イベントストーリー:ブラックXXクリスマス

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第1話:それぞれのクリスマスの過ごし方

とある人気のない路地裏にて──

ファル……。
???……お待ちしておりましたぜ、旦那。
ファル前置きは結構。
例の品は手に入ったのでしょうね。
???そりゃあもちろん。上物も上物。
これだけのものは、ウチでなきゃ扱えねぇ……!
ファルほう……しかし、口ではなんとでも言えますし、
まずは品を検めさせていただきますよ。
ファル…………っ!
ファルふむ……なるほど、実にいい。
これがあれば、私の計画は完璧な形で進むでしょう。
ファル取引は成立です。
今の私は気分がいい。望みの額を支払いますよ。
???へへっ! さすが、話のわかる旦那だ。
うんと弾んでもらいてぇところだが……
旦那との取引は、こちらにも旨みがある。
???ここは……このくらいでいかがですかい?
ファルいいでしょう。
……また頼みますよ。
ファル……ふふ……。
ファルはは、はははは……っ!

恭遠もうすぐクリスマス休暇だが、
みんなは休暇をどこで過ごすか決めただろうか?
恭遠士官候補生のほとんどは帰省して、特に学校行事もない。
もちろん、君たち貴銃士たちも、
思い思いの場所で過ごしてほしい。
恭遠ただ、緊急任務で、呼び出しや現地合流の要請をする場合もある。
クリスマス休暇中の滞在場所について、
これから配る紙に記入して提出してくれ。
マークスマスターは士官学校に残ると言っていた。
だから当然、俺の答えも決まっている。

孤児である〇〇に、家族が帰りを待つ家はない。
マークスは迷わず、「士官学校に残る」にチェックをつける。

ライク・ツー特に行くとこもねーし、
生徒がいなくなってすっきりした士官学校なら、
トレーニングも捗りそうだ。
ドライゼクリスマスであっても、親世界帝派の残党が
大人しくしているとは限らん。
我々が長期間基地を空けるのは危険だな。
エルメああ。俺たちは予定通り戻ろう。
兵士たちが、ドライゼ不足になっているかもしれないしね。
グラースシャスポー、お前は大好きなマスターといっしょに
士官学校にいろよ。
僕はフランスでクリスマスパーティー三昧だからな。
シャスポーは? そんなこと言われなくても……。
──って、ちょっと待った。
シャスポーまさか、僕に変装して行くつもりじゃないだろうな!?
グラースフッ、さぁね~。
シャスポーおい! タバティエール!
クリスマスはあいつを見張っておけ!!
タバティエールやれやれ……。
休暇中はグラースのお目付け役で休めなさそうだ。
ペンシルヴァニア俺たちは、アメリカに戻る。
……スプリング。お土産は何がいいか、メモに書いておいてくれ。
ケンタッキーいーっぱいアメリカ土産買ってくるからな~!
遠慮なんかすんなよ、スーちゃん!
スプリングフィールドう、うん……!
ペンシルヴァニアさん、ケンタッキー……ありがとう。
シャルルヴィルスフィーはボクと一緒に
楽しいクリスマスを過ごすから、心配しないで♪
ケンタッキーくぅ~っ!
今度は一緒にアメリカに行こうな、スーちゃん……!
エンフィールドスナイダー、君もちゃんと書いて提出──
エンフィールド──って、いない!?
まったく……また勝手に教室を抜け出して……!
エンフィールドはぁ……僕が代筆しておこう。
エンフィールド、スナイダー、「士官学校に残る」……と。
ジョージエンフィールド、クリパやろうぜ!
クリパ☆
エンフィールドええ、そうですね! ジョージ師匠!
クリパいたしましょう!
カール…………。
…………クリパ…………。
ローレンツフ……。
一般庶民と違って、カール様は城でクリスマス恒例の
ディナーに出席されるのだ。当然オーストリア、と──
カール久しぶりに、民衆の気取らないクリスマスというのも
魅力的だねー。
ローレンツ士官学校でのクリスマスを有意義なものとするべく、
不肖ローレンツ、尽力いたします!

記入を終えた貴銃士たちが、
恭遠のもとへ続々と用紙を提出しにやって来る。

恭遠士官学校に残る貴銃士も多そうだな。
これなら……〇〇君も寂しくなさそうだ。

第2話:Let’s Party!

──士官学校はクリスマス休暇に入り、
寮には〇〇を含むわずかな士官候補生と、
一部の貴銃士たちだけが残っていた。

十手ところで、くりすます休暇っていうのは、
なんのためのお休みなんだい?
十手栗の澄まし汁でも作るのかと思ったが、
栗の時期からは少し外れているしなぁ。
主人公【クリスマスを知らない……!?】
【日本では馴染みのない行事かな】
ジョージOh……!
十手、クリスマスに何するか知らなかったのか!?
ジョージクリスマスにはなっ、パーティーするんだぜ☆
でっかいターキーに、クリスマス・プディング……
それから、ツリーとプレゼント!
ジョージ大事な人たちとゆっくり楽しく過ごす、
こっちのビッグ・イベントなんだ!
十手へぇ……!
そいつは楽しそうだなぁ!
ジョージだろ~っ!
〇〇と士官学校に残ってるみんなで、
チョー楽しいパーティーにしようぜ☆
エンフィールドそこでご提案なのですが! ジョージ師匠!
ジョージうおっ! エンフィールド!
エンフィールドクリスマスパーティーと言えば、
欠かせないのは盛大に飾り付けられたクリスマス・ツリー!
エンフィールドちょうどいいことに、士官学校のそばには森がありますし、
立派なモミの木を探しに行きませんか?
ジョージWow! 最高だな!
でっけーモミの木探してこようぜ!
十手ちょ……っ、2人とも待ってくれ!
あんまり大きいと談話室に入らないぞ……!

クリスマスが数日後に迫る中、士官学校ザクロ寮では、
クリスマスパーティーの準備が急ピッチで進んでいた。

エンフィールドふぅ……一時はどうなることかと思いましたが、
無事モミの木の搬入も終わりましたね!
今日は飾りつけを仕上げていきましょう。
ローレンツモミの木の枝数から、最適な見栄えにするために必要な
オーナメントの数を推測し、マーケットで調達済み……。
カール様にもご納得いただける仕上がりにしてみせます!
カールうむ、頼むよー。
華美にしすぎないようにと言っておこう。
ベルガー俺、ハラ減ったー!
食堂休みになってんだけどよぉ、ターキーねぇのかよ!
ローレンツクリスマス休暇なのだから、当然学校職員も休みだ。
それから、ターキーはクリスマス当日にしかないぞ、
モルモット1号。
ベルガーああ? つっまんねぇー!
ポテトコーク持ってそうな財布クンもいねぇしよぉ!
ローレンツ財布というのは……俺の推測が正しければ、
通りすがりの気の毒な士官候補生のことか。
ローレンツモルモット1号により一般生徒への被害がでないよう、
再発防止のための仮説を立て、検証していかねばならない。
……ふむ、新たな装置や試みを導入してみるか。
ベルガーひぃっ……!
今、スゲーぞわっときた……!
スナイダー……おい。
エンフィールドおや?
スナイダー、君もパーティーの準備を手伝いに来たのかい?
驚いたな……いい心掛けだよ!
スナイダー……なぜ、部屋の中に木がある。
邪魔だ。

スナイダーが、おもむろに脚を上げる。

エンフィールドまさか……や、やめるんだ、スナイダー!!
スナイダー……フン。

エンフィールドの制止もむなしく、
スナイダーは飾り付け途中のモミの木を容赦なく蹴り倒した。

エンフィールドうわあぁぁっ!!!
ジョージせっかく運んだのに……!
何すんだよ、スナイダー!
ローレンツああ……嘆かわしい。なんという野蛮な行為だ。
枝が何本も折れてしまった……。
これではオーナメントの必要数が仮説からズレてしまう!
エンフィールド……ス、スナイダー……!
君ってやつは……!
エンフィールドどうして君は、いつも問題を起こしてばかりなんだ!
興味がないからって、師匠や〇〇さん、
周りの人たちに迷惑をかけたらいけないだろう!
スナイダー……邪魔なデカい木を寮に持ち込むのも迷惑だ。
エンフィールド邪魔なデカい木じゃなくて、
クリスマスに欠かせないクリスマスツリーだっ!
エンフィールドそれに……いいかい? スナイダー。
サンタさんがプレゼントをくれるのは、
良い子にしていた子だけなんだよ?
エンフィールド僕がこんなに善良にしているのに……!
君のせいで僕までサンタさんから悪い子だと
思われたら、どうしてくれるんだよっ!!
ライク・ツー……ん?
あいつ、まさか……。
ローレンツふむ。
あの真剣極まりない表情から導き出される仮説は1つ……。
Mr.エンフィールドは、サンタクロースの真実を知らないらしい。
スナイダー欲しいものがあれば自分の力で手に入れる。
施しなどいらん。
スナイダー話はそれだけか?
俺は戦いに行く。
エンフィールド……待つんだ、スナイダー!
話は終わっていないぞ。
今日という今日こそは、君を悔い改めさせる!
エンフィールド……本当はこういう手段じゃなくて、
言って聞かせられたらよかったんだけど……。
君が反省しないんだから、仕方ないね。
エンフィールド……僕の秘密兵器を見せてあげるよ。
スナイダー……?

エンフィールドは、ポケットの中から、
八角錐型をした紫色のクリスタルのようなものを取り出した。

第3話:エンフィールドの秘密兵器

エンフィールド……僕の秘密兵器を見せてあげるよ。

エンフィールドが取り出した謎の物体を前に、
貴銃士たちも〇〇も沈黙した。

ジョージ……? なんだ、あれ?
銃弾にしては大きすぎるよなぁ。
ライク・ツー鎖が付いてるし、あれでぶん殴るんじゃねぇの?
シャルルヴィルすごい音がしたから来てみたんだけど……
エンフィールドはペンデュラムを持って何してるの?
ライク・ツーペンデュラム?
ローレンツ振り子のことだ、Mr.ライク・ツー。
水脈や鉱脈を探すのにも使われる、
非常に歴史あるアイテムだよ。
カールしかし、今はダウジングと無関係な場面じゃないか。
彼は一体何をするつもりなんだ?
ローレンツMr.スナイダーに対して使おうとしていること、
そして、ペンデュラムは「振り子」であることからして……
催眠技法の振り子法を試そうとしているのではないでしょうか。
エンフィールドええ、その通りです、ローレンツさん!
エンフィールドこれは先日、街で困っている様子の老齢のご婦人を助けた際に
お礼の品として譲り受けた品なんです!
エンフィールド古城の主だった一家に伝わる、とても歴史あるペンデュラムで、
言い伝えによると、ドワーフが加工したフローライトなのだとか。
このペンデュラムの導きで、宝くじに当たった人もいるそうです。
エンフィールドこれがあれば人生……いえ、銃生すらも激変!
億万長者になることも夢ではなく、
改造の恐怖とも無縁になれる、素晴らしい品なのですよ……!
主人公【(騙されてないかな……)】
【(う、胡散臭い……!)】
エンフィールドさぁ、スナイダー!
エンフィールドいいかい?
君はこれから、僕が自慢の弟だと言えるような、
素晴らしい優等生になるんだ。
スナイダー……はぁ……。
エンフィールドちょっと、スナイダー!
ちゃんと集中して、ペンデュラムを見るんだ。

エンフィールドは真剣な表情でペンデュラムを構えると、
スナイダーの顔の前でゆらゆらと揺らし始めた。

エンフィールドサンタさんも君が良い子だと認め、
プレゼントをくれるような……。
えーっと……具体的には、そうだなぁ……。
エンフィールドあっ!
君は好き嫌いせずに、野菜を食べれるようになーる!
スナイダー…………。
ローレンツこれは実に興味深い検証だ……。
どれほど効果があるのか……?
十手やあ、ただいま戻ったよ。
クリスマスのごちそうに必要な食材を買い揃えてきたんだが……
この状況は一体……?
エンフィールド十手さん、いいところに!
野菜を少しいただきますね!
エンフィールドさぁ、スナイダー!

エンフィールドは、スナイダーの口へセロリを突っ込んだ。

エンフィールドさぁ、どうだい?

エンフィールドが期待に満ちた視線を送る中、
スナイダーは顔をしかめ、セロリをペッと吐き捨てた。

エンフィールドあーっ!!!!
スナイダー臭い。不味い。いきなり草を食わせるな。
……不愉快だ。やっぱりおまえを改造してやろう。
ライク・ツー全っ然効いてねぇじゃねーか。
ローレンツ平素のMr.スナイダーよりも話す速度が15%ほど速く、
口数も多いことから立てられる仮説──。
彼は相当に機嫌を損ねている。フッ……証明完了。
カール相変わらず何も証明されていないが、
僕も同感だねー。
ベルガー…………。
ローレンツどうしたんだ、モルモット1号。
セロリなんか見つめて。

床にポツンと落ちているセロリを見つめていたベルガーは、
ゆっくりとそれを拾う。
そして、何を思ったのか、突然セロリに齧りついた。

ベルガー……っ! ……んん……!
ローレンツなっ……!? 健康や栄養バランスとは無縁の、
味の濃いジャンクフードばかりを好んで食べるモルモット1号が、
自ら進んで、それも床に落ちたセロリを食べた、だと……!?
ベルガーなんだぁ、これ……!
弾けるような心地いい歯ごたえ……
噛みしめるほどにじゅわっとジューシーさが溢れる……!
ローレンツヒィィッ!
ローレンツど、どうしてしまったんだ、Mr.ベルガー……!?
突然、語彙力や表現力が飛躍的に向上しているぞ……。

後方でちょっとした事件が起きていることに気づかず、
エンフィールドはスナイダーに良い子になる暗示をかけようと、
気を取り直して再びペンデュラムを揺らし始める。

エンフィールドも、もう1回だ……! 催眠も万能ではないし、
スナイダーの野菜嫌いが筋金入りで失敗しただけかもしれない。
今度は別の内容で……。
エンフィールド君は良い子になーる……。
良い子……えーっと、人に喧嘩を売らず、素直に謝る!
それから、職業体験を真面目にやるようになーる……!
スナイダー…………。
エンフィールドさぁ、今度こそどうだい!?
スナイダーいい加減気は済んだか?
下らんお遊びはもう十分だろう。
スナイダーこれ以上子供騙しに付き合ってやる暇はない。
遊び足りなければ、おまえ1人で石ころを振り回していろ。
カール……ふむ。
早速喧嘩を売っているねー。
エンフィールドうう……そんなぁ……。
ジョージま……まあまあ!
元気出せって、エンフィールド!

がっくりと肩を落とすエンフィールドには目もくれず、
スナイダーは談話室から出て行こうとする。
が、ドアの前にはベルガーが立っているため、足を止めた。

スナイダー……おい、邪魔だ。
俺の進路を塞ぐな。
ベルガー…………。

どこか遠くを見てぼーっとしているベルガーは、
スナイダーの声に対し無反応だ。

スナイダー……チッ。

スナイダーは鬱陶しそうに舌打ちをして、
ベルガーを雑に押し退けた。

シャルルヴィル……あっ!
主人公【しまった……!】
【クリスマス前に乱闘になってしまう……!】
ベルガー……うわっ、ごめん!
一同えっ!?

第4話:催眠の行方

スナイダーがベルガーを半ば突き飛ばすように押し退け、
乱闘が始まるのではと危惧した一同だったが……。

ベルガー……うわっ、ごめん!
一同えっ!?
主人公【……!?】
【ベルガー……?】
ベルガー悪ィ! 俺、邪魔だったよな!
スナイダー……?
……そうだな。
ベルガーおっと、こんな時間だ!
こうしちゃいられねぇ! 職業体験に遅れちまう!!
ベルガーお、〇〇! 行ってきます!
主人公【いってらっしゃい……???】
【一体何が……!?】
ローレンツみ……見たか!?
モ、モルモット2号……!
ローレンツモルモット1号の異常行動……!
あまりにも以上な行動に彼は……衝動を抑えきれないっ!
徹底的に観察し、詳細な記録を残さねばならぬっ……!
ローレンツ待てっ! 待つんだモルモット1号ーっ!
シャルルヴィル行っちゃった……。
カールはっはっは。これは予想外だ。
まさか、あの催眠術モドキが効く輩が貴銃士にいるとはねー。
エンフィールドええっ!?
まさか、ペンデュラムの力と僕の催眠が、
スナイダーではなくベルガーさんに作用したということですか!?
カールああ。どう考えてもあれのせいだろう。
君には案外、暗示の才能があるのかもしれんな。ははっ!
カール……さて、〇〇。
君も、ローレンツとともにベルガーを追ってくれないか?
どうせ碌なことにはならないだろうからね。
主人公【了解!】
【行ってきます!】

ベルガーこんにちはー!!!
士官学校から職業体験に来たベルガーです!!!
パン屋の店主おや? 士官学校はクリスマス休暇じゃないのかい?
大忙しの時期だから、人手が増えるとこっちは助かるが……
いやぁ、感心な生徒さんだ!
パン屋の店主……って、君は、この前市場で暴れていた子じゃないか?
駄目だ駄目だ! この忙しい時期に、
君の喧嘩やらカツアゲの尻拭いなんてしてられないよ!
ベルガーそこをなんとかお願いします!
俺、心を入れ替えて良い子になったんです!
どうか、ここで働かせてください!!
パン屋の店主そんなこと言っても、
どうせ盗み食いとかサボりとかするんじゃ……。
ベルガーお願いします! ここで働きたいんです!!!
お願いします!!!
パン屋の店主うーん……。
確かに、この間見かけた君と今の君では大違いみたいだ。
クリスマス前でパートの子もいないし……。
パン屋の店主それじゃ、お願いするかね!
ベルガー……! ありがとうございます!!!
パン屋の店主さあ、そうと決まれば、
クリスマスマーケットの売り子をやってもらうよ!
クリスマスにぴったりなサンタさんパンを売り込んでくれ。
ベルガーはい!
パン屋の店主それから、買ってくれたお客さんと、
サンタクロースの格好で記念撮影をするんだよ。
笑顔で、愛想よく、子供に優しく!できるかい?
ベルガーはいっ、頑張ります!
パン屋の店主元気でいいねぇ! うん、気に入った!
サンタクロースの衣装は奥にあるから着替えておいで。

ベルガーおーっし、着替え完了!
一生懸命頑張るぜ~!!

──その頃。
ベルガーとローレンツを探していた〇〇は、
クリスマスマーケットの一角で、ローレンツの姿を発見した。

ローレンツおや、モルモット2号。
君も、モルモット1号の観察に来たのか?
主人公【カールに頼まれて来た】
【カールが「碌なことにならないだろう」と】
ローレンツなんと、カール様のご命令で……!
だが、今のところ特に問題はないようだぞ。
ほら、あれを見てみろ。

ローレンツが指さした先には、サンタクロースの衣装で
熱心に呼び込みをするベルガーの姿があった。

ベルガーハッピーホリデーズ! ホッホッホー!
美味しい美味しいサンタさんパンはいかがですかー?
ローレンツしばらく観察していたが、店主の言うことをよく聞き、
見ての通り真面目に職業体験に取り組んでいる。
幼齢の人間たちにも人気のようだ。

ベルガーは、取り囲む子供たちへにこやかに手を振り、
パンを買ったお客さんとの記念撮影にも笑顔で応じている。

主人公【文句なしの働きぶりだ】
【今止めたらお店の人も困るかも】
ローレンツああ、そうだろう。
よって俺は、このまま観察を続けることを提案する。
ローレンツふ……ふふ……ははは……!
モルモット1号の催眠耐性の低さと、暗示の持続時間について。
このレポートは、有意義なものになるに違いない!

第5話:良い子のベルガー

ベルガーホッホッホ~!
美味しいサンタさんパンだよ!
子供1わーい、サンタさんだ!
プレゼントちょうだーい!
ベルガープレゼントはクリスマスの夜のお楽しみだぞ~!
みんな、良い子にして待っててくれな!
子供たちはーい!
ローレンツほう……。
催眠状態のモルモット1号には、意外な特技があるようだな。
ローレンツ普段は、彼自身が子供と同等もしくはそれ以下の知能と理性だが、
今はMr.エンフィールドが考える「優等生」の定義の影響と、
彼の子供っぽさが功を奏したのか、実に卒のない振る舞いだ。
子供2サンタさーん!
抱っこして! ツリーを見たいの~!
ベルガーいいぜ~! ホッホッホー!
買い物客1派手で怖そうなサンタクロースだと思ったけれど……
ふふっ、優しくていいサンタさんね。
子供1ねー、サンタさん! 次は僕の番だよ!
子供3その次はわたしー!

ベルガーサンタが子供やその保護者たちに囲まれる、
微笑ましい空気の一帯。
しかし、そこへ近づく不穏な影があった。

悪ガキ1おい、お前ら見ろよ!
変なサンタがいるぜ。
悪ガキ2おっ、ほんとだ。
なんだその格好! だっせぇ~!
ベルガーやぁ、こんにちは!
子供1うわ……あいつら、この間ロブに石を投げてきたやつだよ。
その前はお店の窓ガラスを割ったって聞いた……!
買い物客1関わり合いになりたくないわね……。
買い物は済んだし、他のお店に寄ってから帰りましょう。
子供1うん……。バイバイ、サンタさん。
買い物客2ほら、俺たちも帰ろう。
子供2はーい……。
ベルガーよいクリスマスを!

親子連れと入れ替わるようにして、
薄笑いを浮かべた数人の少年たちが、ベルガーを囲んだ。

悪ガキ1おい、変なサンタクロース!
遊ぼうぜ!
悪ガキ2雪合戦だ! おらーっ!!
ベルガーうおっ!!?

少年が投げた雪玉のうち1つが、ベルガーに命中した。
激怒したベルガーが少年たちを殴らないよう、
〇〇は慌てて出て行こうとする。

ローレンツ待ちたまえ、モルモット2号。
談話室でのMr.スナイダーとの一件で証明済みのように、
今のモルモット1号は非常に寛大な状態となっている。
ローレンツ真面目に職業体験を続けていることからしても、
Mr.エンフィールドに施された暗示が解けている様子はない。
つまり、あの不埒な少年たちは安全だ。
ベルガーあははっ、元気いっぱいだな!
ローレンツフッ……証明完了。
やはり、俺の仮説は正しかった。
ベルガー 君たち、良い子にしているか?
良い子じゃないと、サンタさんからプレゼントもらえないぞー?
悪ガキ3サンタクロースは忙しいから、
別に悪いことしてても気づかねーもんな!
悪ガキ1っていうかよ、お前はニセモノサンタだろ!
白いひげのジジイじゃねーし!
悪ガキ2そーだそーだ!
悪ガキたちにーせーものっ! にーせーものっ!
悪ガキ3偽物のサンタは、こうしてやる!
ベルガーのわぁっ!!

少年たちが、次々とベルガーへ雪玉を投げつける。
その勢いは明らかに遊びの域を超えるものだった。

ベルガー………………。
ローレンツ……あっ……!?
ベルガーこらーっ!
悪い子たちにはこうだぞっ!
ローレンツ……!
今、一瞬危うかった気がしたが、乗り越えた……!
ローレンツ暗示の効果は凄まじいな……。
本来のモルモット1号であれば、既に10回は激怒し、
手元に銃があれば乱射すらしていたことだろう。
ローレンツもしくは、何度も激怒するまでもなく、
早々に脱走してクリスマスマーケットの商品を
食い荒らしていたに違いない。
ローレンツしかし、実際はどうだ!?
明らかに手加減をし、少年たちの雪合戦に応じている……!
ローレンツあああ……!
目の前で貴重な実験が……!
これは今後の一大研究テーマになる……!

ローレンツは目を輝かせ、
メモ帳にすらすらとペンを走らせる。

悪ガキ1こいつ全然怒らないぜ!
なぁお前ら、このパン食ってやろーぜ!
悪ガキ2おう! 店の飾りも壊してやる!
パンチーっ!!
主人公【あの子たちを止めるべきだ】
【ちゃんと叱らないとだめだ】

ベルガーが怒らないのをいいことに
好き放題する少年たちを見かねて、
〇〇は注意しに行こうとする。

しかし──。

ローレンツま、待ってくれ、モルモット2号!
もう少し……あと少しだけデータを取りたい!
彼はどこまで行ってしまうのか……!?
ローレンツ──青年は、寒空の下、陶酔した。
これまで幾度となく実験と観察を繰り返してきた対象が、
今新たに、未知の姿を見せている奇跡に……!
主人公【(ローレンツは頼れない)】
【(観察のことしか頭になさそうだ)】
ローレンツああ、これは神の導きなのか……!?
聖夜を前にし、粉骨砕身仮説の証明に励んできた青年への
尊き贈り物なのか……!?

第6話:目覚めのトリガー

パン屋の店主コラ! お前ら、仕事の邪魔するんじゃないっ!
とっとと行っちまえ! ほら!
悪ガキ1やべっ!

ローレンツが興奮してペンを走らせている間に、
悪ガキたちはパン屋の店主に叱られ、一目散に逃げていく。

パン屋の店主大丈夫だったかい?
ベルガーはい!
パン屋の店主それならよかったよ。
……ったく、あの悪ガキどもめ。家で大人しくしてろって。
パン屋の店主あ、そうそう。
今回は頑張ってくれてるから、賄いのパンだよ。
終わったらまたあげるから、たくさん持って帰りな。
ベルガーうおおっ! ありがとうございます!
ローレンツ ほうほうほう……。
奪うことや与えられることを当然と思わず。
きちんと感謝を伝える……実に興味深い変化だ!
主人公【店主さんがいい人でよかった】
【観察はいい加減やめにしたらどうだろう】
???……〇〇とローレンツ?
こんなとこでコソコソ何してるのさ。

背後から声を掛けられて〇〇たちが振り返ると、
カトラリーとミカエルがいた。
ミカエルはなぜか、風船を10個ほど持っている。

主人公【カトラリー、どうしてここに?】
→カトラリー「な……何、そのだらしのない顔。
僕に会えたのがそんなに嬉しいわけ?」

【ミカエル、こっちに来てたんだ】

→ミカエル「やあ、〇〇。
クリスマスはイギリスで過ごしてみようと思ってね。」
カトラリーそれで? 2人はここで何してるの。
ローレンツ見ての通りだとも、Mr.カトラリー。
モルモット1号の観察だ。
カトラリーはぁ……よく飽きないね。
それより、ファルを見なかった?
ローレンツMr.ファル? 俺たちは見ていないと思うが……
モルモット1号の観察に集中するあまり、
見逃した可能性も否定できない。
ミカエルそう……。
主人公【2人はファルを探していた?】
【ファルがどうかした?】
カトラリーそれがさ、寮で会った時、なんか様子が変だったんだよね。
ちょっと上の空で、こっそり出かけようとしてて。
カトラリーそれで、寮から尾行してきたんだ。
でも、つけてることに気づかれちゃったのかも。
途中で見失って……。
ミカエルところできみたち、これはいる?
ローレンツ……先ほどから気になっていたのだが、
Mr.ミカエルはなぜ大量の風船を持っているのだ?
ミカエルさぁ……。よくわからないけれど、
白雪と極彩色のコントラストで、いい旋律を思いついてね。
そのことを話しているうちに渡された気がするよ。
カトラリーマーケットの入口で風船を配ってたおじさんが、
「この風船たちはあなたを飾るためにあるのです!」
とか言って、いっぱい渡してきたんだ。
カトラリーま、当然だよね。
ミカエルは天使だもん。
ミカエルそう、当然なんだね。
ミカエル……おや? あれはなんだろう。
カトラリーミカエル……?

ミカエルは何かに視線を奪われているのか、
ふわふわとした足取りでパン屋の方へ歩いていく。

ベルガーホッホッホー!
美味しいサンタさんパンだよ~!
ミカエルねぇ、きみ。
ベルガー俺のことかな?
ミカエルそう、きみ。
ちょっと台におなりよ。
ベルガー……だい?
ミカエルうん、台だよ。
あの看板に描いてある青い鳥が気になるのだけれど、
ここからではよく見えない。台がいるんだ。
ミカエルほら、四つん這いになって。
ベルガーよつんばい……。
カトラリーちょ、嘘でしょ、ミカエル……!
あいつにそんなこと言ったら、酷いことされるに決まって──
ベルガー………………。
ローレンツいや。止めるには早いぞ、Mr.カトラリー。
今、モルモット1号には暗示がかかっている。
ローレンツ地べたに這いつくばり土台になるなどという屈辱……
普段の彼であればどんなにコークを積まれようとしないだろうが、
果たして今はどうなのか!?
ローレンツ俺は、その答えをこの目でしかと見て、
観察ノートに書きつけなくてはならない……!
ベルガー……おう、わかった! これでどうだ?
ローレンツおおおっ……!

ベルガーは躊躇うことなく、手と膝をついて台の形になった。

ミカエル……っと。
うん、高さはちょうどよさそうだ。
カトラリーミカエル……すごい。
ほんとに台にしてる……。

人を台にすることになんの疑問も持っておらず、
パン屋の看板に描かれた青い鳥に夢中のミカエル。
道行く人たちは、異様な光景を遠巻きに見ている。

ミカエルん……きみ、もう少し右に動いておくれよ。
それから、背中をフラットに。
今のきみは、お尻の方がメゾフォルテになっているからね。

ベルガーがミカエルの要望に応えようと、
頑張って右にずれようとした時だった。
ベルガーの目の前を、白いネズミが駆け抜けてゆく。

ベルガー──あっ、アルパチーノ。
ベルガー(……アルパチーノ……?)
ベルガー(んぁ……? アルパチーノ、って……。
俺、なんで──)

その時、ベルガーが突然立ち上がった。
背中に乗っていたミカエルは、
足元が揺らいだことでバランスを崩し──

ミカエルあっ……。

ミカエルが落ちた拍子に手から風船が離れ、
風に流されて近くのクリスマスツリーへと飛んでいく。
そして、モミの木の尖った葉にぶつかり──

──パン! パパパン!
大きな音を立てて、一斉に割れてしまった。

ベルガー……ハッ!
主人公【ベルガー、ミカエル!】
【大丈夫!?】
ベルガーうがああああっ!!

素早く立ち上がったベルガーは、手近な木にしがみつくと、
叫びながらゆさゆさと揺さぶり始める。

ベルガーああああ゛~! めっちゃイライラするぜ!!
つーか背中痛ぇ! なんだよクソが!!!
ベルガーなんだこの……止まらねぇムカつき!!!
うごぉぉぁああ!!!
ミカエルどうしたんだい、彼氏は。
ひどく醜い旋律で、聞くに堪えないよ。
ローレンツ……っ! こ、これはまずいな……。
俺の仮説が正しければ、とんでもないことになった……!

第7話:暴走

ベルガーおらぁぁぁああっ!!

雄たけびを上げたベルガーが走り出し、
道行く人々が持っている食べ物などをすれ違いざまに奪いながら、
クリスマスマーケットを暴走する。

〇〇とローレンツは、
そのあとを必死で追いかけた。

主人公【カールが言った通りだ!】
【やっぱり碌なことにならなかった!】
ローレンツはっ! そういえば……モルモット2号はカール様から、
モルモット1号を俺とともに監督するよう言われたと……。
ローレンツうう……っ、なんということだ……。
この俺が、カール様のご命令を遂行することを忘れ、
観察に耽っていたなんて……!
ベルガーオラオラオラァ~!
ぜーんぶ俺によこせぇ!!!
通行人1おいっ! 何すんだ!
俺の晩飯を返せ!!
通行人2待て! それは客に出すコークで……!
ベルガーっぷは、うめぇ~~っ!
けど、まだムシャクシャがおさまんねぇ……!!
ベルガーうおおぉ~~っ!!
ローレンツくっ……今回ばかりは外れていてほしかったが、
俺の仮説がどうやら正しかったようだ……。
主人公【どういうこと!?】
【何が起きてる!?】
ローレンツ……モルモット1号は、強力な暗示にかかったことで、
通常の彼からすると絶対に許容できないような行動を
数え切れないほど取っていた。
ローレンツだが、彼自身の意識がほとんど無意識領域にあろうとも、
まったくの無影響で済むわけではない。
ローレンツ催眠状況下で感じた怒り、苛立ち。
そういった負の感情を抑圧したことによる、忍耐力の酷使。
すべてのフラストレーションが今、連鎖爆発を起こしているのだ。
主人公【連鎖爆発!?】
【大変なことはわかった!】
ベルガーうおおぉおぉ~~っ!!

マーケットをめちゃくちゃに荒らしながら走っていたベルガーが、
広場の中央にあるクリスマスツリーへ向かっていく。

ベルガーオラオラオラオラ~ッ!!

そして、走った勢いのまま木の幹にしがみつき、
どんどん上へと登っていく。

ベルガーうがぁぁぁ! ムッカつくなてめぇ!
たかが星のくせにテッペンとってんじゃねぇぞ!
てっぺんはなあ……この俺だァ~~!!
ベルガーうおおぉ~~、とったぞぉ~~~~!!

ツリーのてっぺんで吠えるベルガーと、呆然とする人々。
そんな混乱の中、ローレンツが静かに銃を構えた。

ローレンツ大事なモルモットであるMr.ベルガーをこの手で銃へと戻すのは、
俺にとっても非常につらいことだが……
この痛みは、俺自身への戒めだ。
ローレンツ俺が観察に夢中になって監督責任を放棄したばかりに、
カール様の危惧を現実のものとしてしまったのだから……
俺が責任を取る。
ローレンツモルモット1号──R.I.P.
今、ひとときの眠りを。
ベルガーんぁ? バ~~~カ!!
テメェーのヘボ弾で俺に当てられるもんなら当ててみろ!
ローレンツなっ……!

ツリーから屋根へと飛び移ったベルガーは、
素早くジグザグに、遮蔽物へこまめに身を隠しながら走る。
その後ろ姿は、あっという間に夜闇の中へ消えていった。

ローレンツくっ……見失った!
〇〇、これ以上被害が広がらないように、
急いで追跡し、彼の動きを止めるぞ!
主人公【了解!】
【行こう!】

シャルルヴィル事件はあったけど、談話室の飾りつけも無事終わってよかった~!
スフィーと一緒にクリスマスマーケットに来られて嬉しいよ。
シャルルヴィル……あっ、そうだ!
クリスマスパーティーの時に、プレゼント交換しない?
スプリングフィールドシャルル兄さんと、プレゼント交換……!
僕、やってみたいです。
喜んでもらえるようなものを選べるかは、心配ですけど……。
シャルルヴィル大丈夫だって。
スフィーがボクのとを考えて選んでくれたら、
なんだって嬉し──
ベルガーあひゃひゃひゃっ!! どけどけー!
ベルガー様のお通りだぁあ~~~!
スプリングフィールドわぁっ!

突然走ってきたベルガーにぶつかられ、
スプリングフィールドは噴水へと落ちてしまった。

シャルルヴィルうわぁあ!! スフィー!!
な、なにするんだ──
ベルガーあひゃひゃひゃっ! おめーも行けっ!!
シャルルヴィルぎゃあああ!!!

八九……チッ、どこもかしこも家族連れと
こ……いびとだらけで居心地悪すぎんだろ。
寮でもリア銃どもが浮かれてやがるしよ……クソ。
八九別に俺、クリスチャンじゃねーし。
知らねぇやつの誕生日とかどーでもいいし。
八九ホールケーキの独り占め食いはいっぺんやってみたかったから、
ピアノのレコード流してのんびりケーキ食う、
おしゃんティッククリぼっち満喫してやるぜ……!
ベルガーうぉーい、89!
何持ってんだよ?
八九うおっ、ベルガー!?
お前、なんだその浮かれポンチ極めた格好は……。
ベルガーんぉお!?
箱ん中からうまそーな匂いするじゃーん!
いただきっとぉ~!!
八九てめっ……何しやがる!
それは俺が崇高な1人イヴを楽しむために買ったやつで──
ベルガー……え、1人?
お前、トモダチいねーの?
八九……うぐっ!
お前……こういう時だけスゲー真っ直ぐな目で
聞いてくんじゃねぇよ……。
ベルガーぶひゃっ、あっひゃっひゃ!
マジじゃねーかよ、ウケる~~~!
ベルガーま、元気だせよ、ドーテーくん♥
ケーキは俺が一緒に食ってやるからよぉ!
ベルガーんん、むぐ……んっめぇ~~~!
八九一緒にっつーかてめぇ1人で食ってんじゃねぇかよ!!
俺のケーキ返せ!!!
ベルガーざぁんねんでした~!
もう俺の腹の中でぇーーす!!!
八九て、てめぇ……!
ミートパイにすんぞ、このクソウサギ!!!
八九うぅ……俺のケーキ……。
あ、チョコプレートだけ残って──って紙じゃねぇかよ!

 

第8話:ファルの極秘計画の結末

ベルガーが暴走する中……
ミカエルとカトラリーはファル探しに戻り、
クリスマスマーケットの中を歩いていた。

カトラリーはぁ……ひっどい有様。
これじゃあクリスマスが台無しだよ。
ミカエル風に乗って、嘆きの声が聞こえてくるね。
ん……レクイエムを奏でるにはいい夜だ。
???……おや?
カトラリーあっ、ファル!
どこ行ってたのさ。探してたんだからね!
ファル…………。
ミカエル……ファル、どうしたんだい?
カトラリーあのさ……なんか様子が変だったけど、
何か危ないこととかしようとしてる……なんてこと、ないよね?
ファル……やれやれ。
私としたことが、少しばかり油断していたようですね。
勘付かれてしまうなんて。
ファル怪しまれた上、ここで姿を見られたとあっては……
やむを得ません。
ファルちょっ……ファル、何するつもり?
まさか、僕たちのこと──
ファルふふ……はは……あはははは!
ええ、そうですよ。
お2人を──秘密の場所へとご案内しましょう。

ミカエルとカトラリーを連れ、
ファルは重厚な造りの建物の地下へと進んでいった。

カトラリー……あ、あのさ、ファル。
僕たちに何する気? この先に何があるの?
ファルチーズと赤ワインです。
カトラリーへっ?
ミカエルふぅん。ファルの好物だね。
ファルええ。それも、選りすぐりのものですよ。
カトラリーえ……えええっ?
何かヤバいものとかじゃなくて……?
ファルふふ、“ヤバい”かと言われれば、そうかもしれませんね。
一口味わえばたちまち虜になるような、
危険なほどに美味な逸品たちですから。……ははははは!
カトラリーど、どういうこと……?

ファル──取引は成立です。
今の私は気分がいい。望みの額を支払いますよ。
商売人へへへっ、さすが、話のわかる旦那だ。
旦那との取引は、こちらにも旨みがある。
ここは……このくらいでいかがですかい?
ファルいいでしょう。
……また頼みますよ。
商売人へぇ! もちろんでさぁ!
旦那の好みに合いそうな品々をたんまり用意しておきます!
ファルふふ……ここまで本当に長い道のりでしたが、
休暇中存分に楽しめるだけの品数で、
品質的にも申し分ないものがこれだけ揃うようになるとは。
商売人まったく、感慨深いもんだ。
7年前までは──世界帝軍の特別幹部って言ったかねぇ。
商売人チーズとワインを好んで金に糸目を付けねぇお方がいたってんで、
世界各地の産地はそりゃあもう栄えたもんだった。
商売人俺だって世界帝府が倒れたのは嬉しいが、
戦後の混乱の中で、帝府との取引のあった店やらも、
解体対象になっちまったのは痛かったな……。
ファルええ……。
まったく、惜しいことです。
ファルせっかく発展した技術が途絶えたり、
設備が失われたりしたために、
チーズとワインの水準が落ちてしまうなど……。
商売人もう駄目かと思ったもんだが、「職人たちの支援は惜しまない。
良いワインやチーズを作ることに集中してほしい」っていう、
旦那みてぇな最高のパトロンが現れるとはなぁ!
ファルふふ、ははは……。
私は至福の時のために種をまき、水をやっただけのことです。

ファル──というわけでして。
情報収集を重ね、支援も行い、今日この日を迎えました。
ファルふふ……ああ、楽しみですね。
柄にもなく少し浮かれて、仕入れすぎてしまったものですから、
ミカエルさんとカトラリーさんもご一緒にどうぞ。
カトラリーう、うん……!
ファル……さぁ、心の準備はよろしいですか?
いざ参りましょう、私が心血を注ぎ用意した、
クリスマススペシャルアソートコレクションの世界へ!

ベルガーんん、もぐ……。
おおっ、お前らも食いに来たのかぁ?
ファル…………。
ファル……?
あ、あなた……ここで一体何を……。
ベルガー何って、なーんかいい匂いしてたからよぉ。
ここにあったチーズとかクラッカー食ってたんだよ!
いやー、悪くねぇけど物足りね。肉食いてぇわ~。

ファルが入手した極上のチーズコレクションは、
無惨にも食い荒らされてほとんど残っていない。
ワインをラッパ飲みするベルガーを見て、ファルはよろめいた。

ファル……っ!!!!!
ベルガーんぁ……? どうしたんだよ、ファル。
俺はもういらねーから、残りはお前にやるぜぇ。
ぎゃっはっはっっは!! あーばよー!!!
ファル………………。
カトラリーファル……うわ、真っ青だ……!
えっと、その……。
元気だして、って言っても、無理かもしれないけど……。
ミカエルああ……深淵から湧き上がる悲嘆と、
天を貫くような紅蓮の憤怒のハーモニーが聞こえてくる。
カトラリーそれって、つまり……?
ファル────す。
カトラリースゥ?
ファル──ブチ殺す。
ファルあの駄獣をこの手で必ず捕らえ……
一思いに抹殺してほしいと、地べたに這いつくばり
泥を舐め懇願するほどの地獄の苦しみを味わわせてやる……!

第9話:ベルガー捕獲大作戦

──フィルクレヴァート士官学校、ザクロ寮。
貴銃士たちと〇〇、恭遠、ラッセルが集結し、
ベルガー捕獲大作戦本部が設置されていた。

カールローレンツ、報告を。
ローレンツはっ、カール様。
モルモット1号はクリスマスまマーケットを荒らしたのち、
追っ手をまいて、現在は行方不明となっています。
ローレンツ満腹になったために、どこかで一休みしているのかと。
ライク・ツー……おい! 奴が現れた!
市街地北西部の繁華街で目撃情報多数だ!
恭遠このままではさらに被害が広がってしまうな……。
一刻も早くベルガーを捕らえ、士官学校に連れ戻さねば。
エンフィールドああ、僕がスナイダーをいい子にしようとしたばかりに……。
皆さんだけでなく、多くの街の人にもご迷惑仕掛けてしまい、
なんとお詫びすればいいのか……。
ローレンツいや、Mr,エンフィールド。最初は単なる事故だったのだ。
それを、俺が……カール様が懸念されていたにもかかわらず、
観察欲に負けてしまったせいで……!
カール今はまだ、後悔に浸る時間はないぞ。
最優先とすべきは、奴の捕獲だ。
カールさぁ、平和なクリスマスを取り戻すぞ。
……作戦開始だ!
主人公【おーっ!】
【絶対に捕まえよう!】

エンフィールド目撃情報はこの辺りのはずです!
カールむ……!?
今の物音は向こうからか。
ローレンツええ。まずは俺が行きます!
べるがー あひゃ! あーひゃっひゃ!
ここ、いい部屋だな! 俺が住んでやるよ!
店主ああ……なんてことだ……。うちのショーウィンドーが……。
サンタクロースの部屋をイメージして、
せっかく綺麗にディスプレイしたのにぃ……!
ベルガーもぐ、んぐ……うっめぇなこの肉!
もっとたくさんパクッて来ればよかったな。
チッ、ミスったわ~。
ライク・ツー……うーわ、何やってんだあいつ。
主人公【ベルガー、ステイ!!!】
【もう終わりにするんだ!!!】
ベルガーおお? 〇〇じゃねーかよ!
オメーもパーティーしに来たのか?
ベルガーいいぜぇ、俺、もう食べるの飽きたし。
かっぱらってきたケーキ食うか?
あひゃっひゃっひゃっひゃ!
ローレンツああ……なんと嘆かわしい知性の欠如だ……。
皆、所定のポジションについてくれ。
ライク・ツーへいへい。さっさと終わらせんぞ。
シャルルヴィルスフィーをずぶ濡れにして風邪を引かせた分……
しっかり反省してもらうからね!
ローレンツカール様、スタンバイ完了しました。
カールよろしい。では……かかれ!!

カールの号令で、ベルガーを囲んだ貴銃士たちが飛び掛かる。
しかし──。

ベルガー捕まるかよ~~!
これでも喰らえっ!!
ライク・ツーうおっ!

ベルガーが投げつけてきた瓶を、
ライク・ツーがとっさに撃ち落とす。
その途端、中身の胡椒が空気中に飛び散った。

ライク・ツーいってぇ……目がっ!!!
っくしゅ、クソ、へっくしゅ!
あ、鼻血……。
ベルガーぶひゃっひゃ!
鼻血出してやんのぉ~、ダッセェ! ぷくくく……!
ローレンツふっ……この勝負、もらった……!
ベルガーもらわれるかよヴァーーーーカ!!!
てめぇはこれ食ってろ!
ローレンツむ……っ!?
なんだ、前が見えない……! どうなっている!?
エンフィールドローレンツさん……!
眼鏡がクリームで覆われています!
カールやれやれ……。
どうやら、僕が始末するしかなさそうだねー。
ベルガーうぉっ! っぶねぇ、何すんだよ!

カールの銃撃をすんでのところで躱したベルガーは、
手に持っていたチョコレート詰め合わせの箱を投げ抵抗する。
宙を舞ったチョコレートがスポポンとカールの口に入った。

カールむ……これはなかなか上質なチョレートだ。
中からじゅわっと出てくるこれは……ウイスキーか。
カール芳醇なハーモニーが、実に……。
ふにゃ…………。
シャルルヴィルええっ!? カールさん!?
……って、酔っ払ってる……!?
主人公【作戦総指揮官が!】
【ここは一時撤退を……!?】
エンフィールド……〇〇さん。僕にチャンスをください。
僕の催眠のせいですから……ペンデュラムを使って、
もう一度ベルガーさんに催眠術をかけてみせます!
ベルガーお? それ、俺がもらってやんよ!
金に変えてぇ、コークとポテチに変わる!
あひゃひゃ! 俺ってば天才!?
エンフィールドさぁ、ベルガーさん。よく見てください。
あなたはまっさらになり……
素直に言うことを聞ける、いい子になるのです。
エンフィールドあなたはまっさらに……悪い子の記憶はなくして、
言われたことを素直に聞くようになーる……。
ベルガーんん? なーんか歯が勝手わりぃな。
ポテチの欠片詰まってんのか?

ベルガーはエンフィールドの催眠を無視し、
ディスプレイの中にあった両面鏡を手に取る。
揺れるペンデュラムは、鏡に映り──

エンフィールドまっさらに……言うことを聞く……。
エンフィールド……おや? ここは……?
僕は誰……? 何をしていたんだろう……?
スナイダー……ほう?
まっさらになり、素直に言うことを聞く……だったか。
スプリングフィールドた、大変だ……!
エンフィールドさん、逃げてください……!
ベルガーあひゃひゃひゃ! 俺強くね?
マジ最強~! さっすがてっぺん取った銃だわ。
んじゃ、あーばよっ!!
主人公【待て、ベルガー!】
【こらーーっ!!!】

〇〇の声が虚しく響く中、
ベルガーの姿は再び消えてしまった。

第10話:クリスマスのお仕置き

街の中央にある時計台から、
ベルガーは混乱する街を見下ろしていた。

ベルガーぷくくく……あいつら、俺のこと必死で探してやんの!
お、89見ーっけ。あいつが走ってんのマジウケる。
ドーテーくぅーん、ファイトー!
ベルガーはぁ~あ、走って疲れたし、もう1個アイス食うか!
ベルガー……ん、うっめぇ~!
運動のあとのアイスはやっぱサイコーだな!
???他に、言い遺すことはあるか?
ベルガーうおっ!?
てめっ……ローレンツ!?
ローレンツふっ……またしても俺の理論が証明されてしまったな。
君がここに来ることはわかっていた。
馬鹿と煙は高いところへ上るという統計からな!

※そういった統計は存在しません。

ベルガーへぇ……ガリ勉メガネのくせにやるじゃねぇか。
でもよぉ、俺もわかってたぜ。
ベルガーてめぇとは……決着つけねぇといけないってな!
オラ、来いよ!
ローレンツ望むところだ。
一騎打ちといこうじゃないか、モルモット1号!!

大きく一歩を踏み出したローレンツの足元で、
カサッと微かにビニールが擦れる音がした。
音の出所は──アイスの空袋だ。

ローレンツうわぁあああ……っ!

足を滑らせたローレンツは、屋根を滑り落ちていった。

ベルガー……あ、いっけね☆
さっき食ったアイスの袋、そのへんのポイしといたんだった。

※いい子のみんなは、ゴミのポイ捨てはやめましょう。
ゴミは分別して、きちんとゴミ箱へ!

ベルガーあ、れ……? なんだ……?
身体が……う、うごか、ねぇ……ぞ……?
???……ようやく効いてきたようですね。
ベルガーだ、誰……だ……?
ファル誰だ、なんて……ふふっ。
忘れたとは言わせませんよ。
あのような行いをしておいて。
ベルガーファル……てめ、何、を……。
ファルああ……あなたが先ほど豚のように貪り喰らっていたアイス。
あれに、薬を仕込んでおいたんですよ。
強力な痺れ薬を……ね。
ファルさぁ……お仕置きの時間です。

ファルは、ベルガーを担ぎ上げると、
屋根の上から落とした。

ベルガーおわぁぁあああぁ!!!?

大時計の針に引っ掛かったベルガーを、
ファルが凍りつくように冷たい目で見下ろす。

ファルふふ……はははっ!
無様でいい眺めですねぇ。
ファルしかし、私が味わった苦痛、怒り、憎しみ……
それらをあなたに理解させるには、まだまだ足りません。
ベルガーおれ、は……な、にも、し、て……ねぇ……っ!
ファル黙れ。
……余計なことしかしないその口、舌も歯も取ってやろう。
ベルガーう、ひぃっ!
ファルあの時……私は誓ったんですよ。
あなたに必ず、死を懇願したくなるほどの苦しみを味わわせると。
ベルガーく、そ……。
やられ……て、たま、る……か、よ……。
心──
ファルおや……絶対非道なら、動けずとも放てると?
ふふふ……みっともなく足掻く無様さは嫌いではありませんよ。
頑張りだけは認めてさしあげましょう。
ファル次は私の番です。
ファル──『これはいかがでしょう?』!!
ベルガーうぎゃああああ……っ!!
ファル何を気絶しているんです?
……私の苦しみはこんなものではありません。
あなたにも、もっとたっぷり味わってもらいませんと。
ベルガーうぎゃっ!?

ファルはベルガーの身体を再び担ぎ上げると、
用意していた袋に詰め込んだ。

ベルガーぶほっ……!!
ファルクリスマスはこれから……たっぷり楽しむとしましょう。
いいですね、ベルガーさん?

ベルガーを入れた袋を背負い、
ファルは夜の闇の中へと消えていった──。

第11話:Merry Christmas!

──クリスマス当日。

マークス……結局あれから、ベルガーを見た奴はゼロか。
ま、俺とマスターのクリスマスにはなんの関係もないから、
どうでもいいんだが。
ライク・ツー戻ったらローレンツに実験されると思って、
どっかに隠れてるんじゃねーの?
そのうち出てくるだろ、どうせ。
ファル……いずれにせよ、
もう新たな被害の心配はないということです。
確実に、ね。
ライク・ツー……? お前、何か知ってんのか?
ファルさて……なんのことでしょう。
私は試食会をするので、これで。
ジョージI’m home~!
街で聞き込みしてきたぜ!
十手やっぱりベルガーくんの足取りは掴めないままなんだが、
気になる情報を耳にしたよ。
十手なんでも、最後に彼が目撃されたあたりで、
もぞもぞ動く大きな白い袋を担いだ、
黒い服の男がいたそうなんだ。
ジョージオレ、その男が誰なのか……たぶんわかったぜ☆
悪ガキにオシオキする、ブラックサンタだ!
マークスそうか。
ジョージええっ、そんだけ!?
もっと興味持とうぜ、マークス!!
カトラリー…………。
ミカエル…………。
カトラリー……あのさ、ミカエル。
やっぱり、あいつがいなくなったのって……。
ミカエルノン。およしよ、カトラリー。
言葉にするのは時に……危うく、無粋なことでもあるのだから。
カトラリーう……うん、そうだよね……。

恭遠ふぅ……これで何枚目の始末書ですかね、ラッセル教官。
ラッセルようやく1/3が終わったというところでしょうか。
まだまだ先は長いですが……
街の被害を考えると致し方なしですね。
恭遠ええ。
ベルガーの被害報告がぱったり途絶えて助かりました。
恭遠あのままでは、7年前決死の思いで戦い、
ようやく築かれた平穏な市民の営みが崩壊するところでした。
ラッセルそうですね……。
それから、ローレンツ殿。
始末書の手伝いをありがとうございます。
ローレンツいや、礼を言う必要などないのだよ、Mr.ブルースマイル。
カール様をはじめ、俺は多くの人に迷惑を掛けてしまった。
俺が始末書を手伝うのは、当然の帰結だ。
ローレンツなぜなら、俺がカール様の懸念をもっと重く受け止め、
モルモット2号とともに監督に当たっていたならば、
ここまでの被害は出なかったのだから……。
ローレンツ──青年は嘆いた。
私欲に溺れた己の愚かさに。
そして……耐え難い手の痛みに。
恭遠ああ……字の書きすぎで手が痛いな……。
少し休むか……。

スナイダーおい、エンフィールド。
俺は、おまえのなんだ? 言ってみろ。
エンフィールドああ! 君は、僕の素敵な弟のスナイダー!
とても強くて頼りになる、自慢の弟だよ。
スナイダーそうか。
そんな弟に、何をすればいいと思う。ん?
エンフィールドそうだね……ミルクティーはどうだい?
あと、スコーンも。クロテッドクリームたっぷりで用意しよう。
スナイダー牛の乳も砂糖もべとべとしたものもいらん。
いつもの、余計な味がしないやつにしろ。
エンフィールドふふっ、仕方ないなぁ。それなら……
ストレートの紅茶と、シンプルなショートブレッドにするよ。
スナイダーああ……それでいい。
マークスあいつ、まだ催眠が解けないのか。
ライク・ツーベルガーと同じで、そのうち元に戻るだろ。
カールやぁ、〇〇。
パーティーの準備も大詰めのようだねー。
主人公【パーティー楽しみだね】
【飾りつけはばっちり!】
カールうむ。
一時はどうなることかとも思ったが、
無事『クリパ』の開催ができそうで何よりだよ。
カール贅を尽くした豪華なものではないが……
皆で作り上げる素朴な催しというのは、代えがたいものだ。
僕も、案外楽しみにしているのだよー?
カール……おっと、この言葉を忘れていたね。
Merry Christmas、〇〇。

──ドイツにて。

エルメ懸念されていた、親世界帝勢力の活動活発化もなし。
兵たちにクリスマス休暇を与えられてよかったね、ドライゼ。
ドライゼああ。だが、油断は禁物だ。
引き続き交代しながら、監視を怠らないよう伝えてある。
エルメふふっ、さすがはドライゼだ。
いついかなる時も、備えを怠らないね。
エルメそういえば……ジグ、知ってる?
ドイツには、ブラックサンタっていう、
黒いサンタクロースがいるんだって。
ジーグブルートはぁ?
お前、おとぎ話になんか興味ねぇだろ。いきなりなんだ。
エルメまあまあ。最後まで聞きなさい、ジグ。
ブラックサンタはね、悪い子を見つけると、
鉄と血の粛清を行う悪魔なんだよ。
エルメだから……気をつけてね? ジグ。
ジーグブルートはぁ……???
エルメ……お、一番星だよ。
けっこう明るく光ってるね。
ジーグブルート誤魔化し方が雑なんだよてめぇは。
エルメ 何言ってるの?
本当のことだよ、ほら。

エルメが指さす先へ、ドライゼとジーグブルートも目を向ける。
夜空にきらりと輝く一番星。
その横に、ベルガーの姿が浮かんでいるように見えた。

ジーグブルート……なんだ、ありゃ。
変な幻覚が見えやがる。
エルメ不思議だな……。俺にも、多分同じものが見えているよ。
ドライゼベルガー……星になったのか。

Happy Holidays!
素敵なクリスマスを☆

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