第21話:スプリングフィールドの望み

スプリングフィールドの案内で市場にやってきた一同は、
リンゴを売っている店の店主に経緯をかいつまんで話し、
誠心誠意謝罪した。

ケンタッキー今回は迷惑をかけて、
本当にすみませんっした!
スプリングフィールドす、すみません、でした……!
ペンシルヴァニア本当に、すまなかった……。
買い物の仕方を教えていなかった俺に、非がある。
マイケルいや、それを言うなら俺の落ち度だ。
ご店主、本当に申し訳ない……!
店主もういいよ。
さっきからペコペコと何度も頭を下げられて、
こっちが申し訳ない気分になってきたからな。
店主ちゃんと代金は払ってもらったし、
その子……買い物の仕方も知らねぇような、ワケアリなんだろ。
そんな子を問答無用で警察に突き出しちゃ、気分が悪いよ。
ジョージおっちゃん……本っ当にありがとう!
主人公【温情に、心から感謝します】
店主どういたしまして。
追加の買い物があれば、さらに気をよくするぜ?
ペンシルヴァニアああ……それならちょうど、欲しいものがある。
もう1つ、リンゴを売ってもらえないだろうか。
店主もちろん、大歓迎だ。
好きなヤツを選びな。
ペンシルヴァニアありがとう。

ペンシルヴァニアは代金を払って、
リンゴを追加で1つ買った。

ペンシルヴァニアスプリングフィールド。これは、お前のだ。
スプリングフィールドえ……? 僕、に……?
ケンタッキーなにびっくりしてんだよ。
お前が1番美味しいと思うモンがリンゴなんだろ?
なら、一緒に食おうぜ。
ケンタッキー美味いモンをみんなで食うと、もーっと美味いんだぞ。
店主いいこと言うな、派手な兄ちゃん。
おまけに、ウチのリンゴは絶品だぜ。
丸かじりが特に最高だ!
主人公【ほら、食べよう】
【いただきます!】
ジョージオレも、いただきまーす!
ジョージん〜!
シャリシャリで甘くていい感じに酸っぱくて、うま〜!
ケンタッキーほんとだ、うめぇな、コレ!
腹減ってたし、染み渡るぜ……!
ペンシルヴァニアうん……いいリンゴだ。
夏の草原をなでる風を思い出す……。
スプリングフィールド…………。
主人公【スプリングフィールドも食べよう】
【ガブッと齧りついてみて】
スプリングフィールドは、はい……。

そっと一口リンゴを齧ったスプリングフィールドは、
そこから、ニ口、三口と次々に口にしていく。

スプリングフィールド……、……。
ジョージどうだ? ウマイだろ!?
スプリングフィールド……はい。
スプリングフィールド……う、う……っ。

スプリングフィールドは俯くと、静かに肩を震わせた。
目からはポロポロと涙がこぼれている。

ケンタッキーちょ……!?
なんで泣くんだよ!?
スプリングフィールドうぅ……だって、おいしい……。
とっても、美味しくて……。
ジョージええ! ウマすぎて泣いてるのか!?
スプリングフィールドひっく……すみません……っ!
ケンタッキー……っあはははっ!
美味くて謝りながら泣くって、どんだけ器用なんだっつーの!
ペンシルヴァニアほら、涙が口に入ると、しょっぱいぞ。
これで拭いてやる。
ケンタッキーよーし、もっとどんどん食え!
リンゴはこれから毎日食ったっていいんだから! な!
スプリングフィールドうっ……ひっく……。
スプリングフィールド……僕は……。
スプリングフィールドぼ、僕は……盗む、こと、しか……、
最初の、マスターに……教えて、もらわなかった……ん、です。
ペンシルヴァニア………………。
スプリングフィールドそう、しないと……、食べる、ものが……なくて……。
動けないと……マスターの、役、に、立て……なくて……。
ケンタッキースプリングフィールド……。
スプリングフィールド僕は……皆さんの役に……立ちたかった……。
でも結局、迷惑をかけてしまって……。
スプリングフィールド……ペンシルヴァニアさん、マスター……。
僕に、自由にしていい……と、
言って、くれました……よね?
ペンシルヴァニア……ああ、言ったな。
スプリングフィールドやりたいこと……を、やれって。
それが、自由だって……。なら、やりたくないことを、
やらないのも、自由……ですか?
ペンシルヴァニアああ。何か、おまえなりの自由は見つかったか……?
スプリングフィールド僕、は───……。
スプリングフィールド……皆さん……と、
一緒に、いたく……あり、ません。
ケンタッキーなっ……!?
どういうことだよ……っ!?
スプリングフィールド僕は……皆さんとは、違いすぎるんです……。
だから……一緒に、いることが……つらい……。
ジョージスプリングフィールド……。

第22話:或る貴銃士の回想

スプリングフィールド(……薄暗い、天井……朽ちた壁……
……足の折れた椅子……)
スプリングフィールド(……ここは、一体……?)
スプリングフィールド……?
???……おい。何黙ってんだぁ。
俺ぁテメェのご主人様だぞ!?

それが、スプリングフィールドが初めて出会った
人間の第一声だった。
そして、その人間こそが───……。

???おい。チャンスはあと1回だけだ。
───俺は、お前のなんだ?
スプリングフィールドマ、マスター……?

貴銃士になったスプリングフィールドに与えられたのは、
罵倒と暴力、そして飢えだけだった。

スプリングフィールド……!
ご、ごめんなさい……!
マスターの男はぁ? 「ごめんなさい」 だぁ?
そうじゃねぇだろ!

男の足が、スプリングフィールドの
頭を、腹を、腕を、幾度となく蹴り上げる。

マスターの男てめぇは俺に使われる銃なんだぞ?
もっと相応しい謝り方があるだろうが!
スプリングフィールドも、申し訳……ございませ、ん……!
マスターの男……フン。
最初からそうやってりゃいいんだよ。
スプリングフィールド(この人が、僕のマスター……)

マスターの男るせぇなぁ!
銃ごときが腹鳴らしてんじゃねぇよ!
スプリングフィールド申し訳、ございません!

スプリングフィールドが空腹を訴えると、
男は決まって激怒し、酒瓶を投げつけてきた。

マスターの男俺、前に教えたよなぁ?
自分の餌はどうすればいいかってよぉ。
スプリングフィールドはい。
自分の餌は、自分で見つけてきます。

スプリングフィールド……何か……食べられるものを……。

スプリングフィールドは、空腹でふらつきながら
路地裏のゴミ置き場をさまよい続けた。
それが、生き延びる唯一の方法だった。


空腹と暴力は日に日に増していき、
スプリングフィールドの心身をむしばんでいった。

マスターの男くそっ……この、疫病神が……!
マスターの男てめぇが来てから……
こんな、わけのわからねぇ傷がどんどん広がって……!
なぁ! てめぇのせいなんだろ!?
マスターの男なんだ、その反抗的な目はぁ!
所有物が持ち主様に反抗してんじゃねぇ!

薔薇の傷にむしばまれた男は、
よりいっそうスプリングフィールドに当たるようになっていた。

スプリングフィールドへの暴力は、来る日も来る日も続き……
抵抗する気力も体力も、何ひとつ残らなかった。


ジョージそんな……。
ケンタッキークソ野郎、許せねぇ……!
ただ痛めつけるだけなら、
なんで貴銃士なんか呼び覚ましたんだっての!
スプリングフィールドでも……僕が悪かったのは、事実……です。
僕が、いるだけで……マスターを、傷つける。
ペンシルヴァニアスプリングフィールド……それは、違うと思う。
スプリングフィールド前に……ケンタッキーさんが言っていたみたい、に……。
逃げたり、言い返したり……
できたらよかった、のかも、しれません……。
スプリングフィールドでも……僕、言われるまで……
そういうこと、考えたことも、なくて……。
ケンタッキー……っ!
ケンタッキー……ごめんっ!
ケンタッキーあん時は───ぽっと出のお前ばっかり……って、
ムカついて、八つ当たりした部分もあって……。
本当に、ごめん。
ケンタッキー……だから……。
あー、その……よかったら、仲間になるか? 俺と……。
スプリングフィールド仲間……。
スプリングフィールド僕は……なんの役にも、立てないから……。
みなさんと僕は……違いすぎ、ます。
だから……一緒にいられません。
ケンタッキー……おい、スプリングフィールド。
スプリングフィールドは、い……。

無言でスプリングフィールドに近づいたケンタッキーは、
そのままぎゅっと強く、細い身体を抱き締めた。

スプリングフィールドえ、っと……あの……?
ケンタッキー……どうだ。温かくないか?
スプリングフィールド……?
ケンタッキーどうなんだよ、スプリングフィールド。
スプリングフィールドあ……あったかい、です……。
ケンタッキー……だろ?
ケンタッキー温かいのは、生きてるって証だ。
この温かさがなくなる時は、死んじまう時なんだ。
ケンタッキー俺たちは、銃で……本当は、冷たいものだけど。
今はこうして、貴銃士として……
人と同じように、生きてる熱を持ってる。
ケンタッキーだけど……ひとりぼっちで、
なんにも考えなくて、ただの武器になっちまったら、
俺たちは……また冷たくなるのかもしれない。
ケンタッキーだから……俺たちは、一緒にいなきゃいけねぇ。
そうやって、貴銃士は生きていくもんなんだ。
……たぶん、だけど。
ケンタッキー俺には、お前やペンシルヴァニアが必要だし、
お前にも、俺やペンシルヴァニアが必要だ。
一緒にいない方がいいなんて、そんなことねぇよ……!
ペンシルヴァニア……なぁ、スプリングフィールド。
あの日、お前が俺に言ったことは……
きっと、本心だったと思っている。
スプリングフィールドあの、日……。
ペンシルヴァニアお前は、アウトレイジャーになって理性を失いかけながら、
必死に抗って……俺に言っただろう?
ペンシルヴァニア───助けて、って。
ペンシルヴァニアだから……俺は、どこまでもお前を助ける。
お前が何をしたいかわからないなら、共に考える。
ペンシルヴァニア俺たちといることが“嫌”なんじゃなくて、
“怖い”なら、怯えなくて済むようになるまで、そばにいる。
ペンシルヴァニア……そうやって、助ける。
ずっとだ。

第23話:共に歩む道

スプリングフィールド……っ!
どう、して……?
スプリングフィールドどうして、ここまで……僕に、よくしてくださるんですか……?
みなさん、どうして……?
僕……傷つけることしか、できないのに……!
ジョージそんなの、決まってるだろー?
みんな、スプリングのことが大切だからだよ!
ジョージだって、自分じゃなくて誰かのためだけに、
買い物の仕方わかんないままリンゴを持ってくるなんて、
そんな優しくておもしれぇヤツ、なかなかいないぞ!
ケンタッキーそれは間違いねぇな。
ジョージだろー? HAHAHA✩
スプリングフィールドケンタッキーさん……ジョージ、さん……。
ケンタッキー……っつーか、ペンシルヴァニア。
お前、こいつとちゃんと話してたのかよ。
ペンシルヴァニア話……。
ケンタッキー一緒にいていいとか、
んな当たり前のこと言われてメソメソするくらい、
色々伝わってなかったみてぇだけど?
ケンタッキースプリングの事情も、
よく知らなかったみたいだしよ。
ペンシルヴァニアそうだな……。
スプリングが話さなかったから。
無理に聞くこともないかと思って。
ケンタッキーおま……っ、それもそうだけど!
自分から言いづれぇことだってあるんだし、
ちょっとは察して聞き出すとかしてみろよ……!
ケンタッキーお前はいっつも自分の頭ん中で勝手に考えて、
口には出さないまま勝手に行動すんのがダメなんだよ!
あの時も、勝手に出て行くしよ!
ペンシルヴァニア……すまない。
ケンタッキーごめんで済むか!
もっと反省しろっての、バーカ!
ペンシルヴァニア本当に……すまなかった、ケンタッキー。
それに、スプリングフィールド……!
ペンシルヴァニアどうか、許してくれ……。

そう言うなり、ペンシルヴァニアは、
ケンタッキーとスプリングフィールドを
まとめて抱きしめる。

ケンタッキーうぎゃあっ!
何しやがる! 離せ!
ペンシルヴァニア本当にすまなかった……2人とも。
スプリングフィールドあ、あの……いいんです……。
ジョージヘイヘイ! オレも仲間に入れろよな!
ケンタッキーぐぇっ! つぶれる〜っ!!

ジョージも3人の輪に加わり、
カエルが鳴くようなケンタッキーの叫び声が響いた。


ジョージ…………。
なぁ、スプリング。
スプリングフィールド……はい?
ジョージおまえがさっき言ってたこと……
マークスも、似たようなことでよく悩んでるよ。
ジョージ絶対非道を使って戦うと、マスターの傷を広げちまう。
だけど、アウトレイジャーと戦って、
マスターを守るためには、絶対非道の力を使うしかない……。
ジョージ絶対高貴を使って戦えて、
マスターの傷を癒せるオレが、羨ましい───って。
ジョージでもさ。マークスとかライク・ツーとか、スプリングとか。
現代銃がいないと、〇〇の傷は、
そのうち綺麗さっぱり消える。
ジョージそうしたら、オレたち貴銃士も、みーんな消える。
その時にまだ敵が残ってるなら……
〇〇を守れないし、みんなを助けられない。
ジョージだから……古銃と現代銃、両方の貴銃士が、
力を合わせて一緒に歩んでいくんだ!
ジョージどっちか片方だけじゃ、だめなんだよ。
マスターを傷つけちまう現代銃のみんなにとっては、
つらいことだけど……。
主人公【スプリングフィールドの力も必要なんだ】
【皆といるために、力を貸してほしい】
スプリングフィールド僕の、力も……必要……?
ほ、んとう、に……?
ジョージああ! 本当だ!
ケンタッキー……それだ!
主人公【……!?】
マイケルど、どうしたんだ、ケンタッキー……?
いきなり大きい声を出すからびっくりしたぞ……。
ケンタッキーそれなら、スプリングフィールドが必要だって、
バシッと説明できる!

 

第24話:帰還

〇〇たちは、スプリングフィールドと一緒に、
ワシントンD.C.へ帰還した。

見張りの目を避けて進んでいた時───
不意に、茂みが揺れて、一行に緊張が走る。

マークス……これは、マスターの気配……!
マークスマスター!
ジョージWow! マークスか〜!
びっくりさせんなって!
マークスマスター……!
無事だな!? 怪我はないな!?
ああ、よかった……!
ジョージオレのことは無視かよっ!
主人公【マークスたちも大丈夫?】
【教官たちは……?】
マークスああ、俺たちの方は問題なかった。
恭遠とラッセルは、何事もないふりをして働いてる。
マスターとジョージは風邪で寝込んでいることにした。
マークス……すまない、マスター。
俺もすぐに合流したかったんだが、
怪しまれて尾行される可能性があると、恭遠に言われて……。
マークス全員でここにいるってことは……?
主人公【作戦は成功したよ】
【2人が絶対高貴に目覚めた】
マークスそうか……!
さすがはマスターだ!
マイケルピンチもあったけれど、ペンシルヴァニアとケンタッキーが
絶対高貴で俺たちを守ってくれたんだ。
マークス……そうだったのか!?
く……っ、マスターの危機にそばにいられなくてすまなかった!
マークスおい、ペンシルヴァニア、ケンタッキー。
俺のマスターを守ってくれたこと……感謝する。
ペンシルヴァニア〇〇は、俺たちを危険を冒して守ってくれた……。
俺たちが守るのも……当然のことだ。
ケンタッキーっつーか、今は“お前の”マスターじゃなくて、
俺たちのマスターでもあるんだけど?
マークスふん。俺はマスターの相棒だからな!
ケンタッキーはぁ……?
マイケルこらこら、マスターを同じくするスナイパー同士、
仲良くするんだぞ?
マイケル楽しい言い合いはあとにして……
まずは、大統領のところに、話をつけにいこう。
スプリングフィールド……っ。
ペンシルヴァニア大丈夫だ、スプリングフィールド。
みんながついていて……星の導きもある。
絶対に、大丈夫だ。
主人公【どんな手を使っても説得するから】
【スプリングフィールドを壊させたりしない】
スプリングフィールドマスター……ペンシルヴァニアさん……。
ペンシルヴァニア常に己の恐れるところを成せ、だ。
前に進もう。
何があっても……俺たちが必ず助ける。
スプリングフィールドは、はい……!
ケンタッキーよっし、んじゃ、行こうぜ!
ジョージLet’s Go〜!

第25話:Show Time!

一行は、マークスの案内で警備の目をかいくぐって、
大統領の執務室の前まで慎重に進んでいく。

マークス───あそこが、大統領がいる部屋だ。
スプリングフィールド……いよいよ、なんですね……。
ケンタッキーなんだよ、緊張してんのか?
スプリングフィールドだ、だって……。
彼は、ペンシルヴァニアさんやケンタッキーさんのことも、
破壊するように命令していますから……。
ケンタッキーここにきて、俺たちの心配かよ!
ケンタッキー……なぁ、スプリングフィールド。
いや、長ぇしよそよそしいな。スーちんとかでいいか?
スプリングフィールドえっ……?
ケンタッキーニックネーム……愛称ってやつだよ。
俺のことも、“さん”とかいらねぇから。
スプリングフィールドは、はい……。ケンタッ、キー……。
ケンタッキーんで、スーちんってどうよ?
スプリングフィールドす、スーちん……? ……??
ケンタッキーしっくりこねーか?
うーん、じゃあ、スッピー?
スプリングフィールドス、スッピー……。
マイケルHAHA、なんだか、小さい頃に飼っていた
熱帯魚のことを思い出す響きだな。
ケンタッキー熱帯魚はちょっとあれっすね。
んじゃ、スーちゃんでどうだ!
スプリングフィールドスー……ちゃん……。
ペンシルヴァニアどうだ? 嫌なら嫌だって言うんだぞ。
ケンタッキーおい、案出しもしねぇで口挟むなっての!
んで、どうなんだよ、“スーちゃん”は。
スプリングフィールドちょっと、慣れないけど……。
でも……嫌じゃありません。
ケンタッキーよーし、んじゃあ決まり!
俺のことも、タッキーとか、ケンケンとか、
なんかいい感じのニックネームあったらそれでいいぜ。
スプリングフィールドケンケン……!?
えっと、それは、大丈夫……。
ケンタッキーははっ!
スーちゃん、少しは自分の意見言えるようになってきたな!
ペンシルヴァニア緊張も……ほぐれたか?
スプリングフィールドあ……、本当だ。
確かに、少し……気持ちが楽になりました……。
ペンシルヴァニアきっと大丈夫だ、スプリング。
お前には、俺たちがついている。
スプリングフィールド……はい。
ケンタッキーよし、行こうぜ!

ケンタッキーがスプリングフィールドの手をぎゅっと握る。
ペンシルヴァニアが反対の手を握り、3人は扉の前に立った。


ケンタッキー邪魔するぜ!
大統領キミたち……!
ラッセルなっ、〇〇君!?
恭遠ああ、無事だったか……!
ジュディス───衛兵!

ジュディスの声に応じて、
隣室に控えていた護衛の兵士たちが部屋へ駆け込んでくる。

主人公【待ってください!】
【話を聞いてください!】
ペンシルヴァニア俺たちを破壊するかどうかは……
話を聞いてから、検討しなおしてくれないか。
ケンタッキーおい、ぐだぐだ喋るより、
見せてやった方がいいんじゃねぇの?
ペンシルヴァニアそれもそうか。
それじゃあ───。
ケンタッキー&ペンシルヴァニア───絶対高貴!

ペンシルヴァニアとケンタッキーの身体が、金色の光に包まれる。
幻想的にすら見えるその光景に、大統領とジュディス、
そして兵士たちも目をみはり、銃を下ろした。

大統領おお……!
なんと……ついに、アメリカの貴銃士が絶対高貴に……!
ジュディスこれが、奇跡の光……。
ペンシルヴァニア時間はかかってしまったが……
見ての通り、俺たちは絶対高貴に目覚めることができた。
これで……破壊する理由はなくなっただろうか。
ケンタッキー俺たちが絶対高貴になれた分、スーちゃんの力も必要っす!
じゃねーと、マスターの薔薇の傷が消えちまう……
俺たち3人は、誰かが欠けたらダメなんだ!
スプリングフィールドケンタッキー……。
主人公【スプリングフィールドも心配ありません】
【3人の破壊命令を撤回してください!】
恭遠大統領、私からも改めてお願いします。
士官学校には、マークスをはじめとして、
〇〇君が召銃した現代銃の貴銃士も多くいます。
恭遠しかし、彼らはこれまで
アウトレイジャー化の兆しすら見せたことがありません。
現代銃だからと、スプリングフィールドを破壊するのは早計です。
大統領…………。

瞼を下ろし、沈黙した大統領は───
やがてゆっくりと目を開け、兵士たちへ鋭い視線を向ける。

大統領……
ラッセルな……!

兵士たちは一斉に銃を構え、
スプリングフィールドへと狙いを定めた。

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