マチルダ | ……先ほどは失礼した。 私はマチルダ・ジャンセン。 現代銃2挺のマスターで、特別執行官の任についている。 |
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ライク・ツー | 特別執行官? |
マチルダ | 軍属ではなく、臨時の司法機関員として ベルギー国内や、貴銃士を擁さない周辺国においての アウトレイジャー討伐任務に従事しているのでね。 |
ライク・ツー | ふぅん……。 |
ライク・ツー | (ベルギーの立場は微妙らしいし、別個体っていっても 世界帝軍にいたのと同じ種類の貴銃士連れて国内外を動くには、 軍属だといろいろ面倒臭いってところか) |
マチルダ | ファル、お前も自己紹介を。 |
ファル | はじめまして。私はベルギーで作られたアサルトライフル、 KB FALLの貴銃士です。 |
ファル | …………。 |
十手 | ど、どうしたんだい? |
ファル | ……? 何がでしょう。 自己紹介なら終わりましたが。 |
十手 | そうかぁ。なんともあっさりした御仁だなぁ。 多くを語らないのも、また粋というかなんというか。 |
ファル | …………。 |
十手 | おっと。名乗りが遅れたが、俺は十手だ! |
ライク・ツー | 俺は──ライク・ツー。UL85A2の貴銃士。 んで、こっちが俺たちのマスター、〇〇だ。 |
ファル | そうですか。 |
ライク・ツー | 反応薄っ……。 |
マチルダ | 〇〇殿、十手殿。改めて礼を言わせてくれ。 傷の治療をしていただき、感謝する。 |
十手 | なぁに、気にしないでくれ! それに、無理は禁物だぞ。 俺が滞在している間は、つらくなったらいつでも言ってくれよ! |
ファル | いいのですか? そのように軽々しく絶対高貴を使って。 |
十手 | 軽々しくも何も、傷の治療は大事なことだろう? それに、困ったときはお互い様ってやつさ。 |
ファル | ……はぁ。“お優しい”のですねぇ。 |
十手 | ははは、照れるな。 優しいだなんて……。 |
ファル | ……ふふ。 これはこれは、素直な人ですね。 |
無線 | 『──ジャンセン特別執行官。 出動を要請します』 |
マチルダ | 了解。 ……行くぞ、ファル。 |
ファル | ええ。 |
シャルロット | まあ……! せっかくお客様がいらしているのに、また戦いですの? 相変わらず、せわしない人ね。 |
マチルダ | 私は、優雅な首相令嬢殿とは違って、 アウトレイジャー討伐に忙しいのでな。 |
主人公 | 【自分たちも行きましょうか?】 【同行しても構いませんか?】 |
マチルダ | いや、それには及ばない。 あなたたちの力が必要であれば、軍から協力要請があるだろう。 ……それでは、失礼する。 |
マチルダ | …………。 |
主人公 | 【……?】 【(睨まれてる……?)】 |
去り際に、マチルダは〇〇を
じっと睨むように見てから去っていく。
ファルも踵を返して、彼女に続こうとした。
ライク・ツー | …………。 おい、ファル。 |
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ファル | なんでしょう。 |
ライク・ツー | 4大アサルトライフルって大物が、 ボロボロのマスターによく従ってるもんだな。 |
ファル | はぁ……マスターですので。 それでは、これで。 |
ライク・ツー | …………。 |
十手 | ライク・ツー君、マチルダ殿は身を削ってでも 懸命にアウトレイジャー討伐に励んでいたんだよ。 ファル君がそんなマスターをどうこう思うはずないじゃないか。 |
ライク・ツー | はいはい。 |
ライク・ツー | …………。 |
シャルロット | 彼女、ぶっきらぼうでご不快だったでしょう。 ごめんなさいね。 |
シャルロット | あの人は少し荒っぽいところがあるというか……。 ファルを召銃してから、戦いばかりに明け暮れているのです。 |
シャルロット | 軍属でもないというのい、必要以上に戦場に出ていって……。 戦いがよほど性に合っているのかしら。 でも、マスターとして、少しは身なりにも気を使ってほしいわ。 |
ライク・ツー | ……ベルギーにいるもう1人のマスターの貴銃士が まともに戦えるヤツだったら、あいつも身綺麗になるかもな。 |
シャルロット | …………っ! |
カトラリー | ……ねぇ、もういい? 早く天使の演奏を聞きに行こうよ。 |
シャルロット | ええ……そうね、カトラリー。 皆さん、こちらへどうぞ。 |
案内された先には、グランドピアノが置かれた部屋があり、
片目に包帯を巻いた青年が、美しくも物悲しい旋律を奏でていた。
??? | …………♪ |
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ライク・ツー | ……っ! |
カトラリー | さ、邪魔しないようにソファに行こう。 |
〇〇たちは、しばらくの間
ソファに座ってピアノ演奏を鑑賞する。
レクイエムの演奏が終わると、ピアノを弾いていた青年は、
そこで初めて来訪者に気づいたようだった。
??? | おや。観客がいたんだね。 |
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カトラリー | この人たちは、イギリスの士官学校から来たお客様だよ。 ミカエルの演奏を聞いてほしくて案内したんだ。 |
シャルロット | さ、ミカエルさん。 皆さんに自己紹介をお願いしますね。 |
ミカエル | ……? 僕の紹介なら、さっきのレクイエムで済んだと思うのだけれど。 |
カトラリー | ほら、名前とか、銃のこととか。 もう少し教えてあげて。 |
ミカエル | ふむ……僕は、KB MNMの貴銃士。 ミカエルと呼ばれているよ。 |
ミカエル | さて、次の曲のリクエストはあるかな。 |
ライク・ツー | ……なあ、お前も現代銃だろ? ファルはもう行っちまったけど、 お前はここでピアノ弾いてていいのか? |
ミカエル | 僕としては行っても構わないよ。 けれど、僕の指は音色を奏でるためにあるから、 行くことにさほど意味はないのではないかな。 |
十手 | んん……? どういうことだい? |
カトラリー | ミカエルは、戦いに行く時もピアノと一緒なんだよ。 そしたらマチルダが「来るな」ってさ。 |
カトラリー | もったいないよね。 天使の音色を戦場で聴けるなんて、贅沢なのに。 |
ライク・ツー | いや、それなら確かに来ねぇ方がマシだろ。 |
十手 | う、うーむ……適材適所と考えるなら、 ミカエル君はここにいた方がいいのかもしれないね。 |
十手 | しかし、戦いたい気持ちがあるのなら、 何かいいやり方があるといいんだが……。 |
主人公 | 【確かにそうだね】 【鍵盤ハーモニカで我慢してもらうとか】 |
ミカエル | ……ねぇ、きみたち。 |
ミカエルは立ち上がると、
〇〇と十手の前へやってくる。
ミカエル | あのね……ファルのことだけれど。 |
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ミカエル | 彼のことを、誤解しないでほしい。 そして……誤解を解こうともしないでほしいな。 |
十手 | む……? |
ミカエル | 頼んだよ。 |
そう言うとミカエルは、再びピアノの前に座り、
暗いメロディーを奏で始める。
十手 | あの、今のはどういう……? |
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カトラリー | あ! 演奏中は話しかけちゃだめだよ。 ミカエルは、演奏の邪魔をされるのが嫌いなんだ。 |
十手 | あ、ああ……すまない。 |
──コンコン
コーバス | 失礼いたします。 お嬢様、少々よろしいでしょうか。 |
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シャルロット | ええ。 |
執事と何かを話し終えて、
シャルロットが〇〇たちのところへ戻ってくる。
シャルロット | ごめんなさい……急用が入ってしまって、 わたくしは行かなくてはなりませんの。 |
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十手 | 承知した! それなら俺は、さっそくカトラリー君と 絶対高貴の道探しをするよ。 |
シャルロット | ありがとうございます。 カトラリーをよろしくお願いしますね。 |
シャルロット | では皆様、ごきげんよう。 |
カトラリー | ……ねぇ、十手さん。 家庭教師は、天使の演奏が終わってからでもいいよね? |
十手 | ああ。せっかく弾いてくれているのに、 途中で出て行くなんて失礼はしないよ。 |
ライク・ツー | はぁ……。 |
ミカエルの演奏が終わったあと、
十手はカトラリーの家庭教師を始めた。
カトラリー | 絶対高貴! |
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カトラリー | …………。 |
カトラリー | ……はぁ、ダメだ。 |
十手 | 焦らない、焦らない。 絶対高貴になるきっかけは、意外なところにあったりするもんさ。 |
カトラリー | 別に……僕は焦ってないよ。 どっちかっていうと……焦ってるのはマスターの方。 わざわざ家庭教師なんて呼ぶくらいだし。 |
十手 | うーん……シャルロット殿は、 カトラリー君やベルギーのために、なんでもしたいのかもね。 |
十手 | それに、きっと君を信じているんだよ。 何かきっかけさえあれば、絶対高貴に目覚められるってね。 |
カトラリー | …………。 ……そうだね。 |
カトラリー | それより、絶対高貴になるきっかけって……? 十手さんには、そういうのがあったの? |
十手 | ああ。 俺が絶対高貴に目覚めたのは……神社の夢がきっかけだったんだ。 |
カトラリー | ジンジャ? 夢? |
十手 | なんとも摩訶不思議な話なんだが…… 見覚えがあるような神社──日本の教会みたいなものだね。 それを何度も繰り返し夢に見るようになったんだ。 |
十手 | そこで俺は〇〇君と、 絶対高貴を求めて、遥か遠くの日本へと旅立ったんだ! |
ライク・ツー | いや、壮大な冒険風に言ってるけど、 日本から招待が来たからそれに乗じて行っただけだろ。 |
十手 | はっはっは! まあ、そうなんだけどね。 こう、語り口は浪漫がある方が楽しいかなと思って。 |
カトラリー | ……して……。 |
カトラリー | ……を……踏みつけて……たたいたら……。 |
十手 | カトラリー君? 大丈夫かい? なんだかぼーっとしているみたいだったけど。 |
カトラリー | ……別に、なんでもない。 |
カトラリー | ねぇ。もうお昼になるし、食事にしない? 僕が食堂に案内するよ。 |
十手 | あ、ああ。ぜひお願いするよ! |
食堂に到着すると、
カトラリーが使用人に合図をした。
カトラリー | お客さんの分も準備させてあるから、遠慮なくどうぞ。 |
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十手 | かたじけない! 実は、結構お腹が空いててね……助かったよ。 |
給仕 | こちら、アミューズでございます。 左から真鯛のブランダード、バゲット2種、 グジェールとなっております。 |
カトラリー | ふふっ。一流シェフが作るフレンチだよ。 僕、こういう上品で美味しいものしか食べたくないんだ。 |
ライク・ツー | ふーん。 |
十手 | ほほう、ふれんち! 士官学校の食堂とはまた違うなぁ。 しかし……カトラリー君は小食なんだねぇ。 |
カトラリー | え……? どうして? |
十手 | どの料理も品がよくて美味しそうだが、 一口くらいで食べ終わってしまいそうだろう? これっきりで足りるのかと驚いてしまってねぇ。 |
カトラリー | ふ……あははっ、十手さんって面白いことを言うね。 これはアミューズ……もてなし用の一口料理だよ。 |
カトラリー | これから、オードブル、スープ、ポワゾン……って いろんな料理を味わうんだ。 |
カトラリー | もしかして、フルコース食べたいことないの? ふっ……信じらんない。 |
十手 | あ……そうだなあ、士官学校ではなかなか。 じゃあ、遠慮なく……いただきます! |
十手 | むぐ……おおっ、美味しい! 〇〇君、ライク・ツー君、これは美味いねぇ。 |
主人公 | 【本当だね】 【うん、美味しい!】 |
カトラリー | …………。 十手さんの……な口にも合って、よかった。 |
給仕 | オードブルをお持ちしました。 ホタテとエビのジュレ仕立てのサラダでございます。 |
十手 | おお、海鮮か。美味そうだなぁ! |
十手 | ……って、あれ? 匙がいくつもあるな……どれも少しずつ形が違うし……。 |
十手 | (懐石料理みたいなものだとしたら、 きっと作法があるのだろうが……ナイフとフォークも、 こんなにたくさん並んで……うーん……) |
十手 | ダメだ。わ、わからん……。 |
カトラリー | あれ、もしかして食べ方に迷ってるの? なら、簡単に教えてあげる。 並んでるカトラリー類を外側から順番に使っていけばいいよ。 |
カトラリー | あ、フルーツとかデザートとかは、 お皿の上側に並んでるのを使うから。 |
十手 | おお……そうなのか。 ありがとう、カトラリー君! |
前菜を食べ終えた頃、スープが運ばれてくる。
給仕 | セロリアックが香るヴィシソワーズでございます。 |
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十手 | ぽわ……美シソ……? |
カトラリー | ジャガイモの冷製クリームスープだよ。 旬のセロリアックで、香り高く仕上げさせたんだ。 |
十手 | ふむふむ。 旬の食材を取り入れて楽しむのはいいもんだね。 せろりあっく、かぁ……どんな味なのか気になるよ。 |
カトラリー | ……ははっ! ああ……なぁんだ。 |
十手 | え……? どうしたんだい、カトラリー君。 |
カトラリー | いや……だって、十手さんって、 なぁんにも知らないんだもん。 |
カトラリー | 一般的なマナー程度の教養がなくたって 絶対高貴になれるんだって思ったら、肩の力が抜けたっていうか。 僕も大丈夫って思っちゃった。 |
十手 | あ、ああ……! そうさ、カトラリー君は大丈夫だよ。 きっと、絶対高貴になれるさ。 |
カトラリー | だよね。十手さんみたいに、貴銃士っぽくないっていうか……・ 人混みにいてもわからないくらい平凡な感じでも、 ちゃんとああやって力を持ってるんだもんね。 |
カトラリー | 僕は結構目立っちゃうからさ。 これで絶対高貴になれないのはちょっと肩身が狭かったけど、 なんだかとっても元気が出てきたよ。 |
十手 | そ……そうかい。 元気が出たならよかった、のかな。 |
十手 | はは……。 …………。 |
主人公 | 【落ち込む必要なんてないよ】 【十手は立派な貴銃士だ】 |
ライク・ツー | …………。 |
ライク・ツー | ま、いくらメシをお上品に食えたところで、 絶対高貴にはなれねぇみたいだけど。 |
カトラリー | っ……!! |
十手 | ラ、ライク・ツー君……。 カトラリー君はきっと、思ったことを率直に言ったまでで……。 |
ライク・ツー | 俺も思ったことを率直に言っただけ。 |
カトラリー | ……もういいよ。 ほら、次はポワゾンだよ。魚料理。 |
カトラリー | 食べ終わったら、外に出よう。 街を案内してあげる。 |
気まずい空気のまま食事を終えた一行は、
カトラリーの案内で街を歩くことになった。
市民1 | ねぇ、あれって……。 |
---|---|
カトラリー | やあ、こんにちは! |
市民2 | わっ……貴銃士のカトラリー様……!? |
カトラリー | あ、ちょっと……。 |
カトラリーに声を掛けられた男性は、
驚いたのか数歩後ずさりする。
市民2 | あれが、カトラリー様……。 俺はじめて本物見たよ。 |
---|---|
市民3 | 馬車や車は時々見かけるけど…… 街中に普通に出てくることもあるのね。 |
カトラリー | …………。 |
街の人々が集まってくるが、遠巻きに見て囁き合っており、
積極的に話しかけたりする人はいない。
ライク・ツー | へぇ? ずいぶんな人気者だな。 |
---|---|
カトラリー | ……あの人たちはきっと、僕に恐縮しちゃってるんだね。 僕と彼らじゃ立場が違いすぎるから、仕方ないけどさ。 |
カトラリー | ほら、こっちだよ。 見所はたくさんあるから、急いで。 |
カトラリー | あの店はワッフルが有名だよ。 ベルギーワッフルは有名だから、知ってるでしょ? |
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カトラリー | 大昔から食べられていて、フランス語だとゴーフル、 オランダ語ではウェハーとか、いろんな呼び方があるんだ。 でも、昔はぺったんこだったんだって。 |
カトラリー | ビール酵母で発酵させる、ふわふわで風味豊かなワッフルは ベルギーで生まれた美食なんだよ。 |
主人公 | 【それは是非食べてみたい……!】 【物知りなんだ】 |
カトラリー | そう? これくらい知ってて当然でしょ。 |
カトラリー | ベルギーの歴史は紆余曲折の連続なんだ。 フランスやオランダ、ドイツ…… そういう、周囲の国々の一部だったり、小国に分裂してたりでね。 |
カトラリー | だから、“ベルギー”っていう国家の歴史は短いんだけど、 豊かでさまざまな食文化があるわけ。 たとえば、ワッフルとか、ビールとか、チョコレートとかね。 |
十手 | ははぁ……禍福は糾える縄の如しということかな。 |
カトラリー | カフク、ファー、ザナエル……? |
十手 | 禍福(かふく)は、糾(あざな)える縄の如し、だよ。 |
十手 | 幸せと不幸は、より合わさった縄のように表裏一体で、 幸せが不幸に繋がったりも、不幸が幸せの種になったりもする。 ……っていう意味の、有名な故事成語さ。 |
カトラリー | ……ねぇ、僕が言ったことが気に食わないからって、 やり返そうとしてるわけ? |
十手 | ええっ……!? そんなつもりはなかったんだが……。 |
カトラリー | そう? ま、十手さんならそういうことはしないよね。 |
カトラリー | それじゃあ、もう少し街を歩いてみよう。 気になるところがあったら寄ってみてもいいよ。 |
一行は、市街地にある大きな公園へやってきた。
十手 | おお、賑やかだねぇ! 活気があっていいところだ。 屋台や茶屋なんかもたくさんあるみたいだね。 |
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ライク・ツー | さっきフルコース食ったばっかりなのに、 注目すんのはそこかよ。 |
公園では、多くの人たちが屋台の軽食を食べたり、
飲み物を片手に談笑している。
カトラリー | ……あんなお粗末なものを食べて嬉しくなれる庶民って、 ほんと、幸せそうでうらやましいよ。 |
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十手 | ん……? |
十手 | おおおっ!? |
ライク・ツー | なんだよ。 |
十手 | あそこにある店を見てくれ……!! |
主人公 | 【TAI-YAKI……?】 |
カトラリー | ああ、タイヤキね。 最近できたって聞いたかな。人気らしいね。 |
ライク・ツー | 確かに、すげぇ行列だな。 |
十手 | タイヤキの文字、あの絵……! 間違いない、正真正銘、たい焼きだ。 こんなところで出会えるとは……! |
十手 | しかも、ベルギーの人たちにも人気だなんて、 なんだかじーんときてしまうなぁ。 |
子供1 | わぁ~、Fish cakeだ! 僕、ストロベリーカスタードがいい! |
女性1 | 私はバニラクリーム……うーん、マロンも気になるかも! |
男性1 | 俺はチョコレートにチョコチップトッピングだ。 Wチョコレートでリッチな味わいになりそうだろ? |
十手 | …………んんん? |
主人公 | 【どれも美味しそう】 【いろんな味があるんだね】 |
十手 | な、なんと……。思っていたのとは違うが、 郷に入っては郷に従え、所変われば品変わるというやつだね。 この国の人の口に合うように、工夫していると見た。 |
十手 | しかし……俺はやっぱり、あんこが好きだなぁ。 上品な甘さで、大粒のふっくらした粒あんはもちろん、 ほろっと柔らかく解けるこしあんも捨てがたい……! |
カトラリー | 何……? そのアンコってやつ。 そんなに美味しいの……? |
十手 | ああ! 小豆やらを甘く煮たもので、和菓子には欠かせないんだ。 小豆だけじゃなくて、枝豆や白いんげん豆で作る、 緑や白いものもあってね。奥が深いんだよ。 |
十手 | たい焼きと言ったら…… 迷うところだが、やっぱり小豆の粒あんかな! 一口、試しに食べてみないかい? |
カトラリー | え……正気? 甘い豆なんて、信じられないよ。 それに庶民の食べ物をこの僕が? 冗談やめて。 |
ライク・ツー | 俺も、甘いもんはパス。 昼を結構がっつり食ったばっかりだしな。 |
十手 | そ、そうか……。 |
主人公 | 【自分は食べてみたい】 【自分と一緒に行こう】 |
十手 | 〇〇君……! ああ、ぜひ試してみてくれ。 |
〇〇と十手の2人は、
無事あんこ入りのたい焼きを購入して、
ライク・ツーとカトラリーのところへ戻る。
ライク・ツー | 案外早かったな。 |
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十手 | 人は多かったけど、どんどん焼き上がっていたからね。 大将が作るたい焼きの大群……なんてな! ははっ! |
十手 | ……ゴホン。2人をあんまり待たせずに済んでよかったよ。 それじゃあさっそく、いただきます! |
主人公 | 【どこから食べるのがいいんだろう】 【頭か、お腹か、背中か、尻尾か……】 |
十手 | うんうん、どっちから攻めるか悩むのも、たい焼きの醍醐味だね。 俺は……尻尾からいただこうかな。 |
十手 | むむっ……尻尾にもしっかりあんこが入っているぞ。 粒あんも、かなり本格的なものだよ。 美味いなぁ……! |
主人公 | 【こっちも美味しい!】 【サクサクとろーりで最高!】 |
十手 | 〇〇君も気に入ってくれてよかった。 そうだ、カトラリー君── |
カトラリー | …………。 |
十手 | カトラリー君? |
カトラリー | ……あのさ、いい加減にしてくれない? |
カトラリー | さっきから、見てらんないよ。 十手さんって、どうしてそんなにみっともないの? |
十手 | えっ……、何か変なことをしてしまったかな……。 |
カトラリー | まだわからないの? 僕たちは貴銃士なんだよ。 ヒーローで、人々の憧れなの。 |
カトラリー | だから、高貴で、キラキラしてて、 手を触れられない宝物みたいな振る舞いをするべきなのに、 そんな庶民のお菓子にかぶりつくなんて、ありえないよ。 |
カトラリー | 十手さんって…… 別に高貴じゃないのに、なんで絶対高貴になれたわけ? |
十手 | 高貴っていうのは、何も、 高価や高級ってことと同じではなくて、ええっと── |
ライク・ツー | あー……まじでうっぜぇ。 |
カトラリー | ……っ! |
ライク・ツー | おい、カトラリー。てめぇこそいい加減にしろよ。 |
ライク・ツー | こいつらは気持ちよく食ってんだろ。 それに対してネチネチグチグチ言うな。 みっともねぇのはどっちだよ? |
ライク・ツー | 会ったばっかだけど──俺、お前のことマジで嫌いだわ。 |
カトラリー | なっ……! |
十手 | ライク・ツー君……。 |
カトラリー | な……なん、……っ! |
カトラリーの顔が真っ赤になる。
目元には涙が浮かび、握りしめた拳が小刻みに震えていた。
カトラリー | なんなの? この僕に向かって……。 だいたい、お前なんて呼んでないのに勝手に来て……! |
---|---|
十手 | カトラリー君、大丈夫かい? 一度、落ち着いて── |
カトラリー | 落ち着けるか!! |
カトラリー | ……ああ、もう!!! |
カトラリー | 十手はヘラヘラ、おどおどしててムカつくし! 〇〇だってそうだよ、いい人ぶってさ! |
主人公 | 【……!?】 |
カトラリー | 挙げ句の果てに、ライク・ツーは……っ。 僕だって、お前のことなんて嫌いだよ! |
カトラリー | 大っ嫌い!! |
カトラリー | お前らみんな、大っ嫌い!! |
カトラリーは叫ぶなり、走り去ってしまった。
十手 | あ……! |
---|---|
ライク・ツー | おい、追いかけなくていいだろ。 ほっとけ、あんなガキ。 |
主人公 | 【……大丈夫かな】 【泣いていたように見えた】 |
十手 | …………。 実は、カトラリー君もこれなら食べれるかと思って、 ベルギー風のたい焼きも買っていたんだが……。 |
十手 | はは、これは俺たちの夜食かもしれないな。 |
ライク・ツー | 夜食なら、お前ら2人で食えよ。 |
ライク・ツー | ……つーか、〇〇も十手もしけた顔するな。 お前らが悪く言われる筋合いはねぇんだから。 とっとと帰ろうぜ。 |
十手 | ああ、そうだね……。 |
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