第26話:生きる理由

無表情の兵士たちから数多の銃口を向けられ、
スプリングフィールドは身をすくめる。

スプリングフィールド……っ!
ケンタッキーおい、何してんだよ!
まだ俺たちを壊す気なのか!?
大統領いや……ペンシルヴァニア、ケンタッキー。
キミたちを破壊するという決定は取り下げよう。
絶対高貴に目覚めた貴銃士は、アメリカに必要不可欠な存在だ。
大統領だが……スプリングフィールドについては、
決定を覆すには足りない。
大統領アウトレイジャー化する可能性のある貴銃士の存在を、
政府としては認めるわけにはいかないよ。
スプリングフィールド……ぼ、僕は……!

元マスターくそっ……この、疫病神が……!

スプリングフィールド(僕は……どこに行っても、駄目なんだ。
最初のマスターが言っていたみたいに、疫病神で……)
主人公【スプリングフィールドは自分の貴銃士です!】
【破壊すると言うなら、自分も撃てばいい!】
スプリングフィールドえっ……!
マスター……そんなことしたら、ダメ、です……!

〇〇は、うろたえるスプリングフィールドの腕を
しっかりと掴み、絶対に離さないと視線で訴えかける。

ペンシルヴァニアスプリングフィールドを害すれば……
俺たちは、アメリカ政府には従わない。
それが不満なら……俺たちも撃つか?
ケンタッキーその覚悟がねぇなら、さっさと銃を下ろせ!
スプリングフィールドペンシルヴァニアさん、ケンタッキー……。
マークス……おい、てめぇら。いつまでマスターに銃向けてんだよ。
俺は、マスターのためならなんだって消してやる。
大統領だろうがなんだろうが、関係ない。
ジョージオレも……〇〇やみんなが撃たれるのを、
黙って見とくわけにはいかないな。
悪いけど……痛い目見る覚悟してくれよ!
大統領……覚悟、か。
そんなものもなく、貴銃士に銃を向けているとでも?
ケンタッキー……っ!
おい、本気なのかよ……!
大統領アメリカという巨大な国をまとめ、リードしていくには、
情に流されず、時に厳しい決断をしていく必要がある。
……ああ、 そうとも。私はこの上なく本気さ。
大統領……スプリングフィールド。
キミはここに来てから、私に何も訴えないが……
何か言うべきことはあるかな。
スプリングフィールド僕、は……。
ケンタッキー……っ、おい、スーちゃん!

スプリングフィールドは、
自分を庇うように立つ面々の手をそっと離して前に出る。
そして、大統領と対峙した。

スプリングフィールド破壊するなら……僕だけに、してください。
ケンタッキー何言ってんだよ!
スプリングフィールドケンタッキー……もう、いいんだよ。
スプリングフィールド大統領……僕は、みんなが僕によくしてくれる理由が、
ずっと、わかりませんでした……。
なんで、僕なんかを気にかけてくれるんだろう、って……。
スプリングフィールドでも……ケンタッキーが言ってくれたことが、
さっき、手を繋いだ時……ちゃんとわかった気がしたんだ。
スプリングフィールド2人の手……すごく、あったかかった。
僕の手も、同じように……2人に温かさを伝えられたなら……。
スプリングフィールド僕は、短い間でも、ちゃんと貴銃士として生きていた。
僕にも、少しは……生きた理由があった。
それが、わかったんだ。
スプリングフィールドだから……もう、十分すぎるくらいなんです。
スプリングフィールドマスター、マイケルさん……。
僕を、貴銃士にして……大切にしてくれて、
ありがとうございました。
スプリングフィールドペンシルヴァニアさん、ケンタッキー、ジョージさん……
僕に、ぬくもりや……いろんなことを教えてくれて、
ありがとうございました。
スプリングフィールド大統領……兵士のみなさん……。
壊すなら、僕だけにしてください。
マスターやみんな───僕の仲間を、絶対に傷つけないで……。
大統領───いいだろう。
ケンタッキーんなこと言われて、スーちゃんが傷つけられるのを
黙って見てられるわけねーだろ!!
ペンシルヴァニア……ああ!
ジョージおう!

3人がスプリングフィールドを庇おうと、手を伸ばす。
それと同時に、大統領が衛兵に合図を出し───

スプリングフィールド───ッ!!
ジョージ……?
ケンタッキーあ……れ? 空砲……?
ジュディスハーイ、カット!
マークスは……?
大統領どうだい? しっかり撮れたかな☆
兵士1はい! アングルも完璧かと!
ジョージヘっ……? アングル……?
ラッセルあの……?
ケンタッキーえ、っと……?
大統領おっと、すまない!
もう終わったから、みんな楽にしてくれ。
主人公【楽にしてくれと言われても……】
【一体何が起きているんでしょうか……?】
大統領そうだね、一言で表すなら……
一芝居打たせてもらったのさ☆
恭遠し、芝居と言うと……一体どこから……?
大統領3挺の破壊命令を下したところかな。
いやぁ、Mr.グランバードとMr.ブルースマイルも、
奮闘していたね!
ラッセルなっ、わ、私の動きを、ご存じで……。
大統領HAHAHA! もちろんさ!
悪いけど、君たちが逃げている間のことは、
全部スパイからのカメラ映像で見ていたよ!
ラッセル……ッ!!
ジョージうわ、ラッセルが倒れた!
ジュディスWow! 医務室に運んで差し上げてくださーい!
兵士たちはっ!
主人公【3挺の破壊命令は嘘だったんですか?】
【なぜこんなことを……?】
大統領いや……破壊命令自体は、嘘ではない。
だけど、私には、彼らを破壊するつもりはなかった。
大統領ペンシルヴァニア、ケンタッキー。
キミたちがアメリカを思う心は、よく知っていたし、
スプリングフィールドも、市民とマイケルを守ろうとしていた。
大統領それが、なぜアウトレイジャー化してしまったのか……。
なんらかの理由やメカニズムはあるにしても、
あれがキミたちの意思であるはずはない。そう思ったんだ。

第27話:大統領の賭け

大統領アウトレイジャー化に、キミたちの意思ではない、
何か別の力が大きく働いている……。
私はそう信じた。
ジョージ…………。
大統領だが、だからといって、
私と同じように信じてくれと叫ぶだけでは話にならない。
政治の世界というのは一筋縄ではいかないものだからね。
大統領キミたちを破壊するべき、という意見を
強硬に無視することはできなかった……。
大統領キミたちを強くかばったところで、
また何か起きるように仕向けられて、
今度こそ市民に取り返しのつかない被害が出たら───。
大統領私は大統領の座から引きずり降ろされ、
貴銃士たちも、原因究明を待たずに破壊されてしまうだろう。
そして二度と、アメリカには貴銃士が誕生しないかもしれない。
大統領そういった事態を避けるために───
ペンシルヴァニアとケンタッキー、キミたちに、
どうしても絶対高貴に目覚めてほしかったんだ。
大統領だから、〇〇君に賭けて……
3挺を持ち出す隙を作り、しばらく頑張ってもらうことにした。
大統領キミが召銃した貴銃士は、既に何挺も絶対高貴に目覚めている。
そして、アウトレイジャー化した貴銃士もいない。
これは何か、キミの方にも秘訣がありそうだったしね。
大統領しかし……いやぁ、
まさかこれほどの短期間で見事成し遂げてくれるとは!
仲間を思うキミたちの心が、崇高だったということかな☆
ケンタッキー事情は……まぁ、一応わかったっすけど!
だからって、スーちゃんだけ壊す!
みたいなこと言う必要はなくねーっすか!?
ジュディスノンノン!
あれも、必要だったからなんでーす。
ジュディスMr.Presidentに敵対する勢力すらも納得させるには、
スプリングフィールドが安全だと
わかりやすく示さなくてはいけませんから……。
大統領自分の身に危険が及んでも、
絶対非道で兵士たちを傷つけることなく、
ただ仲間の身を案じるYouの姿は、強い説得力になるだろう。
大統領とはいえ……傷つけるようなことを言ってすまなかった。
スプリングフィールド。
大統領Youが、突然公園に現れたアウトレイジャーから市民を守ろうと
必死で戦ったことは、目撃者の証言でわかっているよ。
……ありがとう。
スプリングフィールドあ……、僕は……。
ペンシルヴァニアこういう時は……どういたしまして、と言えばいい。
スプリングフィールドどう、いたしまし、て……。
大統領Great!
さて。キミ自身が行動で示してくれたことで、
破壊を求めていた勢力も抑え込めるだろう。しかし……。
ケンタッキーえ……、なんっすか? まだ問題が?
大統領うーん。世界的に依然、現代銃に対する風当たりは強いからね。
スプリングフィールドの存在はまだ公になっていないけれど、
公表すると、また足を引っ張ろうとする勢力が出てきかねない。
大統領もちろん、キミ自身を見てもらえれば、
そういう声をなくしていくことも可能だろうけれど……。
大統領なにせ、アメリカは大きな国だから……
時間も労力も相当にかかるし、辛い思いをすることもあるだろう。
そんな負担を、キミに強いるのは心苦しい。
大統領だから私は、スプリングフィールドを、
アメリカ政府管轄の貴銃士にしない方がいいと思っているんだ。
主人公【スプリングをどうするつもりですか?】
【ということは……?】
大統領よくぞ聞いてくれた!
そこで、Youの出番というわけさ、〇〇!
大統領スプリングフィールドは、アメリカへ旅行にやって来たキミが、
色々とあって召銃した貴銃士ということにする、
というのはどうだい?
大統領アメリカ政府とは無関係な貴銃士だから、
キミがどこで何をして過ごそうと自由だ。
政治の面倒なあれこれに巻き込まれる必要なんてない。
主人公【名案です!】
→ジョージ「HAHAHA☆
さすが、〇〇は決断が早いな〜!」

ジョージ「スプリングも、いいよなっ!
オレ、おまえが士官学校に来てくれたらスッゲー嬉しい!」

スプリングフィールド「は、はい……!」

【それでいいかな、スプリングフィールド】

→スプリングフィールド「僕は、はい……。
マスターや、皆さんさえよろしければ……
お世話になっても、ご迷惑でないでしょうか。」

恭遠「迷惑なんかじゃないぞ、スプリングフィールド。
俺は、大歓迎だ。」

ジョージ「オレもオレも!すっげー嬉しいぜ☆」
大統領……ということで、決まりだね!
ふぅ、なんとか丸く収まりそうでよかったよ。
大統領かのMr.グランバードに、
世界連合軍で今や注目度No.1の〇〇君……
キミたちとHeartfulなつながりを持てたことも心強い!
大統領スプリングフィールド……キミは、貴銃士になってから、
アメリカにいい思いを抱いていないかもしれない。
だけど……気が向いたら、いつでも来ておくれ。
ジュディスまたPartyしましょー♪
ケンタッキーへへ、よかったな! スーちゃん!
ほんとに……よかった……っ!
スプリングフィールドケンタッキー……泣いてる……?

泣き笑いのケンタッキーが、
スプリングフィールドを抱きしめる。
その様子を、ペンシルヴァニアが優しく見守っていた。

ペンシルヴァニア……ありがとう、〇〇、マイケル、ジョージ。
それから、恭遠にマークス、ラッセルも……。
ペンシルヴァニア皆が俺たちのことを諦めないでいてくれたから、
この“今”がある。
本当に……ありがとう。

 

第28話:幸せの味

───数日後。

マイケルやあ、ようこそ我が家へ!
待ってたよ、さあ上がって!
主人公【お邪魔します】
【なんだかいい匂いが……!】
マイケルちょうど、ダイアモンド家自慢の
ご馳走が焼き上がったところなんだ。
マイケル肉担当は俺! 母が得意料理を色々作ってくれて、
デザートはフィアンセが担当したんだ。
スプリングの門出を祝う、スペシャルなメニューだぞー!
スプリングフィールドありがとうございます……僕なんかのために……。
ケンタッキースーちゃん、そういうの禁止だって!
俺たちは、スーちゃん“なんか”なんて思ってねぇんだから。
スプリングフィールドうん……。
ありがとうございます、皆さん……。
僕……嬉しい、です。
マイケルYou’re welcome!
マイケルそういえば……スプリングフィールドは、
〇〇たちと一緒に士官学校に行くとして、
ペンシルヴァニアたちはどうするんだ?
ペンシルヴァニア俺たちも……アメリカでの公務の合間に、
士官学校に顔を出すことになっている。
ペンシルヴァニア往復には……少々時間がかかるが。
士官学校も、面白そうだな。
ケンタッキーこいつの放浪癖が、アメリカとフィルクレヴァートとの往復で
少しはおさまりゃいいんっすけどね。
ケンタッキーっつーか、俺はしばらく1人で仕事してたんだしよ、
俺がスーちゃんとマスターと先に士官学校行っとくから、
その間お前1人で公務してみたらいいんじゃねーの?
ペンシルヴァニアあの量を……俺1人でか……。
いや、ケンタッキーにさせてしまったからな……。
ケンタッキー……ったく、冗談だっての。
お前1人置いとくのも不安だし、俺も残ってやるよ。
ケンタッキーそういうわけで、マスター!
俺たちが行くまで、スーちゃんをよろしくっす!
主人公【もちろん!】
【任せて】
ジョージいっぱい楽しいことしような、スプリング!
スプリングフィールドは、はい……!

ジョージふぅ〜! 腹いっぱい!
どれも美味かった〜!
マイケルの母うふふっ、みんな食べっぷりが良くて、
色々作った甲斐があったわ!
マイケルのフィアンセそれじゃあ、最後はデザートね。
スプリングフィールドくんのために、
マイケルにも手伝ってもらって、とっておきのを作ったのよ。

マイケルとそのフィアンセが、キッチンから
こんがりと焼けたパイが乗った大きなお皿を運んでくる。

スプリングフィールドこれは、なんでしょうか……?
主人公【パイみたいだね】
【サクサクした美味しいお菓子だよ】

切り分けられた断面からは、
蜜色の果物がたっぷり覗いている。

ジョージおお、アップルパイだ!
よかったな、スプリング! おまえの好きなリンゴだぞ〜!
スプリングフィールドリンゴ……? これが……?
ケンタッキーあー、そっか! 煮たリンゴは見たことねぇのか。
アップルパイってのは、煮たリンゴをパイ生地で包んで、
サクッと焼いたお菓子なんだ。
ケンタッキーシナモンをかけてみたり、
熱々のにアイスを添えて食べるのも美味いぜ!
マイケルお、アイスを添えるのはNiceだな! 持ってくるよ。

1ピースのアップルパイにバニラアイスを添えて、
マイケルがスプリングフィールドへお皿を差し出す。

主人公【スプリングも食べよう】
【いただきます!】
スプリングフィールドいた、だきます……。

〇〇を真似するようにして、
スプリングフィールドがフォークで一口分のパイとアイスを取り、
そっと口元へ運ぶ。

スプリングフィールド……っ!
ん、んん……!?
スプリングフィールド……おい、しい……!
甘くて、温かくて、冷たくて……わ……!
ケンタッキー……ぷっ!
あははは、スーちゃん!
今の、すげぇいいリアクション!
マイケルまったくだ。……ははは!
アップルパイの広告になれそうな、いい表情だったな!
スプリングフィールドすごく、美味しくて……びっくりして……。
……ふふっ。
ジョージ……わっ!
ケンタッキースーちゃんが……笑った!
スプリングフィールドえ……?
ペンシルヴァニアスプリングのそういう笑顔は、初めて見たな……。
お前が心から笑えるようになれて……俺も、嬉しい。
マイケルスプリングのスマイル記念日だ……!
よーし、乾杯しないとな!
みんな、飲み物を持ってくれ。
マイケルせーのっ、乾杯!
一同乾杯!
ペンシルヴァニアところで……
マイケルは今後、どうするんだ?
マスターの任は終わったわけだが……。
マイケル俺かい?
どうするって、前に戻るだけさ。
ケンタッキー前……?
マイケルおいおい、忘れたのかい? 登山家だよ!
1人の人間として山に向き合って、高みを目指す。
俺のライフワークさ。
ペンシルヴァニア山か……。
森には馴染みがあるが、
獲物が少ない高度までは行ったことがないな。
マイケルいつか一緒に登ろうぜ、ペンシルヴァニア。
次の旅は、友達としてさ。
マイケルケンタッキーも、スプリングも……
俺の貴銃士じゃなくなっても、大事な仲間だ!
マイケルいつでも遊びに来てくれよ。
もちろん、〇〇たちも!
アップルパイ目的でもいいからさ☆
スプリングフィールド……っ、はい……!

第29話:未来への約束

───〇〇たちはアメリカ滞在を終え、
フィルクレヴァート士官学校へ帰還する日を迎えた。

ケンタッキーマスター、ちょっとお邪魔してもいいっすか?
主人公【どうぞ】
【入っていいよ】
ケンタッキー急にすんません!
マスターがイギリスに戻られる前に、
お話ししておきたいなと思って……。
ペンシルヴァニア〇〇……改めて、俺たちから礼を言わせてほしい。
本当に……ありがとう。
ケンタッキーあっ、おい! 俺が言う前に言うなっての!
ケンタッキーマスター……マジのマジで、心の底から、あざっした!!!
主人公【……?】
【何のお礼だろう】
ケンタッキー俺たちが絶対高貴になれたのは、マスターのおかげっす。
ほら、あん時の山小屋で……
俺らなら絶対高貴になれるって、言ってくれましたよね。
ケンタッキー俺、必ず絶対高貴になってやる! って思ってはいたけど、
どんなに頑張ってもなれなくて……
どうすればいいのか、わからなくなりかけてたんだと思います。
ペンシルヴァニア俺も……ケンタッキーに仕事を任せて
アメリカの大地をあちこちへ旅してみても、
絶対高貴への糸口すら掴めずにいた。
ペンシルヴァニア本当に絶対高貴になる力が自分の中にあるのか……
自分のことを、信じきれなくなっていたような気もする。
ケンタッキーけど……マスターは、俺らなら絶対なれる! って、
慰めとか励ましとかじゃなく、心の底から信じてくれたっすよね。
マイケルさんも、ジョージも、俺らを全然疑ってなかった!
ペンシルヴァニアああ……。
危険を冒してでも俺たち3挺を守ろうとしてくれた、
マスター、マイケル、ジョージ、マークス、恭遠、ラッセル……。
ペンシルヴァニアそれに、Mr. Presidentたち。皆の信頼と期待に応えて、
大切な人たちを守る力を得られたことが、本当に嬉しい。
俺たちを信じ、導いてくれて……ありがとう。
主人公【こちらこそありがとう】
【2人のおかげで最良の結果が得られた】
ケンタッキーマスター……恐縮っス!
俺らは、ここでもうちょっと仕事片付けてから行くんで。
ケンタッキーサポってた分ペンシルヴァニアをガンガン働かせて、
なるべく早く士官学校に顔出します!
ケンタッキーなので……ちょっとだけ、
スーちゃんと一緒に待っててください! ッス!
ペンシルヴァニアはは……頑張るよ。
お前も、力を貸してくれると嬉しい。
頼むぞ……ケンタッキー。
ケンタッキー……ふん。どうしてもって言うんなら、
仕方ねーから手ェ貸してやるよ!
マークスマスター、こっちの準備は終わった。
そろそろ出発───
マークスおい、俺のマスターと何を勝手に話している。
ケンタッキーはぁ!? お前だけのマスターじゃねぇし!
マークス俺の! マスターだ!!
スプリングフィールドふ、2人とも……。
ジョージHAHAHA☆ すっげー打ち解けてんじゃん!
ペンシルヴァニアそうだ……〇〇、出発の前にこれを。

賑やかに言い合うマークスとケンタッキーを気にすることなく、
ペンシルヴァニアは〇〇の前へ歩を進めると、
ポケットから小さな何かを取り出した。

主人公【自分に?】
【これは?】
ペンシルヴァニアアメリカ中を旅していた時に狩った、鹿の角で作った笛だ。
いざという時に吹けば……ケンタッキーが駆けつけるだろう。
ケンタッキー俺かよ!
もちろん、マスターがピンチなら駆けつけますけど!
ケンタッキーあ、マスター!
自分からも、プレゼントお渡ししていいっすか!?
ケンタッキーまずはこれ! 定番のカップケーキっす。
カラフルで見た目もイカしてるんっすけど、
味も最高なんで、ぜひ食べてくださいっ!
ジョージWow! 美味そう!
あれ? それ、〇〇も買ってたよな。
ケンタッキーえっ、マジっすか!?
主人公【たぶん、同じ店だ】
ケンタッキーうおお、俺のイチ押しに目を付けるとは、
マスター……さすがっすね!
ケンタッキーんじゃあ、これはどうっすか?
ジャジャン! 馬毛ブラシっす!
ケンタッキーケンタッキー州といえば馬っすからね。
革製品のお手入れにもってこいのいい品なんで、
使ってみてほしいな〜と思いまして!
マークス……それも、マスターが買っていたな。
ケンタッキーええっ!?
じゃ、じゃあこれは……!? ナチュラルマルチバーム!
木、革、人用の3つセットっす!
ケンタッキー基本の成分は同じで、お気に入りのアイテムを磨いたり、
手とか髪のケアに使ったり、色々できる優れものなんっす。
主人公【実は、それも……】
ケンタッキーええええ〜!!
まさかこれも、マスター購入済みっすか!?
知る人ぞ知る、俺の秘密のオキニがっ!
ケンタッキーってか……これって、マスターと俺のセンスが
バッチバチにガッチリ超ハマってるってことっすよね!?
いやぁ、まさかの3連続かぶりとか感激っす……!
マークスくっ……俺だって、マスターと通じ合えている!
マスターの一番の相棒だからな!

いよいよ出発の時間が近づき、
〇〇たちは、ペンシルヴァニアとケンタッキーと、
しばらくの別れの時を迎えようとしていた。

ケンタッキーそれじゃあ……マスター、お気をつけて!
スーちゃん、ちゃんとメシ食って元気でいろよ〜?
スプリングフィールドう、うん……!
ペンシルヴァニア星たちが、〇〇たちの出発を祝福している。
……マスター、ジョージ。
スプリングをよろしくな。
ジョージおう!
主人公【もちろん】
【任せて】
スプリングフィールド2人とも……本当に、ありがとうございました。
士官学校で、お2人のこと……待ってますね。
ケンタッキー&ペンシルヴァニアおう!

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