の分まで……こんなに、ボロボロになって……) |
ケンタッキー | ……あー、ったく……! |
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