ベルギー編:第11話~第15話

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第11話:ミカエルの暴露

──〇〇たちは、貴銃士の屋敷へ戻ってきた。

十手はぁ……。
ライク・ツーだから、しけた顔するなって。
完全に突っかかってきたあっちが悪いだろ。
十手だが、カトラリー君だって、その……。
主人公【何か事情があったのかも】
【ストレスが溜まっていたのかも】
ライク・ツーはぁ……事情があったからって、八つ当たりを許す必要ねぇだろ。
ったく、お前らどこまでお人好しなんだよ。

話しつつ屋敷のエントランスに向かっていた3人は、
どこからかいい香りが漂ってくることに気づいた。

十手む……この匂いは……?
主人公【紅茶のような……?】
【薔薇の香り……?】
ライク・ツー言われてみれば、そうかも。
向こうの庭園から匂ってきてるのか?
十手ふむ……カトラリー君は風情あるものが好きみたいだから、
庭園で気持ちを鎮めているのかもしれないね。
ライク・ツーあいつがそういうガラか?
十手とにかく、ちょっと行ってみないかい?
十手カトラリー君がいればよし。いなかったとしても、
ミカエル君や屋敷の人……誰かがいれば、
カトラリー君と仲直りするコツを聞けるかもしれないし。
ライク・ツーはぁ……お前のお人よしは筋金入りだな。

庭園には、赤い薔薇を中心に、様々な花が咲き誇っていた。
その中で、優雅にお茶を飲む人影がある。

ミカエルおや。帰ったんだね。
ライク・ツー……ミカエルか。
十手いやぁ……見事な庭だね。
ミカエルきみたちも、庭園を見に来たの?
ミカエル美しいだろう。僕のお気に入りの場所だよ。
それに……薔薇の香りを嗅いでいると、
なんだか懐かしい気がしてね。
ミカエル誰か、このかぐわしい香りをまとっていた人を、
僕は知っている気がするんだ。
ミカエル……かつての僕と、何か関係がある人なのかな。
主人公【どういうこと?】
【かつての僕とは……?】
ミカエル……おや、知らなかったの?
ミカエルどうやら僕は以前、
アシュレーというマスターに呼び覚まされていたようでね。
ライク・ツー……っ!!
十手待ってくれ、アシュレーという名前は授業で何度も習ったよ。
それって、圧政を敷いていた……第2代世界帝じゃ……!?
ミカエルうん、そう。
僕はもともと、その世界帝の貴銃士だったそうだよ。
主人公【世界帝軍にいた貴銃士とは別の銃だと聞いた】
【別の個体だと公表されているはず……】
ミカエルおや、そうなの?
???──まったく。
ファル……極秘情報をペラペラと喋らないでください、ミカエルさん。
ライク・ツー今度はお前か。
ミカエルおかえり、ファル。
ファル任務が終わって帰ってきたばかりで、
こんな現場に居合わせるとは思いませんでしたよ。
やれやれ……困った方ですね。
ライク・ツーおい、説明しろ。
こいつが世界帝軍の銃だってのは、本当なのか?
ファル正確には、世界帝軍の銃“だった”……です。
ファル彼はベルギーへの搬送中に、
武装集団に強奪されたそうでして。
ライク・ツー強奪……。
ファル強奪自体は、激しい戦闘の末になんとか阻止できたものの、
その際に、彼の銃は一部が破損してしまったそうですよ。
ファル修繕を施したのが原因なのか、
彼の記憶のほとんどは失われてしまっていると聞いています。
ファルそれで、公には別個体ということになっているんですよ。
まあ、実際のところ……記憶がないのに
まったく同じ貴銃士とは言い難いでしょう。
ファルどのみち彼は戦いませんし、
この屋敷で無害に過ごしている以上、たいした問題ではないかと。
ライク・ツー結果的にそうなったかもしれねぇ。
けど、そもそも、なんであえて世界帝軍にいた銃を召銃した?
ファル機密事項です。
お答えできませんね。
ライク・ツー……チッ。
ミカエル……ね、ファル。
こっちへ来ておくれよ。
ファルはぁ、またあれですか。
ミカエルきみの音は、いつだって聴きたいから。

ミカエルはファルを手招きして呼び寄せると、
その胸元に耳を当てた。

ミカエル……うん。リズムが整っているね。
美しいテンポだ。
ファルそうですか。よかったですね。
ファルおや……目をつけていたつぼみが開花していますね。
期待通りの美しい薔薇です。

ファルは、一輪の薔薇を摘み取った。

十手ファル君は、花が好きなのかい?
ファルいえ、別に。
ファルアウトレイジャー討伐で出払っていることも多く、
部屋には最低限のものしかなくて殺風景なものですから。
彩りに一輪挿しを置いているだけです。
十手へぇ、一輪挿しか。
風流じゃないか。
十手俺は、盆栽をやっていてね。
薔薇のように華やかではないんだが、
身近に緑があると気分が和むんだ。
十手切り花はあまり日持ちしないだろうし……
薔薇の盆栽なんかもできたりしたら──
ファル…………。
十手あれ……。
俺、もしや盆栽のことを熱く語りすぎてしまったかい?
押しつけがましかっただろうか……。
ライク・ツーさあな。

第12話:赤い花の記憶

ライク・ツー(……赤い花……)

???ねぇ、お兄ちゃん。
前から聞きたかったんだけどさ、
なんでここの花壇って、赤い花ばっかりなわけ?
???お、それ気になっちゃう?
正解はぁ~~、アイちんが、赤い花が好きだから!
なんだってさ☆
???へぇ、アインスさんが? ちょっと意外かも……。
でも、シャツとかも赤いし、赤が好きなのかな。
???アイちんのことだからぁ、
「慈悲の血しぶきの色だ」ってことかもよーん?
???んで、アイちんがいないときはファルるんが水やりしてんだって。
フゥ! 優しィ~!
ま、おいらの弟ほどじゃないけど!
???……ウッザ……。

ライク・ツーいや、まさかな……。
シャルロット皆様、こちらにいらしたのですね!
そろそろ我が家に参りましょう。
晩餐は期待してくださいね!
シャルロットただ……わたくしはしばらく、不在がちになってしまいますの。
丁重におもてなしすると言っておきながら、
本当に申し訳ないわ……。
シャルロットもちろん、コーバスや屋敷の者たちに、
ベルギーの素敵なところを案内させますけれど。
十手なあ……シャルロット殿。
ものは相談なんだが、俺たちも明日から
こちらの屋敷に泊まることはできないかな?
シャルロットあら……でも、我が家の方がよろしいのではないかしら。
ここは少し手狭ですし……。
十手家庭教師を請け負ったからには、
カトラリー君と寝食を共にした方がいいと思うんだ。
十手……それに、カトラリー君とはゆっくり話したいしね。
シャルロット……そうですか。
では、皆様の居室をすぐに用意させますね。
日当たりのいい客間がちょうど2部屋ありますの。

──翌日から、〇〇たちは
貴銃士たちが住まう屋敷に滞在することになった。

さっそく、十手はカトラリーに会いに行ったのだが……。

十手やっぱり、ダメだった……。
ライク・ツー朝から辛気くせぇ顔してなんだよ。
十手カトラリー君と話がしたいんだが、
部屋に入れてくれないんだ……。
ライク・ツーだから、放っとけって、あんな奴。
十手いやいや、そんなわけにはいかないよ。
ライク・ツーはぁ……家庭教師の時間になりゃ出てくるだろ。
あっちのマスターの命令なんだし。
十手うーん、それはそうなんだが……。

十手とライク・ツーが話をしていると、
外で車が何台も止まる音がした。

十手軍用車のようだね。
……マチルダ殿がいる。
ライク・ツー兵士も何人かいるな。
慌ただしいが、なんかあったのか……?
主人公【行ってみよう】
【何か手伝えるかも】
十手そうだね。
マチルダ殿の体調も心配だし、行ってみるとしよう。

マチルダ……君たちか。
十手マチルダ殿、傷は大丈夫かい?
マチルダ……ああ、問題ない。
すまない、朝から騒がしかったか。
ライク・ツーいや、別に。それより──
主人公【自分たちも手伝います】
【任務でしたら同行します】
ライク・ツーアウトレイジャー討伐に行くなら、
古銃の貴銃士がいないと長期戦はキツイぞ。
それに、スネた貴銃士のお守りより、任務のほうが重要だしな。
マチルダ……いや、必要ない。
アウトレイジャー討伐は、できる限り私がやるべきことだ。
外部の手は、極力借りたくない。
ライク・ツー……?
ライク・ツー(なんだそれ……わけあり臭ぇ感じだな)
ファル……お待たせしました。
マチルダファル、遅いぞ。
反体制組織のアジトが見つかった。
このまま、現場に急行する。
ファル承知しました。

マチルダとファルは、軍用車に乗り込み、
あっという間にいなくなってしまった。

十手マチルダ殿……。
昨日の様子といい、鬼気迫るものがあるなぁ……。
十手また、無理をしないといいんだが……。

──ミカエルの部屋にて。

カトラリー……行っちゃった。
カトラリーあの人も慌ただしいよね。
ファルのこと、いつも連れ回してさ。
ミカエル…………。
ミカエルこのままではただの兵器になってしまう。
心なき貴銃士は、冷たい銃と何が違う?
ミカエル心をなくして何の音も奏でなくなったら、銃に戻る……。
カトラリー……ミカエル?
カトラリーもう……ミカエルをこんなに心配させてさ。
あいつはワインとチーズのうんちく垂れてるくらいで、
ちょうどいいんだよ。
カトラリーなのに近頃は、ワインもチーズもさっぱりだし……
ぼーっとしてることも多い気がするし……。
ミカエルこのままでは……ファルの音が……。
コーバス──失礼します。
コーバスカトラリー様、少々よろしいでしょうか。
カトラリー……何?

第13話:カトラリーの家庭教師

十手さて、今朝もそろそろ家庭教師の時間だが……。
今日も部屋に入れてくれないかもしれないな……。

カトラリーお前らみんな、大っ嫌い!!

十手はぁぁ……。
十手(高い高い壁が築かれてしまった。
なんであんなに嫌われてしまったのか……。
どうにか、もう少し腹を割って話せるといいんだが……)
十手(しかし、家庭教師として来ていること自体が、
壁の原因になっているかもしれないなぁ……。
コーバス殿とも、あまり上手くいっていないようだし)
十手(誰か親しい人に取り持ってもらうのがいいだろうか。
ミカエル君は……協力してくれるかよくわからないなぁ。
この屋敷にいる人で誰か──んん?)
十手(そういえば……
カトラリー君がこの屋敷の人たちと喋っているところを、
ほとんど見ていないような……?)
十手(指示だとか、必要最低限のやりとりはしていたけれど、
親しく話しているところはまだ見ていないな……)
十手(身の回りにいろいろな憂いの元があって、
それが絶対高貴を阻んでいるとか……?)
十手……うーむ……。
主人公【まずは行ってみよう】
【入れてくれなかったらまた考えよう】
十手ありがとう、〇〇君。

〇〇と十手がカトラリーの部屋に向かっていた時──

カトラリー出て行けよ!!
十手この声は……カトラリー君!?

声が聞こえた方に行くと、
ミカエルの部屋のドアが半開きになっており、
室内ではカトラリーが執事のコーバスと言い争っていた。

カトラリー放っといてよ!
わざわざそんなこと言いに来て……僕のこと見張ってるわけ!?
カトラリーっていうか、絶対高貴、絶対高貴って……もう聞き飽きたし。
言われなくてもわかってるっての!!
コーバスでしたら──
カトラリーああもう、わかってるって言ってるんだから、黙れよ!
あいつの家庭教師を受けてればいいんだろ!
十手……っ!

部屋から飛び出してきたカトラリーが、
〇〇たちの存在に気がついて硬直する。

カトラリーあ……っ。
コーバス〇〇様、十手様……!
大変失礼いたしました。
カトラリー様は少々取り乱しておいででして……。
カトラリーだ、誰のせいだと──!
コーバス……カトラリー様。〇〇様と十手様は、
あなた様のためにシャルロットお嬢様がお招きになった
世界連合軍の大切なお客様であることをお忘れなきよう。
カトラリー…………。
……わ、わかったよ。
カトラリー悪かったね、十手……さん。
行こう。
十手カトラリー君……その、大丈夫かい?
カトラリー何が言いたいわけ? 僕は平気だよ。別に。
十手しかし……。
カトラリー早く始めて、ディナーの前には終わらせよう。
……どうせ、絶対高貴になんてなれないんだしさ。
十手 ……カトラリー君、少し提案なんだが。
しばらくの間、授業の方針を変えてみないかい?
カトラリーえ……?

──2日後。

〇〇とライク・ツーが部屋でトランプをしていると、
十手が家庭教師から帰ってきた。

十手……むぅ。
ライク・ツーおい、どうしたんだよ。
十手…………。
ライク・ツーいや、無視すんなって!
十手はっ、すまんすまん!
少し考え事をしていてね。
ライク・ツーあっそ。で、調子はどうなんだよ?
こっちは毎日暇で暇で仕方ねぇんだけど。
十手ははは、それは申し訳ない……。
十手家庭教師の方は、少しずつ前進している気がするよ。
最初はぎこちなくて、会話もあまり続かなかったんだが、
近頃は少しカトラリー君の素を見せてくれるようになってね。
ライク・ツーへぇ……あの状態からよくやるもんだな。
一体何したんだよ。
十手大したことは何も! じっくり話を聞いたり、
士官学校の授業で習ったことを一緒にやってみたり……。
十手煙玉作りや折り紙なんかもしたね。
そうやって過ごしているうちに、少しずつ打ち解けてきたよ。
ライク・ツーそれ、絶対高貴と関係あんのか……?
十手正直なところ、わからない。
でも、まずは打ち解けて、
信頼してもらうことが大事だと思うんだ。
十手ほら、信頼できない相手から何を言われたって、
まともに取り合おうとはなかなか思えないだろう?
十手だから俺は、家庭教師として呼ばれはしたけれど、
まずはカトラリー君が気を許せる相手……
もっと言うなら、友達になりたいと思うんだ!
ライク・ツーふーん。お前なりに方向は定まってるんだな。
主人公【なら、考え事というのは?】
【順調そうなのに、悩み事が?】
十手うーん……実は少し、引っかかることがあってね……。
十手今日は、一緒に料理をしてみたんだ。
カトラリー君は美食家だし、もってこいだろう?
十手その時のことなんだが──……。

 

第14話:カトラリーの優しさ

カトラリー……ねぇ。なんだよ、この授業。
なんで僕が料理なんてしないといけないわけ?
十手まあまあ!
ほら、自分で作った料理は美味しいというし、
自分で作れば好みの味付けにできるだろう?
カトラリー……はぁ。仕方ないな……。
えっと、ジャガイモを切り分ける……って……?
カトラリーこう? ……えいっ!
十手のわ!?
そんな、斬り捨て御免みたいにしたら危ないぞ……!
まず、包丁はこう持って。
カトラリーそ、そんなこと言われたって知らないよ……。
料理なんてしたことないし!
十手え、そうだったのかい?
カトラリーするわけないでしょ。
僕は貴銃士であって、料理人じゃないんだから。
十手おお、それじゃあ今日は、記念すべき日だね。
頑張って美味いものを作り上げよう!
まずは俺がやってみるから、見ていてくれ。
十手人参はこうして……左手は猫の手で、
トントントン、と調子よく……!
カトラリーえ、すごい……!
野菜、こんな早く切れるんだ……。
十手ははは、もっと早くできるぞぉ!
トントントン……っと──
十手──あいた!?
カトラリーわっ……! 調子に乗るからだよ!
野菜じゃなくて指切っちゃうとか、バカじゃないの!?
十手ははは……やってしまったよ。
少しはいいところを……と思ったのに、
これじゃあ格好がつかないなぁ。
カトラリー笑いごとじゃないし……!
今、人を呼ぶから。
十手平気だよ。ほとんど血も出ていないし、舐めとけば治るさ。
食材に触れるところでもないから、大丈夫だろう。
カトラリーえ……放っといたらばい菌とか入るかもしれないでしょ。
いいから、ここでじっとしててよ!

カトラリーが医者を呼んできたが、
十手の怪我は、手当ての必要がないくらいのもので、
塗り薬とガーゼが渡されたのだった。


十手……ということがあってね。
医者を呼びに走ってくれたばかりか、
診察の間も、ずっと心配そうにしていてくれたんだよ。
ライク・ツー大げさな奴だな。
十手でも、優しい子じゃあないか。
俺は、心配をかけてしまったのは申し訳ないけれど、
なんとも胸がじーんとしたんだよ。
十手カトラリー君は、ちょっと意地悪なことを言う時もあるが、
ちゃんと人を心配できる優しい心を持ってる。
決して、悪い子じゃないんだ。
十手だからこそ、ああやって壁を作って、
周りの人たちと打ち解けていないのがどうにも気になって──
十手……いでで!
主人公【指の怪我が痛む!?】
【大変だ、治療しよう!】
十手すまん、〇〇君……。
治療するようなところはどこもないんだよ。
十手……実は、カトラリー君のことを考えすぎて、夜眠れなくてね。
ちょっと、胃が痛むんだよ……ははは……。
ライク・ツー……おい。
お前がそこまで頑張る必要あるのかよ。
まずは自分の状態を万全にしろっての。
十手……ライク・ツー君。
もしかして、俺のことを心配してくれているのかい?
ライク・ツーなっ!
ち、ちげーよ。
ライク・ツーよくもまあ、あんな生意気な奴のために身を粉にするもんだって
呆れてただけだっての。
主人公【自分にできることは?】
【自分に手伝えることはあるかな】
十手〇〇君も、ありがとう。
そうだねぇ……やはり、屋敷の人との関係が気になるかな。
十手何かいざこざを抱えているなら、仲裁に協力したいんだ。
主人公【任せて!】
【一緒に頑張ろう】
十手〇〇君……ありがとう!

十手と〇〇はさっそく、
屋敷の使用人たちが休憩している裏庭に話を聞きに行った。

十手カトラリー君と、普段どう接しているか教えてくれるかい?
料理人美食家でいらっしゃいますね。
それ以外は、俺は知りませんよ。
使用人1ええ。私らごときが、貴銃士様のことは話せませんよ。
……シャルロット様が、カトラリー様が絶対高貴になられるのを
心待ちにされていることは、皆さんもご存じでしょうし。
使用人2革命戦争の貴銃士とよく似た“カトラリー”様なので、
シャルロット様がのみならず多くの国民も待ち望んでいるかと。
それ以外では、特に言うべきことは……。
給仕いずれにせよ、私たちはシャルロットお嬢様のご意向に沿って
貴銃士様方の生活を支えるだけです。
料理人その通り。
それが我々の仕事なのでね。
十手なる、ほど……。
給仕……あっ。
使用人1あっ……。
申し訳ございません、私たちはこれで……。
十手……?
あ、ああ。皆さん忙しいところ、ありがとう。

使用人たちが、そそくさと立ち去ってしまう。

十手どうしたんだろう、みんなあんなに慌てて……。
カトラリー……なんのつもりなの?
十手……! カ、カトラリー君……!?

背後でカトラリーが、十手のことを睨み付けていた。

第15話:十手の変化

カトラリー……なんのつもりなのさ。
使用人たちと、なんの話をしてたの?
十手す、すまない……! これにはわけがあって──
カトラリー言い訳なんて聞きたくないよ。
こそこそ嗅ぎ回るなんて……最っ低!
十手も僕にムカついて、あいつらと悪口言い合ってたんでしょ!
十手カトラリー君、それは違──
カトラリーうるさい!!
どいつもこいつも、口を開けば絶対高貴、絶対高貴って……
もうんざりだよ!!
カトラリーどうせあいつらから、あれこれ聞いたんでしょ。
僕がシャルロットに見捨てられて可哀想とでも言われた?
カトラリーせっかく召銃したのに役目も果たせない、
役立たずのお人形だって!
カトラリーわかってるよ……!
みんなにどう思われてるかなんて!!

カトラリーは唇を強く噛み締め、走り去ってしまった。

十手カトラリー君!
主人公【……かなり追い詰められてるみたい】
【……つらい立場にあるみたい】
十手…………。

ライク・ツー……うわ、なんだよ。
2人揃って葬式みたいなツラして。
十手カトラリー君を怒らせて──というより、
傷つけてしまってね……。

十手と〇〇は、
先ほどの出来事を話した。

ライク・ツーま、絶対高貴になれって圧力がかかってるんだろうな。
ベルギー政府からか、マスターからかは知らねぇけど。
十手…………。
十手俺は……周囲に恵まれていたんだな。
戦闘では役立てていなかったけれど、
絶対高貴になれるジョージ君がいてくれて……。
十手周囲からの期待を一身に背負わずに済んでいたし、マークス君、
ライク・ツー君、ジョージ君がいて孤独ではなかった。
でも、絶対高貴になれない苦しさもよーくわかる……。
十手俺も幸運にも日本に行く機会がなければ……もしかしたら……。
ライク・ツーいや、お前は周囲に当たり散らかすタイプじゃねぇだろ。
十手でもなぁ……今思うと、いつも後ろ向きで、
みんなに気を遣わせていたんじゃないかと思うよ。
十手俺とカトラリー君では、絶対高貴になれない焦りやらなんやらが
どう表に出るかはもちろん違っているけれど……
それでも、とても他人事とは思えない。
十手あの頃の俺をキセル君が励ましてくれたように、
カトラリー君のためになる言葉がかけられればいいんだが……。
……この状況じゃ、俺の言葉は素直に聞いてくれないだろうな。
十手うーむ……。
…………いや、違うな!

俯いていた十手は、ぱっと顔を上げる。

十手俺はキセル君とは違うし、人の真似事じゃあきっと響かない。
なら、俺は俺なりにまっすぐにぶつかっていくしかないよな。
十手うん、よぉし!
腹をくくったら、なんだかやれる気がしてきたよ。
ライク・ツー……へぇ。
十手、お前ちょっと変わったな。
十手え、そうかな?
ライク・ツーああ。
背中丸めてウジウジしてるより、断然マシ。
主人公【ますます頼もしくなった】
【十手がいると心強いよ】
十手へへ……よしてくれよ、2人とも。
照れるじゃないか。

──コンコン

使用人お休みのところ失礼いたします。
世界連合軍のベルギー支部から入電でございます。
アウトレイジャー討伐への応援要請のようでして……。
主人公【行こう、2人とも!】
【すぐに出よう!】
十手&ライク・ツーおう!

〇〇たちは装備を整え、
指定された現場に急行した。

マチルダ……君たちか。
すまないな、私は候補生殿の支援は必要ないと伝えたのだが、
ベルギー支部の連中はずいぶんと心配性らしい。
主人公【お気になさらず】
【力になりたいので……】
マチルダでは、情報を共有する。
マチルダこの先に、トルレ・シャフのアジトの1つらしきものがある。
敵の数は不明。大規模戦闘になる恐れがある。
マチルダ周囲はネズミ一匹逃さないよう包囲済みだ。
これからアジト制圧作戦を行う。
ライク・ツーあー、やっと働けるぜ。
筋トレだけじゃ、身体が鈍っちまうところだった。
ベルギー支部兵士1……ジャンセン特別執行官殿。
作戦の準備が整いました。
マチルダ私とファル、〇〇殿は、
アウトレイジャーの出没に備えて周囲の警戒を行う。
ベルギー支部兵士1了解。
ライク・ツー戦況次第でそっちの加勢にも行くぜ。
ベルギー支部兵士2ありがとうございます!

──パァン!

ライク・ツー〇〇!
十手伏せろ!
ベルギー支部兵士2くっ……包囲に気づかれたか!
ベルギー支部上官奴らを逃すな! 捕らえろ!!
ベルギー支部兵士たちはっ!!

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